真空ブロワ

真空ブロワとは

真空ブロワは真空発生器の一つで、吸い込み側で真空が、排出側で加圧・吐出が起こる装置です。

真空発生器にはエジェクター、真空ポンプ、真空ブロワの3種類があり、それぞれ用途によって使い分けます。加圧 (吐出) が必要な場合にはブロワが使用され、吸引が必要な場合は真空ポンプを使用することが一般的です。真空ブロワは、吸着搬送などに用いられています。真空の用途としては、吸着パッドによる吸着・系内を減圧することによる脱気が挙げられます。

真空ブロワの使用用途

真空状態の主な用途には下記のようなものがあります。

  • 部品の吸着搬送
  • 粉粒体 (食品、プラスチック、化学、製薬など) 輸送
  • 真空チャック
  • 真空包装器
  • 脱気、蒸着装置
  • 濾過機の真空引き
  • 真空成形機
  • 食品の真空含浸、真空乾燥
  • 印刷インク脱泡器
  • 気密テスト
  • エアーナイフ

吸着搬送とは、ロボットなどで搬送する際に吸着パッドによる吸着を行う搬送の方法です。真空ブロワは吸込量が大きいことから、特に段ボール、断熱材、木板などの通気性のあるワークの吸着に用いられます。

また、系内を減圧することによる脱気では、空気 (酸素) を取り除くことで酸化しやすい物質の酸化を防ぐことができます。

真空ブロワの原理

1. 概要

真空ブロワはモーターを回すことで内蔵された翼 (インペラ) を回転させる仕組みです。インペラが回転することで気体を取り込み、さらにハウジング内に気体を引き込むことで気体を加速および圧縮させます。すなわち、インペラの羽根によってエアーが吸い込まれて圧縮することにより、吸込み側で負圧 (真空) が排出口を通って、ブロワから加圧・放出が発生します。

2. 特性

真空ブロワは吸い込み量が大きいことが特徴です。しかしその一方で、発生する真空度はあまり高くは有りません。また原理上、吸着させるワークには通気性がある方が効率よく使用することができます。

真空ブロワは、吸い込み側の真空によって吸着パッドによる吸着を行うことが可能です。吸着パッドとワークの間に存在する圧力よりも周囲の圧力が高い場合、大気圧によってワークと吸着パッドが固定されます。吸着パッドの吸着力は大気圧とパッド内の圧力との圧力差に正比例します。

3. ルーツ式ブロワ

真空ブロワの一種にルーツ式ブロワがあります。ロータリ・ブロワ (ルーツ式) と呼ばれる場合もあります。

ルーツ式ブロワは、ケーシング内部で回転するインペラが、インペラ同士とケーシング内壁に僅かな間隙を保ちながら、非接触回転します。これにより、吸込側から吐出し側へと気体を移送する仕組みです。ケーシングの外側のタイミングギヤによってロータへ回転が伝達され、ケーシングとロータとの間に閉じ込められた気体は、吸入側から吐出側へ移送され、吐出口を通ってケーシング外部に吐出されます。

真空ブロワの種類

1. 概略

真空ブロワの駆動方法には、直接駆動式または周波数制御式などがあります。周波数制御式では、モーター回転数や吸込量をコントローラーで制御することにより、カスタマイズが可能です。

吸い込み量は 75~1,050m³/h、真空は100〜450mbar前後などの幅の中で、様々な製品があります。

2. ルーツ式ブロワの種類

ルーツ式ブロワには、インペラが2枚の2葉式と、3枚の3葉式とがあります。2葉式は1回転あたりの吐出数が4回であるのに対して、3葉式は6回です。また、2葉は内部容積が大きい為、3葉よりはポンプ本体が小さくなるという特長がある一方、3葉式は脈動圧や圧縮音、漏洩量が2葉式より小さくなるという特長があります。理論風量は2葉式の方が大きく、対応圧力は3葉式の方が大きいです。

製品によって、インペラ先端をケーシング内周に対して面シールとすることで漏洩量を低減させ、効率化している製品などもあり、また、軸封にも様々なものがあります。用途に合わせて適切なものを選択することが可能です。

参考文献
http://www.schmalz.co.jp/fileadmin/schmalz/country-pages/jp/pdf/VT_Main-2012/vt-vacuum_components-2012_06-P0163-vacuum_knowledge_system-cp-01.pdf
http://www.schmalz.co.jp/vacuumblowers.html

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