レーザー発振器とは
レーザー発振器とは、レーザー光を発信させるシステムです。
レーザーは指向性、単色性に優れたコヒーレントな光で、発振器は媒質、励起源、共振ミラーで構成されています。この3つの部品を合わせたのが共振器です。
発振器に用いる媒体の違いから、気体レーザー、固体レーザー、液体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザーなどに分けられます。また光の発信方式にはCW (連続波) 発振、パルス発振、Q-SW (Qスイッチ) パルス発振があります。
レーザー発振器の使用用途
レーザー発振機は、レーザーを使用する機器に搭載されています。軍事的な用途から家電などの民生用途まで、非常に幅広いです。
レーザーの出力や波長などの特徴から、目的に適したレーザーが使用されています。身近なところでは以下の場面でレーザーが使用されています。
- 医療
眼科でのレーシックや網膜剥離などの治療、皮膚科でのシミやアザなどの除去 - 電化製品
レーザーポインター、バーコードスキャナ、CDやDVDなどの光ドライブ - 産業用機器
穴あけや切断、彫刻加工、溶接などで用いるレーザー加工機
その他、科学的な分野においては距離を測定する光波測距儀や光を当てて無接触で表面や内部のダメージを検査する非破壊検査、他にも遠方にある対象までの距離を測定するLIDER、レーザー核融合などレーザーは幅広く用いられています。
レーザー発振器の原理
1. 励起状態と遷移
励起源を媒体に照射すると、レーザー媒体内の原子 (もしくは分子) が低エネルギー状態から高エネルギー状態へ移ります。この状態が励起状態です。この励起状態は不安定な状態で、すぐに低エネルギー状態に戻ろうとします。この現象のことを遷移と言います。
遷移時にはエネルギー差に相当する光を放出しており、この現象が自然放射です。さらに励起状態の原子、分子に特定の波長の光を照射すると、その光の強さに比例して光が放出されます。これは誘導放出という現象です。
2. 光の増強
この放出された光が共振ミラーで反射、レーザー媒体に戻されると、さらに光を誘発して光はますます増強されます。何回もこの往復を行い、一定の強さの光となったときに半透ミラーからレーザー光として発振されます。
レーザー発振器の構造
レーザー発振器は励起源 (ランプやレーザー半導体) と共振器 (光強度を増加させる部分) から成り、共振器はレーザー媒体 (ガスや結晶などの固体物質) と共振鏡から構成されます。
発振器の中の構造は、励起源がレーザー媒体を照射できるように配置、さらにこの媒体を両側から挟みこむ形で共振鏡が設置されています。この鏡の片方は部分透過鏡、もう片方は全反射鏡と2つの鏡の機能は異なります。
レーザー発振器のその他情報
1. CW発振
CW (Continuous Wave) 発振とは、連続波のレーザーを発振する出力方式です。レーザーの出力が時間で変化することなく、一定値を出力し続けます。
レーザー溶接で使用する場合、連続してレーザーを当てることになるため溶接した場所はすべての領域で溶け込んでいます。溶け込みが連続しているため隙間がなく、気密性が高い場所での溶接で使用される出力方式です。
2. パルス発振
パルス発振は時間変化と共にレーザー出力が変化する方式です。レーザー溶接で使用する場合、所々でレーザーが出る特徴からビードは断続的に発生します。
溶接全体の入熱量を抑えることができるため、加工物の熱変形を少なくすることが可能な出力方式です。
3. Q-SWパルス発振
Q-SWパルス発振はレーザー媒質中で十分に反転分布が起こるまで待ち、一気にレーザー発振することで大きな出力のレーザーを発振する出力方式です。電子部品や半導体部品など精密部品のマイクロ加工や穴加工に使用されます。
参考文献
https://www.hoyacandeo.co.jp/japanese/products/laser_tech_02.html