流体解析ソフトとは
流体解析ソフトは、水や空気、溶液などの流れの様子を数値シミュレーションによって分析するためのソフトです。
実際に測定することができないような密閉構造の中の流体の流れの様子や、高温でセンサーを取り付けることができない配管の中の流れの様子の解析、実験前の段階におけるシミュレーションによって、開発のスピードアップなどに使用されます。特定の部分での流速や圧力、流体による抵抗値などを解明することができるため、流体を使用している開発には不可欠なものになります。
流体解析ソフトの使用用途
流体解析ソフトは、様々な製品の研究開発の現場、天気予報などで使用されます。製品の開発現場の例としては、自動車のエンジン内部の流れや圧力の状態、自動車が受ける抵抗を小さくするための解析、CPUなどの冷却機構の開発など幅広くあります。多くの流体解析ソフトは、流体の流れだけではなく、流体の流れによって生じる温度変化の様子や、化学反応なども考慮して解析できるソフトが多いので、性能や値段、対応しているコンピューターのスペックなどを考慮して選定する必要があります。
流体解析ソフトの原理
流体解析ソフトは、流体の流れの様子を流れの支配方程式をコンピューターによって高速に解くことによって流れを解析します。流れの解析のための、乱流モデルや熱交換器モデル、2層流モデルなど、様々な流体の流れのモデルが発明されており、それらを設定し、使用することで流体の解析をより早く、高精度に行うことができます。
解析の前には、実際にシミュレーションする対象の概形をCAD図などで読み込み、そのCAD図における解析対象部分をメッシュと呼ばれる網目状の範囲で細かく切ります。その細かく切ったマス目一つ一つに対して、流体の速度や圧力、密度、粘度、せん断力などの情報をもとに、支配方程式を解いていき、時間ごとの流れの様子を解析していきます。コンピューターの性能によって、計算速度が大きく影響を受けるので、スペックの高いコンピューターで使用することが大切です。
流体解析のフリーソフト
流体解析を無償で使うことができるOpenFOAMという流体解析ソフトがあります。OpenCFD 社(ESIグループ)から提供されており、流体解析に用いるオープンソースのCFD(数値流体力学)ソフトウェアとして代表的なツールです。
OpenFOAMはオブジェクト指向型言語C++で開発されており、基本的Linux で動作を行います。ちょっと試しに流体解析を体験してみたい方もおられるでしょう。たくさんの計算モデルが組み込まれているため、そんな方にもおすすめです。
OpenFOAMの特徴
OpenFOAMはLES乱流モデル、混相流モデル、自由表面モデルなど豊富な流体専用ライブラリを備えており、非常に信頼性の高い計算精度を誇ります。流体力学や数値計算手法、プログラミングに関する知識があれば使用者自身が開発や作成することもできます。
数値解法としては有限差分法(FDM)の特別な方法である有限体積法(FVM)を採用しています。有限体積法は多くの数値流体力学のソフトに標準的な離散化解析手法として使われている数値解法です。
有限体積法の特徴としては主に二つあります。一つ目は基礎方程式を有限なCV(コントロールボリューム)それぞれに対して積分するので、速度成分、温度、濃度など関連する物理量の厳密な保存を表せるということです。そして、二つ目は数値アルゴリズムと物理的な保存則をはっきりと関連づけることができるため、理解しやすいということです。
OpenFOAMの数値解法プログラムは並列計算が基本になっています。したがって、大規模モデルや複雑な解析モデルに対しても高速な並列計算を行うことができます。
※流体解析、熱流体解析ページの参照もおすすめします。
https://metoree.com/categories/fluid-analysis/
https://metoree.com/categories/3899/