ロボシリンダ

ロボシリンダとは

ロボシリンダとは、電動式のシリンダのことです。

シリンダには、コンプレッサエア (圧縮空気) を利用したエアシリンダがあります。また、油圧を利用した油圧シリンダもあります。エアシリンダや油圧シリンダでは、シリンダの片側または両側から供給される流体が駆動源です。一方、ロボシリンダは電気を駆動源としています。

電動化しているとはいえ、直線的な動作しかできず、1軸の稼働となります。一般的にエアシリンダは2点、多くても3点程度の位置決めしかできませんが、ロボシリンダはストローク範囲内であれば自由に位置決めできます。

ロボシリンダの使用用途

ロボシリンダは、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置など様々な用途で使用されています。エアシリンダと比較したロボシリンダの利点として、まず省エネルギーが挙げられます。圧縮空気が通過する配管の抵抗などによりエアシリンダのエネルギー効率は、一般的に悪いです。ロボシリンダの消費電力は、エアシリンダの消費電力の10分の1程度であることが知られています。

その他の利点としては、停止時に衝撃が少ないこと、タクトタイムを短くできること、設計や製造が楽であること、多品種対応が可能であることが挙げられます。ロボシリンダはアイエイアイの電動アクチュエータの商品名で、エアシリンダの高機能代替を目的とした製品です。

最近では、エアシリンダの市場をターゲットにして、2点間の移動に特化したエレシリンダと呼ばれる製品も販売されています。

ロボシリンダの原理

ロボシリンダは主としてボールネジリニアガイドACサーボモーターで構成されています。ロボシリンダは小型であり、軽量物を扱う装置での使用に適しています。

重量物を扱う装置では、ロボットシリンダよりも大型で剛性の高い単軸ロボットが使用されます。

1. ボールネジ

ボールネジは、サーボモーターの回転運動を直線運動に変換するために用いられます。動力伝達精度が高いことと、位置決め精度が高いことが特徴です。

2. リニアガイド

リニアガイドは、ボールネジの直線運動をサポートするのに用いられます。ボールネジは直動運動を行うだけであり、動作方向以外の方向に対する耐性はあまり強くありません。そのため、ボールネジの直線運動に支障がでないように補助的な役割としてリニアガイドが用いられています。

3. ACサーボモーター

AC サーボモーターは、ロボシリンダの動力源です。エンコーダを用いた回転制御により、モーターの回転量の制御が可能です。モーターの回転量の制御が可能であるため、ボールネジによる直線動作距離を自在に制御できます。従って、ロボシリンダの駆動距離を自在に調整できます。

ロボシリンダの選び方

ロボシリンダはエアシリンダと同様に大きく、ロッドタイプとスライダタイプに分けられます。

1. ロッドタイプ

ロッドタイプは、ロッドが伸縮するタイプです。設置スペースは大きくなりますが、押付け動作などに向いています。ただし、ラジアル荷重を受けるためには直動ガイドを併用するか、ガイド付きのものを選定する必要があります。

ロッドタイプの場合、モーメント荷重をガイドが受けるので、必要推力を超える推力を出せる型式を選択すれば問題ありません。

2. スライダタイプ

スライダタイプは、直動ガイドと一体になったタイプです。スライダに移動物を直接取り付けて使用できます。スライダタイプでは、一体化された直動ガイドの許容範囲内に入るように型式を選定します。

まず、スライダに取り付けた移動物の重心位置と重量からスライダにかかるモーメント荷重を求めて、許容モーメント荷重を超えないように型式を選定します。次に、カタログ記載の速度-可搬重量表で、使用速度での可搬重量を確認し、移動物重量が可搬重量を超えないようにします。可搬重量は水平取付と垂直取付で大きく変わるため、注意が必要です。

ロボシリンダのその他情報

ロボシリンダの機能

ロボシリンダには、ポジション運転、位置決め運転、押付け運転などの機能があり、ロボシリンダはエアシリンダと比較して非常に高機能です。

ポジション運転は多点位置の搬送を行う場合などに使用され、位置決め運転は移動位置を上位機器が計算などで設定する場合に使用されます。押付け運転は、ワークの定圧クランプを行う場合などに役立つ機能です。

1. ポジション運転
ポジション運転を行うためには、ポジションと呼ばれる停止位置や、移動時の速度および加速度をあらかじめPLCなどの上位機器に登録する必要があります。ポジション運転は、上位機器でポジション番号が指定されたときに、ポジション番号に対応付けられた停止位置にロボシリンダが移動する動作です。

2. 位置決め運転
位置決め運転では、PLCなどの上位機器で移動量 (または停止位置) 、移動時の速度および加速度を直接指定してロボシリンダを運転させます。

3. 押付け運転
押付け運転では、ロボシリンダが設定された押付け力で押付け動作を行います。この動作はティーチングペンダント、またはパソコンソフトで設定し、上位機器で制御します。

参考文献
http://www.hamamatsukizai.com/shokai-iai.html
https://mechanical-engineer48.com/post-4835/

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