圧力伝送器

圧力伝送器とは

圧力伝送器はあらゆる圧力を電気信号に変換して送信する機器です。

主に圧力制御を行う際にセンサーとして用いられます。基本的には信号としてDC4-20mAの電気信号もしくは20-100kPaの空圧信号に変換して伝送します。ただし空圧信号の採用は減少傾向にあります。

圧力を測る対象として、気体・液体・蒸気などが挙げられます。代表的な製品として横河電機製のものが挙げられます。また圧力伝送器には絶対圧と相対圧の二種類がありますが、用途に応じて使い分ける必要があります。 

圧力伝送器の使用用途

圧力伝送器の中でも差圧伝送器の用途としては、差圧式流量測定用や圧力測定用、液面レベル測定用、液体の密度測定用などがあります。その中でも、差圧式流量測定用は最も利用用途が多く、半分以上を占める状況です。その他、順番に約30%、約20%、ごくわずかのような状況です。

圧力伝送器は例えばタンクの液面レベルを圧力伝送器にて測定し、現在の液面高さを測る用途で用いられます。また、ある圧力になった時に別の動作をさせるといった制御用途でも用いられます。 

圧力伝送器の原理

圧力伝送器は主に圧力を電気信号に変換して伝送しています。ブルドン管ダイヤフラムベローズなどを用い、圧力に伴う変位を測定します。その変位が電気信号となり伝送されるのですが、伝送する際には信号増幅を行った後に直流信号で伝送します。安定性を考え、ダイヤフラムを用いる事が多いです。

流量測定用に関して説明します。この場合はプロセス配管にオリフィスを設けることで測定できます。オリフィス前後の圧力(差圧)は流量の2乗に比例するため、圧力から流量を測定することができます。

液面レベル測定用に関して説明します。液体が入っている容器において、容器底面にかかる圧力は、液面レベル×液体密度に比例することが知られています。つまり、圧力を測定することで液面レベルを相対的に測定することができます。容器底面に内圧がある場合は圧力伝送器、内圧が無い場合は差圧伝送器を用いることで測定することができます。こちらもダイヤフラムシール式の使用が増えてきています。 

参考文献
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-06-05-01.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0211.pdf
https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-platforms/field-instruments/pressure-transmitters-j/gauge-pressure-j/

吸着パッド

吸着パッドとは

吸着パッド

吸着パッドとは、搬送システムにおいて、搬送する物品 (以下、ワークと称します) を吸着して搬送する部品です。

吸着パッドには真空発生器が接続されています。吸着パッドの吸着面とワークを接触させた状態で、これらの間の空間の圧力を真空発生器により周囲の空気圧よりも低圧 (真空) とすることにより吸着パッドにワークを吸着させて搬送します。吸着パッドと真空発生装置があれば利用できるため、様々な分野で使用され、生産効率を改善できる部品です。

吸着パッドの使用用途

吸着パッドは、吸着パッドと真空発生装置の構成で利用できるため、様々な分野で使用されています。

例えば、自動車の車体プレス鋼板・ホットスタンピング鍛造鋼板などの比較的重量のある金属の搬送や、板ガラスやフィルム・プラスチックなどの板状のもの、段ボール箱や木材などの表目粗さがあるものの搬送などです。

また、菓子などの食品やシリコンウェハやセルなどの電子部品の搬送にも対応できます。

吸着パッドの原理

吸着パッドは、接続されている真空発生器を用いてワークとの間の空間を真空にすることで吸着します。すなわち、吸着パッドとワークの間の空間の圧力を周囲の空気圧 (通常は大気圧) よりも低くすることで吸着が起こるのが吸着パッドの原理です。吸着パッドの吸着力は大気圧と吸着パッド内の圧力との圧力差に正比例します。

吸着を停止する場合には、真空発生器により制御される吸着パッドの真空度を低くすれば、ワークの自重を支えきれなくなった時点で吸着は停止し、吸着パッドとワークは離れます。

なお、真空発生器は、ベンチュリー効果を用いるエジェクター、モーターの回転によりベーンが回り気体を吸引する真空ポンプインペラの回転により周りの気体を吸引する真空ブロワの3種類です。

吸着パッドの種類

吸着パッドは、様々な形状や種類のワークに触れるため、使用環境・保持力・耐久性を考慮した様々なサイズ・材質・形状で製造されています。

1. 形状

吸着パッドの形状は、大きく平形・長円形・ベローズ (じゃばら型) の3種類です。平形は、表面が平たいワークで用いられます。

長円形は細長いワークで用いられ、パイプの様に吸着可能な面積が狭い場合にも好適です。長円形は、形状が平たくパッドの内の容積が小さいことから、短時間でワークを吸着できるメリットもあります。ベローズ形はそのじゃばら形状を生かし、ワークの高さにばらつきがあり、必要に応じて高さの補正が必要となる場合に用いられます。

2. 材質

吸着パッドの材質の代表的なものは、ニトリルゴムやシリコンゴムおよびポリウレタン、高温用特殊素材などです。例えば、食品の場合は食品に影響を及ぼさないシリコンゴムの吸着パッド、自動車の車体に使用する場合は耐油性がありシリコンフリーの材質の吸着パッドが使用されます。

吸着パッドの材質は、ワークの材質はもちろんのこと、その使用環境にも合わせることが必要です。例えば、耐久性や高速搬送が求められる場合には交換頻度の少ない高耐久性の材質を使用します。

吸着パッドの選び方

吸着パッドの選定では最初に使用条件を決定します。使用条件の主なものは、ワークの重量、吸着姿勢、使用真空圧、ワークを持ち上げる際の加速度、ワークを移動させる際の加速度、ワークと吸着パッドの摩擦係数などです。

ここでは、ワークを垂直方向に持ち上げてピックアップしたあとに、水平方向に移動する例を用いて説明します。

  1. まず、ワークを垂直方向に持ち上げピックアップする際の吸着パッドの理論保持力を求めます。吸着パッドの垂直方向にピックアップする際の理論保持力は、ワーク重量に、重力加速度とワークを垂直に持ち上げる加速度の和を乗じ、さらに安全率を乗じた値です。安全率とは、実際の使用に関する係数で、一般的なワークでは1.5程度、危険性があるワークや通気性があるワークなどの強い吸着効果が必要な場合には、2.0以上とします。
  2. 次に、ワークを垂直方向にピックアップしたのち、水平方向に移動する際の吸着パッドの理論保持力を求めます。ワークを水平方向に移動する際の吸着パッドの理論保持力は、ワーク重量に、重力加速度とワークを水平方向に移動する際の加速度を摩擦係数で除した値の和を乗じ、さらに安全率を乗じた値です。
  3. 最後に、実際の装置に使用する吸着パッドの理論保持力は、ピックアップ時と水平移動時の大きい方とし、吸着パッドの選定に使用します。実際の装置においては、吸着パッドは単体で使用する場合と、複数個をセットで使用する場合があります。

個々の吸着パッドの理論上の吸着力は、大気圧と吸着パッドの圧力の差を大気圧で除した値に、吸着面積と大気圧による力を乗じた値です。単体で使用する場合はこの値が理論保持力より大きくなる吸着パッドを選定します。一方、複数個で使用する場合には、個々の吸着パッドの吸着力に吸着パッドの数量を乗じた値が、理論保持力より大きくなるように吸着パッドを選定します。

吸着パッドの材質は、一般的な用途ではニトリルゴムが多く使用されますが、静電気を嫌う環境では導電性ニトリルゴムや導電性シリコンゴムを使用するクリーン環境では、フッ素ゴムを使用するなど、用途やワークの材質に合わせた選定が必要です。

吸着パッドのその他情報

吸着パッドの寿命

吸着パッドはゴムでできているため、使用していくと吸着面が摩耗していきます。摩耗状況は使用頻度や真空圧によって様々ですが、摩耗が激しくなると空気の漏れが発生し、吸着力が落ちる、吸着までの時間が長くなるなどの不具合が生じます。

吸着パッドは通常、消耗品として扱われており、吸着面の摩耗を考慮した定期的な交換が必要です。交換時期は使用環境で異なりますが、摩耗による空気漏れで必要吸着力が得られない場合、ワークの落下など大きな事故につながる恐れがあり、余裕をもった交換時期を設定する必要があります。

例としては吸着パッドでの漏れによる真空圧力低下を測定し、規定値を下回った場合は交換するなど、基準数値を決めておく方法がよく用いられます。

参考文献
https://www.fukudaco.co.jp/support/glossary/vacuum-pad.html
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/suctionpads.html
http://www.schmalz.co.jp/fileadmin/schmalz/country-pages/jp/pdf/VT_Main-2012/vt-vacuum_components-2012_06-P0163-vacuum_knowledge_system-cp-01.pdf
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr01/a0217.html http://www.smcworld.com/newproducts/ja/pdf/zp3.pdf

ロボシリンダ

ロボシリンダとは

ロボシリンダとは、電動式のシリンダのことです。

シリンダには、コンプレッサエア (圧縮空気) を利用したエアシリンダがあります。また、油圧を利用した油圧シリンダもあります。エアシリンダや油圧シリンダでは、シリンダの片側または両側から供給される流体が駆動源です。一方、ロボシリンダは電気を駆動源としています。

電動化しているとはいえ、直線的な動作しかできず、1軸の稼働となります。一般的にエアシリンダは2点、多くても3点程度の位置決めしかできませんが、ロボシリンダはストローク範囲内であれば自由に位置決めできます。

ロボシリンダの使用用途

ロボシリンダは、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置など様々な用途で使用されています。エアシリンダと比較したロボシリンダの利点として、まず省エネルギーが挙げられます。圧縮空気が通過する配管の抵抗などによりエアシリンダのエネルギー効率は、一般的に悪いです。ロボシリンダの消費電力は、エアシリンダの消費電力の10分の1程度であることが知られています。

その他の利点としては、停止時に衝撃が少ないこと、タクトタイムを短くできること、設計や製造が楽であること、多品種対応が可能であることが挙げられます。ロボシリンダはアイエイアイの電動アクチュエータの商品名で、エアシリンダの高機能代替を目的とした製品です。

最近では、エアシリンダの市場をターゲットにして、2点間の移動に特化したエレシリンダと呼ばれる製品も販売されています。

ロボシリンダの原理

ロボシリンダは主としてボールネジリニアガイドACサーボモーターで構成されています。ロボシリンダは小型であり、軽量物を扱う装置での使用に適しています。

重量物を扱う装置では、ロボットシリンダよりも大型で剛性の高い単軸ロボットが使用されます。

1. ボールネジ

ボールネジは、サーボモーターの回転運動を直線運動に変換するために用いられます。動力伝達精度が高いことと、位置決め精度が高いことが特徴です。

2. リニアガイド

リニアガイドは、ボールネジの直線運動をサポートするのに用いられます。ボールネジは直動運動を行うだけであり、動作方向以外の方向に対する耐性はあまり強くありません。そのため、ボールネジの直線運動に支障がでないように補助的な役割としてリニアガイドが用いられています。

3. ACサーボモーター

AC サーボモーターは、ロボシリンダの動力源です。エンコーダを用いた回転制御により、モーターの回転量の制御が可能です。モーターの回転量の制御が可能であるため、ボールネジによる直線動作距離を自在に制御できます。従って、ロボシリンダの駆動距離を自在に調整できます。

ロボシリンダの選び方

ロボシリンダはエアシリンダと同様に大きく、ロッドタイプとスライダタイプに分けられます。

1. ロッドタイプ

ロッドタイプは、ロッドが伸縮するタイプです。設置スペースは大きくなりますが、押付け動作などに向いています。ただし、ラジアル荷重を受けるためには直動ガイドを併用するか、ガイド付きのものを選定する必要があります。

ロッドタイプの場合、モーメント荷重をガイドが受けるので、必要推力を超える推力を出せる型式を選択すれば問題ありません。

2. スライダタイプ

スライダタイプは、直動ガイドと一体になったタイプです。スライダに移動物を直接取り付けて使用できます。スライダタイプでは、一体化された直動ガイドの許容範囲内に入るように型式を選定します。

まず、スライダに取り付けた移動物の重心位置と重量からスライダにかかるモーメント荷重を求めて、許容モーメント荷重を超えないように型式を選定します。次に、カタログ記載の速度-可搬重量表で、使用速度での可搬重量を確認し、移動物重量が可搬重量を超えないようにします。可搬重量は水平取付と垂直取付で大きく変わるため、注意が必要です。

ロボシリンダのその他情報

ロボシリンダの機能

ロボシリンダには、ポジション運転、位置決め運転、押付け運転などの機能があり、ロボシリンダはエアシリンダと比較して非常に高機能です。

ポジション運転は多点位置の搬送を行う場合などに使用され、位置決め運転は移動位置を上位機器が計算などで設定する場合に使用されます。押付け運転は、ワークの定圧クランプを行う場合などに役立つ機能です。

1. ポジション運転
ポジション運転を行うためには、ポジションと呼ばれる停止位置や、移動時の速度および加速度をあらかじめPLCなどの上位機器に登録する必要があります。ポジション運転は、上位機器でポジション番号が指定されたときに、ポジション番号に対応付けられた停止位置にロボシリンダが移動する動作です。

2. 位置決め運転
位置決め運転では、PLCなどの上位機器で移動量 (または停止位置) 、移動時の速度および加速度を直接指定してロボシリンダを運転させます。

3. 押付け運転
押付け運転では、ロボシリンダが設定された押付け力で押付け動作を行います。この動作はティーチングペンダント、またはパソコンソフトで設定し、上位機器で制御します。

参考文献
http://www.hamamatsukizai.com/shokai-iai.html
https://mechanical-engineer48.com/post-4835/

ボンデ鋼板

ボンデ鋼板とは

ボンデ鋼板とは、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鉄鋼材料です。

薄鋼板の両面を亜鉛の電気めっきし、酸化マンガンリン酸鉄を用いて電気化学的防食による表面処理  (リン酸塩皮膜処理) が施されます。ボンデ後半は塗膜の付着性が良く、耐食性が優れています。

ボンデ鋼板という名前は、新日本製鉄 (現在の日本製鉄株式会社) が初めて製造・販売を行ったときの商品名です。リン酸塩処理に用いる処理剤はボンデ剤と呼ばれていることに由来します。JISではSECC 「電気亜鉛めっき鋼板」として定められた鉄鋼材料の1種です。

なお、ボンデ鋼板という名称が通用するのは、ボンデ鋼板を使用する金属加工業者や建築業界であり、材料を供給する鋼材業界では用いられていません。

ボンデ鋼板の使用用途

ボンデ鋼板は、主に建築材として屋内で使用される金物や家具、照明器具などに多く使われます。身近な例は、デスクトップパソコンの背面パネルはボンデ鋼板です。塗装が施されたものは、ビルや駅などの建物の内壁や天井に使用されています。ATMなどの機械装置のカバーや、エレベータやエスカレータの外装なども用途の1つです。

屋外用ではトラックのボディとして使用される場合もありますが、塗装の下地が施された材料として使用されており、この上からさらに塗装を行います。ボンデ鋼板の板厚は規格として、0.6、0.8、1.0、1.2、1.6、2.3、3.2mmの7種類があります。数字が中途半端なのは、従来のインチ表記の影響によるものです。 

ボンデ鋼板の性質

ボンデ鋼板は上述したように、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鋼材です。亜鉛めっきを鋼材に施す方法にはいくつか種類ありますが、ボンデ鋼板は電気めっきにより鋼板の表面に均一な亜鉛皮膜を形成させます。

亜鉛めっきによる最も重要な効果は、鋼板に防錆の特徴をもたせることです。鉄を主成分とする製品は、使用環境によっては錆が発生し、見た目が悪くなるだけでなく強度も大きく劣化してしまいます。そこで鋼に亜鉛めっき施すことで、鉄の表面が亜鉛に覆われて防錆の効果が得られます。

また、亜鉛めっきの防錆メカニズムは、例えば製品に小さな傷がつくと、鉄が錆びる前に亜鉛がその傷に溶けて出してカバーするものです。この効果は犠牲防食などと呼ばれ、めっき材料が母材よりもめっきの材料が自ら先に腐食することによって、母材を保護します。

その他にも電気亜鉛めっきの優れた性質として、表面を薄く覆うだけでなく、全体を均一に覆えるという点が挙げられます。そのため、見た目も綺麗なだけではなく塗料が乗りやすいという面でも、ボンデ鋼板が使いやすい材料になっている理由の1つです。

ボンデ鋼板の特徴

1. 美しい外観が得られる

ボンデ鋼板なら電気亜鉛めっきならではの、均一で滑らかな表面が得られます。塗装とは違った雰囲気が得られるのもボンデ鋼板の魅力です。

2. 加工性に優れいている

ボンデ鋼板は曲げ加工やプレス加工、絞り加工にも向いた材料です。強度は劣るため構造部材としては向いていませんが、優れた加工性から装飾やパネル部材などには適しています。

3. 溶接ができる

ボンデ鋼板は溶接ができます。一般的にめっきが施された材料は、めっきの皮膜が溶融しずらいなどの理由から溶接ができない場合がほとんどです。ボンデ鋼板はめっき皮膜が薄いので、ティグ溶接などのアーク溶接で接合することができます。

4. 塗装との相性がいい

ボンデ鋼板に施されるリン酸亜鉛めっきは、塗装の下地に適しており、塗料の密着性が高まります。また塗装が傷ついた場合でも亜鉛めっきの犠牲防食により、錆の発生を抑制ことが可能です。

ボンデ鋼板のその他情報

ボンデ鋼板鋼板とSGCCとの違い

SGCCとは、溶融亜鉛めっき鋼板のことです。SGCCは電気によってめっきが施されたボンデ鋼板 (SECC) とは異なり、鋼板を溶融した亜鉛に漬け込むことによって、鋼板の表面に亜鉛皮膜を施します。

ボンデ鋼板もSGCCも同じ亜鉛をめっきしたものですが、めっきの方法が違うため両者の性能には違いがあります。電気めっきは均一で薄い被膜が形成されますが、溶融亜鉛めっきの皮膜は比較的不均一で分厚い亜鉛の被膜です。

亜鉛めっきの耐食性はめっきの膜厚に依存するため、溶融めっきを用いたSGCCの方が、ボンデ鋼板よりも高い耐食性を示します。以上のような違いから、見た目が重視される場面ではボンデ鋼板が使用され、錆に対する耐食性が重視される場面ではSGCCが選ばれるのが一般的です。

参考文献
https://www.homes.co.jp/words/h5/525003436/
https://yamadabody.jp/blog/products/truckfender/truckfender_1/
https://2435.co.jp/339.html
https://caddi.jp/articles/

ヘルールガスケット

ヘルールガスケットとは

ヘルールガスケットはヘルール配管同士を接続する際に使用するガスケットです。配管やバルブの接続には継手が使われています。継手の接続方法にはねじ込み・フランジ、ヘルールなどが使われています。

継手の中でも、より衛生的な環境で使用がなされているのがヘルールです。特にねじ込みやフランジに比べて分解が行いやすいことが特徴です。分解して洗浄を行う場面で良く用いられています。使用するガスケットは専用のものが用意されています。 

ヘルールガスケットの使用用途

ヘルールはサニタリー配管やサニタリー継手とも呼ばれています。サニタリーとは衛生的という意味で使われます。工具が不要で組み付けや分解が行えるため、洗浄等を行うために取り外しが多い部分で用いられます。

ヘルールの配管内部は凹凸がないことが特徴で、洗浄に優れています。また液だまりが少ないことから、異物混入や菌発生のリスクを減らすことができます。これら特徴から医薬品・化粧品・食品関連の分野で用いられています。

ヘルールガスケットの原理

ヘルールはヘルール配管とガスケット、クランプバンドの3点で構成されています。ヘルール配管のフランジ部分には溝が刻まれています。一方使用するガスケットは通常の平たい構造ではなく、ヘルール配管の溝に合うような十字のでっぱりが付いています。ヘルール配管同士を接続する場合、間に専用ガスケットを接続することでしっかりシールされます。接続したフランジ同士をクランプバンドで止めることで固定させます。締め付けは手で行うことができるため、工具が必要ありません。

ガスケットは使用する流体により変更することができます。一般的なのは白色のシリコンガスケットです。その他にもPTFEフッ素ゴム、EPDM、NBR、サニクリーンなど様々な種類が開発されています。

ヘルールガスケットにはA型とB型が存在します。A型は断面がL型となっており、ガスケットの周辺が盛り上がった形をしています。一方B型は断面が平面となっています。A型の方がヘルールのフランジ部分に乗せた時にずれが少ないです。 

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sanitary_ferrule/
http://energy-kanrishi.com/ferrule/
https://kinokikou.jp/info/knowledge/gasket-a-b/

サニタリー継手

サニタリー継手 (フェルール継手) とは

フェルール継手サニタリー継手とは、清浄性が求められる配管に使用される継手です。フェルール継手とも呼ばれます。

サニタリー継手は、食品、医薬品及び化粧品など人体へ直接摂取したり、人体に作用する製品を製造する工場などで多く使われます。通常の配管継手は、その継手部に「溜まり」などが発生しても、大きな問題とはなりません。しかし、清浄性が求められる食品や医療品製造分野では、溜まりの部分で発生するバクテリアや異物が大きな問題となります。そのため、サニタリー継手を使用する場合が多くあります。

サニタリー継手の使用用途

サニタリー継手は医薬品・化粧品・食品関連などの分野で用いられています。サニタリーとは衛生的という意味です。サニタリー継手は工具が不要で組み付けや分解が行えるため、洗浄等を行うために取り外しが多い部分に用いられます。

サニタリー継手の配管内部は凹凸がないことが特徴です。使用上は、特に洗浄のしやすさの点で優れています。また、液溜まりが少ないことから、異物混入や菌発生のリスクを減らすことができます。

サニタリー継手の原理

 1. サニタリー継手の構成

サニタリー継手の構成部品は、サニタリー配管とガスケット、クランプバンドの3点です。サニタリー配管のフランジ部分にはガスケットを保持するための溝が刻まれており、ガスケットにはサニタリー配管の溝に合うような突起形状が付いています。

2. サニタリー継手の接続

配管同士を接続する場合、間に専用ガスケットを接続することでしっかりシールされます。接続したフランジ同士は、クランプバンドで固定しますが、締め付けは手のみで行うことができ、工具の必要がありません。

サニタリー継手は配管部品なので、エルボやチーズ、ソケット、ニップルなど複数の継手が存在します。配管や部品と接合しない場合など、末端の閉鎖を行う場合には、サニタリーキャップを使用します。

サニタリー継手で使用するガスケットは、配管内を流れる流体により変更できます。一般的なのは白色のシリコンガスケットです。その他、PTFEフッ素ゴム、EPDM、NBR、サニクリーンなど様々な種類が開発されています。

 サニタリー継手のその他情報

1. サニタリー継手の取り付け方

サニタリー継手の取り付けは、フランジに刻まれた溝にサニタリーガスケットをはめた後、接続先のフランジと突き合わせ、サニタリークランプでフランジを挟み込んで締め付けます。取り付けの際にフランジの溝やガスケットにホコリや異物が付着しているとシール性が確保できません。

液漏れの原因となりますので、各品を清浄な場所に保管するとともに、取り付け前に汚れのないことが必要です。また、ガスケットが溝にうまくはまっていない状態で締め付けると、ガスケットが破損するため注意が必要です。

2. サニタリー継手の規格

サニタリー継手は、ISO規格の他に3A規格 (アメリカの衛生関連3団体が定めたサニタリー規格) 、JISガス配管規格、JISステンレス鋼サニタリー管規格などの複数の規格があります。サニタリー用途として一般的に用いられる物はISO規格品であることがほとんどですが、互いに異なる規格との取り付けは基本的にできません。

また、同じISO規格品であっても、異なるメーカーの製品はガスケット溝の形状が微妙に違っている場合があるので、基本的に1つの工程配管は同じメーカー品で揃える方が無難です。

3. サニタリー継手の耐圧性

サニタリー継手は脱着の容易さを主眼に置いた機構であり、耐圧性はそれほど高くありません。一般的には1MPa以下の範囲での使用が推奨され、流体の腐食性や温度等によっても耐圧性は変化します。余裕を持った範囲で使用することが大切です。

サニタリー継手は、ある程度の低圧・低真空まで使用可能ですが、高真空用には真空用規格であるNW/KF規格が用いられます。これは一般のサニタリー継手と同様に、ガスケットをフランジで挟み、サニタリークランプで締め付けるものですが、Oリングに金属製のインナーリングが取り付けられた特殊なガスケットを使用します。NW/KF規格フランジでは10^-7Pa程度の高真空が可能です。

サニタリー継手はフランジ面の傷つきやガスケットの劣化、汚れの付着等により耐圧性が損なわれる可能性があるため、取扱いには注意し噛み合わせ部分の劣化を防ぐことが必要です。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sanitary_ferrule/
http://energy-kanrishi.com/ferrule/
https://www.consuss.co.jp/faq/
http://www.sakura-seal.co.jp/category/1932408.html

真空発生器

真空発生器とは

真空発生器とは、真空状態を生成する装置です。

真空とは気体分子が存在しない空間を指し、その圧力は通常の大気圧よりも非常に低いレベルに保たれている状態のことです。真空発生器は物理学や工学分野において真空が必要な場合に使用される装置で、重要な役割を果たします。

エジェクター、真空ポンプ、真空ブロワの3種類が存在し、それぞれ用途によって使い分けます。真空発生器の中でもエジェクターは原動力が不要なため、遠隔地や不便な場所でも使用することが可能です。一方で、真空ポンプや真空ブロワは電動のため、効率よく真空をつくることができます。 

真空発生器の使用用途

さまざまな製造現場で活用される真空発生器は、半導体製造などにおける産業プロセスを支えるために使用されます。また、自動車産業では、物体を表面に密着させる「吸着」の原理を利用して車体やガラスの取り付け時、大きな部品を確実に保持するために不可欠です。

その他にも、医療現場や生活に身近な食品包装などに活用されています。

1. 半導体製造

真空発生器は、半導体製造などの微細な部品を作る際に高い真空度が必要とされます。真空発生器の用途として、高真空状態を作り出すことで物体を吸着させるというものがあります。

例えば、エッチングプロセスや蒸着プロセスにおいて、微細な部品を精確に配置するために、吸着を使って部品をハンドリングすることで、高度なプロセス制御が可能となります。

2. 医療機器の製造

医療機器の製造においては、高品質でクリーンな真空環境が必要とされます。例えば、血液分析装置や放射線治療機器の製造には真空発生器が使用されます。これにより、機器内部の汚染や気体の影響を最小限に抑え、正確な機能を実現します。

3. 食品包装

食品や製品の保存期間を延長し、鮮度を保つための真空包装などにも多く使用されます。例えば、スーパーなどに並ぶ肉や野菜などの鮮度を保つための真空包装は欠かせない装置です。

真空発生器の原理

真空発生器の基本的な原理は、気体分子を取り除くことで空間の圧力を下げるというものです。幅広い産業分野において使用されている装置で、電子デバイスの製造、化学反応の制御、空間シミュレーション、真空管の動作などに欠かせません。

1. エジェクター

エジェクターは、ポンプやコンプレッサーのように動力源を必要とせず、単純で信頼性の高い仕組みが特徴です。ベンチュリ―効果を用いて真空発生させます。エジェクター内は部分的に絞られた構造となっており、そこを駆動流体であるエアーが高速で通り抜けることで、部分的に真空になります。

2. 真空ポンプ

真空ポンプは、空気や気体を取り除き、容器内の圧力を低下させることで、真空を生成します。真空を生成する方法は、排気と吸着、拡散の3点です。

排気による方法では、機械的なポンプや分子ポンプを利用して気体を排出し、圧力を低下させます。具体的には、モーターの回転によりベーンが回り、ケーシング内の気体を密封しながら排出します。

吸着による方法では、吸着剤を使用して気体分子を吸着させ、空間内の圧力を下げます。拡散による方法では、気体分子の運動を制御することで圧力を減少させます。

3. 真空ブロワ

真空ブロワは、真空ポンプとは逆の原理で動作する装置です。圧縮空気を用いて真空を発生する機能を持っており、モーターを回すことで内蔵された羽を回転させて気体を取り込み、排気します。この吸気・排気過程により、容器内の圧力が低下し、真空が生成されます。

真空発生器の選び方

真空発生器を選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮することが大切です。

1. 真空度

使用する産業や用途に応じて必要な真空度が異なるため、適切な真空度を選ばなければなりません。

2. 排気速度

排気速度は、装置がどれだけの量の気体を処理できるかを示す指標であり、作業効率に影響を与えます。高い排気速度が必要な場合は、それに適した真空発生器を選びます。

3. 耐久性・メンテナンス性

長期間安定した動作が求められる場合は、耐久性が高く、メンテナンスが容易な製品を選ぶことが重要です。

スパイラル熱交換器

スパイラル熱交換器とはスパイラル熱交換器

スパイラル熱交換器とは、名前の通りスパイラル形状を利用した熱交換器です。

流体が渦巻流になるのが特徴です。また、化学工学的な観点から見ると軸側流路は断面積が広いことから圧力損失が低く、狭い流路間隔を形成できることから流体同士を近づけた熱交換ができます。

スパイラル形の流路は、多管式熱交換器での円管流路に比べて乱流が生じやすいです。そのため、高い熱伝導性が得られます。流路は板幅などを柔軟に変化させることが可能で、条件に合った設計が行いやすいです。 

スパイラル熱交換器の使用用途

熱交換器は高温流体と低温流体を接触させて熱交換させる機器で、廃熱を利用するなど主に省エネの分野で用いられます。また、流体同士が直接触れてはいけない場合にも熱交換器を経由して、間接的に熱交換させることが可能です。

温度条件が厳しい場合、多管式熱交換器は直列に複数基の熱交換器を接続しますが、スパイラル熱交換器は1基で賄えたりするケースもあります。また、熱交換器の汚れが少ないことから、洗浄を減らしたいときにも有用です。

スパイラル熱交換器の原理

スパイラル熱交換器の伝熱部分は、2枚の金属板をスパイラル状に巻き付けた流路になっています。2か所から送られた流体がスパイラル内を通ることで、金属板表面を介して熱交換が行われます。このとき、流路で乱流が発生していることが起因して、より効率的な熱交換を実施することが可能です。

2枚の金属板を巻き付ける構造であることから、流路断面積を小さく保つことができます。それにより熱交換器内の流速を上げることが可能で、スケールを剥離するような自浄作用がは働きます。反対に流路幅を少し広めに調整することで、固形分を含む流体でも対応するようになります。

スパイラル熱交換器の種類

スパイラル熱交換器の構造は接触させる流体の種類によって1型〜3型の3つに分けられます。また、塔頂が直接接続できるようになっている塔頂コンデンサー式も存在します。

1. 1型

1型は2つの流体を流す管を隣同士に渦形状で配置した構造です。逆向きに各流体を流します。単一流路である管の構造上、沈殿物が堆積しても洗い流されやすいです。

沈殿物が堆積すると管内が詰まるため、詰まった箇所での流速が増加します。流速が増加した流体が堆積物を流す仕組みです。形状がどこを取っても同じ断面であることも、固体が堆積しにくい理由の1つです。上記の理由から1型は汚れが残りにくくなっています。

2. 2型

2型は中央に半径が大きな軸方向の菅が存在し、その周囲に渦形状の管が配置された構造です。軸方向の管には気体を流し、渦形状の管には液体を流すことで熱交換を実施します。

軸方向の管は半径が大きい管を使用しているため、気体の通過距離を短くすることが可能です。圧力の損失が小さい特徴を持ちます。管同士の距離を近く配置できるため、熱交換効率を高くすることが可能です。

3. 3型

1型のスパイラル面を地面に対して、垂直に設置した構造です。

スパイラル熱交換器のその他情報

層流と乱流

流体の流れ方向は、管に対して自然な流れ方向である層流と不規則な方向に流体が流れる乱流の2種類があります。流体内の流れが層流か乱流なのかは、レイノルズ数と呼ばれる指数で知ることができます。レイノルズ数とは、流体速度や流体の粘性などで定まる指数です。

流体の流れが乱流になると、熱伝導性は上がります。一方で、層流は熱伝導性は小さいものの圧力損失が小さく済む特徴を持ちます。熱交換機ではこの層流と乱流を菅内で制御することが重要です。

スパイラル熱交換器が持つ渦形状の管は、乱流を発生しやすくなる形状です。そのため、流れの観点でも多管式熱交換器等と比較して熱伝導性に優れています。

参考文献
https://www.kurose.co.jp/sh_merit.htm
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period04.html
http://www.morimatsu.jp/construction/pressure/hex.html

ステンレスタンク

ステンレスタンクとは

ステンレスタンク

ステンレスタンクとは、材質がステンレスのタンクです。

特に指定がない場合は、金額面の観点から鉄製タンクが用いられますが、錆を防止したい場合はステンレスタンクが用いられます。また、ステンレスの中にも種類があり、細かい用途や予算に応じて使い分ける必要があります。

ステンレスタンクは、タンク内に材料を入れ、撹拌器を用いて撹拌混合する用途で用いられる場合が多いです。そのほか、20号タンクとしても用いられます。なお、20号タンクとは、危険物を一時的に貯蔵するタンクのことです。

ステンレスタンクの使用用途

ステンレスタンクは錆に強いことから、錆びやすい場面で用いられる場合が多いです。ただし、ステンレス製でも錆びることはあります。錆びないのではなく、あくまでも錆にくいという点に注意が必要です。

具体的な使用用途の例としては、製品の保管、攪拌機による調合、加熱、冷却などが挙げられます。業種は、化学・食品・製薬・化粧品・工業など、非常に幅広いです。ステンレスの表記はSUS (StainLess Steel) の後に数字がくるようになっており、耐薬品性が低い順に「SUS430→SUS304→SUS316→SUS316L」となります。

タンク用途以外も含めて一般的なのはSUS304です。化学薬品や海水などを扱う場合は、更に耐薬品性のあるSUS316を用います。医薬品や化粧品などではSUS316Lが用いられます。

ステンレスタンクの原理

錆は鉄が空気中の酸素と反応し、酸化鉄になることが原因です。ステンレスは中にクロムが入っており、鉄より先にクロムが空気中の酸素と結合することで錆を防止します。クロムが酸化すると、表面に数ナノメートル程度の不動態膜を形成します。

不動態膜は化学変化しづらいため、鉄と酸素が結合するのを防ぐのが役割です。ステンレスに傷がつくと不動体膜が剥がれる場合もありますが、すぐにクロムが酸化して新たな不動体膜を形成します。前述したステンレスのSUS304は、クロム18%、ニッケル8%が含有しています。18-8ステンレスとも呼ばれており、ニッケルは不動体膜を更に形成しやすくする効果があります。

さらに、ニッケルを増量し、モリブデンを追加したステンレスがSUS316です。モリブデンの効果により、不動体膜が厚くなることで耐食性を増加させます。SUS316をより強力にしたものがSUS316Lです。炭素含有量を減らすことで、溶接部分の腐食性を低下させる性能があります。

ステンレスタンクの選び方

ステンレスタンクのラインナップはメーカーによって異なるため、使用目的に合わせてメーカーと容器を選びます。製品の保管用には、移動しやすい取っ手付、攪拌用には攪拌機の取り付け台座付など、種類はさまざまです。

保温や冷却など、内容物の温度調節用には、ジャケット容器を選定します。また、内容物の残量が見えるようにレベルゲージ付、製品の回収ができるようにドレン排出口付の容器もあります。製品の回収を目的とする場合、排出をなめらかにするため、容器の底がホッパー形状やスロープ形状となることが多いです。

容器底が鏡板形状の場合は、攪拌時に底部の液が滞留しなかったり、荷重を分散させるため、圧力に強くなったりします。製品が食品の場合は食品衛生法適合の容器、危険物の場合には危険物容器など、法規を満たした製品を選びます。

ステンレスタンクのその他情報

ステンレスタンクの電解研磨

ステンレスタンクの清浄性や耐食性を上げる際、電解研磨を実施する場合があります。電解研磨とは、電気分解の作用により、金属表面を溶かして平滑化する処理のことです。

ステンレスに電解研磨を施した場合、表面に耐食性に優れるクロムの割合が高くなった酸化被膜が形成されるため、汚れがつきにくくなります。また、溶接焼けの削除、バリ取り、金属光沢を出せるなどもメリットです。

溶接焼けを削除する方法として、酸洗いも挙げられます。酸洗いとは、製品を酸系の溶液に浸し、表面に付着した酸化物を除去する処理のことです。酸洗いはコストや対応サイズに優れる一方、金属光沢を出せないというデメリットもあり、製品用途によって処理方法を使い分けます。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus-rust/
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus316l/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/833/

PH計

PH計とは

PH計

pH計とは、液体のpHを測定する装置です。

pHは水質を表す指標の一つであり、液体の水素イオン濃度を表すものです。例えば水道水は中性、炭酸水や胃酸は酸性、石灰水やせっけん水などはアルカリ性に分類されます。

簡単な測定方法としてはリトマス試験紙を用いた比色法による測定方法があります。ただし、より正確なpHを知るためにはpH計が必要になります。pH計は主にガラス電極を用いているものが主流であり、これをガラス電極法と呼びます。

PH計の使用用途

主に燃焼を行うゴミ焼却場、ボイラー、火力発電などでのpH測定や、建設土木工事やコンクリート工場での工場排水放水時のpH測定などで用いられます。pH計を設置しておくことで常時測定し、異常なpHにならないか監視する用途でも用いられます。

食品分野ではpHによって味や安全性が変化するものも多々あります。食品それぞれに適したpHがあり、適したpHでないと風味が損なわれたり、異物が混入してしまったりと問題が発生してしまいます。

PH計の原理

PH計の原理

図1. PH計の原理

一般的なガラス電極法でのpH系は、ガラス電極と比較電極の2種類を用いて測定します。この2つの電極の電位差を測定することでpHを測定することができます。

ガラス薄膜の内外にpH差が発生しているとその差に応じた電位差が発生します。理論上では、25℃の溶液においてpH差が1あれば起電力は約59mV発生します。ガラス電極の中の液は通常pHが7の液を用いるため、起電力を測定することで測定対象のpHが分かります。

上記の様に起電力を測定するには、対比となるもう1本の電極が必要となります。これを比較電極と呼びます。比較電極は液絡部を介して電極内部液と被験液が接触しており、被験液が変化しても電位がほとんど変化しません。ただし、液絡部では常に電極内部液が被験液の方に流れることが理想であり、このため測定時は比較電極の内部液補充口を開け、内部液の液面は被験液面よりも高くする必要があります。

pH測定を行うにあたり、必ず標準液を用いた校正を行う必要があります。標準液には緩衝液が用いられます。JISにより決められた5種類の標準液が存在します。シュウ酸塩、フタル酸塩、中性リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩の5種類です。pH差が1で約59mVと小さな電位差ですので、まずこれら標準液を用いて校正を行うことでpH差による起電力を測定する際に正確に測定することができます。

PH計のその他情報

1. PH計の電極

PH計の電極

図2. PH計の電極

一般的にpH計は、電極と温度補償用の温度センサで構成されています。電極にはガラスが用いられ、このガラス電極と比較電極の2本の電極間に生じた電位差を測定することによりpHを確認します。

pH計の測定電極は白金/水素電極が用いられてきましたが、この電極は現在では一般的には使用されていません。一方で、高精度の測定結果を得るための参照電極として使用されています。

現在では多様化している被測定溶液に対応するために、ガラス電極が使用されています。ガラス電極は、pH感度を持つガラス膜内に内部緩衝液を封入し、内部導通用電極を通り、電位を測定します。また、外側の電極管は高い耐アルカリ性をもち、ガラス膜の持つ電気抵抗に比べ数倍の抵抗を持つことが要求されます。

pH計は、ガラス電極(測定電極)と参照電極が対となって、2本の電極を用いて測定するのが多かったのですが、測定電極と参照電極が1つに組み合わされた複合電極が考案され、多くの場で使用されています。
複合電極では、測定電極の外側に同心円状で参照電極が付いている構造となっています。

2. PH計での土壌測定

作物を育てる際に、土壌のpHを確認し、酸性側か、アルカリ性側かを確認する必要があります。

例えば、茶はpHが5で酸性、ジャガイモはpHが6で弱酸性、ほうれん草はpHが7で中性というように各作物で土壌中のpHの領域が異なります。ただし、土壌のpH測定は難しく、溶液のようにガラス電極を地面に刺すこができません。

土壌のpH測定としては、農林水産省がマニュアルを作成し、指示薬を使用した簡易測定法があります。

これは、採取した土壌を自然乾燥させ、水道水と混ぜます。5-10分ほど静置し、上澄液を採取して、指示薬を滴下します。検水の発色を読み取り、対応するpHを確認します。なお、これ以外に、ポータブルのpH測定器もあり、直接地面に刺して、対象となる土壌のpHを測ることも可能になっています。

参考文献
http://www.fkk-net.co.jp/pc/contents19.html
https://www.horiba.com/jp/application/material-property-characterization/water-analysis/water-quality-electrochemistry-instrumentation/the-story-of-ph-and-water-quality/the-story-of-ph/measurement-of-ph-in-many-fields/foods-medicines-cosmetics-and-medical-care/
https://www.horiba.com/jp/application/material-property-characterization/water-analysis/water-quality-electrochemistry-instrumentation/the-story-of-ph-and-water-quality/the-basis-of-ph/measuring-ph-using-a-glass-electrode/
https://www.horiba.com/jp/application/material-property-characterization/water-analysis/water-quality-electrochemistry-instrumentation/the-story-of-ph-and-water-quality/the-basis-of-ph/measuring-ph-using-a-glass-electrode/reference-solution/
https://www.tactec.co.jp/download/hamilton_dl/hamilton_pH_info_1.pdf
https://www.toadkk.co.jp/support/useful/useful05.html
https://www.toadkk.co.jp/support/useful/useful03.html
https://www.suzuken-ltd.co.jp/choose/soil/