ダイプレクサ

ダイプレクサとは

ダイプレクサ

ダイプレクサとは、通信機に用いられ、信号の混合と分離を行う装置です。

分波器とも呼ばれており、2つの信号を1つに混合したり、1つの信号を2つに分離したりすることができます。似たような装置にデュプレクサというものがありますが、この2つに明確な違いは無いです。

一般的に、FDD通信に用いられる場合はデュプレクサ、それ以外の場合はダイプレクサと呼ばれています。周波数が離れている信号を混合させたり分離させたりすることが可能で、比較的広い帯域の周波数に対応しています。

ダイプレクサの使用用途

ダイプレクサは通信機に用いられ、信号を混合させたり分離させたりするために使われます。例えば、テレビのアンテナです。地上波テレビ用の信号とBS用の信号を同じアンテナで送る場合、ダイプレクサを用いて1つに混合されます。

また、1つになって送られてきた信号を地上波テレビ用のアンテナとBS用のアンテナで受け取る場合も、分離させるために利用するのがダイプレクサです。その他、携帯電話や無線機など、数多くの通信機器に用いられています。

ダイプレクサの原理

ダイプレクサは、さまざまな通信機器に用いられている装置の1つです。ローパスフィルターやハイパスフィルター、バンドパスフィルターなどを用いて作られています。

コイルやコンデンサーを用いてこれらのフィルターを複数作ることによって、周波数に応じて信号を混合させたり分離させたりすることが可能になります。また、信号の通過部分のインピーダンスより素子部分のインピーダンスがはるかに大きくなるように、移相器が用いられることも多いです。

移相とは位相を移すことで、電気的もしくは機械的な手法で位相を変化させることを指します。移相器によってインピーダンスに大きな差が生まれ、互いに干渉せず影響の少ない構造が可能です。

近年では、SAWフィルタを使用したSAWダイプレクサが広まっています。他のダイプレクサに比べて小型化が可能になったので、普及が進んでいる状況です。

ダイプレクサの構造

ダイプレクサは、送信周波数を通過域とする送信フィルタの出力端子と、受信周波数を通過域とする受信フィルタの入力端子を移相器を介して接続した構造です。移相器との接続点はアンテナ端子、送信フィルタと受信フィルタの出力端子はそれぞれ送信端子と受信端子と呼ばれます。

2つの異なる周波数帯域のフィルタを1つのアンテナ端子で接続した構造です。3つのフィルタを共有することも可能で、その場合トリプレクサと呼ばれます。移相器を使用することで、通過域のインピーダンスに対して阻止域のインピーダンスが十分に高くなります。

そのため、接続時の相互影響を小さくすることが可能です。なお、フィルタ内でインピーダンス制御ができる場合は、移相器は搭載しません。

ダイプレクサのその他情報

1. フィルタの種類

フィルタの種類はLCフィルタ、空洞共振器フィルタ、誘電体フィルタなど、さまざまな種類が使用されます。

誘電体フィルタは誘電体同軸共振器を使用したフィルタであり、これを用いたダイプレクサを誘電体ダイプレクサと呼びます。

2. 誘電体共振器

誘電体ダイプレクサで使用する誘電体共振器は、同軸ケーブルのような形状で、一端で内部導体と外部導体が電気的に接続している構造です。

1/4波長の長さが誘電体共振器の長さと一致する周波数で共振する性質があり、共振周波数ではインピーダンスが∞のように振る舞います。上記の性質から誘電体共振器を伝送線路に対し、並列に接続することでBPF (Band-pass filter) のように動作します。

参考文献
https://www.murata.com/ja-jp/products/filter/lcdiplexer
https://www.de-pro.co.jp/2016/09/06/8874/
https://www.melinc.co.jp/snap_appnote_doc/SnapApp10.pdf

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