ACファンモーター

ACファンモーターとは

ACファンモーターとは、交流電源で動くファンに使われているモーターのことです。

電気には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源は電流の向きが常に一方向の電源で、交流電源は電流の向きが周期的に入れ替わる電源です。

英訳すると、直流がDirect Currentで交流がAlternate Currentです。それぞれ頭文字を取ってDC電源、AC電源と呼びます。ACファンモーターはAC電源を使用し、駆動負荷がファンのモーターを指します。

ACファンモーターの使用用途

ACファンモーターは民生品から産業機器まで幅広く使用されています。最も身近な例が扇風機です。扇風機の一部はACファンモーターを搭載しています。家庭用コンセントはほとんどAC電源であり、扇風機には構造が簡単なACファンモーターが使用されます。

産業用途としては、局所排気用のファンなどがあります。地下や汚水タンクなど、酸欠が懸念される場所内での作業の際に使用されます。

ACファンモーターの原理

ACファンモーターは、ACモーターのシャフト軸にファン(羽根)を取り付けたものがACファンモーターです。ACモーターの動作は固定子と回転子によって構成されています。固定子に電流を流した際に発生する磁界の変化で回転子に渦電流が発生します。

その結果、いわゆる「フレミング右手(発電機)の法則」で誘導電流が起こります。その誘導電流と磁界による「フレミング左手(モーター)の法則」で動力が発生します。

ACファンモーターには交流電源が単相と3相の2種類があります。ACモーターは単相のみでは通常は動きません。したがって、単相ACファンモーターは位相を進角させるためのコンデンサを内蔵したものや、隈取りと呼ばれる構造のモーターが主流です。

3相電源は電源内に3種類の位相が存在するため、電源をそのまま印加すれば動く誘導モーターが主流です。ACモーターの利点は、構造が簡素かつ部品点数が少なく堅牢で長寿命な点です。欠点は、DCモーターに比べて運転速度の調整が難しい点です。

ACモーターは商用電源で動作し、堅牢で保守が簡単なため、用途に応じて今後も広く使用されると考えられます。

ACファンモーターのその他情報

1. ACファンモーターとDCファンモーターの違い

ACファンモーターとDCファンモーターの違いはファンの駆動電源の違いです。ACファンモーターは交流電源で動作し、DCファンモーターは直流電源で動作します。

ACファンモーターは交流電源の周波数によって、ファン(羽根)の回転速度が一定となりますが、DCファンモーターは回路によって回転速度を安価に可変できます。ACファンの中には、AC電源でDCモーターを動作させるAC/DCファンもあります。

2. AC軸流ファンとは

AC軸流ファンとは、ACモーターで駆動する軸流ファンです。軸流ファンとはファンを使って風を送る方向が軸方向にあるファンを指します。風を起こす羽根の回転方向と垂直方向(軸方向)に風が発生します。

用途としては、発熱する機械の冷却に使用される場合が多いです。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンのほか、風を送る方向が異なる遠心ファン、斜流ファンなどがあります。

遠心ファンとは軸流ファンと直交するように風を起こすファンで、遠心方向に風が起こります。斜流ファンは、軸流ファンと遠心ファンの間のようなファンです。軸方向から吸気し、軸の斜め方向に排気送風します。小型・軽量になることが特徴です。

3. ACファンの構造

代表的なファンの構造としては、羽根車、ケーシング、主軸、軸受からできています。

  • 羽根車
    風をつくる部分でファンにおいて心臓部となる部品です。送風の効率に関わり、用途や環境などに応じて様々なものがあります。
  • ケーシング
    ファン自体の外枠と内側の風の流れ道をつくるもので、ファンの吸入部や吐出部をつくる部分です。
  • 主軸
    ファンの中心の軸になる部分で、羽根車を支える強度をもちます。
  • 軸受
    主軸の回転運動を受ける部分で、その作用をスムーズにしつつ主軸を支える部分です。軸受があることにより、摩擦や摩耗を軽減することができます。この部分の品質が悪いと機械的な摩耗などにより故障につながるため重要な部分です。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/ac_kiso_1_1/
https://www.eminebea.com/jp/product/airmover/fanmotor/ac/
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/002/index.html
https://fan-blower-soufuuki.com/handbook1_1/handbook1_9

ACソレノイド

ACソレノイドとは

ACソレノイドとは、AC電圧つまり交流電圧を印加時に動作するソレノイドのことを指す呼称です。ちなみにソレノイドとは、を始めとした電気を流すための導線を螺旋状に巻いていったもので、一般的にはコイルのことを指しています。

コイルは平面上のものや立体的なもの等の巻き線全般を呼ぶのに対して、その中でも特に螺旋状に巻いたコイルのことをソレノイドコイル、又は略してソレノイドと呼んでいます。

ACソレノイドの使用用途

ACソレノイドの使用用途として、最もよく利用されているのが電磁弁です。電磁弁はその構造上、必ずソレノイドコイルを使用しているので、電磁弁の代わりにソレノイドバルブ(弁)とも呼ばれています。

電磁弁は、主に水や油などの流体を止めたり流したりする弁に使用されたり、2方弁や3方弁とも呼ばれる流体の流れる方向を切り替える弁に利用されており、最も身近な所では、車載用の各種アクチュエータや家庭用では冷蔵庫、エアコン、ヒートポンプ給湯器など、流体の冷熱サイクルを利用した機器に多用されています。

ACソレノイドの原理

ACソレノイドの原理は、電流と磁界によって発生する力を利用しています。この電流と磁界と力の関係は、電磁石や電磁誘導現象によって起きる起電力でも説明されます。

ほとんどの方が一度は聞いたことがあり、物理学で最初に学ぶ最も有名な電気と磁界と力、つまり電磁力に関する法則の「フレミング左手の法則」に由来しているのです。

詳細を説明すると、螺旋状に巻いたコイルの中に左手の中指と人差し指と親指をそれぞれ直角方向に指差した時、中指方向に電流(コイル)を流し、人差し指の方向に磁束(鉄心や磁石)を作ると、親指方向に力が発生すると言う原理です。

この電流方向を切り替え、電源を入り切りすることで鉄心部が動く物理現象を、各種電磁弁等のアクチュエータに利用しています。フレミング左手の法則は、実はソレノイドばかりでなく、モータを始めとした全ての電気で動かすアクチュエータに共通している原理・原則です。

ちなみに、この逆のフレミング右手の法則は、外部から得た力を電気に変える発電機の法則になります。どちらにせよ、電気と磁界によって力が発生すると言う電磁誘導を利用したものであることは変わりません。

ソレノイドの種類

ソレノイドが螺旋状に巻いたコイルで、電磁誘導の法則により印加電力を鉄心部の機械的なアクチュエータの駆動力に変換している点は説明の通りですが、ソレノイドにはAC以外にDCソレノイドもあり、両者の違いについて説明します。

1. ACソレノイド

  • AC起因の突入電流が発生しやすく、発生する騒音が比較的大きい
  • 突入電流時に可動鉄心(プランジャ)を強く吸引するので、安定性に課題がある
  • 動作速度や吸引力といったソレノイド自体の特性は優れている

2. DCソレノイド

  • 電流値が一定で、安定動作が可能
  • ACソレノイドと異なり突入電流がなく、騒音が比較的小さい
  • 動作速度が遅い上、電流やプランジャーの吸引力が小さく、ソレノイド自体の特性はACに対して劣っている

よって特性で選定の場合はACソレノイドになりますが、過剰な負荷がかかるとソレノイド自身が焼けこげるリスクがあるため、温度ヒューズや過電流保護回路といった安全動作対策への配慮が必要です。

また、可動鉄心(プランジャー)の動作形態によってプッシュ型(コイルから鉄心を押し出す)とプル型(コイルへ鉄心を引き込む)に分かれています。ともに兼ね備えた二つの動作を扱うプッシュプル型も存在します。

特徴的なソレノイドとしては、自己保持型と呼ばれる種類もあり、永久磁石を用いてプランジャーの位置を固定可能なソレノイドです。このタイプはプランジャーを動作させる瞬間だけ電流を流せばよく、保持の間は通電が不要なために、電力消費を極力抑えたいような用途(蓄電池使用機器など)に向いています。

一口にソレノイドといっても多種多様な製品仕様があり、用途に合った仕様をよく確認してから選定することが大切です。

 

参考文献
https://smt.shindengen.co.jp/product/solenoid/index.html
https://electric-facilities.jp/denki7/so/005.html


プリセッター

プリセッターとは

プリセッター

プリセッターは工作機械を使用する際に、工具の不具合や寸法の違いが無いかチェックするために使用されます。

工作機械を使用して金属の穴あけを行う場合にドリルビットに欠損などがあると、予定した通りの穴が開きません。この場合は加工に不具合が生じることになり、最悪のケースでは加工品全て使い物にならなくなってしまいます。

このため、ドリルビットの先端や形状、サイズなどをあらかじめ調べておく必要があり、このための機器がプリセッターです。また、工作機械に接続した状態で検査すると危険な上に手間もかかりますので、これらの手間を省くという目的もあります。

プリセッターの使用用途

プリセッターは頻繁に工作機械を使用する金属加工工場などで使用されています。

ドリルなどは速いスピードで回転して金属に穴を開けますが、ドリルビットの先端がかけていた場合は通常よりも穴あけ時間がかかってしまいます。すると、設定時間で穴を開けた場合には深さが不十分であったり、貫通させたかったのに貫通しなかったりする恐れが出てきます。また、サイズが異なると穴の径が変わってしまいますので、このような失敗を避ける目的でプリセッターは使用されています。

また、プリセッターで測定したデータは加工装置に送られます。

プリセッターの原理

プリセッターがドリルビットなど加工工具の形状を読み取る方法は3つあります。

1つ目はCMOSカメラで加工工具を撮影して、モニターに映し出します。カメラの良いところは遠近感が分かり、陰影から物体を立体的に捉えることができることです。また、撮影している加工工具を回転させることでおかしな点を見つけ出します。性能が高い一方でCMOSカメラを使用しますので価格は高くなります。

2つ目は投影タイプで、加工工具の反対側に設置されている光源から照らされた光で加工工具の形状を投影する投影タイプです。こちらもCMOSタイプと同様に加工工具の形状を目視で確認できるのですが、投影ですので立体的には分からずに最外郭以外の形状は分からないというデメリットがあります。しかし、価格は安くなります。

3つ目は接触タイプで、加工工具に直接触れてサイズを測りますが、加工工具の外径や長さなどしか測れず、螺旋状にくびれている箇所などの長さや複雑な形状などは分かりませんので、適切なサイズを使用しているかどうかを知る程度になります。しかし、価格は最も安いです。

参考文献
https://kikaiyablog.com/whats-tool-prisetter

ブロックマニホールド

ブロックマニホールドとは

ブロックマニホールド

ブロックマニホールド (英: manifold block) とは、金属のブロック内部に回路を形成した部品です。

この部品を使用することで、個々の装置をつなぎ合わせるよりも小型で軽量化が実現できるうえ、配管も少なくなるのが利点です。使用用途に応じて、様々な形状のブロックマニホールドが販売されています。

回路設計ソフトを使用すれば、使用者のニーズに特化したブロックを製作することも可能です。

ブロックマニホールドの使用用途

ブロックマニホールドは、その材質に応じて様々な場面で使用されます。具体的には、工作機械、半導体製造工程、薬液供給設備向け機器、薬ガス供給設備向け機器、N2パージ関連機器、酸素濃縮器、呼吸器/麻酔器などの用途です。

1. 材質が鉄の場合

ブロックマニホールドの材質が鉄の場合は、潤滑油や切削油に適用できるため、工作機械を使用する場合の油の分岐を目的として使用されます。

2. 材質がステンレスの場合

ステンレスの場合は、水にも使用されるため、ブロックの貫通穴の一部を圧力計と組み合わせることで、水圧測定に使用できます。水以外にも、油や空気にも使用できます。

3. 材質がアルミ合金の場合

アルミ合金の場合は、空気に多く適用され、エアノズルに使用するエアの分岐などに使用されます。主に建設機械・農業機械・車両関係です。

ブロックマニホールドの原理

ブロックマニホールドは鉄やステンレス、アルミ合金などの金属材質のブロックであり、その内部に回路状に穴が貫通して開けられています。本体の材質は、炭素鋼S25C・SS400、鋳鉄FC300,ステンレスSUS304、アルミ合金2000・5000・7000などです。

穴が回路となっているため、穴を通じて水や油、空気などの流体が流れていきます。穴の入り口にはねじが切ってあり、外部から配管と接続して使用されます。ブロックに穴構造が複数形成されているため、配管をコンパクトにまとめることが可能です。

汎用品として販売される代表的なブロックマニホールドとして、ブロックを直線状に穴が貫通したものや、T字、L字に穴が開けられたものが挙げられます。回路の設計次第では、穴を高密度に作成できるため、さらなる配管の集約化も期待できます。

ブロックマニホールドの特徴

1. 小形化が可能

コンパクトで大流量です。狭いスペースにも設置ができます。マニホールド化により、各機器を配管接続する場合に比べ、容積比で1/5~1/10程度に小形化が可能です。

2. パネルマウントが可能

給排気ポートの取り出し位置が選択できるため、配管の取り回しの自由度が向上します。パネルにマウントが可能です。

3. ノルマルオープン・クローズの切替が容易

ユニバーサル加圧方式により、ノルマルオープン・ノルマルクローズの切替が容易です。

4. フラットケーブルが使用可能

フラットケーブルが使用でき、コネクタの取出し方向は、上・横方向から選択可能です。

ブロックマニホールドの選び方

ブロックマニホールドの選定は、多くの要因を検討して行います。

1. 使用圧力・材質

使用する圧力が比較的低い場合は、アルミ製が適しています。ブロックマニホールドの取付けは、スチール製の場合、場所によっては重いので困難で、けがの発生も懸念されます。アルミ製の重さはスチールの1/3程度です。

2. 最大流量・ポート仕様

最大流量でも圧力損失が小さくてはなりません。ポートはOリングタイプのGねじ、シールワッシャータイプのGねじ、UNFねじなどがあります。シールテープタイプのテーパねじは、コンタミ問題の可能性があるので、あまり使われません。

3. バルブの種類

カートリッジバルブや積層バルブなどを使用すると、さらに軽量・コンパクト化が可能です。

ブロックマニホールドのその他情報

ブロックマニホールドの回路設計

回路設計には専用の設計支援ソフトがあり、CADを使用してオーダーメイド設計できます。これにより汎用品でなく、特殊形状であっても用途に応じて流路の作成が可能です。

流路の作成に精度が要求される場合は、専門の機械加工業者があるため、加工依頼する方法もあります。

参考文献
https://manifold.link/manifold/
https://www.tokyokeiki.jp/products/detail.html?pdid=71

トルクキーパー

トルクキーパーとは

トルクキーパー (英: torque keeper) とは、トルクを一定にコントロールする機器です。

日本語では、「機械式過負荷保護機器」とも呼ばれ、「トルクリミッター」と混同される場合があります。トルクリミッターは安全保護装置であり、トルクキーパーはトルクの制御機器です。

トルクキーパーは、コンベアの駆動、立体駐車場のターンテーブルやパレット台車の駆動、あるいは各種トレーニングマシンなどに活用されます。

トルクキーパーの使用用途

トルクキーパーの使用目的は、主にアキュムレーション、ブレーキング、ドラッギングの3つです。

1. アキュムレーション

アキュムレーションとは、トルクキーパーにより、利用機器を定められた位置に停止させることです。使用用途の実用例としてストッパ作用を活用したチェーンコンベヤやローラコンベアがあります。

対象物がストッパに当たるとトルクキーパーがスリップしてコンベアは停止し、ストッパから離れると稼働します。

2. ブレーキング

ブレーキングは、間欠スリップと連続スリップがあります。間欠スリップは、トルクキーパーのスリップと連結の繰り返しで、利用機器を安定したトルクで駆動します。また、連続スリップは、連続駆動する利用機器の駆動です。

間欠スリップの実用例として、ブレーキングを活用した立体駐車場のターンテーブルが挙げられます。駐車場から出た自動車を回転させて、出口位置でストッパに当たり停止します。この時トルクキーパーが間欠スリップして、駆動部を保護します。

また、連続スリップの実用例は、フィルム、紙、サンドペーパーなどの巻き取りロールです。トルクキーパーが低速でスリップしながらロールを回転させます。そして、ペーパーなどに一定のテンションを与えて巻き取ることが可能です。

3. ドラッギング

ドラッギングではトルクキーパーのスリップ作用により、利用機器に一定の負荷を掛けます。使用用途の実用例は、スリップ作用を活用したトレーニングマシンや締付け機などです。

トレーニングマシンのリストローラは、ローラを握り、回転させることにより手首を鍛える装置です。トルクキーパーはローラの軸端に取付け固定します。トルクキーパーの滑らかなスリップトルクにより、ローラに負荷をかけます。

締付け機は、ボルト・ナットやバルブの締付け用の装置です。トルクキーパーは、トルクが安定しており、ボルト・ナット、バルブなどを一定トルクで締付けます。

トルクキーパーの原理

トルクキーパーは、一定のトルクで保持し続ける装置です。装置は基本的に、一般的にハブ、滑り軸受フランジ、プレート、皿ばね、ワッシャー、調整ナットの7つの機械部品から作られています。トルクキーパーは、外部駆動に対して規定トルクまで駆動を伝達しますが、規定トルクを超えるとスリップし、利用機器は停止します。

トルクの調整は装置の最端部に付けられたトルクキーパーの調整ボルトを緩めたり、締め込んだりすることで決定します。トルクの設定範囲は製品によって異なりますが、小型の物で10〜30N・m、大型の物で100〜600N・m程度です。

トルクキーパーの特徴

1. スリップトルクが安定

トルクキーパーは、一般のブレーキに比べトルクの変動が少なく、滑らかにトルクを伝達します。また、高頻度でスリップが繰り返されても、トルク伝達が安定しています。

2. 長寿命

プレートにファインケミカル繊維を採用することで、長寿命化を実現しています。他のブレーキライニングと比較すると、長寿命です。

3. 低価格・軽量

フランジにアルミを採用し、部品点数を少なくすることで、コンパクト・低価格・軽量を実現しています。

4. 容易なトルク調整

トルク調整は、トルク目盛りに応じて調整ボルトを回すだけの簡単操作です。

トルクキーパーの選び方

トルクキーパーの選定は、まず目的を明確にすることが大切です。それぞれの特性にあった製品があるため、アキュムレーション、ブレーキング、ドラッギングのいずれかを選びます。

次に、用途がコンベアや機械装置の場合、スリップトルク又はブレーキトルク、スリップ回転速度、スリップ時間、連結時間、1日の使用時間などを決めます。最後に製品のカタログから、スリップトルク又はブレーキトルクがT-N曲線の許容値以内になるようなタイプやサイズを選びます。

参考文献
http://www.prelead.com.tw/userfiles/3/3/10-1-5-1.pdf
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/RS_0182
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/mechanical-protectors/torque-keeper/

デバッグツール

デバッグツールとは

デバッグツールとは、デバッグの際に使用するソフトウェアなどを指します。

作成されたプログラムが意図通り動作するとは限りません。意図しない動作をした場合、間違った箇所 (バグ) を発見する必要があります。しかしながら、プログラムは数十万行もある場合も多く、自力でバグを発見することは困難です。

その際に、デバッグツールを使用してバグ発見を容易にします。デバッグツールには、バグ発見を支援するさまざまな機能が搭載されています。

デバッグツールの使用用途

デバッグツールは主にソフトウェア開発者が使用します。日常生活で活用することはありません。

デバッグツールはソフトウェア開発時のバグ発見を目的に使用します。ソフトウェア開発において、バグを発見して修正する作業 (デバッグ) は必要不可欠です。デバッグが不十分なまま公開した後に深刻なエラーが生じると、修正に時間的・経済的コストがかかります。また、製品を開発した会社への信頼も失われてしまいます。

デバッグツールの原理

プログラム開発には複数フェーズ (段階) があります。以下の順番で実施されます。

  1. 要求仕様確認・確定
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. プログラミング (コーティング)
  5. コードレビュー
  6. 単体テスト
  7. 結合テスト
  8. システムテスト
  9. 受け入れテスト

コーディング段階は特に重視されますが、各種テストも非常に重要です。一般にテスト段階では、何らかのエラーが発生します。エラーは大別すると構文エラー、コンパイルエラー、実行時エラー、論理エラーがあります。

構文エラーとコンパイルエラーはコーティング中に見つかりますが、実行時エラーと論理エラーはプログラムを実行しないと見つかりません。特に論理エラーだとプログラム自体は動作するため、原因特定が困難です。

論理エラーはプログラムを精査して発見しますが、大規模プログラムでは人力で発見することはできません。そのため、デバッグツールでプログラムを実行しつつ点検したり、途中でプログラムを停止したりしてバグを発見します。

デバッグツールのその他情報

1. デバッグ初心者におすすめツール

デバッグ初心者はプログラムデバッグの勝手が分からず、バグ発生の度に慌てることもあります。そんなデバッグ初心者におすすめのツールが、「関数呼び出し関連図」と「テストケース」です。

関数呼び出し関連図
関数呼び出し関連図とは、プログラムモジュール間の値の呼び出しや参照関係を図式化したものです。プログラム中の人為的なエラーとして、参照のみのつもりで書き換えてしまったり、値を使用できない設計だったりする場合があります。このようなバグはコンパイル時に発見されず、簡単に見つかりません。関数呼び出し関連図を使用するとモジュール間のやり取りが可視化されて、バグ発見が容易になります。

テストケース
テストケースとは、プログラムへの入力に対して期待される出力を定義し、実行結果と照らし合わせて評価する手法です。プログラムが複雑なほどバグは多く、発見が困難です。プログラムを可能な限り細分化することで、バグを見つけやすいプログラムになります。

また、プログラムを細分化してテストケースを多く作成することで、どの部分でバグが発生したかも見つけやすくなります。関数呼び出し関連図もテストケースも自分で作成するツールです。市販のデバッグツールよりも、自作ツールで頭の中を整理してデバッグすることを推奨します。

2. デバッグのコツ

デバッグのコツは、バグの原因・発生箇所を切り分けていくことです。規模の大きいプログラムも、細分化されたプログラムモジュールの集まりです。したがって、バグが発生したプログラムモジュールを特定できればそれを解消できます。現象からバグ発生箇所を推測し、プログラムモジュールの挙動を確認しつつ範囲を切り分けてバグを特定します。

参考文献
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=48280&item_no=1&page_id=13&block_id=8
https://www.fujitsu.com/downloads/JP/archive/imgjp/jmag/vol63-3/paper12.pdf

ディスプレイエクステンダ

ディスプレイエクステンダとは

ディスプレイエクステンダとは、通常のディスプレイケーブルでは届かない距離にあるディスプレイに映像信号を送るために使われる装置です。エクステンダー(Extender)は英語で「拡張する装置」という意味を持ちます。従ってディスプレイエクステンダーは、ディスプレイを拡張する装置のことです。

ディスプレイエクステンダはパソコンの近くにある映像信号送信用のエクステンダと、映像信号受信用のエクステンダ、およびその間を結ぶケーブルから構成されます。ディスプレイケーブルには、アナログ信号を送信する方式とデジタル信号を送信する方式があります。一般的に、デジタル信号方式の方が高画質な映像を出力できます。

ディスプレイエクステンダの使用用途

ディスプレイエクステンダは日常生活でも目にすることがあります。一例として、病院などにおいて同じ映像を離れた場所にあるディスプレイに表示させる目的での利用が挙げられます。

病院ではスペースの都合上、壁面に設置したディスプレイに映像を表示させることが多いため、大がかりな映像出力装置を置きづらい傾向にあります。ディスプレイエクステンダによって、配線とディスプレイのみのシンプルな構造にしています。

産業用途としては、サーバールームと監視室を繋ぐ際などに使用します。距離が離れている場合は、ディスプレイエクステンダを用いることがあります。またディスプレイエクステンダは、同じ映像を多数のディスプレイに表示させる目的にも利用可能です。

送信・受信用のディスプレイエクステンダを結ぶケーブルとしてLANケーブルが多用されます。LANケーブルはディスプレイケーブルよりも曲げやすいので柔軟な配線が可能です。

ディスプレイエクステンダの原理

ディスプレイエクステンダは、信号変換器の一種です。LANケーブルを用いる場合、送信側でHDMIやVGAと呼ばれる規格の電気信号をEthernetと呼ばれる規格の電気信号へ、ディスプレイエクステンダ内にある電子基板上で変換します。

受信側では逆の変換を電子基板上で行い、映像信号を出力します。光ケーブルを用いる場合は、フォトダイオードなどで電気信号と光信号を変換しています。原理はメディアコンバータと似ています。

ディスプレイエクステンダのその他情報

ディスプレイエクステンダに用いるケーブル

ディスプレイエクステンダにはLANケーブルの他にも、光ケーブルが使用される場合があります。配線距離を長く取れるため、受信器と送信器が遠い場合には光ケーブルを使用します。以前は、ディスプレイ用ケーブルにはVGAなどが使用されていました。現在は端子の規格が古くなり、使用されることは少ないです。

現在の一般的なディスプレイ用ケーブルはHDMIケーブルです。音声と映像を同時に伝送できますが、通常のHDMIケーブルは10m程度しか延長できません。LANケーブルの伝送距離は100mが限界とされます。100m以上の長さで使用するときはハブを間に設ける必要があります。

ただし、LANケーブルは比較的安価で、加工も容易であるという特徴があります。LAN製作キットがあれば特殊な技能がなくとも配線長を変更できます。光ケーブルは、数km先まで伸ばすことができます。ただし、衝撃に弱い上に光ケーブル同士の接続には成端装置が必要であるというデメリットがあります。

これらを踏まえて、短い距離ではHDMI直結、100m以内であればLAN、100m以上であれば光ケーブルとするのが一般的です。また、配線経路に電磁波が発生する場合は、光ケーブルを使用することで影響を受けずに信号を伝送できます。

参考文献
https://nufs-nuas.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=436&item_no=1&page_id=13&block_id=17

ダイプレクサ

ダイプレクサとは

ダイプレクサ

ダイプレクサとは、通信機に用いられ、信号の混合と分離を行う装置です。

分波器とも呼ばれており、2つの信号を1つに混合したり、1つの信号を2つに分離したりすることができます。似たような装置にデュプレクサというものがありますが、この2つに明確な違いは無いです。

一般的に、FDD通信に用いられる場合はデュプレクサ、それ以外の場合はダイプレクサと呼ばれています。周波数が離れている信号を混合させたり分離させたりすることが可能で、比較的広い帯域の周波数に対応しています。

ダイプレクサの使用用途

ダイプレクサは通信機に用いられ、信号を混合させたり分離させたりするために使われます。例えば、テレビのアンテナです。地上波テレビ用の信号とBS用の信号を同じアンテナで送る場合、ダイプレクサを用いて1つに混合されます。

また、1つになって送られてきた信号を地上波テレビ用のアンテナとBS用のアンテナで受け取る場合も、分離させるために利用するのがダイプレクサです。その他、携帯電話や無線機など、数多くの通信機器に用いられています。

ダイプレクサの原理

ダイプレクサは、さまざまな通信機器に用いられている装置の1つです。ローパスフィルターやハイパスフィルター、バンドパスフィルターなどを用いて作られています。

コイルやコンデンサーを用いてこれらのフィルターを複数作ることによって、周波数に応じて信号を混合させたり分離させたりすることが可能になります。また、信号の通過部分のインピーダンスより素子部分のインピーダンスがはるかに大きくなるように、移相器が用いられることも多いです。

移相とは位相を移すことで、電気的もしくは機械的な手法で位相を変化させることを指します。移相器によってインピーダンスに大きな差が生まれ、互いに干渉せず影響の少ない構造が可能です。

近年では、SAWフィルタを使用したSAWダイプレクサが広まっています。他のダイプレクサに比べて小型化が可能になったので、普及が進んでいる状況です。

ダイプレクサの構造

ダイプレクサは、送信周波数を通過域とする送信フィルタの出力端子と、受信周波数を通過域とする受信フィルタの入力端子を移相器を介して接続した構造です。移相器との接続点はアンテナ端子、送信フィルタと受信フィルタの出力端子はそれぞれ送信端子と受信端子と呼ばれます。

2つの異なる周波数帯域のフィルタを1つのアンテナ端子で接続した構造です。3つのフィルタを共有することも可能で、その場合トリプレクサと呼ばれます。移相器を使用することで、通過域のインピーダンスに対して阻止域のインピーダンスが十分に高くなります。

そのため、接続時の相互影響を小さくすることが可能です。なお、フィルタ内でインピーダンス制御ができる場合は、移相器は搭載しません。

ダイプレクサのその他情報

1. フィルタの種類

フィルタの種類はLCフィルタ、空洞共振器フィルタ、誘電体フィルタなど、さまざまな種類が使用されます。

誘電体フィルタは誘電体同軸共振器を使用したフィルタであり、これを用いたダイプレクサを誘電体ダイプレクサと呼びます。

2. 誘電体共振器

誘電体ダイプレクサで使用する誘電体共振器は、同軸ケーブルのような形状で、一端で内部導体と外部導体が電気的に接続している構造です。

1/4波長の長さが誘電体共振器の長さと一致する周波数で共振する性質があり、共振周波数ではインピーダンスが∞のように振る舞います。上記の性質から誘電体共振器を伝送線路に対し、並列に接続することでBPF (Band-pass filter) のように動作します。

参考文献
https://www.murata.com/ja-jp/products/filter/lcdiplexer
https://www.de-pro.co.jp/2016/09/06/8874/
https://www.melinc.co.jp/snap_appnote_doc/SnapApp10.pdf

スラストニードルベアリング

スラストニードルベアリングとは

スラストニードルベアリング_図0

スラストニードルベアリング (英: Thrust Needle Roller Bearing) とは、アキシャル方向 (軸中心と平行方向) のスラスト荷重を受ける場合に使用する、ニードルローラー (針状ころ) とリテイナ (保持器) で構成されたベアリング (軸受) です。

スラストニードルベアリング_図1

図1. スラストニードルベアリングとスラスト荷重

スラストニードルベアリングは、スラストベアリングの中でも最もコンパクトな構造です。大きな摩擦を発生させずに回転し、高速回転にも対応しています。

なお、JIS B0104 転がり軸受用語 Rolling bearing-Vocabulary では、「スラスト針状ころ軸受 Needle roller thrust bearing」として、「転動体として針状ころを用いたスラスト軸受」と規定されています。

スラストニードルベアリングの使用用途

スラストニードルベアリング_図2

図2. スラストニードルベアリングの使用例

スラストニードルベアリングは、剛性が高くコンパクトで大きな負荷や高速回転にも対応しています。よって、さまざまな分野で使用されています。

自動車では、エンジンやデファレンシャルギアなど高いアキシャル荷重を支持する箇所や、オートマチックトランスミッションの軸受としての用途です。その他では、工作機械、ロボット、航空機、産業用機械等で使用されています。

図1は、ウォームギアによるウィンチでの使用例で、モーター出力軸に取り付けられたウォームには、ウォーム軸中心方向にスラスト荷重が働きます。そのため、モーター出力軸に負荷がかからないように、スラストニードルベアリングを組み込んでいます。

スラストニードルベアリングの原理

スラストニードルベアリング_図3

図3. シャフト案内とハウジング案内

スラストニードルベアリングは、転動体のニードルローラー (針状ころ) を円周状に配置し、リテイナ (保持器) でローラーの間隔を維持し、それぞれのローラーが回転します。ニードルローラーは、線接触で軸方向の荷重をそれぞれのローラーで分散して支持しているため、高負荷の荷重にも対応しています。また、接触面積が少なく、高速回転でも摩擦が小さいことが特徴です。

スラストニードルベアリングの取り付け方法は、下記2種類があります。

  • シャフト案内 (内径案内)
    シャフトとベアリング内側の隙間は大きく、ハウジングとベアリング外側の隙間は小さい
  • ハウジング案内 (外径案内)
    ハウジングとベアリング外側の隙間は大きく、シャフトとベアリング内側の隙間は小さい

主にシャフト案内で使用されることが多く、高速回転の場合はシャフト案内とする必要があります。

スラストニードルベアリングの種類

スラストニードルベアリング_図4

図4. ベアリングの種類体系

ローラーベアリング (転がり軸受) には、大きく分けてボールベアリング (玉軸受) とローラーベアリング(ころ軸受) 、またそれぞれにラジアルとスラストローラーベアリングがあります。スラストニードルベアリングは、スラストローラーベアリングの1種です。

また、ローラーの形状でニードルローラー (針状ころ) 、シリンドリカルローラー (円筒ころ) 、テーパードローラー (円すいころ) があります。スラストニードルベアリングには、分離形と非分離形があり、ニードルローラーおよびリテイナがスラストレースと分離できる構造か、一体形で分離できない構造化の違いです。

スラストニードルベアリング_図5

図5. スラストニードルベアリングの種類

分離形は、リテイナとニードルローラーをスラストレースで挟み込んで使用する場合と、スラストレースなしで使用する場合があります。スラストレースなしの場合、ニードルローラー接触面は研削加工などで表面粗さの仕上げ精度上げ、更に熱処理等で硬度を上げることが必要です。なお、スラストレースは、シャフト案内とハウジング案内があります。

参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/IKO_0076
https://www.ikont.co.jp/product/needle/tou15.html
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html

スプライン

スプラインとは

スプライン

スプラインとは、円筒形状の外径に歯車状の凹凸の溝をつけたスプライン軸と、穴部の内側にスプライン軸と組み合わせられる溝を設けたスリーブとを嵌合させることによって、2つの部品を一体化させる嵌合構造のことです。

スプラインは調芯性に優れており、大きなトルクを伝達する機構部に使用されます。また、トルクを伝達しながら軸方向の変位を吸収することも可能です。なお、スプラインより細かい歯車形状のセレーションという嵌合構造もあります。

セレーションはスプラインと比較して、細軸や薄肉に使用する場合が多いです。また、軸とスリーブを組み合わせたときの回転方向のガタ量を少なくし、軸方向を変位せずにトルク伝達する場合にも使用します。

スプラインの使用用途

スプラインは、自動車や工作機械などの変速機構部や、動力伝達部に使用されています。自動車分野の具体的な使用用途は、FR方式の車のプロペラシャフト部などです。

軸方向のすべり機能によって、サスペンションの変位に追従するように、軸方向長さを変位させながら動力を伝達しています。FF方式の車でも、トランスアクスルとドライブシャフトとの嵌合に用いられています。

スプラインの軸とスリーブは、お互いに固定して使用する場合と、軸方向に摺動させながら使用する場合があります。摺動させる場合は、スプライン部に潤滑用のグリースを塗布して使用するケースが多いです。

そのほか、グリースの注入口を設けて、定期的に給脂して使用する場合もあります。

スプラインの原理

スプラインは、円周方向に対して直交する歯面によってトルクを伝達します。歯車の場合は、異なる中心軸を持つ2つの部品同士が、お互いの歯面を押し合うことによってトルクを伝達します。

また、回転方向はお互いに逆方向になり、回転数も歯車の数によって変化するのが特徴です。それに対して、スプラインの場合は、同じ中心軸を持つ軸とスリーブ部品がスプラインの歯面を介してトルクを伝達することによって、同じ回転軸上で同じ方向に回転動作をさせることが可能です。

スプラインの種類

スプラインは、歯形形状の中で中心軸を合わせる場所と鋼球を使ってトルクを伝達する構造によって、3つの種類に分類できます。

1. 角形スプライン

角形スプラインは、左右の歯面が平行な歯形のスプラインです。2つの部品の中心合わせ (センタリング) はスプライン形状の小径部分で行います。ただし、角形スプラインは製造が難しいことから、現在ではあまり使用されていません。

2. インボリュートスプライン

インボリュートスプライン は、左右の歯面がインボリュート曲線によって形成されたスプラインです。2つの部品の中心合わせは、歯面で行われます。なお、インボリュート曲線とは、ある円に巻きつけられた糸が弛まないように張りながらほどいた時、糸の端点が描く軌跡です。

この形状は歯車の噛み合いにおいて、歯車の位置に誤差があっても動力伝達への影響が少ないことや製造面でも優れていることから、工業製品には広く取り入れられています。インボリュートスプラインは、トルク伝達時に自動調心される、製造がしやすい、歯元部分の強度が高い、高いトルクも伝達可能などのメリットも多く、広く用いられています。

3. ボールスプライン

ボールスプラインは、特に軸方向の摺動性が求められる場合に使われるスプライン形状です。組み合わさる軸とスリーブの側面に3本程度の半月円溝を設け、できた空間に多数の鋼球を配置します。トルク伝達をしながら、同時に軸方向の変位も滑らかに摺動させることができます。

スプラインのその他情報

スプライン設計の注意点

スプライン軸の軸端形状やスリーブの相手取付け部の形状は、取り付けられる機械装置の形状にあわせて設計します。伝達すべきトルクが作用しても、スプライン形状が破損しないように、強度を考慮して設計します。

また、使用環境によっては、スリーブのスプライン軸挿入部にダストシールなどの設計が必要です。ダストシールによって一定期間、充満されたグリースを保持し、外部より異物が入り込まないようにすることで、スプラインの摩耗を抑制したり、スプラインがトルクを伝達する際に発生する異音などの発生を抑制したりすることができます。

参考文献
https://gijyutsu-keisan.com/mech/engineer/element/spline/spline_1.php
https://www.thk.com/?q=jp/node/6713