サニタリー継手 (フェルール継手) とは
サニタリー継手とは、清浄性が求められる配管に使用される継手です。フェルール継手とも呼ばれます。
サニタリー継手は、食品、医薬品及び化粧品など人体へ直接摂取したり、人体に作用する製品を製造する工場などで多く使われます。通常の配管継手は、その継手部に「溜まり」などが発生しても、大きな問題とはなりません。しかし、清浄性が求められる食品や医療品製造分野では、溜まりの部分で発生するバクテリアや異物が大きな問題となります。そのため、サニタリー継手を使用する場合が多くあります。
サニタリー継手の使用用途
サニタリー継手は医薬品・化粧品・食品関連などの分野で用いられています。サニタリーとは衛生的という意味です。サニタリー継手は工具が不要で組み付けや分解が行えるため、洗浄等を行うために取り外しが多い部分に用いられます。
サニタリー継手の配管内部は凹凸がないことが特徴です。使用上は、特に洗浄のしやすさの点で優れています。また、液溜まりが少ないことから、異物混入や菌発生のリスクを減らすことができます。
サニタリー継手の原理
1. サニタリー継手の構成
サニタリー継手の構成部品は、サニタリー配管とガスケット、クランプバンドの3点です。サニタリー配管のフランジ部分にはガスケットを保持するための溝が刻まれており、ガスケットにはサニタリー配管の溝に合うような突起形状が付いています。
2. サニタリー継手の接続
配管同士を接続する場合、間に専用ガスケットを接続することでしっかりシールされます。接続したフランジ同士は、クランプバンドで固定しますが、締め付けは手のみで行うことができ、工具の必要がありません。
サニタリー継手は配管部品なので、エルボやチーズ、ソケット、ニップルなど複数の継手が存在します。配管や部品と接合しない場合など、末端の閉鎖を行う場合には、サニタリーキャップを使用します。
サニタリー継手で使用するガスケットは、配管内を流れる流体により変更できます。一般的なのは白色のシリコンガスケットです。その他、PTFE、フッ素ゴム、EPDM、NBR、サニクリーンなど様々な種類が開発されています。
サニタリー継手のその他情報
1. サニタリー継手の取り付け方
サニタリー継手の取り付けは、フランジに刻まれた溝にサニタリーガスケットをはめた後、接続先のフランジと突き合わせ、サニタリークランプでフランジを挟み込んで締め付けます。取り付けの際にフランジの溝やガスケットにホコリや異物が付着しているとシール性が確保できません。
液漏れの原因となりますので、各品を清浄な場所に保管するとともに、取り付け前に汚れのないことが必要です。また、ガスケットが溝にうまくはまっていない状態で締め付けると、ガスケットが破損するため注意が必要です。
2. サニタリー継手の規格
サニタリー継手は、ISO規格の他に3A規格 (アメリカの衛生関連3団体が定めたサニタリー規格) 、JISガス配管規格、JISステンレス鋼サニタリー管規格などの複数の規格があります。サニタリー用途として一般的に用いられる物はISO規格品であることがほとんどですが、互いに異なる規格との取り付けは基本的にできません。
また、同じISO規格品であっても、異なるメーカーの製品はガスケット溝の形状が微妙に違っている場合があるので、基本的に1つの工程配管は同じメーカー品で揃える方が無難です。
3. サニタリー継手の耐圧性
サニタリー継手は脱着の容易さを主眼に置いた機構であり、耐圧性はそれほど高くありません。一般的には1MPa以下の範囲での使用が推奨され、流体の腐食性や温度等によっても耐圧性は変化します。余裕を持った範囲で使用することが大切です。
サニタリー継手は、ある程度の低圧・低真空まで使用可能ですが、高真空用には真空用規格であるNW/KF規格が用いられます。これは一般のサニタリー継手と同様に、ガスケットをフランジで挟み、サニタリークランプで締め付けるものですが、Oリングに金属製のインナーリングが取り付けられた特殊なガスケットを使用します。NW/KF規格フランジでは10^-7Pa程度の高真空が可能です。
サニタリー継手はフランジ面の傷つきやガスケットの劣化、汚れの付着等により耐圧性が損なわれる可能性があるため、取扱いには注意し噛み合わせ部分の劣化を防ぐことが必要です。
参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sanitary_ferrule/
http://energy-kanrishi.com/ferrule/
https://www.consuss.co.jp/faq/
http://www.sakura-seal.co.jp/category/1932408.html