スラストニードルベアリング

スラストニードルベアリングとは

スラストニードルベアリング_図0

スラストニードルベアリング (英: Thrust Needle Roller Bearing) とは、アキシャル方向 (軸中心と平行方向) のスラスト荷重を受ける場合に使用する、ニードルローラー (針状ころ) とリテイナ (保持器) で構成されたベアリング (軸受) です。

スラストニードルベアリング_図1

図1. スラストニードルベアリングとスラスト荷重

スラストニードルベアリングは、スラストベアリングの中でも最もコンパクトな構造です。大きな摩擦を発生させずに回転し、高速回転にも対応しています。

なお、JIS B0104 転がり軸受用語 Rolling bearing-Vocabulary では、「スラスト針状ころ軸受 Needle roller thrust bearing」として、「転動体として針状ころを用いたスラスト軸受」と規定されています。

スラストニードルベアリングの使用用途

スラストニードルベアリング_図2

図2. スラストニードルベアリングの使用例

スラストニードルベアリングは、剛性が高くコンパクトで大きな負荷や高速回転にも対応しています。よって、さまざまな分野で使用されています。

自動車では、エンジンやデファレンシャルギアなど高いアキシャル荷重を支持する箇所や、オートマチックトランスミッションの軸受としての用途です。その他では、工作機械、ロボット、航空機、産業用機械等で使用されています。

図1は、ウォームギアによるウィンチでの使用例で、モーター出力軸に取り付けられたウォームには、ウォーム軸中心方向にスラスト荷重が働きます。そのため、モーター出力軸に負荷がかからないように、スラストニードルベアリングを組み込んでいます。

スラストニードルベアリングの原理

スラストニードルベアリング_図3

図3. シャフト案内とハウジング案内

スラストニードルベアリングは、転動体のニードルローラー (針状ころ) を円周状に配置し、リテイナ (保持器) でローラーの間隔を維持し、それぞれのローラーが回転します。ニードルローラーは、線接触で軸方向の荷重をそれぞれのローラーで分散して支持しているため、高負荷の荷重にも対応しています。また、接触面積が少なく、高速回転でも摩擦が小さいことが特徴です。

スラストニードルベアリングの取り付け方法は、下記2種類があります。

  • シャフト案内 (内径案内)
    シャフトとベアリング内側の隙間は大きく、ハウジングとベアリング外側の隙間は小さい
  • ハウジング案内 (外径案内)
    ハウジングとベアリング外側の隙間は大きく、シャフトとベアリング内側の隙間は小さい

主にシャフト案内で使用されることが多く、高速回転の場合はシャフト案内とする必要があります。

スラストニードルベアリングの種類

スラストニードルベアリング_図4

図4. ベアリングの種類体系

ローラーベアリング (転がり軸受) には、大きく分けてボールベアリング (玉軸受) とローラーベアリング(ころ軸受) 、またそれぞれにラジアルとスラストローラーベアリングがあります。スラストニードルベアリングは、スラストローラーベアリングの1種です。

また、ローラーの形状でニードルローラー (針状ころ) 、シリンドリカルローラー (円筒ころ) 、テーパードローラー (円すいころ) があります。スラストニードルベアリングには、分離形と非分離形があり、ニードルローラーおよびリテイナがスラストレースと分離できる構造か、一体形で分離できない構造化の違いです。

スラストニードルベアリング_図5

図5. スラストニードルベアリングの種類

分離形は、リテイナとニードルローラーをスラストレースで挟み込んで使用する場合と、スラストレースなしで使用する場合があります。スラストレースなしの場合、ニードルローラー接触面は研削加工などで表面粗さの仕上げ精度上げ、更に熱処理等で硬度を上げることが必要です。なお、スラストレースは、シャフト案内とハウジング案内があります。

参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/IKO_0076
https://www.ikont.co.jp/product/needle/tou15.html
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html

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