ブロックマニホールドとは
ブロックマニホールド (英: manifold block) とは、金属のブロック内部に回路を形成した部品です。
この部品を使用することで、個々の装置をつなぎ合わせるよりも小型で軽量化が実現できるうえ、配管も少なくなるのが利点です。使用用途に応じて、様々な形状のブロックマニホールドが販売されています。
回路設計ソフトを使用すれば、使用者のニーズに特化したブロックを製作することも可能です。
ブロックマニホールドの使用用途
ブロックマニホールドは、その材質に応じて様々な場面で使用されます。具体的には、工作機械、半導体製造工程、薬液供給設備向け機器、薬ガス供給設備向け機器、N2パージ関連機器、酸素濃縮器、呼吸器/麻酔器などの用途です。
1. 材質が鉄の場合
ブロックマニホールドの材質が鉄の場合は、潤滑油や切削油に適用できるため、工作機械を使用する場合の油の分岐を目的として使用されます。
2. 材質がステンレスの場合
ステンレスの場合は、水にも使用されるため、ブロックの貫通穴の一部を圧力計と組み合わせることで、水圧測定に使用できます。水以外にも、油や空気にも使用できます。
3. 材質がアルミ合金の場合
アルミ合金の場合は、空気に多く適用され、エアノズルに使用するエアの分岐などに使用されます。主に建設機械・農業機械・車両関係です。
ブロックマニホールドの原理
ブロックマニホールドは鉄やステンレス、アルミ合金などの金属材質のブロックであり、その内部に回路状に穴が貫通して開けられています。本体の材質は、炭素鋼S25C・SS400、鋳鉄FC300,ステンレスSUS304、アルミ合金2000・5000・7000などです。
穴が回路となっているため、穴を通じて水や油、空気などの流体が流れていきます。穴の入り口にはねじが切ってあり、外部から配管と接続して使用されます。ブロックに穴構造が複数形成されているため、配管をコンパクトにまとめることが可能です。
汎用品として販売される代表的なブロックマニホールドとして、ブロックを直線状に穴が貫通したものや、T字、L字に穴が開けられたものが挙げられます。回路の設計次第では、穴を高密度に作成できるため、さらなる配管の集約化も期待できます。
ブロックマニホールドの特徴
1. 小形化が可能
コンパクトで大流量です。狭いスペースにも設置ができます。マニホールド化により、各機器を配管接続する場合に比べ、容積比で1/5~1/10程度に小形化が可能です。
2. パネルマウントが可能
給排気ポートの取り出し位置が選択できるため、配管の取り回しの自由度が向上します。パネルにマウントが可能です。
3. ノルマルオープン・クローズの切替が容易
ユニバーサル加圧方式により、ノルマルオープン・ノルマルクローズの切替が容易です。
4. フラットケーブルが使用可能
フラットケーブルが使用でき、コネクタの取出し方向は、上・横方向から選択可能です。
ブロックマニホールドの選び方
ブロックマニホールドの選定は、多くの要因を検討して行います。
1. 使用圧力・材質
使用する圧力が比較的低い場合は、アルミ製が適しています。ブロックマニホールドの取付けは、スチール製の場合、場所によっては重いので困難で、けがの発生も懸念されます。アルミ製の重さはスチールの1/3程度です。
2. 最大流量・ポート仕様
最大流量でも圧力損失が小さくてはなりません。ポートはOリングタイプのGねじ、シールワッシャータイプのGねじ、UNFねじなどがあります。シールテープタイプのテーパねじは、コンタミ問題の可能性があるので、あまり使われません。
3. バルブの種類
カートリッジバルブや積層バルブなどを使用すると、さらに軽量・コンパクト化が可能です。
ブロックマニホールドのその他情報
ブロックマニホールドの回路設計
回路設計には専用の設計支援ソフトがあり、CADを使用してオーダーメイド設計できます。これにより汎用品でなく、特殊形状であっても用途に応じて流路の作成が可能です。
流路の作成に精度が要求される場合は、専門の機械加工業者があるため、加工依頼する方法もあります。
参考文献
https://manifold.link/manifold/
https://www.tokyokeiki.jp/products/detail.html?pdid=71