オールアンカー

オールアンカーとは

オールアンカー

オールアンカーとは、サンコーテクノ株式会社から販売されているあと施工アンカーの商品名です。コンクリートの母材に物を取り付けるために用いられます。

アンカーには「先付けアンカー」と「後付けアンカー」の2種類があります。先付けアンカーはコンクリート打設する前に所定の位置へアンカーをあらかじめ設置しておきますが、後付けアンカーはコンクリート打設を先に済ませて硬化した後に所定の位置に穿孔をしてそこへアンカーを設置します。オールアンカーは後付けアンカーに分類されます。後付けアンカーは一般的にあと施工アンカーと呼ばれています。

オールアンカーの使用用途

オールアンカーは主に建築や土木の分野で幅広く使用されています。普段の生活で目にすることができるものとして、物置の転倒防止を目的としてコンクリート土間などに固定するのに使われていたり、自動販売機を地面に固定したりといったところで使用されています。

既存のコンクリート土間やブロック塀へ何かを固定する際には、木材などと違い加工が容易ではないことや、そのままボルトとナットを用いることができません。そこで使用されるのがオールアンカーです。母材に穿孔することができれば、容易に物を固定することができるといったところが重宝されています。

オールアンカーの原理

オールアンカーには芯棒打込み式、本体打込み式がありますが、どちらも頭部の段部や本体頂部をハンマーで打込むだけで施工できます。他の製品には施工の為に打込みパンチなどと呼ばれる打込みの為に用いる専用の打込み棒が必要なものもありますので、それらと比較するとオールアンカーは施工性に優れています。

穿孔しオールアンカーを穴に差し込み、芯棒または本体をハンマーで打ち込むことにより、コンクリート内部でオールアンカーの外周が膨らむことにより太さが増します。それによりオールアンカーとコンクリートとの隙間が無くなり固定される仕組みです。オールアンカーのコンクリートより出ている本体部分は雄ネジになっているので、そこへナットを使用して物を固定することができます。

またあと施工アンカーなので、固定したい物を所定の場所に据え付けてから穿孔して施工できるので、「あらかじめ穿孔しておいたが、いざ機材を据え付けてみたら位置が合わない」などといった
穿孔位置のズレによるトラブルを防ぐことができます。

参考文献
https://www.anchor-jcaa.or.jp/anchor/foundation.html

イオン発生装置

イオン発生装置とは

イオン発生装置とは、その名の通り、マイナスイオンを生成する装置です。

空気に電気的な力や物理的な力を加える、もしくは放射線により空気中にマイナスイオンを発生させています。

イオン発生装置の使用用途

イオン発生装置は、マイナスイオンを生成する装置であり、マイナスイオンには空気清浄効果や消臭効果などがあるため、家庭から公共施設、病院、工場まで幅広く使用されています。イオン発生装置による具体的な空気清浄方法及び消臭方法は、カビなどの有害な微生物を殺菌する、発生させた静電気によって静電気を帯びている塵を収集するなどの方法です。

さらに、イオン発生装置は、正と負のイオンを静電気が発生している部分に当てて静電気を除去し、静電気による埃の持ち込みなども防止します。選定する際は、イオンの発生量や正と負のイオンの比率や精度、使用する電力、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

イオン発生装置の原理

イオン発生装置のイオンを発生させる方法は、大きく「コロナ放電式」「電子放射式」「レナード効果式」「放射性物質利用式」の4つがあります。

1. コロナ放電式イオン発生装置

コロナ放電式イオン発生装置のイオン生成方法は、コロナ放電を利用して空気中の酸素分子や水分子のイオンを生成する仕組みです。具体的には、負の極性をもつ針状の電極と平板間に高電圧をかけます。

すると、電極から平板に向けて電子が放出され、この電子が電極の周りのガス分子と衝突して、コロナ放電が起こります。コロナ放電が起きると、電極と平板間に残存している電子が空気中の酸素分子や水分子と衝突してイオンを生成する仕組みです。

2. 電子放射式イオン発生装置

電子放射式イオン発生装置のイオン生成方法は、空気中に直接電子を放出して空気中の酸素分子や水分子のイオンを生成する仕組みです。具体的には、負の極性を持つ針状の電極に高電圧をパルス状に印加します。

すると、電極から電子が放出され、この電子と空気中の酸素分子や水分子が結合してイオンが生成されます。

3. レナード効果式イオン発生装置

レナード効果式イオン発生装置のイオン生成方法は、大量の水を噴出させて衝突させイオン化させる仕組みです。滝の周りにマイナスイオンができる現象と同様の理論です。水を衝突させるため、水破砕式とも呼ばれています。

4. 放射性物質利用式イオン発生装置

放射性物質利用式イオン発生装置は、放射性物質から放出される放射線のエネルギーにより空気中の酸素分子などをイオン化させる仕組みです。放射性物質としては、セラミックスや天然鉱物が使用されています。

イオン発生装置のその他情報

通常の空気清浄機とイオン発生装置の違い

衛生意識の高まりとともに最近注目されているイオン発生装置は、家庭や事務所、ホテル、公共施設など多くの場所で設置されるようになりました。空気清浄機として使用されるイオン発生装置ですが、通常の空気清浄機とは大きな違いがあります。

通常の空気清浄機は、集じんフィルターや脱臭フィルターを装着し、空気中の汚れを取り込んで空気清浄をしています。これに対し、イオン発生装置は、イオンを放出して、空気の汚れや臭いの元となる空気中に浮遊しているカビ菌やウイルスの作用および増殖を抑えて空気をきれいにする仕組みです。

また、イオン発生機から放出されたイオンは壁や衣服表面などにも到達可能です。このため、壁などに付着したカビ菌やウイルスや、洋服およびソファーなどに付着したタバコ臭物質などにも行き届き、これらの分解および除去ができます。

これに対し、通常の空気清浄機では室内の空気を吸い込んで処理するため、上記のような壁や衣類に付着した物質を取り込むことは困難です。このような利点を持つイオン発生機は、ペットのニオイが気になる家庭や、介護中で衛生面が気になる方などから人気を集めています。その他に、静電気を抑える効果やお肌にツヤを与える効果もあるとされています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/18/1/18_1_20/_pdf
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/chart/fippan11.pdf
https://jp.sharp/business/pci/

電解コンデンサ

電解コンデンサとは

電解コンデンサ

電解コンデンサとは、アルミニウムやタンタルなどの酸化皮膜を誘電体として用いたコンデンサです。

一般的な特徴として、静電容量が大きいこと、及び電圧の極性があることが挙げられます。電解コンデンサには電解質が液状のもの (湿式) と固体のものがあり、次のように分類されています。

1. 液状電解質

2. 固体電解質

  • 二酸化マンガン系固体電解コンデンサ
  • 機能性高分子系固体電解コンデンサ
  • 有機半導体系固体電解コンデンサ

また、電気二重層コンデンサ (スーパーキャパシタ) を電解コンデンサに含めることもあります。

電解コンデンサの使用用途

電解コンデンサは、電源の平滑回路として使われます。また、デカップリングコンデンサやバックアップコンデンサとしての用途にも適しています。

特にデカップリングコンデンサには静電容量が大きいことに加え、広い周波数帯で低インピーダンスであることが求められることから、タンタル電解コンデンサが最適です。

電解コンデンサの原理

アルミ電解コンデンサを例に、電解コンデンサの仕組みを記します。アルミ電解コンデンサは、電気化学的な表面処理によって陽極側の金属表面に形成した酸化皮膜 (Al2O3) を誘電体として利用しています。また、アルミ箔の表面にエッチング処理を実施して表面に凹凸を形成することにより、実質的に表面積を広げて大容量を実現しています。

電極間には電解液を満たして陰極の延長としていますが、電解液は長期間のうちに徐々にパッケージから漏れ出して蒸発するので、経時による静電容量の低下が避けられません。特に高温下ではそれが顕著になるため、寿命を延ばすには周囲温度の上昇を避けることが必要です。

アルミ箔の表面に生成された酸化アルミニウムの比誘電率は7~10であり、絶縁破壊電圧は500kV/mm以上、絶縁性に優れているうえ生産性も良好なので広く用いられていますが、アルミ箔との間で擬似ダイオードを構成することが特徴です。即ち、アルミ電解コンデンサーはこのダイオードの逆極性の空乏層容量を利用したものですが、この逆極性を利用するが故にアルミ電解コンデンサーの印加電圧は一方向に限定されます。これが逆電圧では利用できない理由です。

尚、タンタル電解コンデンサは誘電体に五酸化タンタル、電解質として二酸化マンガンを用いた構造となっています。電解質が固体であるため漏液は起こりません。タンタル電解コンデンサはアルミ電解コンデンサに対して寿命面で有利です。

電解コンデンサの種類

電解コンデンサに分類されるものは、何れも静電容量が大きいことが特徴ですが、それぞれの特徴を活かした用途があります。

1. アルミ電解コンデンサ

大容量のものが作りやすいことから、主に電源回路に多く使われています。高周波特性に関しては余り良好ではないので、商用電源を整流した後の平滑回路に採用されます。小型でありながら大容量で、品種も豊富です。価格が比較的安価なことも特徴の一つです。

2. タンタル電解コンデンサ

小型でありながらそこそこの静電容量が得られますが、タンタルがレアメタルの一種で高価であることから、大容量のものは製造されていません。数百μF程度が上限です。高周波特性や温度特性に優れているため、高い周波数で電流をON-OFFするスイッチング電源の平滑回路に採用されます。

また、「電解コンデンサの使用用途」の項に記した通り、電源回路のスパイクノイズを吸収するデカップリングコンデンサとしても使われています。

3. 電気二重層コンデンサ

比較的内部抵抗が大きい (数百mΩ〜百Ω程度) ので、リップル吸収用などの目的では使用できません。主に電源のバックアップ等の二次電池的な用途が主体となります。容量が非常に大きい上充放電の回数に制限がないので、メモリ回路のバックアップ等に採用されています。

参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b2
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b3
https://detail-infomation.com/capacitor-type/
http://www.nteku.com/condenser/condenser-jyumyou.aspx

赤外カメラ

赤外カメラとは

赤外カメラ

赤外カメラとは、赤外線を検知することで光のないところでも物体の様子を検知することができるカメラです。

サーモグラフィーや暗闇で動作できる特性を利用しています。赤外線は温度に応じて発せられる波長が長い光で、受光した部分が赤外線の大きさに応じて温度が上昇します。

その赤外線による温度変化を利用することによって、撮影対象や検出対象の範囲の物体の様子を検知することが可能です。

赤外カメラの使用用途

赤外カメラはサーモグラフィー、体温測定、防犯機器などに用いられます。サーモグラフィーのカメラ部分や医療現場での体温などの温度管理、暗闇でも動作する特性を利用した防犯機器、光が無い環境で生産する必要がある製品の検査装置、デジタルカメラにおける撮影精度の向上のための機能の1つとして有用です。

赤外カメラの選定の際には、検出精度や画素数、大きさ、メンテナンス性、外的要因に対しての耐久性などを考慮して選定する必要があります。

赤外カメラの原理

赤外カメラは、赤外線集光レンズ、検出素子、処理装置で構成されています。検出素子にはサーモパイルが主に使用されており、情報を入手する画素数の数だけ、サーモパイルが検出素子に埋め込まれています。

集光レンズは赤外線のみを集光し、サーモパイルに光を移動させるのが役割です。サーモパイルに照射された赤外線は、サーモパイルに到達時に温度を赤外線の強度に応じて変化させます。その変化量に応じて、サーモパイルは電流を流し、その電流をそれぞれのサーモパイルごとにアンプなどで増幅し、処理装置によって描写されます。

赤外線の強度が大きければ白色に近い点に、赤外線の強度が小さければ黒に近い点になり、物体のあるなしを判定することが可能です。製品によっては、サーモパイルを冷却するための機構が組み込まれているものや高度な画像処理のプログラムが内蔵されているものもあり、より高精度に画像を検出できるよう工夫がなされています。

赤外カメラの種類

1. 遠赤外線を用いた遠赤外カメラ

赤外線は大きく分けると、遠赤外線と近赤外線に分類できます。これらの違いは波長の違いです。人の目が捕らえることのできる光に近い領域 (780nm~2,500nm) が近赤外線、人の目では到底捕らえることのできない領域 (4~1,000μm) が遠赤外線です。

これらの性質を利用したカメラが、赤外カメラとして販売されています。しかし、同じ「赤外カメラ」といっても、遠赤外カメラと近赤外カメラは全く異なる製品です。

遠赤外カメラは、サーモグラフィーのようなカメラのことを指しています。赤外線は私たち人間を含むすべての物体から放出されており、物体から放射される赤外線は、物体の温度と比例しています。つまり、物体から放射される赤外線を計測することで物体の温度を測定しますが、その測定デバイスが遠赤外カメラです。

このように「熱を観察できる」という特徴はとても有用で、私たちがすぐに思いつく用途は先ほど述べたようなサーモグラフィーによる温度測定などですが、「相手に気づかれることなく相手を監視できる」という特徴から、軍事産業にも多く活用されています。

2. 近赤外線を用いた近赤外カメラ

近赤外カメラとは、近赤外領域 (780nm〜2,500nm) の光を捕集するカメラで、遠赤外カメラとは全く違う性質を持ちます。遠赤外カメラは物体の温度を測定する製品であるのに対して、近赤外カメラは一般的なカメラと同じように我々が認識できる空間を撮影するものです。身近なところではスマートフォンのカメラに搭載されていますが、そのメリットは「劣悪な照明条件でも高いコントラストを保った撮影ができること」にあります。

通常のカメラであれば、十分な照明条件が整わなければ所望の画像を撮影することができません。しかし、近赤外カメラは照明条件が劣悪であっても近赤外線を捕集することで高コントラストの画像を鮮明に撮影することが可能です。そのため、夜間の防犯カメラや産業用カメラとして、幅広く活用されています。

参考文献
https://www.vision-sensing.jp/images/20190523105310000000.pdf
https://jpn.nec.com/info-square/mitatv/discover/33/
https://www.ko-pro.tech/200317marutto/

流体解析ソフト

流体解析ソフトとは

流体解析ソフトは、水や空気、溶液などの流れの様子を数値シミュレーションによって分析するためのソフトです。

実際に測定することができないような密閉構造の中の流体の流れの様子や、高温でセンサーを取り付けることができない配管の中の流れの様子の解析、実験前の段階におけるシミュレーションによって、開発のスピードアップなどに使用されます。特定の部分での流速や圧力、流体による抵抗値などを解明することができるため、流体を使用している開発には不可欠なものになります。

流体解析ソフトの使用用途

流体解析ソフトは、様々な製品の研究開発の現場、天気予報などで使用されます。製品の開発現場の例としては、自動車のエンジン内部の流れや圧力の状態、自動車が受ける抵抗を小さくするための解析、CPUなどの冷却機構の開発など幅広くあります。多くの流体解析ソフトは、流体の流れだけではなく、流体の流れによって生じる温度変化の様子や、化学反応なども考慮して解析できるソフトが多いので、性能や値段、対応しているコンピューターのスペックなどを考慮して選定する必要があります。

流体解析ソフトの原理

流体解析ソフトは、流体の流れの様子を流れの支配方程式をコンピューターによって高速に解くことによって流れを解析します。流れの解析のための、乱流モデルや熱交換器モデル、2層流モデルなど、様々な流体の流れのモデルが発明されており、それらを設定し、使用することで流体の解析をより早く、高精度に行うことができます。

解析の前には、実際にシミュレーションする対象の概形をCAD図などで読み込み、そのCAD図における解析対象部分をメッシュと呼ばれる網目状の範囲で細かく切ります。その細かく切ったマス目一つ一つに対して、流体の速度や圧力、密度、粘度、せん断力などの情報をもとに、支配方程式を解いていき、時間ごとの流れの様子を解析していきます。コンピューターの性能によって、計算速度が大きく影響を受けるので、スペックの高いコンピューターで使用することが大切です。

流体解析のフリーソフト

流体解析を無償で使うことができるOpenFOAMという流体解析ソフトがあります。OpenCFD 社(ESIグループ)から提供されており、流体解析に用いるオープンソースのCFD(数値流体力学)ソフトウェアとして代表的なツールです。

OpenFOAMはオブジェクト指向型言語C++で開発されており、基本的Linux で動作を行います。ちょっと試しに流体解析を体験してみたい方もおられるでしょう。たくさんの計算モデルが組み込まれているため、そんな方にもおすすめです。

OpenFOAMの特徴

OpenFOAMはLES乱流モデル、混相流モデル、自由表面モデルなど豊富な流体専用ライブラリを備えており、非常に信頼性の高い計算精度を誇ります。流体力学や数値計算手法、プログラミングに関する知識があれば使用者自身が開発や作成することもできます。

数値解法としては有限差分法(FDM)の特別な方法である有限体積法(FVM)を採用しています。有限体積法は多くの数値流体力学のソフトに標準的な離散化解析手法として使われている数値解法です。

有限体積法の特徴としては主に二つあります。一つ目は基礎方程式を有限なCV(コントロールボリューム)それぞれに対して積分するので、速度成分、温度、濃度など関連する物理量の厳密な保存を表せるということです。そして、二つ目は数値アルゴリズムと物理的な保存則をはっきりと関連づけることができるため、理解しやすいということです。

OpenFOAMの数値解法プログラムは並列計算が基本になっています。したがって、大規模モデルや複雑な解析モデルに対しても高速な並列計算を行うことができます。

※流体解析、熱流体解析ページの参照もおすすめします。
https://metoree.com/categories/fluid-analysis/
https://metoree.com/categories/3899/

参考文献
https://www.yokendo.com/books/9784842505268/

元素分析装置

元素分析装置とは

元素分析装置とは、化学物質を構成する元素の種類(定性分析)構成比率(定量分析)を決定する装置です。

物質は全て元素から構成されているため、元素の種類と比率を明確にすることは物質の性質を知る上で非常に重要な項目の一つとなります。

物質は大きく有機物と無機物に分けられます。有機物は、炭素を含む化合物の多くを指します。元素分析によって、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)といった元素の含有率を求めることで有機物の組成式を導くことができます。

一方、無機物は有機物以外と定義され、金属元素や非金属元素、水素化物、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、金属錯体などがあります。元素分析によって、ナトリウム(Na)やカリウム(K)といった金属元素、ホウ素(B)やケイ素(Si)といった非金属元素、塩素(Cl) やフッ素(F)といったハロゲンなどを定性、定量します。

対象の物質(有機物か無機物か)や元素の種類、物質の状態(液体、固体)などによって、様々な分析方法があります。

元素分析装置の使用用途

元素分析は様々な化学物質を分析対象としているため、幅広い分野で使用されています。代表例は下記の通りです。

  • 環境分野
    土壌の養分分析や肥料の化学組成の把握など
  • 食品分野
    食品に含まれる栄養の評価など
  • 製薬分野
    医薬品の組成や純度の把握など
  • 材料分野
    品質管理や材料の組成把握など

元素分析の種類

1. 有機物の元素分析

有機物の元素分析は、サンプル中の炭素などの元素を測定容易な物質に変換し、その後、それぞれ適当な方法で定量するという手順で行います。

まず、元素を変換する方法としては、キャリアーガス中でサンプルを燃焼させる方法と、液体中で分解剤を加えて行う湿式法があります。様々な分析手法がありますが、以下に代表的な分析法を示します。

炭素と水素に関して、キャリアーガスに酸素を使用し、サンプルを完全燃焼させて炭素をCO2に、水素をH2Oに変換した後、適当な方法で捉えて定量します。窒素は、サンプルを二酸化炭素気流中で燃焼補助剤と共に完全燃焼させてN2に変換した後、体積を測定することで分析できます。

また、サンプルに分解剤を加えてアンモニアに変換した後、補修剤を用いて捉え定量する方法もあります。酸素は他元素の百分率の総和から計算します。

2. 無機物の元素分析ー液体試料の場合

イオンクロマトグラフィー(IC)は、液体クロマトグラフの一種であるイオンクロマトグラフを用いて、主に溶液中のイオン性成分の定性・定量を行う分析手法です。測定対象成分は、無機陰イオンやアルカリ金属、アンモニアなどがあります。

高周波誘導結合プラズマ(ICP)を用いる分析手法も知られており、ICP発光分光分析法(ICP-AES)とICP質量分析法(ICP-MS)があります。いずれも水溶液サンプル中の約70種類の元素を一斉に測定することが可能で、広く活用されている分析方法です。サンプルが固体の場合は、分解や抽出により水溶液にすることで分析が可能となります。

ICP-MSでは、イオン化源としての誘導結合プラズマ(ICP)に水溶液試料を霧化・導入し、プラズマ中でイオン化した元素を質量分析計で分離・検出することで元素分析を行います。

一方、ICP-AESでは、水溶液試料を霧化・導入した後、励起された元素が基底状態に戻る際に放出される光を分光して、波長から元素の定性、強度から定量を行います。ICP-AESが不得意とする希土類などは、ICP-AES分析が適しています。ICP-AESとICP-MSを併用して分析を行うことにより、主成分~微量成分まで幅広い濃度範囲の元素情報が得られます。

原子吸光分析法(AAS)は、希酸水溶液中の元素を原子化し、そこに光を照射し、光の吸収(吸光度)から元素濃度を測定します。全ての原子は、外から光エネルギーを与えられると、低エネルギー状態 (基底状態) から高エネルギー状態(励起状態)に遷移しますが、基底状態と励起状態のエネルギー差は元素によって決まっています。そのため、吸光度を測定すれば、元素の定性・定量が行えることになります。

3. 無機物の元素分析ー固体表面の分析

蛍光X線分析法(XRF)は、測定サンプルにX線を照射して発生する固有の蛍光X線を測定することで、構成されている元素の同定と定量が行えます。特殊なサンプルを除いて、前処理が不要、非破壊で分析可能、固体表面の分析も可能という特徴があります。

サンプルにX線を照射後、発生する蛍光を測定するのですが、検出システムの違いによって、エネルギー分散型システム(EDXRF)と波長分散型システム(WDXRF)に分けられます。WDXは、発生した蛍光X線を分光結晶によって分光し、これをゴニオメーターを用いて計測するため、装置が大型になります。一方、EDXは検出器自体のエネルギー分解能が優れているため、分散系が不要となり、装置が小型になります。

4. 固体炭素分析

固体試料中の炭素分析においては、全有機炭素(TOC)、全無機炭素(TIC)、元素状炭素(ROC)の3形態の定量を行い、そこから全炭素量(TC)を算出する手法が注目されています。

環境モニタリングや品質管理の上で重要なTOCは代表的な測定項目ですが、従来のTOC計を用いた分析手法ではTCからTICを差し引いてTOCを算出するという分析手法が取られてきました。一方、カーボンニュートラル施策の一環である、CO2排出量の削減、もしくは排出されたCO2の資源化を目的としたカーボンリサイクル関連技術の開発では、3種類の異なる炭素形態の分別定量のニーズが高まっています。

参考文献
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/industrial/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/63/12/63_612/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/12/60_KJ00008548707/_pdf/-char/ja

レーザー発振器

レーザー発振器とは

レーザー発振器

レーザー発振器とは、レーザー光を発信させるシステムです。

レーザーは指向性、単色性に優れたコヒーレントな光で、発振器は媒質、励起源、共振ミラーで構成されています。この3つの部品を合わせたのが共振器です。

発振器に用いる媒体の違いから、気体レーザー、固体レーザー、液体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザーなどに分けられます。また光の発信方式にはCW (連続波) 発振、パルス発振、Q-SW (Qスイッチ) パルス発振があります。

レーザー発振器の使用用途

レーザー発振機は、レーザーを使用する機器に搭載されています。軍事的な用途から家電などの民生用途まで、非常に幅広いです。

レーザーの出力や波長などの特徴から、目的に適したレーザーが使用されています。身近なところでは以下の場面でレーザーが使用されています。

  • 医療
    眼科でのレーシックや網膜剥離などの治療、皮膚科でのシミやアザなどの除去
  • 電化製品
    レーザーポインター、バーコードスキャナ、CDやDVDなどの光ドライブ
  • 産業用機器
    穴あけや切断、彫刻加工、溶接などで用いるレーザー加工機

その他、科学的な分野においては距離を測定する光波測距儀や光を当てて無接触で表面や内部のダメージを検査する非破壊検査、他にも遠方にある対象までの距離を測定するLIDER、レーザー核融合などレーザーは幅広く用いられています。

レーザー発振器の原理

1. 励起状態と遷移

励起源を媒体に照射すると、レーザー媒体内の原子 (もしくは分子) が低エネルギー状態から高エネルギー状態へ移ります。この状態が励起状態です。この励起状態は不安定な状態で、すぐに低エネルギー状態に戻ろうとします。この現象のことを遷移と言います。

遷移時にはエネルギー差に相当する光を放出しており、この現象が自然放射です。さらに励起状態の原子、分子に特定の波長の光を照射すると、その光の強さに比例して光が放出されます。これは誘導放出という現象です。

2. 光の増強

この放出された光が共振ミラーで反射、レーザー媒体に戻されると、さらに光を誘発して光はますます増強されます。何回もこの往復を行い、一定の強さの光となったときに半透ミラーからレーザー光として発振されます。

レーザー発振器の構造

レーザー発振器は励起源 (ランプやレーザー半導体) と共振器 (光強度を増加させる部分) から成り、共振器はレーザー媒体 (ガスや結晶などの固体物質) と共振鏡から構成されます。

発振器の中の構造は、励起源がレーザー媒体を照射できるように配置、さらにこの媒体を両側から挟みこむ形で共振鏡が設置されています。この鏡の片方は部分透過鏡、もう片方は全反射鏡と2つの鏡の機能は異なります。

レーザー発振器のその他情報

1. CW発振

CW (Continuous Wave) 発振とは、連続波のレーザーを発振する出力方式です。レーザーの出力が時間で変化することなく、一定値を出力し続けます。

レーザー溶接で使用する場合、連続してレーザーを当てることになるため溶接した場所はすべての領域で溶け込んでいます。溶け込みが連続しているため隙間がなく、気密性が高い場所での溶接で使用される出力方式です。

2. パルス発振

パルス発振は時間変化と共にレーザー出力が変化する方式です。レーザー溶接で使用する場合、所々でレーザーが出る特徴からビードは断続的に発生します。

溶接全体の入熱量を抑えることができるため、加工物の熱変形を少なくすることが可能な出力方式です。

3. Q-SWパルス発振

Q-SWパルス発振はレーザー媒質中で十分に反転分布が起こるまで待ち、一気にレーザー発振することで大きな出力のレーザーを発振する出力方式です。電子部品や半導体部品など精密部品のマイクロ加工や穴加工に使用されます。

参考文献
https://www.hoyacandeo.co.jp/japanese/products/laser_tech_02.html

レーザー溶接機

レーザー溶接機とは

レーザー溶接機

レーザー溶接機とは、金属溶接や切断などに使用されるレーザー加工機の1種です。

レーザー光が非常に短い時間で加工物にエネルギーを入れて溶かし、すぐ固まるので溶接後の歪みが少なく済みます。従来の溶接法と比べて、高速に処理できることも特徴です。また、レーザーの波長やエネルギー密度、ビームスポット径を調節することで、微細加工にも対応できます。

レーザー溶接機の発振器には、YAGレーザーやCO2レーザー、ファイバーレーザーが使用されますが、近年はディスクレーザーや半導体レーザーが使用されることも多いです。このテクノロジーを利用し、非常に繊細で熱による影響を与えたくない部品や、熱により酸化しやすいチタンなどの溶接を行うことができます。

レーザー溶接機の使用用途

レーザー溶接は、自動車のボディやフレームといった大きなものから、金型といった比較的小型のものや電子部品の微細加工まで、大小さまざまなサイズの素材に対応しています。また、ステンレスやアルミ、など金属の溶接や電子部品のスポット溶接といった細かな加工、高い気密性のシーム溶接など、加工技術も多様です。

レーザー溶接機の原理

レーザー溶接機は主に、レーザー発振器、光路、集光光学系、駆動系、シールドガス系で構成されています。発振器から照射されたレーザー光が、ミラーや光ファイバーなどの光路で集光光学系まで伝送されます。そして集光光学系で適切なスポット径に絞られた光が、ヘッド部から照射されます。

レーザー照射した部分の酸化やプラズマを防ぐために、アルゴンヘリウム、窒素などがアシストガスとして吹き付けます。これがシールドガス系です。
さらに加工する素材を固定する治具や位置決めステージなどを駆動系と呼びます。

また、加工方法では熱伝導型と深溶込み型に分類できます。熱伝導型は、加工物に照射した光が熱となり、それが表面を融解させた後に冷やして固める方法です。それに対して、深溶込み型はエネルギー密度を高く照射する方法です。熱伝導型に比べて深度がある加工ができます。

さらに、レーザー溶接に使用されるレーザーにもそれぞれ特徴があり、素材や加工法に合わせた波長、出力を選びます。

1. CO2レーザー

大きな出力の連続発振 (英: CW, Continuous Waves) が可能です。波長は10.6μmと、一般的に使用されるレーザーの中で最も長い波長帯になります。

2. YAGレーザー

CO2レーザーほどの出力は得られませんが、YAGレーザーは光ファイバーによる伝送が可能です。波長は1.06μm (1063nm) とCO2レーザーよりも短くなるため、素材への吸収率が高いのも特徴です。

3. ファイバーレーザー

出力レンジも幅広く、光ファイバーでの伝送もできるので、加工機がコンパクトに設計できます。

レーザー溶接機のその他情報

1. レーザー溶接機のメリット

非常に高い熱エネルギーを溶接部に最小限の範囲でかけられるため、エネルギーのロスがごく僅かです。また、熱による溶接部の歪みを最小限に抑えられ、溶け込みが深く強度な溶接が可能です。

そのほか、以下のようなメリットもあります。

  • コンピュータによる制御が容易のため、ロボットアームを使用した溶接加工の自動化が可能です。
  • ロボットアームの自由度が高く、どのような場所でも溶接が可能です。
  • 点ではなく線での溶接が出来強度の向上や補強用部材が不要になることから、軽量化も実現します。
  • 電子ビーム溶接のように真空を要さず、大気中で溶接が可能です。

2. テーラードブランクにおけるレーザー溶接

テーラードブランクとは、プレス成型前の材料を先に溶接した後にプレス加工を行う工法です。自動車のボディやフレームのような強度や耐久性に加えて軽量性など多くの要件を満たす必要のある部品に使用します。

テーラードブランクの最大のメリットは、異種材料の組み合わせが可能な点です。必要な場所にのみハイテン材と呼ばれる硬い材料を使い、強度の必要のない箇所には軟らかい材料を使うことでコストメリットと軽量化を実現します。また、異種材料の組み合わせだけでなく、異なる板厚の組み合わせも可能です。

しかし、テーラードブランクには接合部が極端に脆くなるという欠点があり、その欠点を補うためにレーザー溶接が使用されます。レーザー溶接は溶接部の材質劣化が少なく、溶接部は熱によって焼き入れ効果が発生します。

3. レーザー溶接機使用時の安全対策

レーザー光は人口的につくられた特殊な光で、目に見えるレーザー光と見えないレーザー光があります。自然光と比べてパワーが高く、高密度なため目や皮膚に損傷を与える可能性が高いです。

安全対策としては、レーザー光を外部に出さないようカバーを覆うといった環境の作成、保護メガネや防護服の着用が効果的です。

参考文献
http://www.monozukuri.org/mono/db-dmrc/laser-weld/kiso/index.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/welding/laser/mechanism.jsp
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/welding/laser/

レーザー彫刻機

レーザー彫刻機とは

レーザー彫刻機

レーザー彫刻機とは、レーザー発振器を用いてさまざまな材料に文字や図を刻印できる加工機のことです。

レーザー光が加工物の表面に熱を与えることで、素材を融解、燃焼させ、溝を掘ります。一般的には、高出力のCO2レーザーやファイバーレーザーが使用されます。ジョブショップなどで使用されるシステムのレーザー出力は、数十Wから数百Wのものが存在します。また、駆動系との組み合わせによっても異なりますが、レーザー出力が高いほど、より深く素早い彫刻が可能です。

近年では、家庭でも手軽に使用できる小型のレーザー彫刻機が登場しています。3,000mW程度の出力を持ち、木材やアクリル、革、紙、ガラスなどの表面に対して、文字や絵、写真などさまざまな素材を彫刻することが可能です。

レーザー彫刻機の応用は広く、プロダクトデザイン、工芸、広告、装飾、建築、医療などの分野で使用されています。特に、3Dプリンターと組み合わせることで、立体物の加工もできます。

レーザー彫刻機の使用用途

レーザー彫刻機は、アクリル、金属、木材、革皮などの彫刻に使用されます。発振器に使用されるCO2レーザー、ファイバーレーザーでも加工できる素材が変わります。

1. CO2レーザー

CO2レーザーを使用した彫刻機は、アクリル、木材、石材、革皮など、幅広い素材への彫刻が可能です。これらの素材は、広告宣伝、建築、家具、装飾、アートなどの分野で使われます。

例えば、アクリル板に刻印した文字やデザインを貼り付けた看板やポスターは、商業的な宣伝に効果的です。木材には、ロゴ、ネームプレート、カッティングボード、玩具などの彫刻に使われます。

石材が使用される場合は、墓碑、記念碑、芸術作品などです。革皮には、財布、ベルト、バッグ、靴などのアクセサリーの刻印ができます。

2. ファイバーレーザー

ファイバーレーザーは、金属 (アルミ、銅、真鍮、ステンレスなど) への彫刻に優れています。自動車産業や航空宇宙産業、医療機器製造、電子機器製造、部品製造、防犯機器などの分野で使われます。

例えば、自動車部品に刻印されたシリアルナンバーやロゴは、品質管理とトレーサビリティのために必要です。航空宇宙産業でのファイバーレーザー彫刻は、航空機部品や宇宙機器のトレーサビリティと安全性に貢献します。

レーザー彫刻機の原理

レーザー彫刻機は、画像処理ソフトと連動して使用できるものが一般的です。データをパソコンから彫刻機に転送して照射・加工します。

彫刻やマーキング、溶接などのレーザー加工機は、基本的にレーザー発振器、光路、駆動系、集光光学系、そして必要に応じて素材を固定する治具やステージが組み込まれています。さらにレーザー彫刻機にはXYプロッタ方式 (フラットヘット) とガルバノ方式の2種類の方式があり、原理が異なる点が特徴です。

1. XYプロッタ方式

XYプロッタ方式では、レーザー光の照射位置を制御するために、2つの軸を備えたステージが使用されます。このステージは、コンピューターによって制御され、指定されたパターンやデザインに基づいてレーザー光を照射する位置を決定します。

XYプロッタ方式は、高精度かつ迅速な刻印が可能です。また、複数の刻印パターンを同時に処理することができ、レーザー光の照射角度を自由自在に制御します。非常に高度なレーザー加工を行えるので、広範な用途に対応可能です。

2. ガルバノ方式

ガルバノ方式は、ヘッド部分にガルバノミラーが組み込まれ、ミラーを動かすことによって光を振ります。ミラーの小さな動きだけで照射できるため素早く加工できますが、加工できる範囲は大きくありません。

レーザー彫刻機のその他情報

レーザー彫刻機と併用する機械

レーザー彫刻機は単体でも高度な彫刻加工が可能ですが、より効率的に素材加工を行うために、他の機械と併用することもあります。例えば、CNCルーターは、レーザー彫刻機と併用することで、より広い範囲の素材の加工が可能です。

CNCルーターは、レーザー彫刻機と同様にCADデータを入力して加工を行えるうえ、レーザー彫刻機が対応できない素材にも対応できます。

参考文献
https://www.troteclaser.com/ja/faqs/how-to-laser-mark/
https://www.gendai-press.co.jp/archives/3833
https://www.troteclaser.com/ja/faqs/laser-plotter-vs-galvo-laser/

レーザー加工機

レーザー加工機とは

レーザー加工機

レーザー加工機とは、レーザーで切断や溶接、彫刻、マーキング、穴あけなど様々な加工を行う機械の総称です。

この加工機では主にCO2レーザー、YAGレーザーファイバーレーザー、半導体レーザーが使用されています。レーザー加工機は刃物などを用いずに加工できる非接触加工型なので応力や圧力による素材の変形、歪みが生じにくいです。

また、用いる消耗品が少なくメンテナンスが容易などの特徴があります。最近は家庭での使用を想定した安価で小型のシステムも販売されています。

レーザー加工機の使用用途

レーザー加工機は多種多様なものが販売されていますが、中でも以下の加工機がメインとなります。

1. CO2レーザー加工機

最大で数百W出力となるCO2レーザーは溶接、切断、彫刻に使用されます。自動車のフレームから電子部品への微細加工まで溶接可能です。厚さのあるアクリル板や木材などの切断、石材や皮革への彫刻、紙や布地の裁断にも使用されます。

出力波長の10.6μmはガラスも吸収する波長であるため、ガラスの加工もできます。他のレーザーと比べると対応できる素材が多く価格も安価なため、最もスタンダードなレーザー加工機となります。

2. YAGレーザー加工機

CO2レーザーとよく比較されるYAGレーザーは波長が1.06μm (1060nm) のため、CO2レーザーとは相性が悪い素材でも加工できます。またファイバーを光路に使えるため、システムをコンパクトに設計できます。

3. ファイバーレーザー

ファイバーレーザーは、他のレーザーが反射して加工しにくいアルミ、、真鍮などの金属が加工できます。またCO2レーザーはレーザー媒体の二酸化炭素の補充が必要ですが、ファイバーレーザーはほとんどメンテナンスが必要ありません。ビームが集光しやすく小さなスポット径にできるため、微細な加工にも対応しています。

レーザー加工機の原理

レーザー光は指向性、単色性が高く、コヒーレンスな光であり、集光されるとエネルギーは更に増します。加工機では通常、専用のレンズを使用して集光します。集光されてエネルギー密度が上がった光は照射された加工物の表面を急激に熱します。これは材料に光が当てるとその中の原子や分子が急激に振動して熱を発するためです。

この現象を利用して材料を瞬時に溶解し、加工しています。金属などの加工の際には粉塵が飛ぶため、アシストガスや集塵機で粉塵を飛ばしながら加工面に支障が出ないようにします。

レーザー加工機の構造

レーザー加工機は基本的にレーザー発振器、光路、集光光学系、駆動系で構成されています。レーザー発振器には前述したレーザーが使用されます。光路はレーザーから集光光学系まで光を伝送する道筋で、ミラーや光ファイバーなどが用いられます。集光光学系は光を集光、照射させる部分です。駆動系は加工したい材料を載せるステージや治具などを指します。

材料の加工やレーザーの発振スピードなどに合わせて、適切なものを設計します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/processing/system.jsp
https://www.gendai-press.co.jp/archives/3833