撹拌槽

撹拌槽とは

撹拌槽

撹拌槽とは、撹拌を行うためのタンクです。

異種の固体・液体・気体を撹拌槽の中に入れて、撹拌して混合させるために用います。撹拌槽の形状は、液面高さとタンク内径の比で示されます。一般的に効率的な比率は1.0から1.5程度です。

撹拌槽が過度に細いと上下の撹拌がうまくいかず濃度勾配が発生しやすくなり、一方で過度に太いとタンク径が大きくなってタンクに厚みを持たせる必要があります。

撹拌槽の使用用途

撹拌槽は、物質を混合させる撹拌機の外装として使用されています。撹拌槽の利用用途に応じコイルやジャケット、バッフル、ノズルなどの部品を導入します。部品を取り付ける場合、撹拌機に生じる液体のフローを妨害しないことや構造的に強度が保たれることが必要です。

コイルやジャケットは、加熱冷却を行うときに用います。バッフルは液体の横向きの流れに対して上下方向への流れを付与する役割があり、最大の効果を得るためにはタンクに対して2~8枚程度取り付ける必要があります。

ノズルはタンク内の液体の注入や流出に利用し、液体に気体を注入するときは槽の下部のノズルから入れてバブリングもできる部品です。

撹拌槽の原理

撹拌槽は、モーター、減速機、軸封装置、軸、撹拌翼、バッフルで構成されています。

1. 軸封装置

モーターが回転して軸に動力が伝わり、減速機を装着している場合は減速機に応じた減速とトルク上昇が生じます。また、軸封装置によって回転を妨げずに槽内を密閉できます。一般的に用いられている軸封装置は、グランドパッキンメカニカルシールです。

2. 撹拌翼

撹拌翼が回転するのと同時に軸が回転し、液体の撹拌が可能です。槽内の撹拌は、撹拌翼の形状に応じたスラスト力やラジアル力によって生じます。また、撹拌翼に接触した液が上下左右に流れを作ることで、撹拌翼特有の挙動へと変化します。

3. バッフル

撹拌された液はタンク内に取り付けたバッフルにより、更なる液分散が可能です。バッフルは、層流状態から乱流状態に変化させるのに用いられます。特に低粘度の液体の撹拌では層流となりやすく、バッフルの装着が効果的です。

4. タンク

タンクの形状によって液の分散具合が変化します。タンクボトムの形状は、特に液だまりに大きく影響します。一般的に用いられるのは、2:1の半楕円形状もしくは10%皿型です。液面の高さとタンク内径の比を1.2とした場合、槽の内径は液量を1.14倍し、1/3乗して算出できます。

撹拌槽のその他情報

1. 撹拌翼の種類

モーターの回転を撹拌槽に伝えて原料を撹拌する部分は、撹拌翼です。撹拌翼の役割は、撹拌槽内の各所にせん断力を与える「せん断作用」と、循環流の形成を与える「循環作用」の2つに大きく分けられます。撹拌する原料の粘度を基準として、目的が達成できる最適なバランスを持った撹拌翼を選択します。

撹拌槽に使用されている代表的な撹拌翼は、以下のとおりです。

プロペラ翼
プロペラ翼は、船舶に用いられる3枚の羽を持った撹拌翼です。高粘度の原料を撹拌するのには不向きですが、低粘度の液体に個体粒子が含まれているときに沈殿防止の目的で使用されています。その他にも、コスト面やコンパクト性から、標準的な撹拌翼として広く使われています。

ディスクタービン翼
ディスクタービン翼は、円盤に何枚かのブレードをつけた撹拌翼です。消費電力は大きいですが、大きな循環作用とせん断作用が発生します。固体を粉砕しながらの撹拌や、気体の分散や吸収などの反応を伴う撹拌などで利用できます。

アンカー翼
アンカー翼は、船の錨に似た形状をした撹拌翼です。一般的に、撹拌槽の底から壁に沿った形状になっている撹拌翼です。高粘度の原料でも撹拌可能ですが、撹拌能力は他の撹拌翼と比較するとあまり高くありません。

2. 撹拌槽の種類

撹拌槽にはいくつか種類があります。混合する液体に適した撹拌方法により、撹拌槽を選択することが大切です。

中心撹拌
撹拌槽の中心に、撹拌翼の中軸を垂直に取り付けた撹拌方法です。一般的な方法であり、均一な流動が生じる特徴があります。

偏心傾斜撹拌
撹拌翼を撹拌槽の中心ではなく、底面に対して斜めに取り付けた撹拌方法です。バッフルがない状態でも、乱流状態を発生させられます。

底部撹拌
撹拌翼を撹拌槽の底の部分から取り付けた撹拌方法です。撹拌槽が大型のときに長い軸の装着は不要になります。

参考文献
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/expert001/
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/basic000/

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