ウレタンロールとは
ウレタンロールとは、金属のロールやローラーの表面にウレタンをライニングさせ、焼き付けたものです。
防音性や吸音性、遮音性、耐油、耐薬品性、機械的強度、反発弾性、転がり抵抗、耐熱性、蓄熱性、耐摩耗性に優れています。用途によって、ウレタンのカラーや材質、硬度、長さなどを選び調整します。
椅子やソファ、マットレスのクッション材として使用されるなど用途が広く、加工が容易であることから一般家庭でも広く利用されています。また、一般家庭で洗浄も可能です。
ウレタンロールの使用用途
ウレタンロールの用途はとても幅広く、自動車内装部材から制振・吸音などデッドニングまで使用できます。医療現場でも利用されており、特に介護施設においては、ベッド・診察室などからリハビリフロアまでに適しています。
そのほか、梱包用資材としてさまざまなジャンル (果物、生鮮食品、精密機器など) の商品の梱包・輸送に使用可能です。スポーツ用マットとして、室内・グランド・プールなどほぼ全ジャンルの競技用品、ヨガマットなど家庭・スポーツジムでも使用されています。
ウレタンロールの性質
図1. 典型的なロール構造
素材であるポリウレタンは、ゴムのように柔らかくや耐摩耗性、弾性、耐油性に優れています。ゴムは大きく分類すると天然の樹液から作られる天然ゴムと分子の重合によって作られる合成ゴムの2種類です。その中でもポリウレタンは、数ある合成ゴムの種類のうち、JIS規格上Uグループという部類に属する素材です。
やわらかい感触のため、イスやマットレスのクッション材に適しています。加工の汎用性が高く、厚みも数ミリから数メートルの立方体までさまざまな形状に加工可能です。そのため、ジャンルの梱包材として広く対応できます。
また、カラーバリエーションが豊富にあります。防音性・吸音性・遮音性を兼ね備えた素材で、弾性も高く、緩衝材に適しています。伸縮性に優れ、伸びても破れにくいです。
材質を変えることで耐薬品性や耐溶剤性、耐低温、耐水、耐アルカリ、耐油、耐低高温、耐荷重、耐永久ひずみ、耐硫酸、耐溶剤、耐塩酸、耐熱、耐引裂などさまざまな特徴を選べます。また、ロール自体にも普通の形状やクラウンロールなどさまざまです。
ウレタンロールのその他情報
1. ウレタンロールの材質
図2.ゴム材質の特徴
同じウレタンという名称であっても、ウレタン材質は組成の種類や硬度によって、それぞれの性能が異なります。また、硬質品でも他のゴム材質と比較して弾性があり、衝撃吸収性を持っています。
特に機械的性質に優れているのが特徴です。引張強度や耐摩耗性などが高いという利点がある一方で、耐油性能や耐熱性、耐薬品性に劣るのが欠点です。ウレタンにも硬質ウレタンと軟質ウレタン、エーテル系、エステル系と種類があります。
1. 硬質ウレタンローラー (硬度50~95度程度)
主に工業用ローラーで圧着用ローラー、搬送用ローラー、ガイドローラーなど強度が要求されるところに使用されます。ウレタンは水と結びついて、加水分解を引き起こす性質があります。
加水分解とは素材に雨や湿気で水分が加わると化学反応が起き、それまで塊だったものが崩れてしまうことです。加水分解は製造後から発生し2,3年で表面がべたべたになってしまいます。
硬度が増すと疎水性 (水と混ざりにくい性質) を帯びて、加水分解がし辛くなるため、ウレタンの中でも比較的この加水分解に耐性があります。さらに、同じ硬度であってもエステル系だと加水分解が起きやすく、エーテル系は起きにくいです。
2. 軟質ウレタンローラー (硬度20~30度程度)
軟質ウレタンローラーは、活版印刷機や版画などの分野で採用されます。一般的にはエステル系が用いられます。そのため、加水分解が発生しやすくなります。
3. エーテル系
図3. エーテル系とエステル系の特徴
エーテル系ポリオールとウレタン結合して、製造されます。ウレタンゴムの弱点でもある加水分解に比較的強いのがメリットです。軟質20~30度程度、硬質70~90度程度と硬質だけでなく、軟質材質もあります。ただし、機械的強度や耐摩耗性はエステル系よりもやや低めです。
4. エステル系
組成内にエステル結合を持っているウレタン材質です。エーテル系よりも、機械強度が高く、引張強度・引裂性、耐油性に優れています。前述の通り、エーテル系よりも加水分解を引き起こしやすいことがデメリットです。
参考文献
https://i-maker.jp/blog/polyurethane-8450.html
http://ohtsu-chemical.co.jp/products/urethaneroll/
https://www.fujigomu.co.jp/simulation/material/urethan/u0016r.php