絶縁被覆付圧着端子とは
絶縁被覆付圧着端子とは、裸圧着端子の根元部分に絶縁被覆が施されている部品です。
電線の端部に施工されることが多く、他の電子機器や回路と接続するために使用されます。絶縁被覆によって電線と他回路・部品の間を電気的に絶縁します。
これにより、短絡や漏電、感電などのリスクを軽減します。安全な電気接続を確保することが可能です。また、絶縁被覆は電線の末端を保護し、外部の環境からのダメージや摩耗を防ぎます。物理的な衝撃や振動に対しても耐久性があり、長期間の使用に耐えられます。
ただし、絶縁被覆付圧着端子を正しく取り付けるためには、適切な工具を使用することが重要です。一般的な裸圧着端子と同じ工具を使用できないことが多いです。間違った工具や作業手順で圧着作業をした場合、接続の信頼性や安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
絶縁被覆付圧着端子の使用用途
絶縁被覆付圧着端子は、さまざまな産業で使用されます。ただし、その全てが電気配線の接続用途です。それ以外の用途では使用されません。
1. 建物
建物の電気配線において電線の接続や分岐点で使用されます。壁面コンセントやスイッチの配線に利用されることが多いです。
2. 家電製品
家庭用エアコンなどの家電製品における電線接続に利用される場合も多々あります。
3. 自動車
自動車のハーネスにも使用されます。自動車のハーネスは、車両内の電気系統を配線するための重要な部品です。絶縁被覆付圧着端子はハーネスの接続点や分岐点で使用され、信号伝達や電力供給を確保します。
4. 産業機器
工場などにおける産業機器の電気配線接続にも使用されることが多いです。産業機械の制御系統やモーターなどの電気配線に使用され、信頼性の高い電気接続を提供します。
絶縁被覆付圧着端子の原理
絶縁被覆付圧着端子は一般的に絶縁被覆、端子本体、および電線接続部から構成されています。
1. 絶縁被覆
絶縁被覆は電線の一部を覆って外部の環境から電線を保護し、電気的な絶縁を提供する部分です。主に塩化ビニルやナイロンなどの材料が使用され、耐熱性や絶縁性能などの要件に合わせて選択されます。
2. 端子本体
端子は電線と接続し、信号や電力の伝達を確保する役割を果たす部分です。一般的に金属製であり、導電性と耐久性が求められます。ビスなどとの密着性も重要なことから、無酸素銅などの柔らかい材質が使用されることが多いです。
端子にはさまざまな形状やタイプがあります。一般的にはリング型やY型または棒型などの形状が使用されることが多いです。端子部分は他の回路や部品との接続を可能にします。
3. 電線接続部
電線接続部は、ケーブルなどの電線と被覆付圧着端子を接続する部分です。圧着によって確実な接続を実現します。電線との接続を実施する場合、圧着工具の使用が推奨されます。
圧着工具で圧着することをかしめると言います。圧着端子の接合部分の大きさに合った圧着ペンチを用いることで、正常なパワーで密着・接続させることが可能です。電線の絶縁被覆が剥き出しにされ、導体が露出した状態で端子の圧着部分に挿入されます。
圧着工具を使用して適切な圧力をかけて電線をしっかりと固定し、導体同士が直接接触するようにします。電線接続部によって電線と絶縁被覆付圧着端子の確実な接続が可能です。
絶縁被覆付圧着端子の種類
絶縁被覆付圧着端子には、さまざまな種類があります。以下は代表的な絶縁被覆付圧着端子の種類です。
1. リング端子
リング端子は、円環状の端子形状を持つ圧着端子です。ねじやネジ圧着端子台座に取り付けられる場合が一般的です。この形状の端子は、配線接続が必要な箇所で広く使用されます。
2. 棒端子
棒端子は、直線的な端子形状を持つ圧着端子です。国内ではリング端子を使用する場合が多いですが、特に欧州におけるシェアは棒端子がほとんどです。配線の結合点や電気パネルなどで使用され、複数の同時に1つの端子にかしめることも可能な端子も販売されています。
3. Y型端子
Y型端子はY字型の端子形状を有する圧着端子です。端子をボルトやネジに取り付けるために使用されます。ネジを完全に外さなくとも配線を接続・離線可能で、施工性が高い点が特徴です。
ただし、ねじの緩みによって脱落するリスクがあります。リング端子を推奨しているメーカーなども多いです。
参考文献
https://www.fujiterminal.co.jp/products/cp/terminal/insulation/
https://kurashi-no.jp/I0020746