電解コンデンサとは
電解コンデンサとは、アルミニウムやタンタルなどの酸化皮膜を誘電体として用いたコンデンサです。
一般的な特徴として、静電容量が大きいこと、及び電圧の極性があることが挙げられます。電解コンデンサには電解質が液状のもの (湿式) と固体のものがあり、次のように分類されています。
1. 液状電解質
- アルミ電解コンデンサ (湿式)
- タンタル電解コンデンサ (湿式)
2. 固体電解質
- 二酸化マンガン系固体電解コンデンサ
- 機能性高分子系固体電解コンデンサ
- 有機半導体系固体電解コンデンサ
また、電気二重層コンデンサ (スーパーキャパシタ) を電解コンデンサに含めることもあります。
電解コンデンサの使用用途
電解コンデンサは、電源の平滑回路として使われます。また、デカップリングコンデンサやバックアップコンデンサとしての用途にも適しています。
特にデカップリングコンデンサには静電容量が大きいことに加え、広い周波数帯で低インピーダンスであることが求められることから、タンタル電解コンデンサが最適です。
電解コンデンサの原理
アルミ電解コンデンサを例に、電解コンデンサの仕組みを記します。アルミ電解コンデンサは、電気化学的な表面処理によって陽極側の金属表面に形成した酸化皮膜 (Al2O3) を誘電体として利用しています。また、アルミ箔の表面にエッチング処理を実施して表面に凹凸を形成することにより、実質的に表面積を広げて大容量を実現しています。
電極間には電解液を満たして陰極の延長としていますが、電解液は長期間のうちに徐々にパッケージから漏れ出して蒸発するので、経時による静電容量の低下が避けられません。特に高温下ではそれが顕著になるため、寿命を延ばすには周囲温度の上昇を避けることが必要です。
アルミ箔の表面に生成された酸化アルミニウムの比誘電率は7~10であり、絶縁破壊電圧は500kV/mm以上、絶縁性に優れているうえ生産性も良好なので広く用いられていますが、アルミ箔との間で擬似ダイオードを構成することが特徴です。即ち、アルミ電解コンデンサーはこのダイオードの逆極性の空乏層容量を利用したものですが、この逆極性を利用するが故にアルミ電解コンデンサーの印加電圧は一方向に限定されます。これが逆電圧では利用できない理由です。
尚、タンタル電解コンデンサは誘電体に五酸化タンタル、電解質として二酸化マンガンを用いた構造となっています。電解質が固体であるため漏液は起こりません。タンタル電解コンデンサはアルミ電解コンデンサに対して寿命面で有利です。
電解コンデンサの種類
電解コンデンサに分類されるものは、何れも静電容量が大きいことが特徴ですが、それぞれの特徴を活かした用途があります。
1. アルミ電解コンデンサ
大容量のものが作りやすいことから、主に電源回路に多く使われています。高周波特性に関しては余り良好ではないので、商用電源を整流した後の平滑回路に採用されます。小型でありながら大容量で、品種も豊富です。価格が比較的安価なことも特徴の一つです。
2. タンタル電解コンデンサ
小型でありながらそこそこの静電容量が得られますが、タンタルがレアメタルの一種で高価であることから、大容量のものは製造されていません。数百μF程度が上限です。高周波特性や温度特性に優れているため、高い周波数で電流をON-OFFするスイッチング電源の平滑回路に採用されます。
また、「電解コンデンサの使用用途」の項に記した通り、電源回路のスパイクノイズを吸収するデカップリングコンデンサとしても使われています。
3. 電気二重層コンデンサ
比較的内部抵抗が大きい (数百mΩ〜百Ω程度) ので、リップル吸収用などの目的では使用できません。主に電源のバックアップ等の二次電池的な用途が主体となります。容量が非常に大きい上充放電の回数に制限がないので、メモリ回路のバックアップ等に採用されています。
参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b2
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b3
https://detail-infomation.com/capacitor-type/
http://www.nteku.com/condenser/condenser-jyumyou.aspx