カップリングナットとは
カップリングナットとは、2つのボルト同士をつなぎ、高さをかさ上げするためのナットです。
カップリングナット形状は、一般的なナットと同様、多くは六角形状です。ただし、全長が長いので、製品全体としては六角柱の形状をしています。
カップリングナットの両端面にはめねじやおねじが設けられていますが、片側がめねじで、反対側はおねじのもの、両側ともにめねじのもの、両側がおねじのものなど、種類はさまざまです。カップリングナットは別名で「高ナット」「長ナット」「ジョイントナット」「つなぎナット」「六角支柱」などとも呼ばれます。
スペースを作ることから「スペーサ」と呼ばれることもあります。ただし、スペーサにはおねじやめねじもない単純な円柱状のパイプを指すこともあるので、注意が必要です。
カップリングナットの使用用途
カップリングナットが多く使われている実例として、コンピュータ内にあるマザーボードのコネクタ周辺が挙げられます。カップリングナットを使うことによって、隣のケースや基盤とぶつからないように空間を作ったり、基盤同士を複数枚重ねたりすることを可能にします。
柱で板を挟むことで、簡易的なケースを作ることも可能です。コネクタ側のねじを締めると、コネクタを固定できます。コンピュータのような電子機器以外では、建築関係や野外などに設置される用具の固定にもカップリングナットが使われます。
具体的な使用例は、スポーツ施設や遊具として設置されるトランポリンやキャンプ場のフレキシブルなねじロッドをつなぐ場合などです。街の中では、自動販売機などを設置する場合に、水平を出すための高さ調整をカップリングナットが担っています。
カップリングナットの原理
カップリングナットは、両端面にめねじやおねじがあることと、全長があることによって、その役割である2つのねじ部品を距離を確保して接続することができます。
ねじのらせん形状の斜面にはリード角と呼ばれる角度があるので、ねじを回すことによって位置を任意に調節することが可能です。ねじは一般的に右ねじといって、時計方向に回すと奥側へと進むねじです。
このねじの進みによって、微妙な位置でも調整し、固定することが可能になります。また、両端面に距離があることによって、2つの部品の間隔を保てるようになります。
カップリングナットのその他情報
1. ダブルナットによるねじの緩み止め方法
カップリングナットに限らず、ねじを使った位置調整を行った際に、ねじが振動などによって回転し緩み、位置がずれてしまうことを防ぐための手段として、ダブルナット法をいう方法があります。これは2つのナットをお互いに向き合う方向に締め付けることによって、回転緩みを防止する方法です。
ダブルナットを用いた位置調整においても、ダブルナットによる回転緩み防止を行うことができます。
2. カップリングナットの規格
カップリングナットに採用されているねじは、通常はメートルねじが採用されています。M○などの表記でねじの呼び径が表され、x1.5などの数字で、ねじピッチが示されています。
さらに、カップリングナットのねじの呼び径と六角形状の二面幅の大きさも、ISOやJISに準じたものもありますが、全てが規格通りの製品ではありません。用途・目的にあわせて選ぶことが大切です。
3. カップリングナットの材質
カップリングナットの材質は鉄鋼材料が多く、S45C、SWCH (冷間圧造用炭素鋼線) 、SS400などの合金鋼を使ったもの、SUS304やXM7などのステンレス合金鋼が使われています。表面処理も一般的なねじ部品や六角ナットと同様に、三価クロメートめっき、めっきでも黒染め処理したものなどがあります。
ステンレス鋼を選べば耐食性は高くなりますが、コストが高くなる点に注意が必要です。カップリングナットが使われる環境や目的に応じて、最適な材質を選択することをおすすめします。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000303193/
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/screw/screw_high_nut.html
https://jp.rs-online.com/web/p/connecting-nuts/2062274/
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element25.html