カップリングナット

カップリングナットとは

カップリングナット

カップリングナットとは、2つのボルト同士をつなぎ、高さをかさ上げするためのナットです。

カップリングナット形状は、一般的なナットと同様、多くは六角形状です。ただし、全長が長いので、製品全体としては六角柱の形状をしています。

カップリングナットの両端面にはめねじやおねじが設けられていますが、片側がめねじで、反対側はおねじのもの、両側ともにめねじのもの、両側がおねじのものなど、種類はさまざまです。カップリングナットは別名で「高ナット」「長ナット」「ジョイントナット」「つなぎナット」「六角支柱」などとも呼ばれます。

スペースを作ることから「スペーサ」と呼ばれることもあります。ただし、スペーサにはおねじやめねじもない単純な円柱状のパイプを指すこともあるので、注意が必要です。

カップリングナットの使用用途

カップリングナットが多く使われている実例として、コンピュータ内にあるマザーボードのコネクタ周辺が挙げられます。カップリングナットを使うことによって、隣のケースや基盤とぶつからないように空間を作ったり、基盤同士を複数枚重ねたりすることを可能にします。

柱で板を挟むことで、簡易的なケースを作ることも可能です。コネクタ側のねじを締めると、コネクタを固定できます。コンピュータのような電子機器以外では、建築関係や野外などに設置される用具の固定にもカップリングナットが使われます。

具体的な使用例は、スポーツ施設や遊具として設置されるトランポリンやキャンプ場のフレキシブルなねじロッドをつなぐ場合などです。街の中では、自動販売機などを設置する場合に、水平を出すための高さ調整をカップリングナットが担っています。

カップリングナットの原理

カップリングナットは、両端面にめねじやおねじがあることと、全長があることによって、その役割である2つのねじ部品を距離を確保して接続することができます。

ねじのらせん形状の斜面にはリード角と呼ばれる角度があるので、ねじを回すことによって位置を任意に調節することが可能です。ねじは一般的に右ねじといって、時計方向に回すと奥側へと進むねじです。

このねじの進みによって、微妙な位置でも調整し、固定することが可能になります。また、両端面に距離があることによって、2つの部品の間隔を保てるようになります。

カップリングナットのその他情報

1. ダブルナットによるねじの緩み止め方法

カップリングナットに限らず、ねじを使った位置調整を行った際に、ねじが振動などによって回転し緩み、位置がずれてしまうことを防ぐための手段として、ダブルナット法をいう方法があります。これは2つのナットをお互いに向き合う方向に締め付けることによって、回転緩みを防止する方法です。

ダブルナットを用いた位置調整においても、ダブルナットによる回転緩み防止を行うことができます。

2. カップリングナットの規格

カップリングナットに採用されているねじは、通常はメートルねじが採用されています。M○などの表記でねじの呼び径が表され、x1.5などの数字で、ねじピッチが示されています。

さらに、カップリングナットのねじの呼び径と六角形状の二面幅の大きさも、ISOやJISに準じたものもありますが、全てが規格通りの製品ではありません。用途・目的にあわせて選ぶことが大切です。

3. カップリングナットの材質

カップリングナットの材質は鉄鋼材料が多く、S45C、SWCH (冷間圧造用炭素鋼線) 、SS400などの合金鋼を使ったもの、SUS304やXM7などのステンレス合金鋼が使われています。表面処理も一般的なねじ部品や六角ナットと同様に、三価クロメートめっき、めっきでも黒染め処理したものなどがあります。

ステンレス鋼を選べば耐食性は高くなりますが、コストが高くなる点に注意が必要です。カップリングナットが使われる環境や目的に応じて、最適な材質を選択することをおすすめします。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000303193/
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/screw/screw_high_nut.html
https://jp.rs-online.com/web/p/connecting-nuts/2062274/
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element25.html

ウエス

ウエスとは

ウエス

ウエスとは、汚れを拭き取るために使用される布やタオルのことです。

一般的に清掃やメンテナンスの際に使用され、油や水などの汚れを吸収する能力に優れているのが特徴です。ウエスのほとんどは、古着など不要となった布製品で作られます。

古着等以外に、紙や不織布から作られたウエスもあります。生地の種類はさまざまで、使用用途・目的により適切なものを選択して使用します。

ウエスの使用用途

ウエスは清掃やメンテナンスにおいてさまざまな用途で使用されます。以下はウエスの使用用途一例です。

1. 清掃

家庭用や業務用の掃除や清掃作業で使用されます。床や家具の拭き掃除やトイレ清掃などの際に、雑巾代わりとして使われます。

また、工場や製造現場での清掃作業にも使用されます。機械装置は潤滑用に油を使用することが多いため、油汚れのふき取りを主に使用されます。機械部品や工具のクリーニングなどに使われるのが一般的です。

自動車の洗車やメンテナンス作業で使用されることもあります。柔らかい布製であれば塗装を傷つけないため、塗装面の拭き掃除やエンジンルームの清掃などに使われます。

2. 美容・医療

美容業界では、ネイルアートやヘアカラーなどの作業時に使用されます。ジェルネイルの拭き取りや、染毛剤の付着を防ぐための保護シートとして使われることもあります。

医療現場では、消毒や手術の際の清潔な作業環境を保つために、不織布ウエスやマイクロファイバーウエスが使用されます。

ウエスの原理

ウエスが汚れを拭き取る原理は、表面張力と吸着力です。ウエスの繊維表面には微小な隙間があり、これが汚れの粒子を捕らえることで吸着力を生み出します。また、ウエスに含まれる繊維は表面に張り付きやすく、汚れを効果的に拭き取ることが可能です。

さらに、水分が汚れの吸着力を高める効果もあります。水分が汚れと接触すると表面張力が働き、汚れがウエスの繊維に密着しやすくなります。このため、使用する際は、水分を含ませて使うことが多いです。

以上のように、ウエスは微細な隙間や表面張力、吸着力などによって汚れを拭き取ります。ただし、効果は汚れの種類や使用するウエスの素材によって異なるため、適切な種類を選び、正しい使い方をすることが重要です。

ウエスの種類

ウエスは材質に応じてさまざまな種類があります。以下はウエスの種類一例です。

1. メリヤス生地製

メリヤス生地の衣類 (Tシャツや肌着) などを再利用したウエスです。メリヤス生地は綿やポリエステルなどが素材のため、肌に触れたりすることが多いウエスに適しています。

細かいループ状の編み目が特徴で、この編み目が水分を吸収しやすいです。そのため、メリヤス生地ウエスは水拭きや洗車などの際に水分を効率的に吸収することができます。表面に傷が付きにくい柔らかい生地であるため、版画を拭く場合も適しています。

2. 紙製

主に木材繊維を原料としたパルプが原料です。紙製ウエスは、使い捨てができるため、使い終わった後に洗濯や清掃が必要ありません。手軽に使用することができます。

布ウエスに比べて毛羽立ちや発じん性が少なく、衛生面・安全性の面で優れています。繊維が細かいため、大量の油汚れも拭き取りやすいです。

素材の安価さや使い捨てできることから、コストが抑えられるという利点があります。また、洗濯や乾燥などの手間や時間も必要ないため、作業の効率化にもつながります。

3. 不織布製

不織布は合成繊維が原料です。化学的に結着させるなど、織り・編み以外の方法で作られます。不織布製ウエスは繊維を糸状に絡め合わせた構造のため、吸水性・吸油性に優れています。

糸状に絡め合わせた繊維が織り込まれた構造で作られており、繊維や粉じんが発生しにくい点が特徴です。そのため、クリーンルームや食品工場などの清潔な環境で使用されることが多いです。耐久性も高く、複数回の使用できます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0495.html
http://zokeifile.musabi.ac.jp/ウエス/

カッティングダクト

カッティングダクトとは

カッティングダクト

カッティングダクトとは、電線を内部に通して景観を良くし、感電を防止する部品のことです。

照明器具を取り付ける際や制御盤内などに使用します。配線が剥き出しとならないため景観が良くなり、感電も防止することができます。

照明器具を取り付ける給電設備としてレースウェイがあり、設置場所の幅によって使い分けます。幅5センチメートル以下の場合はレースウェイ、5センチメートル以上の場合はカッティングダクトの使用が推奨されます。

カッティングダクトの使用用途

カッティングダクトは制御盤内部や照明器具を取り付けに使用されます。一般家庭用以外に、商業用・産業用としても使用されます。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 家庭用照明用
  • ブティックや展示会の照明用
  • 制御盤の内部配線整線用
  • 商業施設の照明配線用
  • 工場内の配線の整線用

近年は、デザインを重視した商品も販売されていて、インテリアとしても広がっています。取り付けの工数も少なく済むため、工場内の2S目的でも使用されるケースも多いです。

カッティングダクトの原理

カッティングダクトは、主にPVCなどの絶縁樹脂が材料です。全長1~3m程度の長さで販売されており、カバーと本体に分かれます。

本体側面には等間隔で配線用の孔が開いており、ケーブルの出し入れが可能です。側面孔間の樹脂部分は手で変形できるので、配線の太さ・用途・位置によって調整が容易に行えます。

限られたスペースを有効に活用するため、直接ダクト上にDINレールを取り付けた製品も販売されており、配電盤の床面積を少なくすることが可能です。配線作業を容易にし、配電盤内の機器配置デザインの柔軟性を高めます。

配電盤内で使用しない垂直コーナー部分を活用するコーナー型は、配電盤自体の小型化が実現できます。柔軟性のある形状は標準的なものと比べ、配電盤内のコーナーへの取り付けが容易です。

カッティングダクトの種類

カッティングダクトは高さ・幅・長さを選定して購入する必要があります。高さについては、既製品では30~120mm程度までラインナップがあります。主に使用されるのは60mm~80mm付近です。高さが高いほど配線を多く導入できますが、設置スペースが必要になります。

幅は20mm~100mm程度で選定可能ですが、40mm~60mm幅が主流です。太い配線を内部に導入する場合は80~100mm幅を選定します。長さは1m~3m程度で販売されています。2m程度で購入されることが多いです。

カッティングダクトのその他情報

1. カッティングダクトの価格

カッティングダクトは比較的安価な部品です。小さいほど安価で大きいほど高価となる傾向にあります。1,000円~30,000円程度が一般的な価格帯です。

また、材質によっても価格は変化します。一般的には塩化ビニル樹脂製ですが、ポリプロピレン製など、特殊材料のカッティングダクトも販売されています。特殊材料のカッティングダクトは総じて高価です。

2. カッティングダクトの色

カッティングダクトは一般に塩化ビニル製であることから、無塗装であればねずみ色の製品がほとんどです。ただし、景観を乱さないことを目的に、白色・黒色や乳白色のカッティングダクトも販売されています。赤や黄色などの特殊色のカッティングダクトはあまり販売されていないため、どうしても必要であれば自分で塗装する必要があります。

参考文献
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/4298/
https://www.seiwa.co.jp/product/pp/cuttingduct.html
https://www.kowa-kasei.co.jp/examples

ウレタンロール

ウレタンロールとは

ウレタンロールとは、金属のロールやローラーの表面にウレタンをライニングさせ、焼き付けたものです。

防音性や吸音性、遮音性、耐油、耐薬品性、機械的強度、反発弾性、転がり抵抗、耐熱性、蓄熱性、耐摩耗性に優れています。用途によって、ウレタンのカラーや材質、硬度、長さなどを選び調整します。

椅子やソファ、マットレスのクッション材として使用されるなど用途が広く、加工が容易であることから一般家庭でも広く利用されています。また、一般家庭で洗浄も可能です。

ウレタンロールの使用用途

ウレタンロールの用途はとても幅広く、自動車内装部材から制振・吸音などデッドニングまで使用できます。医療現場でも利用されており、特に介護施設においては、ベッド・診察室などからリハビリフロアまでに適しています。

そのほか、梱包用資材としてさまざまなジャンル (果物、生鮮食品、精密機器など) の商品の梱包・輸送に使用可能です。スポーツ用マットとして、室内・グランド・プールなどほぼ全ジャンルの競技用品、ヨガマットなど家庭・スポーツジムでも使用されています。

ウレタンロールの性質

Fig1 典型的なロール構造

図1. 典型的なロール構造

素材であるポリウレタンは、ゴムのように柔らかくや耐摩耗性、弾性、耐油性に優れています。ゴムは大きく分類すると天然の樹液から作られる天然ゴムと分子の重合によって作られる合成ゴムの2種類です。その中でもポリウレタンは、数ある合成ゴムの種類のうち、JIS規格上Uグループという部類に属する素材です。

やわらかい感触のため、イスやマットレスのクッション材に適しています。加工の汎用性が高く、厚みも数ミリから数メートルの立方体までさまざまな形状に加工可能です。そのため、ジャンルの梱包材として広く対応できます。

また、カラーバリエーションが豊富にあります。防音性・吸音性・遮音性を兼ね備えた素材で、弾性も高く、緩衝材に適しています。伸縮性に優れ、伸びても破れにくいです。

材質を変えることで耐薬品性や耐溶剤性、耐低温、耐水、耐アルカリ、耐油、耐低高温、耐荷重、耐永久ひずみ、耐硫酸、耐溶剤、耐塩酸、耐熱、耐引裂などさまざまな特徴を選べます。また、ロール自体にも普通の形状やクラウンロールなどさまざまです。

ウレタンロールのその他情報

1. ウレタンロールの材質

FIg2 ゴム材質の特徴

図2.ゴム材質の特徴

同じウレタンという名称であっても、ウレタン材質は組成の種類や硬度によって、それぞれの性能が異なります。また、硬質品でも他のゴム材質と比較して弾性があり、衝撃吸収性を持っています。

特に機械的性質に優れているのが特徴です。引張強度や耐摩耗性などが高いという利点がある一方で、耐油性能や耐熱性、耐薬品性に劣るのが欠点です。ウレタンにも硬質ウレタンと軟質ウレタン、エーテル系、エステル系と種類があります。

1. 硬質ウレタンローラー (硬度50~95度程度) 
主に工業用ローラーで圧着用ローラー、搬送用ローラー、ガイドローラーなど強度が要求されるところに使用されます。ウレタンは水と結びついて、加水分解を引き起こす性質があります。

加水分解とは素材に雨や湿気で水分が加わると化学反応が起き、それまで塊だったものが崩れてしまうことです。加水分解は製造後から発生し2,3年で表面がべたべたになってしまいます。

硬度が増すと疎水性 (水と混ざりにくい性質) を帯びて、加水分解がし辛くなるため、ウレタンの中でも比較的この加水分解に耐性があります。さらに、同じ硬度であってもエステル系だと加水分解が起きやすく、エーテル系は起きにくいです。

2. 軟質ウレタンローラー  (硬度20~30度程度) 
軟質ウレタンローラーは、活版印刷機や版画などの分野で採用されます。一般的にはエステル系が用いられます。そのため、加水分解が発生しやすくなります。

3. エーテル系

Fig3 エーテル系とエステル系の特徴

図3. エーテル系とエステル系の特徴

エーテル系ポリオールとウレタン結合して、製造されます。ウレタンゴムの弱点でもある加水分解に比較的強いのがメリットです。軟質20~30度程度、硬質70~90度程度と硬質だけでなく、軟質材質もあります。ただし、機械的強度や耐摩耗性はエステル系よりもやや低めです。

4. エステル系
組成内にエステル結合を持っているウレタン材質です。エーテル系よりも、機械強度が高く、引張強度・引裂性、耐油性に優れています。前述の通り、エーテル系よりも加水分解を引き起こしやすいことがデメリットです。 

参考文献
https://i-maker.jp/blog/polyurethane-8450.html
http://ohtsu-chemical.co.jp/products/urethaneroll/
https://www.fujigomu.co.jp/simulation/material/urethan/u0016r.php

アスファルト乳剤

アスファルト乳剤とは

アスファルト乳剤

アスファルト乳剤とは、常温で施工することを可能とした材料です。

アスファルトは、通常は加熱して液状として施工しますが、アスファルト乳剤は常温で施工できます。

アスファルト乳剤の使用用途

1. 道路の舗装

アスファルト乳剤は、アスファルト舗装のプライムコートやタックコートとして用いられています。一般的なアスファルトによる舗装は、路床 (地面) の上に砕石などによって形成された路盤と加熱アスファルト混合物を路盤の上に敷設することによって形成された基層及び表層とからなる構造です。

このとき、アスファルト乳剤は、路盤の形成後に路盤の表面に散布され、その上に形成される基層と路盤の馴染みを良くするプライムコートを形成しています。なお、単に乳剤と称されることもあります。プライムコートとして使用される場合は、路盤表面に浸透して路盤表面を安定化させる効果もあります。

さらには、降雨による路盤の洗掘防止や表面水の浸透防止、路盤からの水分の毛管上昇の遮断にも効果的です。また、アスファルト乳剤は、基層の形成後に基層表面に散布されて、その上に形成される表層と基層との間の馴染みを良くするタックコートを形成する場合もあります。

そのほか、表層の形成後に散布されて舗装の表面処理に使用されることもあります。アスファルト乳剤は、舗装以外の構造物の防水加工にも好適です。

2. 緑化の促進

アスファルト乳剤は、緑化の促進にも使用されています。例えば、のり面に種子を蒔く場合、そのままでは雨などにより流れてしまいます。

しかし、種子と土、肥料および水などを混合したものをのり面に吹き付け、その上から乳剤を散布すると、雨などの浸食を防止して種子の保護が可能です。このため、アスファルト乳剤は、緑化促進にも好適です。

アスファルト乳剤の原理

アスファルト乳剤は、乳化剤を使用して水中にアスファルトの微粒子を分散させたものです。常温でも散布が可能な点が特徴として挙げられます。散布後に水とアスファルト微粒子が分離することでアスファルトの微粒子同士が集合し、粘着性を有する被膜を形成します。

なお、主な成分はストレートアスファルトと水と乳化剤であり、主成分であるストレートアスファルトは全体の50%~70%を占めています。ストレートアスファルトの次に多い成分が水で、その次が乳化剤です。

アスファルト乳剤の種類

アスファルト乳剤は、界面活性剤である乳化剤の種類により「カチオン系乳剤」と「アニオン系乳剤」および「ノニオン系乳剤」の3つに分類されています。乳化剤は他の成分に比べて含有量が少ないものの、その性質がアスファルト乳剤の性質に大きく影響します。

1. カチオン系乳剤

カチオン系乳剤の乳化剤は、カチオン系乳化剤です。散布後に水とアスファルト微粒子が分離しやすく、水の蒸発を待つことなく被膜が形成されます。

砕石の表面にすばやく被膜を形成できるため、アスファルト舗装に使用されているアスファルト乳剤のほとんどはカチオン系乳剤が占めています。

2. アニオン系乳剤

アニオン系乳剤は、アニオン系乳化剤を使用している乳剤です。水とアスファルト微粒子が分離しにくく、被膜の形成に時間がかかるという欠点があります。

しかし、乳剤としての安定性が高く、長期間の保存が可能です。スラリーシールや防水用アスファルト乳剤などとして使用されています。

3. ノニオン系乳剤

ノニオン系乳剤の乳化剤は、ノニオン系乳化剤です。ノニオン系乳剤は、電荷をもたず化学的安定性が高いのが特徴です。セメントなどのアルカリ性の物質とも容易に混合して使用することが可能で、路上路盤再生工法およびセメント乳剤モルタル用の乳剤などとして使用されています。

アスファルト乳剤のその他情報

アスファルト乳剤の利点

通常のアスファルトの場合、常温では流動性が低い特性を持ちます。そのため、道路の舗装などに使用する際は、数百度の高温で加熱する、あるいは有機溶媒を混ぜるなどの処理が必要です。このため、加熱時の異臭の発生などが課題となっています。

一方、アスファルト乳剤は、加熱を必要とせず常温で施工可能です。そのため、取り扱いが容易で異臭の発生もなく、二酸化炭素の排出量を削減できることから環境的にも貢献できると利用分野が拡大しています。

参考文献
http://www.askyo.jp/knowledge/index.html
http://www.jeaa.or.jp/new/nyuzai/index.html

CTスキャナ

CTスキャナとは

CTスキャナ

CTスキャナ (英: Computer tomography scanner) とは、コンピューター断層撮影装置のことです。

CTスキャナでは、被撮影物にX線を照射して透過率を収集し、その透過率に基づいて内部の構造を画像として取得し、表示および記録などを行います。CTスキャナは大きく分けて、人体や動物を撮影する医療用のCTスキャナと、非破壊検査や製品の出荷検査などに使用される産業用のCTスキャナの2種類です。

CTスキャナの使用用途

CTスキャナは、人体や動物を撮影する医療分野と、非破壊検査や製品の出荷検査などに使用される産業分野で使用されています。医療分野では、脳や肺などに異常が無いかを診断するために使用されます。

産業分野では、製品の内部構造を検出することによって、配線の内部寸法の測定や、鍛造製品の内部の様子の解明、誤差の測定、繊維の配列の検出などへの使用が一般的です。医療分野で使用する場合は、過剰に被爆しないようX線の出力を抑える必要がありますが、産業用に使用する場合は、X線の出力を上げても問題ないため、医療用に比べてより高精度な情報を入手することができます。

CTスキャナの原理

CTスキャナは、X線の照射装置、検出器、および検出したデータを画像に変換する画像処理装置で構成されています。CTスキャナの原理は、レントゲンの原理に近いものです。

物質ごとにX線の吸収率 (X線吸収係数) が異なることから、X線を被検査物に照射すると、物質に応じて異なる透過率で透過します。これを利用し、被検査物にX線を照射し、被検査物の部位ごとに異なる透過線量を検出します。そして、この検出データをもとに画像処理をして画像を作成するのが大まかな原理です。

レントゲンとCTスキャナの大きな違いは、レントゲンは被検査物に一方向からX線を照射しているのに対し、CTスキャナでは被検査物に様々な方向からX線を照射していることです。このため、レントゲンでは二次元のデータによる平面画像のみを作成しますが、CTスキャナでは三次元のデータを用い、被検査物を複数個所で輪切りにした状態の連続画像や、三次元に構成された画像や動画を作成できます。

CTスキャナのスキャンでは、コンプトン散乱と光電効果の2つの物理現象が使用されています。

1. コンプトン散乱

X線が電子に衝突し、X線の一部のエネルギーが電子に付与され、電子が原子の軌道から飛ばされ、X線のエネルギーが減少することで、X線のエネルギーが高い場合に発生します。

2. 光電効果

X線が電子に衝突し、X線のすべてのエネルギーが電子に吸収され、電子が原子の軌道から飛ばされ、X線が消滅することで、X線のエネルギーが低い場合に発生します。

【用途別】CTスキャナの違い

CTスキャナの用途は、大きく分けて医療用と産業用の2種類です。それぞれの違いを以下の観点から解説します。

1. X線の出力

医療用CTスキャナは過剰な被ばくを起こさないよう、X線の出力を抑えることが必要です。一方で、産業用CTスキャナは、被検査物が物体であるため、X線の出力を比較的高出力にすることが可能で、高精度な情報を入手できます。

2. 構成

医療用CTスキャナ
医療用CTスキャナは、写真などで見るようにドーナツ型のガントリー内にX線照射装置と検出器が相対する形で配されています。このガントリーの輪の中にベッド状の被検査物載置部分が配置された構造です。そして、このベッドの周りをガントリーが回転し、相対するX線照射装置と検出器が被検査物の周りを回って検査を行います。

産業用CTスキャナ
産業用CTスキャナは、X線照射装置と検出器は相対して固定されており、その間に被検査物載置部分が配された構造です。被検査載置部分を回動させることで被検査物自体を回動させて、検査を行います。

このため、対象とする被検査物のサイズにもよりますが、産業用CTスキャナにおいては小型化が可能です。なお、産業用CTスキャナにおいては、装置にX線漏洩キャビネットを備え、X線を装置内部に閉じ込めることができるので、このことからも小型化が可能になります。

 

医療用CTスキャナおよび産業用CTスキャナの両者において、X線の透過面に沿って被検査物の幅方向に検出器を1列に配したものと、検出器を被検査物の長さ方向に複数列配して面を構成したものがあります。複数列配したものは一度にその列分のデータを取得できるので、一列のみ配したものより早くデータの取得が可能です。

産業用CTスキャナでは効率が重視されるため、複数列配したものの方が好適と言えます。医療用CTスキャナにおいても早く検査が終われば患者の負担が減るので、使用されることが多いです。

CTスキャナのその他情報

1. CTスキャナとがんの関係性

CTスキャンというとがんを見つけるために使用するイメージがありますが、検査から診断、更には診療まで広く使用されます。一方で、CTスキャンを行うことでがんが発生するリスクもあり、CTスキャンを実施する際はリスクについて十分に理解することが必要です。

CTスキャンはがんの再発の監視、がんに対する治療法の判断、生体組織検査の方針や治療計画の作成、がんの大きさや病期に関する情報の取得、腫瘍の診断、異常ながん増殖の検出など、診断から治療まで幅広く役立っています。CTスキャナは医療において重要な機器ですが、X線を照射するためがんを引き起こす恐れがないとは言えません。

ただし、一回のCT検査によるがん発症のリスクは低いとされており、CT検査を受診することでもたらされるリスクよりCT検査を受診しないリスクの方がはるかに高いと言えます。

2. CTとMRIの違い

どちらも大きな機器の中に寝て測定する検査方法であり、得られる画像も一見するとよく似ています。CTとMRIの大きな違いは測定原理です。

CTスキャナでは、前述のように物質ごとのX線の透過率の差に基づいて画像を形成するのに対し、MRIは物質の磁気共鳴に基づいて画像を作成しています。CTスキャンでは、短い撮影時間と、断層像の取得が容易であることがメリットであり、頭部救急病変 (出血疑いなど) への適応が高く、骨を撮影できることもメリットです。

一方、デメリットとしては、放射線被曝や、病変と正常組織の濃度の差ではMRIに劣ることが挙げられます。MRIでは、放射線被曝が無くCTと比較して組織間での違いをはっきりと認識できることがメリットです。

また、任意の断層像を得ることが可能で、造影剤なしで血管の画像を取得できることもメリットとして挙げられます。一方のデメリットは、体内に機器を埋め込んでいる方は検査できないことです。

参考文献
http://www.image.med.osaka-u.ac.jp/member/yoshi/mei_lecture/image_medicine/handout2007/naitoCT2007-1.pdf
https://www.jmc-ct.jp/study/
https://white-rabbit.jp/ct-scan/
https://www.kuki-med.jp/ctmri/

CO2センサー

CO2センサーとは

CO2センサー

CO2センサーとは、CO2の濃度を測定するためのセンサーです。

一般的には特定の赤外線の波長を吸光するCO2の特性を利用した非分散型赤外線吸光法が用いられていますが、他に電解質とCO2を接触させてCO2をイオン化してCO2の濃度を測定する固体電解質法もあります。また、CO2が高分子に溶解し膨張することで変化する静電容量を測定してCO2の濃度を測定する静電容量法もあります。

CO2センサーの使用用途

CO2センサーは幅広く使用されています。CO2センサーの選定の際には、CO2濃度の検出精度、補正処理の正確性、接続性、サイズなどを考慮する必要があります。使用例は以下の通りです。

1. 工場における排ガス検査
2. 住宅設備における火災報知器
3. ビニールハウス農業におけるCO2量管理
4. 自動車の排ガス測定
5. 空調設備などの車内や室内のCO2濃度のモニタリング
6. 炭酸飲料の製造工場におけるCO2の濃度測定

CO2センサーの原理

CO2センサーの動作原理は測定方法によって異なります。代表例は非分散型赤外線吸光法、固体電解質法、静電容量法です。

1. 非分散型赤外線吸光法

非分散型赤外線吸光法によるCO2センサーは、光源、測定対象の気体の保持の容器、光学フィルタ、受光素子で構成されています。光源から赤外線を容器内に照射し、光学フィルタでCO2が吸光する特定の波長のみを透過させます。その光を受光素子で検出することによってCO2の濃度を測定するのが赤外線吸収法です。

2. 固体電解質法

個体電解質法は、電解質と炭酸塩の層、電極で構成されています。電解質とCO2は炭酸塩の層があることで炭酸イオンが移動し、その移動による起電力を測定することでCO2の濃度を測定する方法です。

3. 静電容量法

静電容量法は、通電性の高分子化合物と電極で構成されています。CO2が高分子化合物に溶解することで静電容量が変化します。その変化量を測定することによってCO2の濃度を測定する方法です。

CO2センサーのその他情報

1. CO2センサーを用いた新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス感染対策には適度な換気が重要であるとされています。一方で、例えば冬は乾燥したり外気が低いため、頻繁に換気を行うことができません。そこで、CO2センサーを換気タイミングの目安に用いる試みが実施中です。CO2濃度が一定の値を超えると換気を促す仕組みとなっており、いわゆる人の「密」を見える化できると期待されています。

また、会議中などに適切なタイミングで換気することにより、集中力欠如や眠気の防止という新たなメリットも期待されています。CO2センサーにより、CO2濃度が一定の値を超えると会議室のパソコンでアラートを出すなどの工夫が可能です。

2. スマホアプリとの連携で手軽に二酸化炭素濃度を測定できるCO2センサー

近年、新型コロナウイルス感染対策として換気が重要視されており、CO2センサーの需要が高まっています。そこで、そこで、スマホのアプリと連携させることで手軽に二酸化炭素濃度を測定できるCO2センサーが開発されています。CO2センサーはCO2以外にも、温度・湿度や気圧を測定できるものもあります。測定結果はWi-Fi接続することでスマホやクラウドで見ることが可能です。スマホアプリでは各種の測定値をリアルタイムで見ることができるほか、その変化をグラフで確認できます。また、設定値を超えた場合にはスマホに通知する機能を備えているため、こまめにアプリでチェックする必要もありません。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/69/3/69_198/_pdf
https://www.murata.com/ja-jp/products/sensor/co2/technicalinfo
http://senseair.jp/knowledge/sensor_technology/principle.html
https://aws.amazon.com/jp/iot/what-is-the-internet-of-things/
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/036/4036207/

CMOSカメラ

CMOSカメラとは

CMOSカメラ

CMOSカメラとは、CMOSイメージセンサーが搭載されたカメラのことです。

Complementary Metal Oxide Semiconductorの略で、CMOSイメージセンサーによりカメラのレンズから入射した光を電気信号に変換しデータ転送を行うことができます。当初は感度と画質という観点からCCDイメージセンサーが多く普及していましたが、現在ではCMOSイメージセンサの改良により出荷個数で逆転しました。CCDセンサーメーカーとして世界を引っ張っていたソニー社は2025年にCCDセンサーの生産を終了し、CMOSセンサーに注力すると発表しています。

CMOSカメラの使用用途

CMOSカメラは民生品から産業用途まで幅広く使用されています。現在ではWebカメラや携帯電話のカメラはほとんどがCMOSカメラとなっており、特徴はフレームレートとピクセル数の高さです。また省電力であることに加えノイズ性能や色再現率がさらに向上しているため、CCDカメラからCMOSカメラが取って代わりつつあります。

CCDイメージセンサーと比較して消費電力が少ないことからデジタル一眼レフカメラにも使用されています。企業によってはCMOSカメラを使用した民生用の小型HDビデオカメラなども開発中です。

CMOSカメラの原理

CMOSカメラとはCMOSイメージセンサーが搭載されたカメラです。CMOSイメージセンサーの原理はCCDイメージセンサーと同じ部分が多くあります。

CCDイメージセンサーは光を受けたフォトダイオードがその強弱に合わせて電荷を発生しますが、画像処理を行うにはあまりに電荷が微弱です。そこで画像処理回路までにアンプを設置することで信号を増幅します。その過程をバケツリレー方式で行うのがCCDの大きな特徴です。フォトダイオードとアンプを使い電荷を電気信号に変換する仕組みは同じですが、1つのフォトダイオードに対して1つのアンプがあるということがCMOSイメージセンサーの特徴です。

各素子からの電荷は予めアンプにより増幅された状態で画像処理部分へと伝達される為、ノイズによる影響を受けにくいという利点があります。また1つの半導体に仕組みを詰め込むという特徴から、大量生産する際に低価格にできるというのも利点の一つです。

CMOSカメラのその他情報

1. CMOSカメラとCCDカメラの違い

CMOSとCCDでは信号の読み出し方式や構造が大きく異なっています。
CCDはフォトダイオード上に読み出し信号線が位置する回路層とマイクロレンズアレイが配置された構造です。回路層が薄く、マイクロレンズアレイで集光された光が効率良くフォトダイオードに到達します。CMOSには回路層が厚くなりフォトダイオードに到達するまでの光路が長く感度が低いという欠点がありました。しかし2009年にSONYが裏面照射型CMOSを発表し、分厚い回路層はそのままで基板を裏返してシリコン基板層を削り、そちら側にマイクロレンズアレイを形成した構造を実現しました。これが現在CMOSで採用されている技術として一般化しつつある裏面照射型CMOSセンサです。

2. スマートフォン用CMOSカメラ

近年、スマートフォンの高画素化に伴ってCMOSセンサ業界も飛躍的な成長を遂げており、その画質は一眼レフカメラに接近しつつあります。光学ズームなどは一眼レフカメラが良好な性能を持ちますが、光学ズームのみで画像の良否が決まるわけではなく、総合的に見てスマホは一眼レフに肉薄しているというのが現状です。DXOmarkという海外サイトにsmatrphone vs Cameras:Closing the gap image qualityという記事があり、スマホと一眼カメラを多角的な視点から評価しています。

参考文献
https://www.jp.tdk.com
https://www.baslerweb.com
https://japanese.engadget.com/jp-2019-10-30-sony-cmos.html
https://www.dxomark.com/smartphones-vs-cameras-closing-the-gap-on-image-quality/

2流体ノズル

2流体ノズルとは

2流体ノズル

2流体ノズルとは、産業用途で使用される機器に組み込まれている特殊なノズルのことです。

これらのノズルは、2つの異なる流体を混合・噴射するために設計されています。産業機器に組み込まれる2流体ノズルそのものの原理は、ロケットエンジンにも見られますが、このような高推力応用とは異なり、一般的に工業プロセスや装置に適用されます。

2流体ノズルは、流体の供給量、圧力、流速などを適切に制御することで、必要なプロセスや処理を実現可能です。例えば、噴霧ノズルでは液体の噴射角や粒径、噴霧パターンの制御が重要となります。また、反応を伴うプロセスでは流体の混合割合や反応条件を正確に制御することも必要です。

2流体ノズルの使用用途

2流体ノズルの主な使用用途は以下の通りです。

1. 噴霧および塗布

液体と気体を混合して微細な霧状に噴霧することで、塗料やコーティング剤を均一に表面に塗布することができます。この技術は、塗装や防食コーティングなどで広く使用されます。

2. 冷却および加湿

2流体ノズルを使用して液体を微細な霧状に噴射することで、周囲の空気を冷却することができます。また、加湿器として使用することで、空気中の湿度を調整します。

3. 清浄および消毒

ノズルを通じて液体を噴霧することで、表面や空間を清潔に保ち、微生物や細菌の除去が可能です。これは、清掃や衛生管理に関連して使用されます。

4. 化学反応

2つの異なる液体をノズル内で混合して化学反応を促進することがあります。これは、特定の反応プロセスや合成のために利用されます。

5. 燃焼

燃料と酸化剤を混合して燃焼させるために2流体ノズルが使用される場合があります。これは、熱エネルギーを利用する産業プロセスやバーナーで見られる用途です。

6. 分離

ノズルを通じて2つの異なる相 (例: 気体と液体) を分離することがあります。この方法は、特定の成分の除去や分離を目的としています。

7. 農業

農業用散布器などで、液体やガスを適切に噴射するために2流体ノズルが利用されることがあります。

2流体ノズルの原理

2流体ノズルの原理は、2つの異なる流体を混合し、所望のプロセスを実現することです。一般的な2流体ノズルの原理は以下のとおりです。

1. 流体供給

2流体ノズルは、通常2つの異なる流体を別々の供給経路から取り込みます。それぞれの流体は独立してノズル内に供給されます。

2. 混合

ノズル内部で、2つの流体が混合されます。この混合は、ノズルの内部構造によって実現されます。流体の混合が行われる領域は、流体の速度や圧力などを制御することで調整可能です。

3. 噴射

ノズルから混合された流体が噴射されます。噴射される流体の速度や方向は、ノズルの形状と流体供給量によって決定されます。

4. 応用

噴射された混合流体は、所望のプロセスに応じて使用されます。例えば、噴霧ノズルでは液体が微小な粒子に噴霧され、塗布や冷却が行われます。化学反応の場合は、2つの液体が混合されて反応を促進します。

重要な要素は、2流体ノズルの設計と制御です。流体の供給量や圧力、流速、ノズルの形状などを適切に調整することで、混合の均一性や効率を向上させられます。また、2流体ノズルの材料も、噴射される流体の性質に対して耐性を持つものが選ばれます。

2流体ノズルの種類

一般的な2流体ノズルの種類は以下の通りです。

1. 噴霧ノズル (スプレーノズル)

液体と気体を混合して微細な霧状に噴霧するノズルです。塗布、冷却、加湿、消毒、芳香剤ディスペンサーなどで使用されます。

2. 混合ノズル

2つの異なる液体を混合して均一な混合物を得るためのノズルです。化学反応プロセスや合成反応に利用されます。

3. 分離ノズル

2つの異なる相 (例: 気体と液体) を分離するノズルで、特定の成分の除去や分離に使用されます。

4. ガスエジェクタ

高速のガスを噴射し、その周囲に低速の流体を引き込むことで混合させるノズルです。気体の吸引や混合などに利用されます。

5. インジェクタ

1つの流体を噴射し、それによって別の流体を吸引・混合するノズルです。農業用散布器などで利用されます。

6. ジェットエジェクタ

高速の流体をノズル内で噴射し、それによって低速の流体を吸引・混合するノズルです。エジェクターノズルとも呼ばれ、液体や気体の混合に使用されます。

7. シールドガスノズル

溶接や切断の際に、反応を防ぐためにガスを流すノズルです。特定のプロセスの際に反応性の高い環境を防ぐのに使用されます。

参考文献
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/download/file/catalog/909c.pdf

クロックバッファ

クロックバッファとは

クロックバッファは、あるプリント基板のシステム内でクロックが複数の論理回路に到達するまでの遅延差を極力小さくし、タイミングを合わせる (同期を取る) ために用いられるICです。

複数の論理回路を動作させる場合、回路間で同期を取る必要があります。このときにシステム全体を統制する信号が必要で、そのために使用される、ある周波数の周期的な信号がクロックです (音楽におけるメトロノームのようなもの) 。

クロックに連動して動作する回路群を同期回路と呼びます。クロックはシステム内で分岐して、多数の論理回路に伝搬します。しかし、このクロックが同期されていないと、論理回路の誤作動によってシステム全体が所望の動作をしなくなってしまうおそれがあるため、クロックバッファが必要です。

クロックバッファの使用用途

クロックバッファはパソコン、通信システム、産業用機器など幅広い分野で使用されます。

具体的な使用用途は以下の通りです。

  • デジタル論理回路 (CPUFPGAなど)
  • データコンバータ (アナログ⇔デジタル変換)
  • 高速インターフェース (USB、Serial-ATA、PCI-Expressなど)
  • 無線システムの周波数変換

一例として、パソコンの動作の核となるCPU(Central Processing Unit)を挙げると、クロック信号によって各回路 (制御装置、演算装置、レジスタ、記憶装置とのインターフェース、入出力装置とのインターフェース) の同期を取ることによって、動作を統制しています。

また、いずれの用途についても、複数の回路間の情報やデータのやり取りをより正確に同期させることが安定動作のために必要不可欠です。

クロックバッファの原理

クロックバッファは回路方式によって、「Non-PLL Buffer」と「PLL Buffer」に分類されます。

内部でPLL (phase-locked loop:位相同期ループ) を使用するかどうかが大きな違いです。PLLとは、入力される周期的な信号に対しフィードバック制御を加えることによって、別の発振器から位相が同期した信号を出力する回路を指しますそれぞれの特長は以下の通りです。

  • Non-PLL Buffer
    PLLを介さずに入力信号を分配するためジッタ劣化 (周期のブレ) が少ない。
  • PLL Buffer
    入力信号と出力信号の間の遅延が極めて小さい。

クロックバッファはクロック信号を複数出力できるので、クロック信号源とクロックバッファをそれぞれ1個ずつ用意すれば、同じ周波数のクロックで動作する複数の回路群で使用可能なクロックを生成させることができます。

そのため、部品コストの削減やプリント基板のレイアウトの容易化を実現できるのがメリットです。他にも、一部製品ではレベル変換可能、設定が容易であるという特長もあります。

クロックバッファの選び方

入力信号の要求仕様、出力クロックの周波数、信号数、電圧、ジッタ、スキュー、入出力間遅延、クロックバッファの電源電圧、パッケージ外寸、ピン数、消費電力、コストなど、デバイスのデータシートで確認したうえで、設計するシステムに最適なデバイスを選定します。

システム中の各回路群に分配されるクロックが100%同じタイミングでスイッチングするのが理想ですが、現実に実現できることはまずありません。しかし、回路の誤作動を未然に防ぐためにも特性の優れたデバイスを選定することが重要です。

クロックバッファのその他情報

クロックバッファの使い方と役割

 

システム内で安定的に使用できるクロックを生成するには、クロック信号源とそれを補完し複数の回路群に適切に分配するためのクロック製品が必要です。

1. クロック信号源
クロック信号源としては共振器や発振器が用いられます。共振器とは、固有の周波数をもった振り子のことです。

単独では動作せず、セラミック・水晶・SAWのカテゴリーに分けられます。発振器とは、振り子を振動させ始めて振動を持続させる回路 (発振回路) と、共振器をパッケージにした製品のことです。水晶・SAW・シリコン・MEMS発振器などがあります。

2. クロック製品
クロック信号源を補完するクロック製品の一つがクロックバッファです。発振器の出力信号をクロックバッファに入力します。その入力信号と同じ周波数のクロック信号を複数出力するのがクロックバッファの役割です。 

発振器を補完するクロック製品には他に、クロックジェネレータ (複数の周波数を生成可能)、ジッタクリーナ (ジッタ性能を改善)、RFシンセサイザ(高周波を出力)があり、仕様やコストなどシステムに求められる要件によって設計者が使い分ける必要があります。

参考文献
https://www.marubun.co.jp/service/technicalsquare/a7ijkd000000bojg.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep/13/4/13_4_259/_pdf/-char/ja