フッ素ゴムについての概要、用途、原理などをご説明します。また、フッ素ゴムのメーカー14社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。フッ素ゴム関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:三福工業株式会社、2位:ダイキン工業株式会社、3位:アラム株式会社となっています。
2020年 修士(工学)大阪大学大学院 有機金属錯体の研究室にて錯体を触媒とする重合反応の研究をおこない学位取得。現在、総合化学メーカー勤務。
芥川 心之介のプロフィール
フッ素ゴムとは、耐熱性、耐油性、耐炎性、耐候性、耐薬品性に優れたゴムです。
これらの物性は、他の合成ゴムと比較すると群を抜いています。主なフッ素ゴムの略号はFKMで、これはFluoro (フッ素性の)、Kautschuk (ドイツ語でゴムの意)、Mグループ (ゴムの分類に係る略号:Mはポリメチレンタイプの飽和主鎖を持つゴム) の頭文字をとって表されています。
フッ素ゴムは重合が非常に難しいこともあり、高価なゴムですが様々な面において高い耐久性を有するため、過酷な環境で使用される場合が多いです。
フッ素ゴムは、特殊な環境下で優れた特性を発揮します。特性を活かした使用用途は、以下の通りです。
自動車関連では、ガソリンの蒸散性にも対応可能であることから燃料ホースとして使われています。また、耐熱性、耐油性などの特性より、自動車内部の機器密封用のオイルシールやガスケットとしても使用されています。
各種化学薬品に対する耐性が必要であるため、フッ素ゴムが使われています。
腐食性の高い燃料を用いていることや、耐油性、耐熱性、耐候性が必要であることから、フッ素ゴムが使用されています。
高い耐酸性を活かして内視鏡の部材などに使用されています。
フッ素ゴムの特徴は、前述したように、耐熱性、耐油性、耐炎性、耐候性、耐薬品性が抜きんでて優れている点です。フッ素原子はあらゆる元素と結合しやすいですが、特に炭素原子との結合であるC-F結合は結合エネルギーが高く、電気的にも安定であり、これがフッ素ゴムの高い耐久性の源にもなっています。
一方で、ゴムの弾性や加工性は他の合成ゴムに劣っています。
フッ素ゴムにはいくつかの種類があります。主な種類は、フッ化ビニリデン系ゴム (FKM) 、四フッ化エチレン-プロピレン系ゴム (FEPM) 、四フッ化エチレン-パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴム (FFKM) の4つです。
これらの中でフッ化ビニリデン系フッ素ゴム (FKM) は、前述の各種物性と加工性、価格などのバランスがとれており、最も市場に流通しています。よって一般的にフッ素ゴムと呼ぶ場合、フッ化ビニリデン系ゴム (FKM) のことを指しています。
なお、フッ化ビニリデン系ゴム (FKM) はさらに以下の3種類に分類できます。
2元系フッ素ゴムは、フッ化ビニリデン (VDF) と6フッ化プロピレン (HFP) の共重合体です。市場のフッ素ゴムの内、約80%を2元系フッ素ゴムが占めています。
HFPの方が分子中に含まれるフッ素の割合が大きいため、ポリマー中に含むHFPの割合が大きくなればなるほど、ポリマー中に含まれるフッ素の割合も大きくなります。
フッ素の割合が大きくなると、耐熱性や耐油性が向上する一方で、耐寒性が低下します。現在取引されている2元系フッ素ゴムのほとんどは、物性のバランスが良いとされるフッ素濃度66%になるよう設計されています。
上記2種のモノマーに加えて、4フッ化エチレン (TFE) も共重合した共重合体です。機械的強度や化学的特性、耐薬品性などほとんどの特性において2元系フッ素ゴムより優れていますが、より高価です。
耐寒フッ素ゴムとも呼ばれます。3元系フッ素ゴムのHFPの代わりにパーフルオロメチルビニルエーテル (PMVE) が原料として用いられています。耐寒性が高く、低温におけるシール性などに優れているため、自動車の各種シール材などに用いられています。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/89/1/89_16/_pdf/-char/en
https://www.mitsufuku.co.jp/products/how-to-fkm/
https://www.mitsufuku.co.jp/products/how-to-fkm/
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