ボンデ鋼板

ボンデ鋼板とは

ボンデ鋼板とは、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鉄鋼材料です。

薄鋼板の両面を亜鉛の電気めっきし、酸化マンガンリン酸鉄を用いて電気化学的防食による表面処理  (リン酸塩皮膜処理) が施されます。ボンデ後半は塗膜の付着性が良く、耐食性が優れています。

ボンデ鋼板という名前は、新日本製鉄 (現在の日本製鉄株式会社) が初めて製造・販売を行ったときの商品名です。リン酸塩処理に用いる処理剤はボンデ剤と呼ばれていることに由来します。JISではSECC 「電気亜鉛めっき鋼板」として定められた鉄鋼材料の1種です。

なお、ボンデ鋼板という名称が通用するのは、ボンデ鋼板を使用する金属加工業者や建築業界であり、材料を供給する鋼材業界では用いられていません。

ボンデ鋼板の使用用途

ボンデ鋼板は、主に建築材として屋内で使用される金物や家具、照明器具などに多く使われます。身近な例は、デスクトップパソコンの背面パネルはボンデ鋼板です。塗装が施されたものは、ビルや駅などの建物の内壁や天井に使用されています。ATMなどの機械装置のカバーや、エレベータやエスカレータの外装なども用途の1つです。

屋外用ではトラックのボディとして使用される場合もありますが、塗装の下地が施された材料として使用されており、この上からさらに塗装を行います。ボンデ鋼板の板厚は規格として、0.6、0.8、1.0、1.2、1.6、2.3、3.2mmの7種類があります。数字が中途半端なのは、従来のインチ表記の影響によるものです。 

ボンデ鋼板の性質

ボンデ鋼板は上述したように、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鋼材です。亜鉛めっきを鋼材に施す方法にはいくつか種類ありますが、ボンデ鋼板は電気めっきにより鋼板の表面に均一な亜鉛皮膜を形成させます。

亜鉛めっきによる最も重要な効果は、鋼板に防錆の特徴をもたせることです。鉄を主成分とする製品は、使用環境によっては錆が発生し、見た目が悪くなるだけでなく強度も大きく劣化してしまいます。そこで鋼に亜鉛めっき施すことで、鉄の表面が亜鉛に覆われて防錆の効果が得られます。

また、亜鉛めっきの防錆メカニズムは、例えば製品に小さな傷がつくと、鉄が錆びる前に亜鉛がその傷に溶けて出してカバーするものです。この効果は犠牲防食などと呼ばれ、めっき材料が母材よりもめっきの材料が自ら先に腐食することによって、母材を保護します。

その他にも電気亜鉛めっきの優れた性質として、表面を薄く覆うだけでなく、全体を均一に覆えるという点が挙げられます。そのため、見た目も綺麗なだけではなく塗料が乗りやすいという面でも、ボンデ鋼板が使いやすい材料になっている理由の1つです。

ボンデ鋼板の特徴

1. 美しい外観が得られる

ボンデ鋼板なら電気亜鉛めっきならではの、均一で滑らかな表面が得られます。塗装とは違った雰囲気が得られるのもボンデ鋼板の魅力です。

2. 加工性に優れいている

ボンデ鋼板は曲げ加工やプレス加工、絞り加工にも向いた材料です。強度は劣るため構造部材としては向いていませんが、優れた加工性から装飾やパネル部材などには適しています。

3. 溶接ができる

ボンデ鋼板は溶接ができます。一般的にめっきが施された材料は、めっきの皮膜が溶融しずらいなどの理由から溶接ができない場合がほとんどです。ボンデ鋼板はめっき皮膜が薄いので、ティグ溶接などのアーク溶接で接合することができます。

4. 塗装との相性がいい

ボンデ鋼板に施されるリン酸亜鉛めっきは、塗装の下地に適しており、塗料の密着性が高まります。また塗装が傷ついた場合でも亜鉛めっきの犠牲防食により、錆の発生を抑制ことが可能です。

ボンデ鋼板のその他情報

ボンデ鋼板鋼板とSGCCとの違い

SGCCとは、溶融亜鉛めっき鋼板のことです。SGCCは電気によってめっきが施されたボンデ鋼板 (SECC) とは異なり、鋼板を溶融した亜鉛に漬け込むことによって、鋼板の表面に亜鉛皮膜を施します。

ボンデ鋼板もSGCCも同じ亜鉛をめっきしたものですが、めっきの方法が違うため両者の性能には違いがあります。電気めっきは均一で薄い被膜が形成されますが、溶融亜鉛めっきの皮膜は比較的不均一で分厚い亜鉛の被膜です。

亜鉛めっきの耐食性はめっきの膜厚に依存するため、溶融めっきを用いたSGCCの方が、ボンデ鋼板よりも高い耐食性を示します。以上のような違いから、見た目が重視される場面ではボンデ鋼板が使用され、錆に対する耐食性が重視される場面ではSGCCが選ばれるのが一般的です。

参考文献
https://www.homes.co.jp/words/h5/525003436/
https://yamadabody.jp/blog/products/truckfender/truckfender_1/
https://2435.co.jp/339.html
https://caddi.jp/articles/

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