絶縁被覆付圧着スリーブ

絶縁被覆付圧着スリーブとは

絶縁被覆付圧着スリーブ

絶縁被覆付圧着スリーブとは、圧着スリーブの表面部分に絶縁被覆が施した部品です。

主に、配線同士を中間地点で接続するために使用されます。絶縁被覆によって電線と他回路・部品の間を電気的に絶縁し、外部環境との電気的な接触を防止します。これにより、電気ショートや漏電を防ぎ、安全性を確保することが可能です。

また、導体を物理的に保護する役割も果たします。振動や化学物質などの外部要因から導体を保護し、損傷や劣化を防止します。耐摩耗性など、さまざまな性能を向上させることも可能です。

ただし、スリーブを正しく取り付けることが重要です。圧着工具を使用し、スリーブを導体にしっかりと固定する必要があります。正確な取り付けが行われない場合、絶縁や保護の効果が損なわれる可能性が高くなります。

絶縁被覆付圧着スリーブの使用用途

絶縁被覆付圧着スリーブは、さまざまな産業で使用されます。ただし、その全てが電気配線の接続用途です。それ以外の用途では使用されません。

配線の補修などで使用する場合が一般的です。配線が断線などによって故障した場合、中間地点で接続して捕集する場合があります。絶縁被覆付圧着スリーブを使用して捕集することで、故障した配線を電気的に接続しつつ、絶縁被覆によって外部環境と絶縁することが可能です。

また、機器の移設時にも使用されることがあります。固定使用される産業機器を移設する場合、電気配線の長さが足りなくなる場合が少なくありません。絶縁被覆付圧着スリーブを使用することで、同種類の配線を継ぎ足すことが可能です。

使用される産業も幅広く、建築から自動車産業までさまざまです。建築物では壁内配線の接続などに使用され、自動車ではハーネスの接続などに使用されます。

絶縁被覆付圧着スリーブの原理

絶縁被覆付圧着スリーブは一般的に2つの主要な部分から構成されています。絶縁被覆と導体です。

1. 絶縁被覆

絶縁被覆はスリーブの外側に位置し、導体を絶縁して保護する部分です。塩化ビニルやナイロンといった絶縁被覆を用いていることで絶縁性能を実現しています。ゴムなどが使用される場合もあります。

電気的な絶縁を提供し、導体と外部環境との間の電気的な接触を遮断します。これにより、電気ショートや漏電を防止することが可能です。

また、物理的な保護を提供し、導体を外部の環境から保護します。絶縁被覆は摩擦や湿気などの要素から導体を保護する役割を果たします。

2. 導体

導体はスリーブの内部にあり、電気信号や電力を伝える役割を果たす部分です。一般的に金属製であり、導電性と耐久性が求められます。配線との密着性も重要なことから、無酸素銅などの柔らかい材質が使用されることが多いです。

電線との接続を実施する場合、圧着工具の使用が推奨されます。圧着工具で圧着することをかしめると言います。圧着端子の接合部分の大きさに合った圧着ペンチを用いることで、正常なパワーで密着・接続させることが可能です。

電線の絶縁被覆が剥き出しにされ、導体が露出した状態で端子の圧着部分に挿入されます。圧着工具を使用して適切な圧力をかけて電線をしっかりと固定し、導体同士が直接接触するようにします。電線接続部によって電線と絶縁被覆付圧着スリーブの確実な接続が可能です。

絶縁被覆付圧着スリーブの選び方

絶縁被覆付圧着スリーブを選ぶ際は、スリーブ径、絶縁被覆の材質、形状などを考慮することが重要です。

1. スリーブ径

スリーブ径は導体スリーブの大きさです。推奨される配線太さがカタログなどに記載されており、一般的には接続したい配線の太さに応じて選定します。複数本をまとめて圧着する場合でも十分な径のスリーブを選定することが重要です。

2. 材質

絶縁被覆の材質は、ナイロンや塩化ビニルから選定します。一般的には、ナイロンの方が耐熱温度が高いです。

3. 形状

絶縁被覆の形状はさまざまな製品が存在します。一般的には、直線状のストレートスリーブを選定することが多いです。配線を脱着する際は、差込接続スリーブを選定する場合もあります。

参考文献
https://www.fujiterminal.co.jp/products/cp/terminal/insulation/
https://kurashi-no.jp/I0020746

絶縁被覆付圧着端子

絶縁被覆付圧着端子とは

絶縁被覆付圧着端子

絶縁被覆付圧着端子とは、裸圧着端子の根元部分に絶縁被覆が施されている部品です。

電線の端部に施工されることが多く、他の電子機器や回路と接続するために使用されます。絶縁被覆によって電線と他回路・部品の間を電気的に絶縁します。

これにより、短絡や漏電、感電などのリスクを軽減します。安全な電気接続を確保することが可能です。また、絶縁被覆は電線の末端を保護し、外部の環境からのダメージや摩耗を防ぎます。物理的な衝撃や振動に対しても耐久性があり、長期間の使用に耐えられます。

ただし、絶縁被覆付圧着端子を正しく取り付けるためには、適切な工具を使用することが重要です。一般的な裸圧着端子と同じ工具を使用できないことが多いです。間違った工具や作業手順で圧着作業をした場合、接続の信頼性や安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。

絶縁被覆付圧着端子の使用用途

絶縁被覆付圧着端子は、さまざまな産業で使用されます。ただし、その全てが電気配線の接続用途です。それ以外の用途では使用されません。

1. 建物

建物の電気配線において電線の接続や分岐点で使用されます。壁面コンセントやスイッチの配線に利用されることが多いです。

2. 家電製品

家庭用エアコンなどの家電製品における電線接続に利用される場合も多々あります。

3. 自動車

自動車のハーネスにも使用されます。自動車のハーネスは、車両内の電気系統を配線するための重要な部品です。絶縁被覆付圧着端子はハーネスの接続点や分岐点で使用され、信号伝達や電力供給を確保します。

4. 産業機器

工場などにおける産業機器の電気配線接続にも使用されることが多いです。産業機械の制御系統やモーターなどの電気配線に使用され、信頼性の高い電気接続を提供します。

絶縁被覆付圧着端子の原理

絶縁被覆付圧着端子は一般的に絶縁被覆、端子本体、および電線接続部から構成されています。

1. 絶縁被覆

絶縁被覆は電線の一部を覆って外部の環境から電線を保護し、電気的な絶縁を提供する部分です。主に塩化ビニルナイロンなどの材料が使用され、耐熱性や絶縁性能などの要件に合わせて選択されます。

2. 端子本体

端子は電線と接続し、信号や電力の伝達を確保する役割を果たす部分です。一般的に金属製であり、導電性と耐久性が求められます。ビスなどとの密着性も重要なことから、無酸素銅などの柔らかい材質が使用されることが多いです。

端子にはさまざまな形状やタイプがあります。一般的にはリング型やY型または棒型などの形状が使用されることが多いです。端子部分は他の回路や部品との接続を可能にします。

3. 電線接続部

電線接続部は、ケーブルなどの電線と被覆付圧着端子を接続する部分です。圧着によって確実な接続を実現します。電線との接続を実施する場合、圧着工具の使用が推奨されます。

圧着工具で圧着することをかしめると言います。圧着端子の接合部分の大きさに合った圧着ペンチを用いることで、正常なパワーで密着・接続させることが可能です。電線の絶縁被覆が剥き出しにされ、導体が露出した状態で端子の圧着部分に挿入されます。

圧着工具を使用して適切な圧力をかけて電線をしっかりと固定し、導体同士が直接接触するようにします。電線接続部によって電線と絶縁被覆付圧着端子の確実な接続が可能です。

絶縁被覆付圧着端子の種類

絶縁被覆付圧着端子には、さまざまな種類があります。以下は代表的な絶縁被覆付圧着端子の種類です。

1. リング端子

リング端子は、円環状の端子形状を持つ圧着端子です。ねじやネジ圧着端子台座に取り付けられる場合が一般的です。この形状の端子は、配線接続が必要な箇所で広く使用されます。

2. 棒端子

棒端子は、直線的な端子形状を持つ圧着端子です。国内ではリング端子を使用する場合が多いですが、特に欧州におけるシェアは棒端子がほとんどです。配線の結合点や電気パネルなどで使用され、複数の同時に1つの端子にかしめることも可能な端子も販売されています。

3. Y型端子

Y型端子はY字型の端子形状を有する圧着端子です。端子をボルトやネジに取り付けるために使用されます。ネジを完全に外さなくとも配線を接続・離線可能で、施工性が高い点が特徴です。

ただし、ねじの緩みによって脱落するリスクがあります。リング端子を推奨しているメーカーなども多いです。

参考文献
https://www.fujiterminal.co.jp/products/cp/terminal/insulation/
https://kurashi-no.jp/I0020746

撹拌槽

撹拌槽とは

撹拌槽

撹拌槽とは、撹拌を行うためのタンクです。

異種の固体・液体・気体を撹拌槽の中に入れて、撹拌して混合させるために用います。撹拌槽の形状は、液面高さとタンク内径の比で示されます。一般的に効率的な比率は1.0から1.5程度です。

撹拌槽が過度に細いと上下の撹拌がうまくいかず濃度勾配が発生しやすくなり、一方で過度に太いとタンク径が大きくなってタンクに厚みを持たせる必要があります。

撹拌槽の使用用途

撹拌槽は、物質を混合させる撹拌機の外装として使用されています。撹拌槽の利用用途に応じコイルやジャケット、バッフル、ノズルなどの部品を導入します。部品を取り付ける場合、撹拌機に生じる液体のフローを妨害しないことや構造的に強度が保たれることが必要です。

コイルやジャケットは、加熱冷却を行うときに用います。バッフルは液体の横向きの流れに対して上下方向への流れを付与する役割があり、最大の効果を得るためにはタンクに対して2~8枚程度取り付ける必要があります。

ノズルはタンク内の液体の注入や流出に利用し、液体に気体を注入するときは槽の下部のノズルから入れてバブリングもできる部品です。

撹拌槽の原理

撹拌槽は、モーター、減速機、軸封装置、軸、撹拌翼、バッフルで構成されています。

1. 軸封装置

モーターが回転して軸に動力が伝わり、減速機を装着している場合は減速機に応じた減速とトルク上昇が生じます。また、軸封装置によって回転を妨げずに槽内を密閉できます。一般的に用いられている軸封装置は、グランドパッキンメカニカルシールです。

2. 撹拌翼

撹拌翼が回転するのと同時に軸が回転し、液体の撹拌が可能です。槽内の撹拌は、撹拌翼の形状に応じたスラスト力やラジアル力によって生じます。また、撹拌翼に接触した液が上下左右に流れを作ることで、撹拌翼特有の挙動へと変化します。

3. バッフル

撹拌された液はタンク内に取り付けたバッフルにより、更なる液分散が可能です。バッフルは、層流状態から乱流状態に変化させるのに用いられます。特に低粘度の液体の撹拌では層流となりやすく、バッフルの装着が効果的です。

4. タンク

タンクの形状によって液の分散具合が変化します。タンクボトムの形状は、特に液だまりに大きく影響します。一般的に用いられるのは、2:1の半楕円形状もしくは10%皿型です。液面の高さとタンク内径の比を1.2とした場合、槽の内径は液量を1.14倍し、1/3乗して算出できます。

撹拌槽のその他情報

1. 撹拌翼の種類

モーターの回転を撹拌槽に伝えて原料を撹拌する部分は、撹拌翼です。撹拌翼の役割は、撹拌槽内の各所にせん断力を与える「せん断作用」と、循環流の形成を与える「循環作用」の2つに大きく分けられます。撹拌する原料の粘度を基準として、目的が達成できる最適なバランスを持った撹拌翼を選択します。

撹拌槽に使用されている代表的な撹拌翼は、以下のとおりです。

プロペラ翼
プロペラ翼は、船舶に用いられる3枚の羽を持った撹拌翼です。高粘度の原料を撹拌するのには不向きですが、低粘度の液体に個体粒子が含まれているときに沈殿防止の目的で使用されています。その他にも、コスト面やコンパクト性から、標準的な撹拌翼として広く使われています。

ディスクタービン翼
ディスクタービン翼は、円盤に何枚かのブレードをつけた撹拌翼です。消費電力は大きいですが、大きな循環作用とせん断作用が発生します。固体を粉砕しながらの撹拌や、気体の分散や吸収などの反応を伴う撹拌などで利用できます。

アンカー翼
アンカー翼は、船の錨に似た形状をした撹拌翼です。一般的に、撹拌槽の底から壁に沿った形状になっている撹拌翼です。高粘度の原料でも撹拌可能ですが、撹拌能力は他の撹拌翼と比較するとあまり高くありません。

2. 撹拌槽の種類

撹拌槽にはいくつか種類があります。混合する液体に適した撹拌方法により、撹拌槽を選択することが大切です。

中心撹拌
撹拌槽の中心に、撹拌翼の中軸を垂直に取り付けた撹拌方法です。一般的な方法であり、均一な流動が生じる特徴があります。

偏心傾斜撹拌
撹拌翼を撹拌槽の中心ではなく、底面に対して斜めに取り付けた撹拌方法です。バッフルがない状態でも、乱流状態を発生させられます。

底部撹拌
撹拌翼を撹拌槽の底の部分から取り付けた撹拌方法です。撹拌槽が大型のときに長い軸の装着は不要になります。

参考文献
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/expert001/
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/basic000/

真空ブロワ

真空ブロワとは

真空ブロワは真空発生器の一つで、吸い込み側で真空が、排出側で加圧・吐出が起こる装置です。

真空発生器にはエジェクター、真空ポンプ、真空ブロワの3種類があり、それぞれ用途によって使い分けます。加圧 (吐出) が必要な場合にはブロワが使用され、吸引が必要な場合は真空ポンプを使用することが一般的です。真空ブロワは、吸着搬送などに用いられています。真空の用途としては、吸着パッドによる吸着・系内を減圧することによる脱気が挙げられます。

真空ブロワの使用用途

真空状態の主な用途には下記のようなものがあります。

  • 部品の吸着搬送
  • 粉粒体 (食品、プラスチック、化学、製薬など) 輸送
  • 真空チャック
  • 真空包装器
  • 脱気、蒸着装置
  • 濾過機の真空引き
  • 真空成形機
  • 食品の真空含浸、真空乾燥
  • 印刷インク脱泡器
  • 気密テスト
  • エアーナイフ

吸着搬送とは、ロボットなどで搬送する際に吸着パッドによる吸着を行う搬送の方法です。真空ブロワは吸込量が大きいことから、特に段ボール、断熱材、木板などの通気性のあるワークの吸着に用いられます。

また、系内を減圧することによる脱気では、空気 (酸素) を取り除くことで酸化しやすい物質の酸化を防ぐことができます。

真空ブロワの原理

1. 概要

真空ブロワはモーターを回すことで内蔵された翼 (インペラ) を回転させる仕組みです。インペラが回転することで気体を取り込み、さらにハウジング内に気体を引き込むことで気体を加速および圧縮させます。すなわち、インペラの羽根によってエアーが吸い込まれて圧縮することにより、吸込み側で負圧 (真空) が排出口を通って、ブロワから加圧・放出が発生します。

2. 特性

真空ブロワは吸い込み量が大きいことが特徴です。しかしその一方で、発生する真空度はあまり高くは有りません。また原理上、吸着させるワークには通気性がある方が効率よく使用することができます。

真空ブロワは、吸い込み側の真空によって吸着パッドによる吸着を行うことが可能です。吸着パッドとワークの間に存在する圧力よりも周囲の圧力が高い場合、大気圧によってワークと吸着パッドが固定されます。吸着パッドの吸着力は大気圧とパッド内の圧力との圧力差に正比例します。

3. ルーツ式ブロワ

真空ブロワの一種にルーツ式ブロワがあります。ロータリ・ブロワ (ルーツ式) と呼ばれる場合もあります。

ルーツ式ブロワは、ケーシング内部で回転するインペラが、インペラ同士とケーシング内壁に僅かな間隙を保ちながら、非接触回転します。これにより、吸込側から吐出し側へと気体を移送する仕組みです。ケーシングの外側のタイミングギヤによってロータへ回転が伝達され、ケーシングとロータとの間に閉じ込められた気体は、吸入側から吐出側へ移送され、吐出口を通ってケーシング外部に吐出されます。

真空ブロワの種類

1. 概略

真空ブロワの駆動方法には、直接駆動式または周波数制御式などがあります。周波数制御式では、モーター回転数や吸込量をコントローラーで制御することにより、カスタマイズが可能です。

吸い込み量は 75~1,050m³/h、真空は100〜450mbar前後などの幅の中で、様々な製品があります。

2. ルーツ式ブロワの種類

ルーツ式ブロワには、インペラが2枚の2葉式と、3枚の3葉式とがあります。2葉式は1回転あたりの吐出数が4回であるのに対して、3葉式は6回です。また、2葉は内部容積が大きい為、3葉よりはポンプ本体が小さくなるという特長がある一方、3葉式は脈動圧や圧縮音、漏洩量が2葉式より小さくなるという特長があります。理論風量は2葉式の方が大きく、対応圧力は3葉式の方が大きいです。

製品によって、インペラ先端をケーシング内周に対して面シールとすることで漏洩量を低減させ、効率化している製品などもあり、また、軸封にも様々なものがあります。用途に合わせて適切なものを選択することが可能です。

参考文献
http://www.schmalz.co.jp/fileadmin/schmalz/country-pages/jp/pdf/VT_Main-2012/vt-vacuum_components-2012_06-P0163-vacuum_knowledge_system-cp-01.pdf
http://www.schmalz.co.jp/vacuumblowers.html

撹拌翼

撹拌翼とは

撹拌翼とは、モーターからの回転エネルギーを槽内へ伝達する役割を持ち、撹拌機の中で最も重要な構成要素です。

主に回転エネルギーは、槽内全体の循環流を生み出す吐出作用と局所的な剪断力をかける剪断作用に使用されます。撹拌翼は、吐出作用と剪断作用のどちらを優先して求めるかによって、形状を最適化できます。

モーターの一定動力内において発揮できる最大の能力を見極め、目的に合った撹拌翼を選択可能です。代表的な撹拌翼として、プロペラ翼やタービン翼、アンカー翼、パドル翼、リボン翼が挙げられます。

撹拌翼の使用用途

撹拌翼は、撹拌機内の物質を混合させる際に使用されています。比較的大きな工場では、撹拌槽の容量は大きく、それに伴い撹拌に要する時間も多くなります。一方で、小型の撹拌機は実験室レベルから工場現場など容易に使用できるもので、短時間での撹拌が可能です。

小型の撹拌機で検討された撹拌翼の形状を、大型の撹拌機でも使用できるようにスケールアップするのが一般的です。しかし、物質の粘度域により、単に撹拌翼をスケールアップするだけでは物質を混合できないケースもあります。撹拌翼のスケールアップには、検証を十分に重ねていかなければなりません。

撹拌翼の原理

1. 撹拌翼により生じる物質の状態

槽内を混合させるには、拡散と対流が必要です。拡散は分子運動によって自然に、細部まで均一に混合していく現象を表します。一方、対流は異なる物質同士を槽内で引き伸ばしたり分割したりして、広い空間として捉えた場合に、その空間全体に物質が分散する現象を表します。

2. 撹拌翼がもたらす撹拌現象

2種類の液体が、槽内に2層で存在すると仮定します。モーターの力により撹拌翼が回ると、まず強制的に液体を細かく分散させます。ドレッシングを使用する前に振る時と同様のイメージです。

撹拌翼の形状により、撹拌翼に接触した液が上下左右に流れを作ることで、撹拌翼特有の挙動へと変化します。例えば、パドル翼は傾斜が付いていて、上下方向にもより流れを形成できる形状です。また、タービン翼は円盤に取り付けたブレードが槽内で高速回転し、高い剪断力を生み出しています。

3. 撹拌翼の動力

モーターが回転することで、軸に動力が伝わります。その際に減速機を付けていれば、減速機に応じた減速とトルク上昇が可能です。また、軸封装置により、回転を妨げずに槽内を密閉できます。軸封装置は一般的に、グランドパッキンやメカニカルシールが用いられています。

撹拌翼の種類

物質の低粘度域で用いられる撹拌翼は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼です。撹拌翼の枚数や取り付ける角度によって、物質の混合状態を変化させられます。

一方、物質の高粘度域で用いられる撹拌翼は、アンカー翼とリボン翼です。高粘度液の均一化や熱交換に用いられます。

1. 低粘度域で用いられる撹拌翼

プロペラ翼
一般的な撹拌翼で、ヘリコプターのプロペラに類似した形状です。槽内で軸方向に液体の流れを形成できるため、エネルギー的に効率よく撹拌できます。

タービン翼
円盤にブレードを付与した形状で、剪断力が高く、液滴の微細化や気液分散に向いています。消費動力が大きい点がデメリットですが、広範囲の粘度域にて使用可能です。

パドル翼
船のオールに類似した形状です。構造がシンプルであるため、基本的な撹拌データを取得する材料として用いられています。大型の撹拌機にて低速で使用されるケースが多く、バッフルを付属させて強い乱流を引き起こせるため、効率よく液体を撹拌できます。

2. 高粘度域で用いられる撹拌翼

アンカー翼
船の錨のような形状です。撹拌槽の壁面付近に滞留する物質を混合させられますが、軸方向への流れはできにくい点がデメリットとして挙げられます。

リボン翼
高粘度域における代表的な撹拌翼です。アンカー翼と同様の特徴を特徴を持ちますが、構造がより複雑化しています。撹拌翼を傾斜させ、その分軸方向への流れを形成できます。

参考文献
https://www.satake.co.jp/research/technical/about_mixer/
https://www.kobelco-eco.co.jp/process_equipment/agitation/general.html
https://www.mizuho-ind.co.jp/labo/about/basic_knowledge_03_13/
https://www.shi-pe.shi.co.jp/technology/mixing-lecture/basic001/index.html

圧力変換器

圧力変換器とは

圧力変換器

圧力変換器とは、圧力センサーとも呼ばれ、あらゆる圧力を電気信号に変換して送信する機器です。

主に、圧力制御を行う際にセンサーとして用いられます。基本的には信号として、DC4-20 mAの電気信号もしくは20-100 kPaの空圧信号に変換して伝送します。ただし、空圧信号の採用は減少傾向です。

圧力を測る対象として、気体・液体・蒸気などが挙げられます。また、圧力変換器には絶対圧と相対圧の2種類がありますが、用途に応じた使い分けが必要です。 

圧力変換器の使用用途

圧力変換器の中でも差圧伝送器の用途としては、差圧式流量測定用や圧力測定用、液面レベル測定用、液体の密度測定用などがあります。その中でも、差圧式流量測定用は最も使用用途が多く、半分以上を占める状況です。

圧力変換器は、タンクの液面レベルを圧力変換器にて測定し、現在の液面高さを測る用途で使用します。また、ある圧力になった時に別の動作をさせるといった制御用途でも用いられます。 

圧力変換器の原理

圧力変換器は主に圧力を電気信号に変換して伝送しています。圧力に伴う変位が電気信号となり伝送されますが、伝送する際には信号増幅を行った後に直流信号で伝送します。安定性を考え、ダイヤフラムを用いる場合が多いです。

1. 流量測定用

流量測定用の場合は、プロセス配管にオリフィスを設けることで測定できます。オリフィス前後の圧力 (差圧) は流量の2乗に比例するため、圧力から流量を測定することができます。

気体流量を測定する場合は、温度と圧力の補正が必要となりますが、この機能を内蔵した圧力変換器もあります。

2. 液面レベル測定用

液体が入っている容器において容器底面にかかる圧力は、液面レベルと液体密度の積に比例します。つまり、圧力を測定することで液面レベルを相対的に測定することが可能です。

容器底面に内圧がある場合は圧力変換器、内圧が無い場合は差圧伝送器を用いることで測定することができます。こちらも、ダイヤフラムシール式の使用が増えてきています。

圧力変換器の構成

ブルドン管ダイヤフラムベローズなどを用いて、圧力に伴う変位を圧力変換器で測定します。圧力変換器の代表的な構成部品は、以下の通りです。

1. オリフィス

流量測定用の圧力変換器に使用するオリフィスとは、しぼり流量計に使用されるしぼり機構の1種です。

孔のある薄板を管内に設けることで、オリフィス板の上流と下流の間に生じる圧力差を利用して、流量を測定します。

2. ブルドン管

圧力変換器で使用するブルドン管とは、断面が扁平になるよう加工したパイプです。ヘリカルの金属パイプ内に、開口固定端から測定圧力を導入すると圧力に応じてパイプの曲率が変化します。

管先の変位量は、弾性限界内で圧力に比例します。管先にリンクした拡大機構で指針が回転し、その位置の目盛り板上の位置が測定圧力となります。

圧力変換器のその他情報

圧力変換器で測定する圧力の種類

圧力変換器で測定する圧力の種類は、圧力の基準を何にとるかによって異なります。

1. 絶対圧
絶対真空をゼロ基準として表しており、大気圧力や理学系で使用する圧力です。大気圧とゲージ圧の和が絶対圧になる関係を持ちます。ゲージ圧と近藤しないようabs.を便宜上表記することもあります。

2. ゲージ圧
大気圧もしくは周辺の圧力をゼロ基準として表した圧力です。工業的には、断りの無い限り通常単に圧力と呼んでいます。ISOではPeやGageをつけた表記を推奨しています。

3. 差圧
特定の圧力を基準にして、2つの圧力の差を測定した圧力です。2つの圧力の差を表すため負の値を取ることもあります。

圧力変換器では、2つの圧力を受けてこの両者の差を信号に変換して外部へ伝送する仕組みです。工業計測制御システムで重要な位置を占めています。

参考文献
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-06-05-01.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0211.pdf
https://www.yokogawa.co.jp/

圧力伝送器

圧力伝送器とは

圧力伝送器はあらゆる圧力を電気信号に変換して送信する機器です。

主に圧力制御を行う際にセンサーとして用いられます。基本的には信号としてDC4-20mAの電気信号もしくは20-100kPaの空圧信号に変換して伝送します。ただし空圧信号の採用は減少傾向にあります。

圧力を測る対象として、気体・液体・蒸気などが挙げられます。代表的な製品として横河電機製のものが挙げられます。また圧力伝送器には絶対圧と相対圧の二種類がありますが、用途に応じて使い分ける必要があります。 

圧力伝送器の使用用途

圧力伝送器の中でも差圧伝送器の用途としては、差圧式流量測定用や圧力測定用、液面レベル測定用、液体の密度測定用などがあります。その中でも、差圧式流量測定用は最も利用用途が多く、半分以上を占める状況です。その他、順番に約30%、約20%、ごくわずかのような状況です。

圧力伝送器は例えばタンクの液面レベルを圧力伝送器にて測定し、現在の液面高さを測る用途で用いられます。また、ある圧力になった時に別の動作をさせるといった制御用途でも用いられます。 

圧力伝送器の原理

圧力伝送器は主に圧力を電気信号に変換して伝送しています。ブルドン管ダイヤフラムベローズなどを用い、圧力に伴う変位を測定します。その変位が電気信号となり伝送されるのですが、伝送する際には信号増幅を行った後に直流信号で伝送します。安定性を考え、ダイヤフラムを用いる事が多いです。

流量測定用に関して説明します。この場合はプロセス配管にオリフィスを設けることで測定できます。オリフィス前後の圧力(差圧)は流量の2乗に比例するため、圧力から流量を測定することができます。

液面レベル測定用に関して説明します。液体が入っている容器において、容器底面にかかる圧力は、液面レベル×液体密度に比例することが知られています。つまり、圧力を測定することで液面レベルを相対的に測定することができます。容器底面に内圧がある場合は圧力伝送器、内圧が無い場合は差圧伝送器を用いることで測定することができます。こちらもダイヤフラムシール式の使用が増えてきています。 

参考文献
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-06-05-01.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0211.pdf
https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-platforms/field-instruments/pressure-transmitters-j/gauge-pressure-j/

吸着パッド

吸着パッドとは

吸着パッド

吸着パッドとは、搬送システムにおいて、搬送する物品 (以下、ワークと称します) を吸着して搬送する部品です。

吸着パッドには真空発生器が接続されています。吸着パッドの吸着面とワークを接触させた状態で、これらの間の空間の圧力を真空発生器により周囲の空気圧よりも低圧 (真空) とすることにより吸着パッドにワークを吸着させて搬送します。吸着パッドと真空発生装置があれば利用できるため、様々な分野で使用され、生産効率を改善できる部品です。

吸着パッドの使用用途

吸着パッドは、吸着パッドと真空発生装置の構成で利用できるため、様々な分野で使用されています。

例えば、自動車の車体プレス鋼板・ホットスタンピング鍛造鋼板などの比較的重量のある金属の搬送や、板ガラスやフィルム・プラスチックなどの板状のもの、段ボール箱や木材などの表目粗さがあるものの搬送などです。

また、菓子などの食品やシリコンウェハやセルなどの電子部品の搬送にも対応できます。

吸着パッドの原理

吸着パッドは、接続されている真空発生器を用いてワークとの間の空間を真空にすることで吸着します。すなわち、吸着パッドとワークの間の空間の圧力を周囲の空気圧 (通常は大気圧) よりも低くすることで吸着が起こるのが吸着パッドの原理です。吸着パッドの吸着力は大気圧と吸着パッド内の圧力との圧力差に正比例します。

吸着を停止する場合には、真空発生器により制御される吸着パッドの真空度を低くすれば、ワークの自重を支えきれなくなった時点で吸着は停止し、吸着パッドとワークは離れます。

なお、真空発生器は、ベンチュリー効果を用いるエジェクター、モーターの回転によりベーンが回り気体を吸引する真空ポンプインペラの回転により周りの気体を吸引する真空ブロワの3種類です。

吸着パッドの種類

吸着パッドは、様々な形状や種類のワークに触れるため、使用環境・保持力・耐久性を考慮した様々なサイズ・材質・形状で製造されています。

1. 形状

吸着パッドの形状は、大きく平形・長円形・ベローズ (じゃばら型) の3種類です。平形は、表面が平たいワークで用いられます。

長円形は細長いワークで用いられ、パイプの様に吸着可能な面積が狭い場合にも好適です。長円形は、形状が平たくパッドの内の容積が小さいことから、短時間でワークを吸着できるメリットもあります。ベローズ形はそのじゃばら形状を生かし、ワークの高さにばらつきがあり、必要に応じて高さの補正が必要となる場合に用いられます。

2. 材質

吸着パッドの材質の代表的なものは、ニトリルゴムやシリコンゴムおよびポリウレタン、高温用特殊素材などです。例えば、食品の場合は食品に影響を及ぼさないシリコンゴムの吸着パッド、自動車の車体に使用する場合は耐油性がありシリコンフリーの材質の吸着パッドが使用されます。

吸着パッドの材質は、ワークの材質はもちろんのこと、その使用環境にも合わせることが必要です。例えば、耐久性や高速搬送が求められる場合には交換頻度の少ない高耐久性の材質を使用します。

吸着パッドの選び方

吸着パッドの選定では最初に使用条件を決定します。使用条件の主なものは、ワークの重量、吸着姿勢、使用真空圧、ワークを持ち上げる際の加速度、ワークを移動させる際の加速度、ワークと吸着パッドの摩擦係数などです。

ここでは、ワークを垂直方向に持ち上げてピックアップしたあとに、水平方向に移動する例を用いて説明します。

  1. まず、ワークを垂直方向に持ち上げピックアップする際の吸着パッドの理論保持力を求めます。吸着パッドの垂直方向にピックアップする際の理論保持力は、ワーク重量に、重力加速度とワークを垂直に持ち上げる加速度の和を乗じ、さらに安全率を乗じた値です。安全率とは、実際の使用に関する係数で、一般的なワークでは1.5程度、危険性があるワークや通気性があるワークなどの強い吸着効果が必要な場合には、2.0以上とします。
  2. 次に、ワークを垂直方向にピックアップしたのち、水平方向に移動する際の吸着パッドの理論保持力を求めます。ワークを水平方向に移動する際の吸着パッドの理論保持力は、ワーク重量に、重力加速度とワークを水平方向に移動する際の加速度を摩擦係数で除した値の和を乗じ、さらに安全率を乗じた値です。
  3. 最後に、実際の装置に使用する吸着パッドの理論保持力は、ピックアップ時と水平移動時の大きい方とし、吸着パッドの選定に使用します。実際の装置においては、吸着パッドは単体で使用する場合と、複数個をセットで使用する場合があります。

個々の吸着パッドの理論上の吸着力は、大気圧と吸着パッドの圧力の差を大気圧で除した値に、吸着面積と大気圧による力を乗じた値です。単体で使用する場合はこの値が理論保持力より大きくなる吸着パッドを選定します。一方、複数個で使用する場合には、個々の吸着パッドの吸着力に吸着パッドの数量を乗じた値が、理論保持力より大きくなるように吸着パッドを選定します。

吸着パッドの材質は、一般的な用途ではニトリルゴムが多く使用されますが、静電気を嫌う環境では導電性ニトリルゴムや導電性シリコンゴムを使用するクリーン環境では、フッ素ゴムを使用するなど、用途やワークの材質に合わせた選定が必要です。

吸着パッドのその他情報

吸着パッドの寿命

吸着パッドはゴムでできているため、使用していくと吸着面が摩耗していきます。摩耗状況は使用頻度や真空圧によって様々ですが、摩耗が激しくなると空気の漏れが発生し、吸着力が落ちる、吸着までの時間が長くなるなどの不具合が生じます。

吸着パッドは通常、消耗品として扱われており、吸着面の摩耗を考慮した定期的な交換が必要です。交換時期は使用環境で異なりますが、摩耗による空気漏れで必要吸着力が得られない場合、ワークの落下など大きな事故につながる恐れがあり、余裕をもった交換時期を設定する必要があります。

例としては吸着パッドでの漏れによる真空圧力低下を測定し、規定値を下回った場合は交換するなど、基準数値を決めておく方法がよく用いられます。

参考文献
https://www.fukudaco.co.jp/support/glossary/vacuum-pad.html
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/suctionpads.html
http://www.schmalz.co.jp/fileadmin/schmalz/country-pages/jp/pdf/VT_Main-2012/vt-vacuum_components-2012_06-P0163-vacuum_knowledge_system-cp-01.pdf
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr01/a0217.html http://www.smcworld.com/newproducts/ja/pdf/zp3.pdf

ロボシリンダ

ロボシリンダとは

ロボシリンダとは、電動式のシリンダのことです。

シリンダには、コンプレッサエア (圧縮空気) を利用したエアシリンダがあります。また、油圧を利用した油圧シリンダもあります。エアシリンダや油圧シリンダでは、シリンダの片側または両側から供給される流体が駆動源です。一方、ロボシリンダは電気を駆動源としています。

電動化しているとはいえ、直線的な動作しかできず、1軸の稼働となります。一般的にエアシリンダは2点、多くても3点程度の位置決めしかできませんが、ロボシリンダはストローク範囲内であれば自由に位置決めできます。

ロボシリンダの使用用途

ロボシリンダは、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置など様々な用途で使用されています。エアシリンダと比較したロボシリンダの利点として、まず省エネルギーが挙げられます。圧縮空気が通過する配管の抵抗などによりエアシリンダのエネルギー効率は、一般的に悪いです。ロボシリンダの消費電力は、エアシリンダの消費電力の10分の1程度であることが知られています。

その他の利点としては、停止時に衝撃が少ないこと、タクトタイムを短くできること、設計や製造が楽であること、多品種対応が可能であることが挙げられます。ロボシリンダはアイエイアイの電動アクチュエータの商品名で、エアシリンダの高機能代替を目的とした製品です。

最近では、エアシリンダの市場をターゲットにして、2点間の移動に特化したエレシリンダと呼ばれる製品も販売されています。

ロボシリンダの原理

ロボシリンダは主としてボールネジリニアガイドACサーボモーターで構成されています。ロボシリンダは小型であり、軽量物を扱う装置での使用に適しています。

重量物を扱う装置では、ロボットシリンダよりも大型で剛性の高い単軸ロボットが使用されます。

1. ボールネジ

ボールネジは、サーボモーターの回転運動を直線運動に変換するために用いられます。動力伝達精度が高いことと、位置決め精度が高いことが特徴です。

2. リニアガイド

リニアガイドは、ボールネジの直線運動をサポートするのに用いられます。ボールネジは直動運動を行うだけであり、動作方向以外の方向に対する耐性はあまり強くありません。そのため、ボールネジの直線運動に支障がでないように補助的な役割としてリニアガイドが用いられています。

3. ACサーボモーター

AC サーボモーターは、ロボシリンダの動力源です。エンコーダを用いた回転制御により、モーターの回転量の制御が可能です。モーターの回転量の制御が可能であるため、ボールネジによる直線動作距離を自在に制御できます。従って、ロボシリンダの駆動距離を自在に調整できます。

ロボシリンダの選び方

ロボシリンダはエアシリンダと同様に大きく、ロッドタイプとスライダタイプに分けられます。

1. ロッドタイプ

ロッドタイプは、ロッドが伸縮するタイプです。設置スペースは大きくなりますが、押付け動作などに向いています。ただし、ラジアル荷重を受けるためには直動ガイドを併用するか、ガイド付きのものを選定する必要があります。

ロッドタイプの場合、モーメント荷重をガイドが受けるので、必要推力を超える推力を出せる型式を選択すれば問題ありません。

2. スライダタイプ

スライダタイプは、直動ガイドと一体になったタイプです。スライダに移動物を直接取り付けて使用できます。スライダタイプでは、一体化された直動ガイドの許容範囲内に入るように型式を選定します。

まず、スライダに取り付けた移動物の重心位置と重量からスライダにかかるモーメント荷重を求めて、許容モーメント荷重を超えないように型式を選定します。次に、カタログ記載の速度-可搬重量表で、使用速度での可搬重量を確認し、移動物重量が可搬重量を超えないようにします。可搬重量は水平取付と垂直取付で大きく変わるため、注意が必要です。

ロボシリンダのその他情報

ロボシリンダの機能

ロボシリンダには、ポジション運転、位置決め運転、押付け運転などの機能があり、ロボシリンダはエアシリンダと比較して非常に高機能です。

ポジション運転は多点位置の搬送を行う場合などに使用され、位置決め運転は移動位置を上位機器が計算などで設定する場合に使用されます。押付け運転は、ワークの定圧クランプを行う場合などに役立つ機能です。

1. ポジション運転
ポジション運転を行うためには、ポジションと呼ばれる停止位置や、移動時の速度および加速度をあらかじめPLCなどの上位機器に登録する必要があります。ポジション運転は、上位機器でポジション番号が指定されたときに、ポジション番号に対応付けられた停止位置にロボシリンダが移動する動作です。

2. 位置決め運転
位置決め運転では、PLCなどの上位機器で移動量 (または停止位置) 、移動時の速度および加速度を直接指定してロボシリンダを運転させます。

3. 押付け運転
押付け運転では、ロボシリンダが設定された押付け力で押付け動作を行います。この動作はティーチングペンダント、またはパソコンソフトで設定し、上位機器で制御します。

参考文献
http://www.hamamatsukizai.com/shokai-iai.html
https://mechanical-engineer48.com/post-4835/

ボンデ鋼板

ボンデ鋼板とは

ボンデ鋼板とは、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鉄鋼材料です。

薄鋼板の両面を亜鉛の電気めっきし、酸化マンガンリン酸鉄を用いて電気化学的防食による表面処理  (リン酸塩皮膜処理) が施されます。ボンデ後半は塗膜の付着性が良く、耐食性が優れています。

ボンデ鋼板という名前は、新日本製鉄 (現在の日本製鉄株式会社) が初めて製造・販売を行ったときの商品名です。リン酸塩処理に用いる処理剤はボンデ剤と呼ばれていることに由来します。JISではSECC 「電気亜鉛めっき鋼板」として定められた鉄鋼材料の1種です。

なお、ボンデ鋼板という名称が通用するのは、ボンデ鋼板を使用する金属加工業者や建築業界であり、材料を供給する鋼材業界では用いられていません。

ボンデ鋼板の使用用途

ボンデ鋼板は、主に建築材として屋内で使用される金物や家具、照明器具などに多く使われます。身近な例は、デスクトップパソコンの背面パネルはボンデ鋼板です。塗装が施されたものは、ビルや駅などの建物の内壁や天井に使用されています。ATMなどの機械装置のカバーや、エレベータやエスカレータの外装なども用途の1つです。

屋外用ではトラックのボディとして使用される場合もありますが、塗装の下地が施された材料として使用されており、この上からさらに塗装を行います。ボンデ鋼板の板厚は規格として、0.6、0.8、1.0、1.2、1.6、2.3、3.2mmの7種類があります。数字が中途半端なのは、従来のインチ表記の影響によるものです。 

ボンデ鋼板の性質

ボンデ鋼板は上述したように、正式には電気亜鉛めっき鋼板と呼ばれる鋼材です。亜鉛めっきを鋼材に施す方法にはいくつか種類ありますが、ボンデ鋼板は電気めっきにより鋼板の表面に均一な亜鉛皮膜を形成させます。

亜鉛めっきによる最も重要な効果は、鋼板に防錆の特徴をもたせることです。鉄を主成分とする製品は、使用環境によっては錆が発生し、見た目が悪くなるだけでなく強度も大きく劣化してしまいます。そこで鋼に亜鉛めっき施すことで、鉄の表面が亜鉛に覆われて防錆の効果が得られます。

また、亜鉛めっきの防錆メカニズムは、例えば製品に小さな傷がつくと、鉄が錆びる前に亜鉛がその傷に溶けて出してカバーするものです。この効果は犠牲防食などと呼ばれ、めっき材料が母材よりもめっきの材料が自ら先に腐食することによって、母材を保護します。

その他にも電気亜鉛めっきの優れた性質として、表面を薄く覆うだけでなく、全体を均一に覆えるという点が挙げられます。そのため、見た目も綺麗なだけではなく塗料が乗りやすいという面でも、ボンデ鋼板が使いやすい材料になっている理由の1つです。

ボンデ鋼板の特徴

1. 美しい外観が得られる

ボンデ鋼板なら電気亜鉛めっきならではの、均一で滑らかな表面が得られます。塗装とは違った雰囲気が得られるのもボンデ鋼板の魅力です。

2. 加工性に優れいている

ボンデ鋼板は曲げ加工やプレス加工、絞り加工にも向いた材料です。強度は劣るため構造部材としては向いていませんが、優れた加工性から装飾やパネル部材などには適しています。

3. 溶接ができる

ボンデ鋼板は溶接ができます。一般的にめっきが施された材料は、めっきの皮膜が溶融しずらいなどの理由から溶接ができない場合がほとんどです。ボンデ鋼板はめっき皮膜が薄いので、ティグ溶接などのアーク溶接で接合することができます。

4. 塗装との相性がいい

ボンデ鋼板に施されるリン酸亜鉛めっきは、塗装の下地に適しており、塗料の密着性が高まります。また塗装が傷ついた場合でも亜鉛めっきの犠牲防食により、錆の発生を抑制ことが可能です。

ボンデ鋼板のその他情報

ボンデ鋼板鋼板とSGCCとの違い

SGCCとは、溶融亜鉛めっき鋼板のことです。SGCCは電気によってめっきが施されたボンデ鋼板 (SECC) とは異なり、鋼板を溶融した亜鉛に漬け込むことによって、鋼板の表面に亜鉛皮膜を施します。

ボンデ鋼板もSGCCも同じ亜鉛をめっきしたものですが、めっきの方法が違うため両者の性能には違いがあります。電気めっきは均一で薄い被膜が形成されますが、溶融亜鉛めっきの皮膜は比較的不均一で分厚い亜鉛の被膜です。

亜鉛めっきの耐食性はめっきの膜厚に依存するため、溶融めっきを用いたSGCCの方が、ボンデ鋼板よりも高い耐食性を示します。以上のような違いから、見た目が重視される場面ではボンデ鋼板が使用され、錆に対する耐食性が重視される場面ではSGCCが選ばれるのが一般的です。

参考文献
https://www.homes.co.jp/words/h5/525003436/
https://yamadabody.jp/blog/products/truckfender/truckfender_1/
https://2435.co.jp/339.html
https://caddi.jp/articles/