ステンレスタンク

ステンレスタンクとは

ステンレスタンク

ステンレスタンクとは、材質がステンレスのタンクです。

特に指定がない場合は、金額面の観点から鉄製タンクが用いられますが、錆を防止したい場合はステンレスタンクが用いられます。また、ステンレスの中にも種類があり、細かい用途や予算に応じて使い分ける必要があります。

ステンレスタンクは、タンク内に材料を入れ、撹拌器を用いて撹拌混合する用途で用いられる場合が多いです。そのほか、20号タンクとしても用いられます。なお、20号タンクとは、危険物を一時的に貯蔵するタンクのことです。

ステンレスタンクの使用用途

ステンレスタンクは錆に強いことから、錆びやすい場面で用いられる場合が多いです。ただし、ステンレス製でも錆びることはあります。錆びないのではなく、あくまでも錆にくいという点に注意が必要です。

具体的な使用用途の例としては、製品の保管、攪拌機による調合、加熱、冷却などが挙げられます。業種は、化学・食品・製薬・化粧品・工業など、非常に幅広いです。ステンレスの表記はSUS (StainLess Steel) の後に数字がくるようになっており、耐薬品性が低い順に「SUS430→SUS304→SUS316→SUS316L」となります。

タンク用途以外も含めて一般的なのはSUS304です。化学薬品や海水などを扱う場合は、更に耐薬品性のあるSUS316を用います。医薬品や化粧品などではSUS316Lが用いられます。

ステンレスタンクの原理

錆は鉄が空気中の酸素と反応し、酸化鉄になることが原因です。ステンレスは中にクロムが入っており、鉄より先にクロムが空気中の酸素と結合することで錆を防止します。クロムが酸化すると、表面に数ナノメートル程度の不動態膜を形成します。

不動態膜は化学変化しづらいため、鉄と酸素が結合するのを防ぐのが役割です。ステンレスに傷がつくと不動体膜が剥がれる場合もありますが、すぐにクロムが酸化して新たな不動体膜を形成します。前述したステンレスのSUS304は、クロム18%、ニッケル8%が含有しています。18-8ステンレスとも呼ばれており、ニッケルは不動体膜を更に形成しやすくする効果があります。

さらに、ニッケルを増量し、モリブデンを追加したステンレスがSUS316です。モリブデンの効果により、不動体膜が厚くなることで耐食性を増加させます。SUS316をより強力にしたものがSUS316Lです。炭素含有量を減らすことで、溶接部分の腐食性を低下させる性能があります。

ステンレスタンクの選び方

ステンレスタンクのラインナップはメーカーによって異なるため、使用目的に合わせてメーカーと容器を選びます。製品の保管用には、移動しやすい取っ手付、攪拌用には攪拌機の取り付け台座付など、種類はさまざまです。

保温や冷却など、内容物の温度調節用には、ジャケット容器を選定します。また、内容物の残量が見えるようにレベルゲージ付、製品の回収ができるようにドレン排出口付の容器もあります。製品の回収を目的とする場合、排出をなめらかにするため、容器の底がホッパー形状やスロープ形状となることが多いです。

容器底が鏡板形状の場合は、攪拌時に底部の液が滞留しなかったり、荷重を分散させるため、圧力に強くなったりします。製品が食品の場合は食品衛生法適合の容器、危険物の場合には危険物容器など、法規を満たした製品を選びます。

ステンレスタンクのその他情報

ステンレスタンクの電解研磨

ステンレスタンクの清浄性や耐食性を上げる際、電解研磨を実施する場合があります。電解研磨とは、電気分解の作用により、金属表面を溶かして平滑化する処理のことです。

ステンレスに電解研磨を施した場合、表面に耐食性に優れるクロムの割合が高くなった酸化被膜が形成されるため、汚れがつきにくくなります。また、溶接焼けの削除、バリ取り、金属光沢を出せるなどもメリットです。

溶接焼けを削除する方法として、酸洗いも挙げられます。酸洗いとは、製品を酸系の溶液に浸し、表面に付着した酸化物を除去する処理のことです。酸洗いはコストや対応サイズに優れる一方、金属光沢を出せないというデメリットもあり、製品用途によって処理方法を使い分けます。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus-rust/
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus316l/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/833/

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