レーザー彫刻機とは
レーザー彫刻機とは、レーザー発振器を用いてさまざまな材料に文字や図を刻印できる加工機のことです。
レーザー光が加工物の表面に熱を与えることで、素材を融解、燃焼させ、溝を掘ります。一般的には、高出力のCO2レーザーやファイバーレーザーが使用されます。ジョブショップなどで使用されるシステムのレーザー出力は、数十Wから数百Wのものが存在します。また、駆動系との組み合わせによっても異なりますが、レーザー出力が高いほど、より深く素早い彫刻が可能です。
近年では、家庭でも手軽に使用できる小型のレーザー彫刻機が登場しています。3,000mW程度の出力を持ち、木材やアクリル、革、紙、ガラスなどの表面に対して、文字や絵、写真などさまざまな素材を彫刻することが可能です。
レーザー彫刻機の応用は広く、プロダクトデザイン、工芸、広告、装飾、建築、医療などの分野で使用されています。特に、3Dプリンターと組み合わせることで、立体物の加工もできます。
レーザー彫刻機の使用用途
レーザー彫刻機は、アクリル、金属、木材、革皮などの彫刻に使用されます。発振器に使用されるCO2レーザー、ファイバーレーザーでも加工できる素材が変わります。
1. CO2レーザー
CO2レーザーを使用した彫刻機は、アクリル、木材、石材、革皮など、幅広い素材への彫刻が可能です。これらの素材は、広告宣伝、建築、家具、装飾、アートなどの分野で使われます。
例えば、アクリル板に刻印した文字やデザインを貼り付けた看板やポスターは、商業的な宣伝に効果的です。木材には、ロゴ、ネームプレート、カッティングボード、玩具などの彫刻に使われます。
石材が使用される場合は、墓碑、記念碑、芸術作品などです。革皮には、財布、ベルト、バッグ、靴などのアクセサリーの刻印ができます。
2. ファイバーレーザー
ファイバーレーザーは、金属 (アルミ、銅、真鍮、ステンレスなど) への彫刻に優れています。自動車産業や航空宇宙産業、医療機器製造、電子機器製造、部品製造、防犯機器などの分野で使われます。
例えば、自動車部品に刻印されたシリアルナンバーやロゴは、品質管理とトレーサビリティのために必要です。航空宇宙産業でのファイバーレーザー彫刻は、航空機部品や宇宙機器のトレーサビリティと安全性に貢献します。
レーザー彫刻機の原理
レーザー彫刻機は、画像処理ソフトと連動して使用できるものが一般的です。データをパソコンから彫刻機に転送して照射・加工します。
彫刻やマーキング、溶接などのレーザー加工機は、基本的にレーザー発振器、光路、駆動系、集光光学系、そして必要に応じて素材を固定する治具やステージが組み込まれています。さらにレーザー彫刻機にはXYプロッタ方式 (フラットヘット) とガルバノ方式の2種類の方式があり、原理が異なる点が特徴です。
1. XYプロッタ方式
XYプロッタ方式では、レーザー光の照射位置を制御するために、2つの軸を備えたステージが使用されます。このステージは、コンピューターによって制御され、指定されたパターンやデザインに基づいてレーザー光を照射する位置を決定します。
XYプロッタ方式は、高精度かつ迅速な刻印が可能です。また、複数の刻印パターンを同時に処理することができ、レーザー光の照射角度を自由自在に制御します。非常に高度なレーザー加工を行えるので、広範な用途に対応可能です。
2. ガルバノ方式
ガルバノ方式は、ヘッド部分にガルバノミラーが組み込まれ、ミラーを動かすことによって光を振ります。ミラーの小さな動きだけで照射できるため素早く加工できますが、加工できる範囲は大きくありません。
レーザー彫刻機のその他情報
レーザー彫刻機と併用する機械
レーザー彫刻機は単体でも高度な彫刻加工が可能ですが、より効率的に素材加工を行うために、他の機械と併用することもあります。例えば、CNCルーターは、レーザー彫刻機と併用することで、より広い範囲の素材の加工が可能です。
CNCルーターは、レーザー彫刻機と同様にCADデータを入力して加工を行えるうえ、レーザー彫刻機が対応できない素材にも対応できます。