圧力調整器

圧力調整器とは

圧力調整器は、主に圧縮された気体や液体などの流体の圧力を調整するために用いられる器具です。

「プレッシャーレギュレーター」とも別称されます。

通常、耐圧容器内に充填されている気体や圧送される流体は、そのまま使用すると危険なほど高圧な状態であるため、適宜使用する用途に合わせて吐出圧力を抑える必要があります。加えて、充填量に伴う容器内の再昇圧・再充填の際には、耐圧容器内の圧力が許容値以上にならないよう、圧力調整器で容器内圧力を制御する必要があります。

圧力調整器の使用用途

実例を挙げると、酸素・アセチレン溶接で用いられる高圧ボンベの出口に取り付けられており、この場合二次側には、逆火時のフラッシュバック(炎がボンベ内部まで遡り爆発すること)を防ぐための「逆火防止弁」が共に装着されます。また、スキューバーダイビングで使用される酸素ボンベには、ダイバーに一定圧の酸素を供給するために使用されています。
また、定量ポンプは流体慣性やサイフォン現象を防止するため、背圧弁を用いて常に一定量・一定圧の流体圧送を行っています。

圧力調整器の特徴

大きく分けると「一次側(入口側)の圧力を調整するもの」と「二次側(出口側)の圧力を調整するもの」の2つがあり、前者は「背圧弁」や後者は「減圧弁」などと呼ばれています。

どちらも調整器内のスプリングレート(バネ応力)と流体の圧力を利用し、それぞれの釣り合い方で制御していますが「バネ張力(設定値)を超えると開く」のが前者「バネ張力(設定値)を超えると閉じる」のが後者というようになります。

また背圧弁と安全弁は作用がとても似ていますが、「容器・配管内の圧力保持」を目的とした背圧弁に比べ、安全弁は「既定値以下に下げ設備を保護する」を目的としているため、弁が作動したときの圧力変動が大きいという大きな特徴があります。

加えて、自立式減圧弁の場合は一次側の圧力が低下すると、二次側の吐出圧力が上がってしまうことがあります(1次変動分の1~2%程度)。これを防止するため、2段階に分けて減圧する二段階減圧弁というものがあります。例えば二次側変動率1.5%のものの場合、1.5%×1.5%で0.0225%まで変動率を下げることができます。

参考文献
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no001.html
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no003.html
http://www.techmation.co.jp/techinfo/pressure_regulator/no002.html

回転工具

回転工具とは

回転工具 (英: rotational tool) とは、切削工具自体に回転する機構を設けた工具のことです。

主に複合加工機などに使用され、ミーリング・ユニット、ミーリング・ホルダー、カッタードライブ等と呼ばれることもあります。回転工具は、切削工具に回転する機構を取り付け、複雑加工が可能になる工具です。

1台の工作機械で回転工具を使うことで、平面加工、穴開け、中ぐり、円筒削りなどの加工ができるため、高機能化と高精度化を実現します。複数の工作機械を使って、平面加工の工作機械、穴開けの工作機械、円筒削りの工作機械など各機械にセットする場合、作業効率が悪く、また取付けによる加工ずれなどが起こりやすいため避けた方が無難です。

回転工具の使用用途

回転工具は、主に複合工作機械用の工具として使用されます。ドリル・エンドミル・カッターなどにより、穴開け、平面加工、中ぐり、円筒削りなどを行います。

回転工具にはいくつか種類が存在し、それぞれ用途が異なります。

1. スローアウェイドリル

刃先が交換できるスローアウェイタイプで、粉末ハイスや微粒子超硬合金のチップを使用します。

2. スローアウェイエンドミル

チップは、亜鉛めっきしたZM3の他TM4などを使い、ハイスエンドミルと比較して、安定した長寿命が得られます。Dカットや溝掘り加工、傾斜加工、ヘリカル加工、角刃面取り加工などが可能です。

3. アルミ部品加工用高速カッタ

スローアウェイチップと刃先微調整機構を使用し、高精度な加工と良好な仕上げ面粗度が得られます。マシニングセンタにおけるアルミ合金などの非鉄金属のフライス加工に使われます。

回転工具の特徴

1. 切削加工機械

工具を取り換えながら金属を加工するタイプのデメリットは、作業段取りが悪いことです。それに対して、加工物を工作機械から工作機械へ移送するタイプのデメリットは、加工物を工作機械から工作機械へ移送し、取付け・取り外しすることで加工精度が悪くなり、作業段取りが悪いことが挙げられます。

2. 複合工作機械

複数の工具を回転ユニットに取り付けて加工するタイプのメリットは、複数の工具を取り付け、総合加工が可能なことです。また、及び加工物を工作機械から工作機械へ移送せずに1回の取付けだけで済むため、加工精度が良いこともメリットとして挙げられます。しかし、複合工作機械は高額なことがデメリットです。

加工部品は完成させるために、平面加工や穴開け、中ぐり加工、円筒加工などの工程が必要となります。

回転工具のその他情報

1. 回転工具の危険性

回転工具は、小型のハンディータイプの物であっても高トルクなので、使い方を間違えると裂傷や火傷はもちろん、最悪の場合には指や肢体を失う大事故につながる可能性があります。回転工具はドリル用やフライス盤用など多くの種類がありますが、基本的には「回転工具自体」と「被加工物」の2つの危険に分かれます。

回転工具自体の危険性
回転工具自体の危険として一番最初に挙げられるのは、回転部への巻き込みです。指の巻き込みはすぐに思いつきますが、手袋や衣服の巻き込まれにも注意が必要です。

回転工具の使用する際に、軍手の着用は基本的に禁止されています。また、首に懸けるネームストラップやネクタイなども非常に危険です。衣服の袖や裾も見落としがちなので、回転工具を使用する前には必ずチェックする必要があります。

その他、回転部への接触で起きる切創・裂傷などの怪我や火傷の可能性も高いです。回転工具は木材や金属などを切削するため、非常に硬く鋭いのが特徴です。また、長時間の接触による摩擦熱で工具や被切削物も熱くなっていることからも、火傷にも気をつけなければなりません。

また、作業には工具の破損や機械の誤作動、作業者の誤操作などで、巻き込みや怪我の危険性があります。回転工具を使用する前は点検を欠かさず、使用環境の5Sや周りのへ注意喚起などで対策することが大切です。

被加工物の危険性
被加工物にも危険性が潜んでいます。回転工具は高いトルクで回転しているため、被加工物の固定が弱いと飛ばされてしまい、作業者が怪我をしたり、設備を破損したりする可能性があります。

また、加工中に形成される切削屑も鋭利なため、安易に素手で触ったり、作業中に飛散したりすると怪我につながることがあるため注意が必要です。掃除をする際は必ず保護具を着用し、専用の用具を使用して収集し、保管・廃棄します。

2. 回転工具作業の資格

回転工具を使用して研削作業をする場合、資格が必要なものがあります。回転砥石で表面を仕上げるハンドグラインダー砥石交換作業では、「研削砥石の取り換え又は取り換え時の試運転の業務」に当たるため、安全衛生特別教育を受けた作業者しか対応できません。

違反すると罰金に処される場合があるので、作業する前に特別教育講習を受けて資格を取らなければなりません。

参考文献
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/parting-grooving/pages/face-grooving.aspx
http://kaitenkougu.com/kaitensyurui.html
http://ueda-tech.com/faq/1-toishi-tokubetsu-kyouiku

加熱装置

加熱装置とは加熱装置

加熱装置とは、可燃性ガスや電気を用いて、科学薬品や試料など様々な物体を加熱するために使用される装置のことです。

「ヒーター」とも呼ばれ、幅広い用途に対応できるよう多種多様な製品が市場に出回っています。例えば、工業用のヒーターは1,000℃以上まで加熱可能な高性能なものがありますが、一般家庭用には「IHヒーター」や「電熱ヒーター」など、安全で手軽に使用できる製品が主流です。

近年では、加熱装置の生産技術が向上し、電源の確保が容易になったり、安全性が重視されたりするため、電気を用いて加熱する装置が一般的に利用されるようになりました。加熱装置は、より効率的かつ環境に優しいものへと変化しており、今後もさらなる進歩が期待されています。

加熱装置の使用用途

加熱装置は、工業製品の研究開発用途では、「薬液ヒーター」が薬液中に浸して内部から加熱するために使用され、「恒温保管庫」用ヒーターは、飛散しやすい薬品や粉末状の物体を高温の状態で保管する際に役立ちます。さらに、リングギヤやベアリングインナーレースなどの焼き嵌め作業では、素材を油中で加熱するために「棒状ヒーター」や「電気コンロ」が活用されています。

また、非接触で金属が1,000℃を超える超高温まで自己加熱できる「高周波加熱装置」は、金属溶解炉として利用することが可能です。高周波加熱装置は、その高い加熱性能を活かして、金属加工や溶接などの工程でも使用されることがあります。

加熱装置の原理

加熱装置は、電気や可燃性ガスを熱源として、物体を温めるために用いられます。電気を利用する場合、電気抵抗によって発生するジュール熱を利用して加熱します。電流が抵抗を通過する際にエネルギーが熱エネルギーに変換され、物体が加熱されるのが基本原理です。

一方、可燃性ガスを利用する場合、ガス燃焼によって発生する熱を利用して加熱します。例えば、ガスコンロはプロパンガスや都市ガスを燃焼させ、その炎で鍋やフライパンを加熱する仕組みです。

また、非接触で加熱する方法として、高周波加熱装置があります。交流電流の周波数を高くすることで、磁界が急激に変化し、金属内部の電子が高速で移動することによって、熱を発生させます。加熱される金属は、1,000℃以上の超高温に達します。

加熱装置の原理を理解すると、性能や用途を最大限に活用可能です。例えば、電気ヒーターは熱効率が高く、温度調節も容易ですが、高周波加熱装置は非接触で高温に加熱できるため、金属加工や溶接などの用途に適しています。加熱装置の選択や使用方法を検討する際には、それぞれの原理と特性を理解し、最適なものを選ぶことが重要です。

加熱装置の特徴

前述の製品を例に出すと、「薬液ヒーター」は「棒状ヒーター」に耐食性・耐候性に優れるフッ素樹脂などをコーティングしたものであるため、薬液中に浸しても侵食されにくいという特徴があります。

また、水や油などの液体を加熱する用途で使用される「棒状ヒーター」は、容器の外からではなく液体を内側から直接加熱することができるため、昇温時間の短縮を図ることが可能です。

「高周波加熱装置」や「IHヒーター」は、電熱線や発熱体などに発生するジュール熱を利用したものとは異なり、電磁誘導により発生する「自己加熱現象 (ジュール熱) 」を利用しているため、物体全体をまんべんなく加熱することができる他、出力制御により低温から超高温まで容易に温度を変えられます。

金属溶解炉の場合、電磁力により炉内が撹拌されるなど、作業者の負担や作業環境の面で非常に使い勝手が良いという特徴があります。その他、シリコーンラバーを使用したものは自在に変形させることが可能です。ガラスの曇り止め等、透明導電膜を利用したものは視覚上の妨げにならないという点が特徴です。

加熱装置のその他情報

加熱装置と併用される工業製品

加熱装置と併用される主要な工業製品は金属製品、化学薬品、食品の3種類です。

1. 金属製品
金属製品の加工において、加熱装置は欠かせません。例えば、鋳造や鍛造の際には金属を高温に加熱し、形状を変更しやすくするために使用されます。また、焼入れや焼きなましといった熱処理も加熱装置を用いて行われることが多く、金属の強度や耐久性を向上させる役割を果たしています。

2. 化学薬品
加熱装置は、化学薬品の製造や研究開発にも使用されます。反応速度を上げたり、特定の温度での性質変化を調べたりするために試料や薬液を加熱する必要があります。加熱装置が正確な温度管理を実現し、安全な操作を提供するために重要です。

3. 食品
パンやケーキなどの焼成や調理済みの食品を温めるための加熱機器は、食品製造工程で重要な役割を果たしています。また、加熱装置は、食品の殺菌や酵素の不活性化を行う際にも用いられることがあります。

参考文献
https://sakaguchi-dennetsu.co.jp/lineup/heater/

切削油

切削油とは

切削油

切削油とは、旋盤加工フライス加工などの金属加工において、「金属同士の摩擦低減のための潤滑」「加工時に発生する熱の冷却」「切削粉の飛散の抑制及び洗浄」「さび止め」などの目的で使用されるものです。

切削油は、焼き付き防止、寸法精度向上、工具の寿命延長などに寄与します。上の写真のように刃物と加工物が接触する箇所に対して加工中に切削油を流し当てる形で使用します。

切削油の使用用途

切削油の使用用途は、金属材料の切削や研削、圧延・引き抜き・プレスなどの加工を行う際の、潤滑、冷却、洗浄、錆止めなどです。一般的に、工作機械の一部として搭載されているノズルから切削油が出てくる構造になっており、切削工具の先端に向けて切削油を当てる (流す) こと形で使用します。

加工後の部品には切削油が残った状態となるため、納品物として切削油の除去が必要な場合は、加工依頼時に明確な指示が必要です。一方で、切削油が残った状態で梱包し輸送することで、「錆などの発生を防ぐことができる」「長期間保管していても劣化しにくい」などのメリットを得ることができる場合もあるため、部品特性に応じて判断しなければなりません。

また、切削油は一般的に工作機械の一部として搭載されているノズルから出てくる構造のものが多いですが、中には工具自体に穴が開いており、ここから切削油が出てくるタイプのものも存在します。ノズルタイプの方がノズルの位置や向きを変えることで、切削油を当てる方向などの調整も可能なため、様々なサイズの加工物に対応できます。

工具自体に穴が開いているタイプの方が切削油を噴射する圧力が強く、切削粉を流し落としやすいなどの特長もあるため、加工対象によって最適な構造のものを使用することも重要です。

切削油の種類

切削油には大きく分けて2種類あり、潤滑油のまま使用する「不水溶性切削油」と水に潤滑油と添加剤を配合した「水溶性切削油」があります。水溶性切削油は加工時に10~50倍に薄めて使用されます。

1. 不水溶性切削油

不水溶性切削油

不水溶性切削油とは、鉱物油などの基油を主成分に極圧添加剤や摩擦低減剤などを添加されたもので、水溶性切削油と比較して潤滑性に優れています。不水溶性切削油はJIS規格により極圧添加剤の配合や動粘度、硫黄成分の配合の違いでN1からN4種の4種類に分類されます。

  • N1
    極圧添加剤を含まず、腐食が進行しやすいなどの非鉄金属や鋳物の加工に使います。
  • N2
    極圧添加剤が含まれていて、様々な種類の鋼材に適しています。
  • N3とN4
    極圧添加剤の他、硫黄分を含んでいて、加工が難しい金属の加工やシビアな加工面精度を求められるときに使用します。

2. 水溶性切削油

水溶性切削油

水溶性切削油とは、潤滑性を有する潤滑油基剤と水が主成分で、水への分散性や溶解性を付与するための界面活性剤や防錆剤などが添加されたもので、使用時は水で希釈されても用いられます。水を主成分とするため冷却性に優れています。JIS規格により3種類に分けることができます。

  • A1 (エマルジョンタイプ)
    水溶性切削油の中では潤滑性が良く、希釈すると白濁色になるのが特徴です。
  • A2 (ソリュブルタイプ)
    冷却性や浸透性が良く、希釈すると薄っすら濁ります。
  • A3 (ソリューションタイプ)
    冷却性と耐腐敗性、また他の油と分離しやすい。希釈しても見た目はほぼ変わりません。

不水溶性切削油のほうが潤滑性に優れていて、低速での精密加工に適しているのに対し、水溶性切削油は冷却性や切りくずの洗浄性が高く、高速での連続加工に適しているため、加工方法によって使い分けることが大切です。

切削油のその他情報

切削油用の添加剤

切削油用添加剤の種類

切削油用の添加剤として、潤滑油基材、極圧剤、乳化剤、分散剤、防錆剤などがあります。近年は作業環境改善、安全性向上、加工速度向上などのニーズから、水溶性切削油のニーズが増えています。

水溶性切削油は潤滑性能において劣っている以外にも、細菌の繁殖、錆の発生、泡立ちなどの問題が起こりやすい点がデメリットです。このため、表3の添加剤以外にも防腐剤や、抗菌性の高いカチオン系の分散剤などが使用されています。

参考文献
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/cut_oil/about/
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/cut_oil/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/machiningcenterkiso_0606/

冷却CCDカメラ

冷却CCDカメラとは

冷却CCDカメラとは、受光素子としてCCD (Charge Coupled Device) センサーを冷却する機能を備えたデジタルカメラのことです。

CCDは「電荷結合素子」とも呼ばれ、画像センサーの1種です。CCDは光エネルギーを電荷に変換し、それを画像データとして取り込むために使用されます。特に、写真撮影や映像制作、天文学などの分野で使用される場合が多いです。

CCDカメラは光を受ける面に多数の光センサー (ピクセル) を配置しており、各ピクセルは光の強さに応じた電荷を生成します。これらの電荷はアナログ信号として読み出され、デジタル信号に変換されます。CCDカメラは、画像の高い解像度、ダイナミックレンジ、低ノイズ性能を実現することが可能です。

また、暗所での撮影や弱い光源の検出にも優れています。しかし、CCDカメラは光に対して比較的敏感であり、長時間露光するとノイズが増加するという特性があります。

冷却CCDカメラの使用用途

冷却CCDカメラは、パソコンを接続して写真撮影 (受光素子を通してデジタル信号として画像を得る ) に使用されたり、冷却によるノイズ低減により天体撮影など長時間露光が必要な撮影に使用されたりすることがほとんどです。

その他、研究分野ではDNA解析や分光解析などにも応用されます。長時間露光によるシグナルの積算が必要な化学発光などの微弱な検出 (撮影) やCCDのマルチチャンネル検出器としての側面を生かし、電子顕微鏡光学顕微鏡に組み合わせて発光イメージング画像の撮影にも使用されています。

冷却CCDカメラの原理

冷却CCDカメラでは、ペルチェ素子を利用しCCDを冷却することで長時間露光を可能にしています。CCDカメラは、イメージセンサ (受光素子) で外部からの光を元に電荷を蓄積し、これをA/Dコンバータで電気信号に変換することでデジタル画像を得ています。

常温で使用すると、光を受容していなくても電流が流れてしまう現象 (暗電流) が起こり、これはノイズの大きな原因です。露出時間が数秒程度の通常撮影であれば問題になりませんが、長時間露光撮影の際はこの暗電流によるノイズが大きく影響を及ぼします。

撮影や冷却温度の管理は専用ソフトをインストールしたパソコンで行うため、冷却CCDカメラで撮影する際はパソコンとの接続が必須です。ノイズを低減できるためシャッターを開放し、長時間露光で撮影する天体撮影や微弱な発光を長時間露光でシグナルを積算することで、検出する化学発光検出の撮影などで重宝します。

冷却CCDカメラの選び方

1. 解像度

解像度は、画像の詳細さや精度を示す重要な要素です。選ぶべき解像度は、使用するアプリケーションや目的に応じて異なります。

高い解像度は、微小な対象物や詳細な構造の観察に適していますが、ファイルサイズや処理速度にも影響を与えるため、目的や用途に応じて調整する必要があります。

2. ピクセルサイズ

ピクセルサイズは、個々の画素の物理的な大きさを示します。ピクセルサイズが大きいほど感度が高くなりますが、解像度は低下するのが一般的です。適切なピクセルサイズは、観測対象の特性や撮影条件によって異なります。

3. ノイズレベル

ノイズは、画像の品質に直接影響を与える要素です。冷却CCDカメラは、センサーを冷却することでノイズを抑えることができますが、モデルやメーカー間でノイズレベルは異なります。ノイズレベルは、暗所での撮影や低光量条件下での観測に特に重要です。

4. 動作速度

動作速度は、画像の取得やデータ転送の速さを示します。高速な動作速度は、連続的な撮影や高速なイメージングアプリケーションに必要です。カメラのフレームレートやデータ転送速度を確認し、使用する目的に適した速度を選ぶことが重要です。

5. 冷却能力

冷却CCDカメラは、センサーを冷却するために冷却装置を備えています。冷却能力は、センサーの温度を一定に保つために重要です。冷却装置の効率性や冷却温度の範囲を確認し、使用する環境やアプリケーションに適した冷却能力を選びます。

6. インターフェースと互換性

冷却CCDカメラを使用するためには、カメラとコンピューターや制御装置などの間でデータのやり取りができるインターフェースが必要です。一般的なインターフェースには、USB、FireWire、Gigabit Ethernetなどがあります。使用するシステムとの互換性を確認し、適切なインターフェースを選ぶことが重要です。

冷却CCDカメラのその他情報

CMOSセンサーを使用したカメラ

近年では、CCDカメラに代わってCMOS (Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) センサーを使用したカメラも増えてきました。CMOSセンサーは、より低コストでエネルギー効率が高く、高速なデータ読み出しが可能です。

しかし、一部の専門的な用途を除いて、CCDカメラと比較すると画質や感度の面で劣ることがあります。

光アイソレータ

光アイソレータとは

光アイソレータとは、一方向の光のみを透過する素子です。

逆方向からの光は遮断することが可能であるため、LEDや光通信の分野で、戻り光が悪影響を及ばさないように使用されます。光ファイバーや偏光素子を組み合わせた光アイソレータは、信号の逆行を防着ます。

入力側から出力側への信号伝送はスムーズに行われる一方で、逆方向からの光信号は遮断することが可能です。これにより、通信システムにおいて信号の安定性とセキュリティを高める役割を果たします。

このような機能性を持つ光アイソレータは、通信、レーザー技術、工業装置、医療機器、宇宙航空分野など、高度な技術環境において欠かせない存在となっています。

光アイソレータの使用用途

光アイソレータは、光ファイバやLED、光のアンプにおける戻り光によるノイズの発生や入射した光との干渉によって、光通信やLEDの光が正しく出力されない原因を取り除くために使用されます。光ファイバの選定の際には、対応している波長、精度や大きさ、接続性、耐久性などを考慮することが必要です。

1. 通信分野

光アイソレータが多く活用されている分野として、通信分野が挙げられます。光ファイバーや光通信システムにおいて、信号の一方向伝送を確保するために光アイソレータが使用されます。

信号が送信側から受信側へスムーズに伝わる一方、逆方向からの不要な光信号が進入しないように遮断されます。これにより、通信の信号品質やセキュリティを向上させることが可能です。

2. レーザー技術

レーザー技術においても、光アイソレータは重要な素子です。レーザーダイオードやレーザー共振器などのレーザー装置において、逆方向からの光が入り込まないようにするために光アイソレータが利用されます。

これにより、レーザーの出力安定性や効率が向上し、装置の性能が向上します。

3. 宇宙分野

宇宙などの厳しい条件下でも、信号の安定した伝送と装置の保護が求められるため、機能性の高い光アイソレータが重宝されます。

光アイソレータの原理

光アイソレータには、ファラデー効果という原理が使用されています。ファラデー効果とは、物質中を進む光が外部の磁場によって偏光面が回転する現象です。

そのファラデー効果を使用して光を変更させ、偏光板や回折格子などを用いて、光を一方向のみ透過します。光アイソレータには、偏光板を用いた製品と、屈折格子を用いた製品に分類できるため、それぞれの種類によって動作原理が異なります。

1. 偏光板式

偏光板式は2枚の偏光板の間に、ファラデー効果を生じさせることができる回転子を取り付けた構造です。入力側から光が入射されると、特定の偏向面の光のみを透過します。

その透過した光を回転子によって回転させた光が出力側の光ファイバーに伝わる際に、再び偏光素子によって回転が補正されます。逆方向であった場合、入力側と出力側の偏光回転方向が異なるため、光は透過しません。

2. 屈折格子式

屈折格子式はその名の通り、2つの屈折格子の間に回転子が挟まった形状です。ファラデー効果によって屈折率を変化させて調整し、光ファイバに入射するように設定することで、一定方向のみの光を透過することができます。

光アイソレータの特徴

光アイソレータは、非常に高い絶縁性を持つことが特徴の1つです。光アイソレータ内部では光信号が光ファイバーを介して伝送されるため、電気的な絶縁が実現が可能です。これにより、高電圧や高電流の環境下でも信号の絶縁伝送が容易となり、電気的なノイズや干渉の影響を受けずに信号を伝送できます。

また、耐久性においても高い機能を備えています。光ファイバーや偏光素子など、その構成要素は光学的な原理を利用しているため、機械的な部品の摩耗や劣化が少なく、長期間にわたって安定した性能を維持します。これにより、装置のメンテナンスや交換の頻度を低減することが可能です。

さらに、光アイソレータはコンパクトで軽量なデザインを持つことも特徴です。その光学的な原理を活用した構造により、比較的小さなサイズで高機能な装置を実現できます。これは特に限られたスペースや複雑なシステム統合の環境下で、優れた利点となります。

傾斜計

傾斜計とは

傾斜計

傾斜計は、傾斜の角度を測定するための装置になります。

振り子によって位置を推定する振り子式と、流体とガスに満たされた容器内部にあるフロートの静電容量の変化量によって測定するフロート式があります。

傾斜計は、加速度の変化に対応していない製品が多いため、頻繁に振動が生じている環境での使用には適していません。加速度が発生する自動車などに搭載する場合には、ジャイロセンサーを使用して水平を担保する必要があります。

傾斜計の使用用途

傾斜計は、ビルや大型の施設、高所作業などが生じる建設現場などで使用されます。地盤の水平を測定することにより、建物の土台の寸法を決定する場合や、高所で作業するクレーン車などの土台を設置する際に、水平を担保することにより、転倒を防止するために使用されます。

傾斜計の選定の際には、傾斜を測定する方法や、精度、測定までの所与時間、温度などの使用環境、他の機器との接続性などを考慮する必要があります。

傾斜計の原理

傾斜計の測定原理を、振り子式とフロート式に分けて説明します。傾斜計には、水平を測定する部品のほかに、測定した値を出力するための接続端子や、表示部、制御盤などで構成されています。

  • 振り子式
    振り子式は、磁石が付いている振り子、磁力の変化を検知するための磁気センサ、微小な振動を抑制するためのオイルなどで構成されています。測定時は、振り子が重力によって地球の中心に向かって揺れており、その振動の中心位置と磁気センサの位置の距離によって変化する磁力の値によって、傾斜計の設置場所がどの程度の傾きかを測定します。
  • フロート式
    フロート式は、円形の容器内部にガスと液体が同体積で密閉されており、その中に電極として機能する2つのプレートがある構造となっています。測定時は、液面が傾斜角に応じて傾き、その傾きによって、プレートの静電容量が変化し、その変化量を測定することによって、傾斜角を測定します。非常に高温の場合では、液体が気化する可能性があり、正確な測定ができない可能性があるため、注意が必要です。 

参考文献
https://www.jcmanet.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/1fe60fa1769b5144036195f2b900813b-1.pdf
http://www.pacico.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/pacico_cat12p_201609_dic121.pdf

伝送器

伝送器とは

伝送器とは、センサなどで測定した情報を他の機械に伝送するための装置です。

主に伝送される物理量としては、圧力や差圧、圧力変動などの圧力に関する情報が一般的です。伝送の方法としては、空気圧を変化させることによって伝送する空気圧信号形式と、電気信号と伝送線を用いて伝送する電気信号形式、光ファイバーケーブルを使用した光信号形式があります。

伝送器の使用用途

伝送器は、プラントや浄水場、排水処理場などで使用されます。パイプやダクトなどに接続し、それらを流れる流体の圧力や液位、流量、温度などの情報を計測し、外部の装置に伝送します。

伝送器の選定の際には、測定範囲、測定精度、伝達方法などの考慮が必要です。一部の製品では、プロセッサが内部に搭載されており、測定した情報をもとにその他の装置の動作のスイッチや制御の役割を果たすものもあります。

伝送器の原理

伝送器は、圧力などを測定するためのセンサ部とセンサの情報を電気信号に変換する処理部、変換した電気信号を伝送するための伝送部で構成されています。

動作時は、ダイヤフラムやサーモパイル、振動子などのセンサによって、圧力や流量、温度などの情報を電気信号として、処理部に伝達します。

1. 処理部

処理部では、センサから送られてきた情報を伝送するための電気信号に変換します。処理部では、プロセッサが内蔵されている製品もあり、センサから得られた情報をもとに他の装置の制御信号も同時に生成し、伝送するための電気信号として、伝送部に送られます。

2. 伝送部

伝送部では、空気圧や電気信号、光信号などでその他の装置に伝送されます。空気圧を用いる伝送方式では、空気の圧力によって伝送されるため、ノイズが少ないことが特徴ですが、伝達時間が長くなります。

電気信号や光信号による伝送では、振動などが大きい場所などではノイズが発生する可能性がありますが、伝送速度が速いことが特徴です。

伝送器の種類

伝送器の種類は、伝達手法によって分けられます。

1. 電気信号形式

電気信号は電流や電圧で値を伝える信号です。伝送速度が速く、遅れがほとんど生じません。そのため、長距離伝送に向いています。

また、制御機器や記録計とやり取りする場合に、空気圧信号のように変換の必要性がありません。信号の種類も電圧信号やパルス信号など、さまざまです。

使用する機器によって信号の種類が違ったり、制御機器が対応していなかったりすることもあるため注意が必要です。

2. 空気圧信号形式

空気圧信号形式は圧縮空気の圧力で値を伝える信号形式です。電気信号とは異なり、着火源とならないため本質的な防爆である信号です。プラントの信号源として、今でも使用されています。

電子機器を使用している場合、機器から電磁ノイズが発生することもありますが、空気圧信号の場合そのようなノイズに強い点がメリットです。一方で、空気圧信号は長距離伝送に向いておらず、計装空気という乾燥した綺麗な空気の使用が必要であることがデメリットです。

3. 光信号形式

光の点滅を使って情報を伝える信号形式です。光信号形式を実現するためには、光を減衰すること無く伝える媒体と信号として発信するための光源が必要です。

半導体レーザー光源と光ファイバーを用いることで、光信号形式は実現しています。端末から電気信号として送出されるデジタルデータを光変換で半導体レーザーの光点滅に変換します。その後、光ファイバーを通して送出しています。

受けて側では、光信号を電気信号に変換することでデジタルデータを取得する形式です。光信号形式では信号を長距離かつ高速に伝送することが可能で、大型プラントの計装に適しています。

参考文献
https://www.yokogawa.co.jp/
https://www.jemima.or.jp/tech/1-01-02-02.html

ローラーポンプ

ローラーポンプとは

チューブポンプ

ローラーポンプとは、伸縮性があり復元力の高い特殊なチューブと、複数の突起が付いたローラーで構成されているポンプです。

このローラーが回転することで、突起がチューブを押し圧縮し、その圧力でチューブ内の流体を押し出して輸送します。チューブポンプホースポンプとも呼ばれるこのポンプは、流体の輸送をチューブ内の体積変化を利用して行うため、容積式ポンプに分類されます。特にスラリーなど、歯車式ポンプで輸送が困難な流体に対して効果的です。

ローラーポンプの使用用途

ローラーポンプは、その特性を生かして医療機器、化学製品工場、石油製品の輸送など様々な場面で使用されます。特に、スラリーのような不純物を多く含む流体や、衛生面が重要視される環境での使用に最適です。

ローラーポンプを選定する際には、輸送量、脈動の少なさ、消費電力、衛生面、そしてポンプが輸送する流体に適しているかどうかを考慮する必要があります。

ローラーポンプの使用例としては、人工透析での血液の輸送、石油製品をタンクへ輸送する場合、飲料水をペットボトルへ充填するプロセスなどが挙げられます。これらの用途では、ポンプが提供する穏やかな流れと精密な流量制御が特に求められるため、ローラーポンプが非常に有効です。

ローラーポンプの原理

ローラーポンプは、伸縮性があり復元力の高いチューブ、ローラー、ローラーを回転させるモータ、吸い込み口と吐き出し口で構成されています。ローラーにはチューブを完全に密閉して回転させる突起が付いており、一部のモデルには流量調整を行うための弁が吸い込み口と吐き出し口に設けられています。

動作時、ローラーが回転し、その突起がチューブを圧迫して移動します。この圧迫によりチューブ内の流体は押し出され、吐き出し口から輸送されます。チューブが突起によって押しつぶされた後、その部分は復元され、この時の内部は一時的な真空状態です。この真空状態が次の流体の吸い込みを促進します。突起がチューブを変形させながら流体を押し出すこの動作により、チューブ内に流体が詰まることが少なく、安定して流体を輸送することが可能です。

ローラーポンプの選び方

ローラーポンプは特に、医療、研究施設、食品加工、化学処理といった用途でその特性が生かされます。これらの分野では、流体の精度や純度が求められるため、それに適応するポンプを選ぶ必要があります。ローラーポンプを選ぶ際は、次の点を考慮します。

1. 流体の性質

輸送する流体の性質を考慮することが重要です。粘性が高い流体や、腐食性、高温または超低温の流体を扱う場合、それに耐えうる材質のチューブとポンプ本体が必要です。例えば、食品産業ではFDA承認された材料から作られたチューブが求められることがあります。

2. ポンプの性能

ポンプの性能面では、必要な流量と圧力を確認してください。ローラーポンプは一般的に低い圧力で動作しますが、必要な流量を維持できるかどうかが選定の鍵となります。また、ポンプの効率とエネルギー消費も考慮に入れるべきです。エネルギー効率の良いポンプは運用コストの節約にもつながります。

3. メンテナンスの容易さ

さらに、メンテナンスの容易さもポンプ選びの重要な要素です。特に、頻繁に清掃や部品交換が必要な用途では、簡単に分解・清掃できる構造のモデルが望ましいです。これにより、ポンプのダウンタイムを減らし、全体的な運用効率を向上させることができます。

4. コスト

全体的なコストも考慮に入れる必要があります。初期投資だけでなく、運用中のメンテナンスコスト、エネルギー消費、消耗品のコストも評価してください。長期的な視点でコスト効率の良い選択を行うことが、経済的にも持続可能な運用を保証します。

これらの要素を総合的に考慮し、具体的な用途と条件に最適なローラーポンプを選定することが、効果的な流体管理とコスト効率の良い運用を実現することができます。

参考文献
https://sanyo-technos.com/sp1/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsj1973/29/1/29_1_33/_pdf/-char/ja

レベル測定計

レベル測定計とは

レベル測定計とは、容器内や河川などの水位を測定や、粉体物が積層している高さを測定する機械のことです。

多くの測定原理が開発されており、様々な会社からレベル測定計が発売されています。水位や高さのレベルを測定し、そのレベルに応じて適切な機器を動作させるためのスイッチとしての機能を併せ持つ製品もあります。測定方法の代表的なものとしては、フロート式、電極式、圧力式、超音波式、レーザー式、静電容量式などがあります。

レベル測定計の使用用途

レベル測定計は、液体を保存するためのタンクを使用する産業や、河川などを管理する施設や浄水場など、産業から公共施設まで幅広く利用されます。選定の際は、測定の精度や検出速度、測定対象がその測定方法に適しているかどうか、使用環境への耐久性、取り付けやすさ、メンテナンス性を考慮する必要があります。

レベル測定計の使用例を以下に示します。

  • 貯水タンクの残量の測定
  • 化学工場における混合の度合いの測定
  • ダムの管理施設における水位の管理 

レベル測定計の原理

レベル測定計の代表的な測定原理は、フロート式、電極式、圧力式、超音波式、レーザー式、静電容量式です。

1. フロート式

マグネットが内蔵されているフロートと呼ばれる浮きを水面に設置し、その移動をマグネットから発生する磁力によって測定する方法です。

2. 電極式

数本の長さの違う電極棒を水面に垂直にたらし、液中と空気中の電極の通電率の違いからレベルがどの程度を大雑把に測定する方法になります。測定精度は、電極の本数によって決まります。

3. 圧力式

タンクの底に圧力計を設置し、液体による圧力の大きさを測定することによって、レベルを推定します。液体を入れる前に設置する必要があります。

4. 超音波式

液面に向けて超音波を照射し、その超音波が液面に反射して戻ってくる時間を測定することによってレベルを測定します。非接触で測定できる方法になります。

5. レーザー式

液面に向けてレーザーを照射し、そのレーザーが液面に反射したときの戻り光の位相の変化を測定することによってレベルを測定します。非接触で測定できる方法になります。

6. 静電容量式

空気中と液中に電極を設置し、レベルの違いによる液中と空気中の静電容量の違いを測定することによって、レベルを推定します。 

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/levelsensor/type/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/levelmeasurement.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0301.pdf