ディスプレイエクステンダとは
ディスプレイエクステンダとは、通常のディスプレイケーブルでは届かない距離にあるディスプレイに映像信号を送るために使われる装置です。エクステンダー(Extender)は英語で「拡張する装置」という意味を持ちます。従ってディスプレイエクステンダーは、ディスプレイを拡張する装置のことです。
ディスプレイエクステンダはパソコンの近くにある映像信号送信用のエクステンダと、映像信号受信用のエクステンダ、およびその間を結ぶケーブルから構成されます。ディスプレイケーブルには、アナログ信号を送信する方式とデジタル信号を送信する方式があります。一般的に、デジタル信号方式の方が高画質な映像を出力できます。
ディスプレイエクステンダの使用用途
ディスプレイエクステンダは日常生活でも目にすることがあります。一例として、病院などにおいて同じ映像を離れた場所にあるディスプレイに表示させる目的での利用が挙げられます。
病院ではスペースの都合上、壁面に設置したディスプレイに映像を表示させることが多いため、大がかりな映像出力装置を置きづらい傾向にあります。ディスプレイエクステンダによって、配線とディスプレイのみのシンプルな構造にしています。
産業用途としては、サーバールームと監視室を繋ぐ際などに使用します。距離が離れている場合は、ディスプレイエクステンダを用いることがあります。またディスプレイエクステンダは、同じ映像を多数のディスプレイに表示させる目的にも利用可能です。
送信・受信用のディスプレイエクステンダを結ぶケーブルとしてLANケーブルが多用されます。LANケーブルはディスプレイケーブルよりも曲げやすいので柔軟な配線が可能です。
ディスプレイエクステンダの原理
ディスプレイエクステンダは、信号変換器の一種です。LANケーブルを用いる場合、送信側でHDMIやVGAと呼ばれる規格の電気信号をEthernetと呼ばれる規格の電気信号へ、ディスプレイエクステンダ内にある電子基板上で変換します。
受信側では逆の変換を電子基板上で行い、映像信号を出力します。光ケーブルを用いる場合は、フォトダイオードなどで電気信号と光信号を変換しています。原理はメディアコンバータと似ています。
ディスプレイエクステンダのその他情報
ディスプレイエクステンダに用いるケーブル
ディスプレイエクステンダにはLANケーブルの他にも、光ケーブルが使用される場合があります。配線距離を長く取れるため、受信器と送信器が遠い場合には光ケーブルを使用します。以前は、ディスプレイ用ケーブルにはVGAなどが使用されていました。現在は端子の規格が古くなり、使用されることは少ないです。
現在の一般的なディスプレイ用ケーブルはHDMIケーブルです。音声と映像を同時に伝送できますが、通常のHDMIケーブルは10m程度しか延長できません。LANケーブルの伝送距離は100mが限界とされます。100m以上の長さで使用するときはハブを間に設ける必要があります。
ただし、LANケーブルは比較的安価で、加工も容易であるという特徴があります。LAN製作キットがあれば特殊な技能がなくとも配線長を変更できます。光ケーブルは、数km先まで伸ばすことができます。ただし、衝撃に弱い上に光ケーブル同士の接続には成端装置が必要であるというデメリットがあります。
これらを踏まえて、短い距離ではHDMI直結、100m以内であればLAN、100m以上であれば光ケーブルとするのが一般的です。また、配線経路に電磁波が発生する場合は、光ケーブルを使用することで影響を受けずに信号を伝送できます。