赤外カメラとは
赤外カメラとは、赤外線を検知することで光のないところでも物体の様子を検知することができるカメラです。
サーモグラフィーや暗闇で動作できる特性を利用しています。赤外線は温度に応じて発せられる波長が長い光で、受光した部分が赤外線の大きさに応じて温度が上昇します。
その赤外線による温度変化を利用することによって、撮影対象や検出対象の範囲の物体の様子を検知することが可能です。
赤外カメラの使用用途
赤外カメラはサーモグラフィー、体温測定、防犯機器などに用いられます。サーモグラフィーのカメラ部分や医療現場での体温などの温度管理、暗闇でも動作する特性を利用した防犯機器、光が無い環境で生産する必要がある製品の検査装置、デジタルカメラにおける撮影精度の向上のための機能の1つとして有用です。
赤外カメラの選定の際には、検出精度や画素数、大きさ、メンテナンス性、外的要因に対しての耐久性などを考慮して選定する必要があります。
赤外カメラの原理
赤外カメラは、赤外線集光レンズ、検出素子、処理装置で構成されています。検出素子にはサーモパイルが主に使用されており、情報を入手する画素数の数だけ、サーモパイルが検出素子に埋め込まれています。
集光レンズは赤外線のみを集光し、サーモパイルに光を移動させるのが役割です。サーモパイルに照射された赤外線は、サーモパイルに到達時に温度を赤外線の強度に応じて変化させます。その変化量に応じて、サーモパイルは電流を流し、その電流をそれぞれのサーモパイルごとにアンプなどで増幅し、処理装置によって描写されます。
赤外線の強度が大きければ白色に近い点に、赤外線の強度が小さければ黒に近い点になり、物体のあるなしを判定することが可能です。製品によっては、サーモパイルを冷却するための機構が組み込まれているものや高度な画像処理のプログラムが内蔵されているものもあり、より高精度に画像を検出できるよう工夫がなされています。
赤外カメラの種類
1. 遠赤外線を用いた遠赤外カメラ
赤外線は大きく分けると、遠赤外線と近赤外線に分類できます。これらの違いは波長の違いです。人の目が捕らえることのできる光に近い領域 (780nm~2,500nm) が近赤外線、人の目では到底捕らえることのできない領域 (4~1,000μm) が遠赤外線です。
これらの性質を利用したカメラが、赤外カメラとして販売されています。しかし、同じ「赤外カメラ」といっても、遠赤外カメラと近赤外カメラは全く異なる製品です。
遠赤外カメラは、サーモグラフィーのようなカメラのことを指しています。赤外線は私たち人間を含むすべての物体から放出されており、物体から放射される赤外線は、物体の温度と比例しています。つまり、物体から放射される赤外線を計測することで物体の温度を測定しますが、その測定デバイスが遠赤外カメラです。
このように「熱を観察できる」という特徴はとても有用で、私たちがすぐに思いつく用途は先ほど述べたようなサーモグラフィーによる温度測定などですが、「相手に気づかれることなく相手を監視できる」という特徴から、軍事産業にも多く活用されています。
2. 近赤外線を用いた近赤外カメラ
近赤外カメラとは、近赤外領域 (780nm〜2,500nm) の光を捕集するカメラで、遠赤外カメラとは全く違う性質を持ちます。遠赤外カメラは物体の温度を測定する製品であるのに対して、近赤外カメラは一般的なカメラと同じように我々が認識できる空間を撮影するものです。身近なところではスマートフォンのカメラに搭載されていますが、そのメリットは「劣悪な照明条件でも高いコントラストを保った撮影ができること」にあります。
通常のカメラであれば、十分な照明条件が整わなければ所望の画像を撮影することができません。しかし、近赤外カメラは照明条件が劣悪であっても近赤外線を捕集することで高コントラストの画像を鮮明に撮影することが可能です。そのため、夜間の防犯カメラや産業用カメラとして、幅広く活用されています。
参考文献
https://www.vision-sensing.jp/images/20190523105310000000.pdf
https://jpn.nec.com/info-square/mitatv/discover/33/
https://www.ko-pro.tech/200317marutto/