タッピングねじ

タッピングねじとは

タッピングねじ

タッピングねじとは、めねじ側 (木材や金属などの部材) にねじ山が無くても、タッピングねじ自身がねじ込み時にねじ山を成形することができるおねじのことです。

相手側 (めねじ側) の加工が必要ないので作業の効率も上がり、コストの面でも非常に優秀と言えます。

タッピングねじの使用用途

タッピングねじ種類

タッピングねじは、主に木材、鋼板、アルミ合金板、樹脂を締結するために使用されます。タッピングねじは薄い部材であれば、様々な用途に使用することができます。タッピングねじのねじ部の形状は6種類があり、対象となる部材によって使い分けることが大切です。

タッピングねじの特徴

タッピングねじの特徴は、あらかじめ開けた下穴にねじ込むことだけでめねじが形成され、異なる部品同士を締結させることができる点です。通常のねじは、部材にあらかじめ下穴を開け、タップ加工 (ねじ切り) を行い、めねじを作っておく必要があります。

タッピングねじは部材同士を締結させる手間が少なく、締結する力も強いため、プロからDIYまで幅広く使用されています。反面、一度締め込むと緩みにくい特性があり、ねじの締め込みを失敗すると、めねじ側に形状が記憶されてしまう点がデメリットです。

1. ドリルねじとの違い

ドリルねじとの違いは下穴が必要か否かで、ドリルねじは下穴を開ける必要がありません。ドリルねじは先端形状がドリル状になっており、下穴あけ、タップ加工、締付が1工程で可能で、主に鋼材など金属同士の固定に使用されます。

2. 木ねじとの違い

木ねじとの違いは、タッピングねじが木材、鋼板、アルミ合金板、樹脂など幅広く使用できることに対して、木ねじは名前の通り木材専用になる点です。これは木材が水分を含んでいて、年数経過で乾燥すると木材が痩せてしまい、通常のタッピングねじでは緩んで外れてしまうためです。木ねじは首下はねじが切られておらず少し太くなっているので、木材が痩せても緩まずしっかり固定できるようになっています。

タッピングねじのその他情報

1. タッピングねじの頭の種類

タッピングねじ頭の種類

タッピングねじの頭の種類には、「なべ頭」「皿頭」「トラス頭」の3種類があり、それぞれ以下の特徴があります。

  • なべ頭タッピングねじ
    タッピングねじの中でもっとも広く使用されている形状です。
  • 皿頭タッピングねじ
    頭が平らなお皿状で、頭を全て埋め込みたいときに使用します。そのため、あらかじめ部材に頭を埋め込むための円錐状の穴を加工しておく (皿モミ) 必要があります。
  • トラス頭タッピングねじ
    ナベ頭タッピングねじと比べて頭の径が大きく、締め付け強度が必要な場合に使用します。

このほかにも、バインド頭タッピングねじや丸皿頭タッピングねじなど様々な形があります。

2. 締結不良

締結不良はタッピングねじを締め付けるときの操作ミスや、ねじを締付取り外しを行う際に発生することがあります。ねじの締結時にトルクが足りず、タッピングねじが着座しないこともあります。それを解決しようと逆に締め付けトルクをかけ過ぎて、締め付けるものやタッピングねじ自体を壊してしまうなど、様々なトラブルに繋がりやすいです。

トラブルを未然に防ぐためにも、タッピングねじの外径などの条件から、適切な下穴の大きさなどが、ねじのパッケージなどに記載されています。タッピングねじの取付取り外しを繰り返していると、少しずつ締結強度が落ちてきて、最終的にはネジ穴を破壊してしまいます。また、振動や熱によって締め付けている部材に経年変化が起きると軸力が少しずつ落ちてきてしまうこともあるので、さまざまな条件で試験を行い、対策を考える必要があります。

参考文献
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/tapping_drill/tapping_drill_tapping.html
https://www.neji-navi.com/contents/trivia/tapping.php
https://www.nittoseiko.co.jp/nitto-blog/2017/08/09/4
https://www.neji-navi.com/contents/trivia/tapping.php
https://www.vectrix.co.jp/la/Torque.html

バリ取り工具

バリ取り工具とは

バリ取り工具

バリ取り工具とは、金属などを加工する際にどうしても出てしまうバリを除去するための工具です。

バリとは加工時に意図せず発生する突起や残留物のことで、切削やプレス切断した際に加工材料が変形し引きちぎられる過程で発生します。

発生したバリは鋭利なため、誤って触ってしまうと怪我をする恐れがあるため、世の中にある板金部品のほぼ全てでバリ取りが必須となっています。バリの種類はドリルやフライスなどの切削バリ、プレス機によるプレスバリ、鋳造や鍛造した際隙間にながれて発生する射出成型のバリなどが存在します。

バリ取り工具の使用用途

バリ取り工具は、加工工程で発生した突起や残留物を除去する作業をするために使用します。バリ取りをする目的は大きく3つあります。

1. 計測時の誤差を防ぐ

部品の計測面のエッジ部分にバリがあると、本来の寸法に対して誤差が発生します。誤差があると決められた部品同士の組付けが適切に行われず、設計通りに組み立てできなかったり、製品の機能が損なわれることになります。

2. 製品の故障や摩耗を防ぐ

製品が完成した後でも様々な不具合の原因となります。製品の使用中にバリが落下し異物となったり、駆動部だとほかの部品と接触し傷や摩耗が生じます。電気製品であればバリが回路と接触しショートする可能性もあります。

3. 作業者や利用者のけがを防ぐ

製品に付着するバリは不規則な形状で特に金属製品だと鋭く、触るだけでけがすることもあります。バリが残ったままだと作業者や利用者は常にけがのリスクを負うことになります。

バリ取り工具の原理

バリ取り工具の原理は単純で工具の目に沿って研磨することでバリが除去され、凹凸になっていた部分が平坦になり触れてもけがすることのない滑らかな状態となります。

若干異なりますが、穴加工で発生するバリなどには手工具を使用してバリを除去するのではなく、エッジ部分ごと切削加工することでばりも一緒に除去する面取りという方法もあります。

バリ取り工具の種類

バリ取りの方法には様々なものがありますが、中でも加工機や工具などを用いて機械的な接触によりバリを除去する方法が代表的です。主な種類は以下となります。

  • ヤスリ
  • スクレーパー
  • 研磨ペーパー
  • グラインダー
  • リューター
  • ベルトサンダー

ヤスリやスクレーパー、研磨ペーパーなどのは手に持ち部品のエッジ部分を磨くことでバリを除去します。グライダーやリューター、ベルトサンダーなどは回転物に対して部品をあてることでバリを除去します。バリの状態に合わせてボール盤やフライス盤を用いることもあります。

バリ取り工具のその他情報

バリの除去方法

バリが発生してしまう箇所は、加工したときにできる角部です。除去方法には、大まかに5種類あります。部品の材質や

1. 機械加工
手仕上げで行う方法と、ボール盤フライス盤などを使用する方法があります。エンドミル加工でバリが発生する箇所をあらかじめ加工し、バリが出ないように工夫することもあります。

2. 砥粒加工法
砥粒と呼ばれる硬い粒状の物質を使用してバリを取り除く方法です。砥粒をバリに吹き掛けて除去する砥粒ジェットと、砥流を回転する機械に製品をセットしバリを除去する砥流流動と、バリのついた製品と砥粒を同じ容器に入れ、回すことによりバリを除去するバレル研磨の3種類があります。細かな部品のバリを取るときに使用されます。

3. 熱的加工法
熱的加工法によるバリ取りには2つの方法があります。火炎やプラズマによりバリのみ加熱除去する方法と、バリ部分を通電させ電気抵抗による発熱で除去する方法です。

4. 化学加工法
薬品を使用しバリのみを溶かして除去する方法です。

5. 電気化学的加工法
電解溶液の中にバリの付いた製品を浸し、電解液を振動させて通電し、バリを除去する方法です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0031.html
http://benrikougu.com/reamer/

ターボ冷凍機

ターボ冷凍機とは

ターボ冷凍機は、フロンなどの冷媒で不凍液などのブラインを冷却する熱サイクルシステムです。冷却されたブラインを空調や冷凍庫に使用します。

ターボ冷凍機によって高効率で省スペースに空調を設置できるメリットがあります。ただし、「圧縮機に相応の電力が必要であること」「冷媒配管を張り巡らせる必要があること」「初期投資が多くかかること」がデメリットとして挙げられます。近年では環境への配慮のため、代替フロンやノンフロン冷媒によるターボ冷凍機も開発されています。

ターボ冷凍機の使用用途

主に大型ビルや商業施設の集中空調などに使用されます。産業用としては、冷却を必要とする設備で用いられることがあります。以下に産業での使用例を示します。

  • 冷水を大量消費する紡績業や化学プラントのプロセス冷却
  • 恒温恒湿環境を維持する必要がある半導体製造工場
  • 広範囲な地域レベルで集中管理する地域冷暖房

近年では省エネルギー性能が高い事から、需要が増加傾向にあります。

ターボ冷凍機の原理

ターボ冷凍機は他の冷凍機と同様に蒸発→圧縮→凝縮→膨張というサイクルでブラインを冷却します。その圧縮工程でターボコンプレッサを用いている事からターボ式と呼称されています。 冷凍能力が高く、設備が大型化する為、大規模な冷却用途に用いられます。

冷却工程の概要は次の通りです。

1. 蒸発工程

蒸発器内で冷媒が低温低圧の液体から低温低圧の気体へと相変化します。この際に気化熱が奪われる事でブラインが冷却されます。冷却されたブラインは空調機へ循環されます。

2. 圧縮工程

蒸発工程で気化した冷媒がターボコンプレッサーで圧縮され、高温高圧の気体となります。ターボコンプレッサーでは羽根車を回転させる事で冷媒を遠心圧縮しています。

3. 凝集工程

凝集器内で高温高圧の冷媒が、冷却塔で冷却された冷却水によって冷やされ、中温高圧の液体へと相変化します。冷却水に奪われた熱は冷却塔で大気中へ放出されます。

4. 膨張工程

中温高圧の冷媒は膨張弁を通る事で減圧され、低温低圧の液体になります。 この後、蒸発工程へ戻り、サイクルが繰り返されます。

ターボ冷凍機のその他情報

1. ターボ冷凍機と吸収式冷凍機の違い

冷凍機には様々な種類がありますが、冷媒と冷凍サイクルによって「蒸気圧縮式冷凍機」と「吸収式冷凍機」の2種類に分類されています。ターボ冷凍機は蒸気圧縮式冷凍機の一種です。

吸収式冷凍機はターボ冷凍機の冷凍サイクルと異なり、「蒸発→吸収→再生→凝縮」のサイクルで冷却し、圧縮の工程はありません。吸収式冷凍機では冷水と温水をどちらも用いることができるため、冷房だけではなく暖房としても活用が可能です。

吸収式冷凍機は冷媒と併せて臭化リチウムという腐食性のある吸収液を使用します。そのため、長期間冷凍機を使用すると腐食により効率が低下します。また、吸収液には有害物質が含まれているため、廃棄時には回収業者に依頼が必要です。

冷凍機としての効率はターボ冷凍機の方が高いため、既存の設備や用途に併せて選定します。

2. ターボ冷凍機とチラーの違い

ターボ冷凍機と同じように温度逝去を行う装置としてチラー(冷却水循環装置)があります。ターボ冷凍機とチラーにはいくつかの違いがあります。

チラーはブラインによって循環する液体を冷却し、ターボ冷凍機はブラインによって冷風を発生させます。また、チラーでは過冷却すると循環液自体が凍結するため、冷却できる温度は-10℃程度です。ターボ冷凍機は冷却だけではなく冷凍も可能のため、冷却の限界値に大きく違います。

3. ターボ冷凍機の需要

ターボ冷凍機をはじめ、冷熱機器に関する分野の市場規模は約20兆円とも言われています。その中でも中東地域の需要は全世界のうち約3割であり、2030年までに約6倍の需要が広がると予測されています。ターボ冷凍機は今後も需要拡大が期待されています。

参考文献
https://www.jp.trane.com/commercial/asia-pacific/jp/ja/wp/hvac/whatsAbsorption.html
https://www.khi.co.jp/energy/mizutorbo/
https://www.amux.co.jp/blog/397

ストロボスコープ

ストロボスコープとは

ストロボスコープ

ストロボスコープとは、高速点滅する光を照射する観測・測定用器具です。

瞬時に点灯・消灯を繰り返すことで、照射された物体が描く軌跡や運動量を解析ができます。大きく2つに分けると、「単位時間あたりの点滅回数の設定により作動するもの」と「外部からの信号により可変作動するもの」に分別されます。

主に前者は「運動の様子を測定するもの」として、後者は「タイミングを測定するもの」として使用されます。個人用のポータブルサイズから産業用の比較的大型なものまで、各社から様々な製品が販売されています。

ストロボスコープの使用用途

ストロボスコープは、主に回転数が性能に直結するテープレコーダーやレコードプレーヤーのような製品の校正作業、エンジンの点火時期調整などに用いられます。

1. 校正作業

校正作業の場合、規格回転数100RPMで回転する円盤にマーキングを施し、ストロボスコープを毎分100回点滅するように設定し照射すると、その円盤やマーキング部分は停止しているように見えます。

したがって、回転数が規定回転数よりも遅くなっている場合、ストロボスコープを照射された物体は1RPMで逆回転しているように見えるため、校正が必要であると判断できます。

2. 点火時期調整

エンジンの点火時期調整に使用する場合、第1シリンダーのイグニッション回路に信号線を割り込ませることで、スパークプラグにより第1シリンダーに点火されたタイミングでストロボが照射されます。

そのため、クランクプーリーの目盛りとシリンダーブロックのマークが一致する点を読み取り、点火時期を把握ができます。

 

どちらの場合であっても、「調整の必要があるかどうか」「調整の結果」が視覚としてリアルタイムに現れるため、効率的な作業が可能になります。

ストロボスコープの原理

1. 網膜の残像現象

ストロボスコープの作動原理は、特に人間の視覚に起因する「網膜の残像現象」に注目したものです。瞬間的に光の強度が変わった場合、その変化が一定時間 (1/16秒程度と言われています) 続く現象です。具体的には、光源が消えた後も私たちの視覚にはその光源が短時間存在しているかのように見える現象を指します。

ストロボスコープは、この視覚効果を利用して、点滅する光を用いて高速に動く物体を一瞬だけ照らし、その一瞬を「静止画」として捉えます。これは、映像業界で使われるコマ撮り技法に似ています。

2. ストロボスコープの光源

ストロボスコープの光源としては、「キセノンフラッシュランプ」や「LEDランプ」が主流となっています。キセノンフラッシュランプは大光量の白色光を提供し、LEDランプは消費電力を抑えつつ長寿命で、光色を変えることも可能です。

しかし、これらの光源は大光量で物体への照射を前提としているため、肉眼での直視は避けるべきです。これは、網膜への過度な刺激が視覚に影響を及ぼす可能性があるからです。

ストロボスコープの選び方

ストロボスコープの選択は、その使い方や必要な機能に大きく左右されます。そのため、選定時は以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 明るさ

ストロボスコープの明るさは、観察対象の環境や対象物自体に依存します。明るい場所や大きな対象物に対しては、より強い光を出力するモデルが適しています。

2. 発光周波数

発光周波数は動きの速い対象物を観察する場合や、微細な動きを詳細に観察するためには、高い発光周波数を持つストロボスコープが必要となります。

3. 光源の種類

ストロボスコープの光源としては、主にキセノンフラッシュランプとLEDランプが使用されます。キセノンフラッシュランプは強力な光を出力しますが、消費電力が大きく、ランプの寿命が短いのが欠点です。一方、LEDランプは消費電力が少なく、長寿命であり、また光色を変えることも可能です。

4. 携帯性と耐久性

使用環境によっては、携帯性と耐久性も重要な選択基準となります。野外や工場などの厳しい環境で使用する場合は、堅牢な設計と良好な防塵・防水性能を持つモデルを選びます。

ストロボスコープのその他情報

1. ストロボスコープの長所

ストロボスコープは他の運動量を計測する装置、例えば回転センサーや加速度センサー、位置センサーと異なり、その汎用性が非常に高い利点があります。化学反応の進行観測や咽頭癌の診断など、あらゆる領域で活用が見られます。

2. ストロボスコープの短所

しかしながら、ストロボスコープは光と明暗差を利用する機器であるため、「適切な距離や方向から照射しなければならない」「明るい場所での使用には不向きである」「明暗差が大きすぎると白飛びする」制約も存在します。これに対応するために、自動露出機能を備えたモデルもありますが、特に明るい屋外などでは計測が難しいケースが多いです。

参考文献
https://www.nissin-ele.co.jp/products/index.php
https://www.sugawara-labs.co.jp/guide/xenonflash/ストロボスコープの原理

サーボモーター減速機

サーボモーター減速機とは

サーボモーター減速機 (英: Servo Motor Gearbox) とは、サーボモーターの出力軸から得た動力を、ギヤ (歯車) で出力軸の回転速度を減らし、減速比に比例したトルクを得ることができる装置です。

サーボモーター減速機

図1. サーボモーター減速機

図1はサーボモーター減速機の外観です。出力軸を中空軸にして、中にケーブルなどを通せるような機種もあります。

サーボモーター減速機を使う最大のメリットは、小さいモーターでも大きなトルクを出せるようになることです。

サーボモーター単体で装置を動かそうとすると、大出力のサーボモーターが必要になり、装置全体の重量やサイズが大きくなってしまいます。そこでサーボモーター減速機を使うと、サーボモーター単体の約4倍~100倍のトルクが出せるようになります。これによって大型モーターを用いることがなく、装置を小型化、安価に実現できます。

減速機の種類や特徴、製品の仕様を理解し、用途に合わせたギヤと減速比などを選定することが、サーボモーター減速機を使う装置を構成する上で重要なファクターとなります。

同様の考え方でギヤードモーターと呼ばれる製品も存在します。

サーボモーター減速機の使用用途

サーボモーター減速機は主に工場の中で動く自動化装置に使われます。

具体的な仕様用途は、次のようなものがあります。

サーボモーター減速機の原理

サーボモーター減速機の中には、ギヤ (歯車) が入っています。ギヤはサーボモーターの出力軸から得た動力を次のように変える仕組みがあります。

  • 回転速度をギヤの (1/減速比) 分、減速させる
  • トルクを減速比に比例して増やす

図2のようなギヤを例にして、具体的に説明します。

サーボモーター減速機の原理

図2. サーボモーター減速機の原理

図2は、①歯車1~歯車2 (減速比 : 3/1=3) 、②歯車3~歯車4 (減速比 : 7/3≒2.33) の2段のギヤで構成されています。

このギヤの組み合わせの減速比は

(①の減速比) × (②の減速比) = 3/1×7/3=7

と計算できます。

このサーボモーター減速機によって、減速機の出力軸の動力は次のように変化します。

  • 回転速度は1/7になる
  • トルクは7倍になる (注1)  

(注1) 厳密には、ギヤの摩擦などの損失により、出力軸のトルクは7倍より小さい値になります。ここでは簡単に考えるため、損失を無視しています。

サーボモーター減速機の種類

サーボモーター減速機の種類としては大きく直交軸、平行軸の2つに分類されます。

直交軸の減速機は、サーボモーターの出力軸と減速機の出力軸が直交しています。直交軸で使われるギヤは主にウォームギヤ、ハイポイドギヤです。平行軸の減速機は、サーボモーターの出力軸と減速機の出力軸が平行になっています。平行軸で使われるギヤは主に遊星減速機です。

それぞれの特徴を以下に記載します。

1. ウォームギヤ (直交軸) 

高強度で高い静粛性を持ち、出力軸を中空軸にしやすいことが特徴です。0.2~15kW程度のモータとの組み合わせができ、減速比の範囲は約1/10~1/60になります。

2. ハイポイドギヤ (直交軸)

ウォームギヤに比べて高効率であることが特徴です0.2~11kW程度のモータとの組み合わせが可能で、減速比の範囲は約1/5~1/200になります。

ハイポイドギヤ

図3. ハイポイドギヤ

3. 遊星減速機 (平行軸) 

高効率で、段数を増やすことで減速比を大きくできることが特徴です。0.2~3kW程度のモータとの組み合わせが可能で、減速比の範囲は約1/3~1/100になります。

 

参考文献
https://www.nissei-gtr.co.jp/gtr/product/servomotorreducers/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/reducer/servo-motor/reducer/

マイクロプロセッサ

マイクロプロセッサとは

マイクロプロセッサ

マイクロプロセッサとは、様々な演算処理や周辺機器の制御を行うコンピュータの頭脳になる半導体チップです。

1970年頃まではコンピュータの頭脳に当たる部分は複数の半導体チップで構成された大きなプリント基板で構成されていましたが、半導体の進歩によりワンチップ化が実現し1971年に最初のマイクロプロセッサが出荷されています。

コンピュータを構成する要素はマイクロプロセッサ以外にメモリやグラフィックス、HDDドライブユニット、イーサネット通信インターフェースなどの入出力装置に分類することができます。マイクロプロセッサが出始めた頃は、上記のマイクロプロセッサ以外の構成要素は別の半導体チップで提供されていて、これらを組み合わせてコンピュータを作っていました。

その後の半導体の微細加工の進展と高度化により、従来はマイクロプロセッサとは別チップだったメモリ、グラフィックスや各種インターフェース機能がマイクロプロセッサの内部に取り込まれ、機器の小型軽量化に大きく貢献しています。

マイクロプロセッサの使用用途

マイクロプロセッサは、演算や制御を必要とするほぼ全ての機器に使用されています。

コンピュータシステムではスーパーコンピュータから業務用高性能コンピュータや民生用コンピュータ、ノートPC、スマートフォンやタブレット端末に至るまで、規模の異なるマイクロプロセッサが搭載されています。

また、様々な民生用機器や業務用機器にも搭載されています。携帯電話やスマートフォン、テレビ、レコーダー、各種オーディオ機器、更に車やバイク、業務用の各種測定機器などです。これらに搭載されたマイクロプロセッサの多くは、シングルチップマイクロコンピュータとも呼ばれ、分野や用途に最適な周辺ハードウェア等も取り込み機器の小型化に貢献しています。

マイクロプロセッサの原理

マイクロプロセッサは、メモリ上の命令を読みだして命令を解読し実行することで演算や制御を実行します。具体的には以下の動作を行います。

  1. フェッチ: メモリから命令の読み込み
  2. デコード: 読み込んだ命令の解読
  3. 実行: 解読した命令に従った演算処理や制御の実行
  4. ライトバック: 演算結果をメモリや周辺装置へ書き込み

上記の1~4を繰り返すことで、例えば表計算や動画表示、室内の温度調整などを実行することができます。

マイクロプロセッサの選び方

マイクロプロセッサには以下の様に用途別に異なったモデルが提供されています。大きく分けてパソコン用と組込用に分けられます。

1. パソコン用

パソコン用は処理能力が高く、大容量のメモリにも対応しているため大きなアプリケーションやデータを処理することができます。また、Windowsを動作させれば多くのアプリケーションを利用して開発費用を抑えることができます。ただし、量産時のコストは組込用と比較すると高くなる傾向があります。

2. 組込用

組込用はタイマー機能やADコンバータ、D/Aコンバータなど入出力機能も備わっていて比較的安価です。ただし、処理能力についてはパソコン用と比較すると低めになります。また、アプリケーションなどもそろっていないのでソフトウェア開発規模の見極めも必要となります。

マイクロプロセッサのその他情報

1. マイクロプロセッサとCPUの違い

マイクロプロセッサと類似するものとしてCPU (英: Central Processing Unit) があります。

基本的にはマイクロプロセッサとCPUは同じもので、コンピュータの中央部として処理をつかさどる役目を担います。CPUはマイクロプロセッサの定義である集積回路で作られたプロセッシングユニットに該当するため、マイクロプロセッサの一部と言えます。

歴史的には、コンピュータ技術の萌芽段階ではコンピュータが大型でCPUも多数のユニットから構成されていました。技術の発達に伴い、集積回路に集約したマイクロプロセッサが誕生し、それがCPUとして一般的に用いられるようになりました。ただし、コンピュータ関連ではGPUなど他のマイクロプロセッサも存在するため、CPUのことをマイクロプロセッサと呼ぶと誤解が生じます。そのため近年ではCPUと呼ぶことが一般的です。

2. マイクロプロセッサのビット数と動作周波数

マイクロプロセッサは規格によって一度の動作で処理できるデータ量が決まっています。当初は4bitしか処理できませんでしたが、近年では64bitが一般的となっています。

過去、Windowsなどのオペレーティングシステムでは32bitのマイクロプロセッサを前提として設計されていましたが、近年では64bitのオペレーティングシステムに移行が進んでいます。両者には互換性がないため、32bit向けに構築されたソフトウェアは64bitでは利用できません。そのため、移行には長い時間がかかりました。

また、マイクロプロセッサは内部でクロック信号と呼ばれる周期的な信号に従って動作するため、信号の周波数が高いほど高速に動作します。近年の製品では、GHzクラスで動作するマイクロプロセッサが一般的であり、これは毎秒10億回処理を行えることを意味します。

参考文献
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/principle/microprocessor.html
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/innovation/mpuworks.html
http://direct.pc-physics.com/cpu/cpu-microprocessor-difference.html
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/principle/microprocessor.html

産業用コンピューター

産業用コンピューターとは

産業用コンピューター

産業用コンピューターとは、一般的なパソコンとは異なり、特定の目的や業務に特化したコンピューターのことです。

工場の製造現場や設備の制御装置、医療機器など、さまざまな産業分野で活用されています。産業用コンピューターは、長時間の動作や劣悪な環境で使用されることが多いため、高い耐久性や信頼性が求められます。

また、長期間の安定供給とメンテナンスが提供されることも重要な特徴です。産業用コンピューターは、産業界の発展に欠かせない存在です。

産業用コンピューターの使用用途

産業用コンピューターは、さまざまな用途で活用されていますが、ここでは代表的な例を紹介します。

1. 製造業

産業用コンピューターは、製造ラインの制御や監視、品質管理などに使われます。例えば、自動車や半導体の製造では、産業用コンピューターがロボットや機械を正確に動かしたり、製品の不良を検出したりします。また、生産計画や在庫管理などにも産業用コンピューターが活用されます。

2. 医療・福祉

産業用コンピューターは、医療機器や福祉機器の制御やデータ処理に使われます。例えば、MRIやCTなどの画像診断装置では、産業用コンピューターが高速かつ高精度に画像を生成したり、分析したりします。また、人工心肺や人工透析などの生命維持装置では、産業用コンピューターが患者の生命活動を監視したり、適切な治療を行ったりします。

3. 交通・物流

産業用コンピューターは、交通機関や物流システムの制御や管理に使われます。例えば、鉄道や航空などの公共交通では、産業用コンピューターが運行スケジュールや安全確保などに関わる情報を処理したり、指示したりします。

また、倉庫や配送センターなどの物流施設では、産業用コンピューターが入出荷や在庫の管理などに関わる作業を効率化したり、最適化したりします。

産業用コンピューターの原理

産業用コンピューターは、一般的なパソコンとは異なり、高温や振動、埃などの厳しい環境に耐えられるように設計されています。また、長期間にわたって安定した動作が求められるため、信頼性や保守性も重視されます。

産業用コンピューターは、大きく分けてハードウェアとソフトウェアの2つに分かれます。

1. ハードウェア

ハードウェアの特長的な仕組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 耐熱性や耐振性などの耐久性が高い
  • 電源やファンなどに信頼性の高い部品が使用されている
  • 拡張性や互換性が高い
  • 省電力や低騒音などの環境性能が高い

2. ソフトウェア

ソフトウェアの特長的な仕組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • リアルタイム性や安全性などの信頼性が高い
  • バグやウイルスなどの不具合が少ない
  • アップデートやメンテナンスが容易である
  • 操作性や視認性などのユーザビリティが高い

産業用コンピューターのその他情報

産業用コンピュータの価格

産業用コンピューターは、今後のIoTやM2Mが進んだ社会においてはなくてはならない存在となります。また、ものづくり現場において生産ラインのリアルタイム制御から、予防保全、品質向上などさまざまな工程で導入が進められています。

活躍の場を広げる一方で、導入コストが高くなる心配もあります。ここでは事例別に産業用コンピューターの参考価格をご紹介します。

あくまで参考価格ですので、実際には販売代理店に用途と価格を相談のうえ、必ず見積もりをとってください。

1. 医療用画像閲覧向けマシン: 〜100万円
ImageJやMatlabを駆使しつつ、将来的にDeepLearningを使う可能性がある場合は、やはり高価・高性能なPCが必要となります。

2. シミュレーション用PC: 〜80万円
光学シミュレーション用PCとして導入する場合です。24時間以上総当り計算をさせる目的で潤沢なメモリと高価なCPU構成となっています。

3. サーバー/データ登録用マシン: 〜40万円
工場内のネットワークでの利用を想定しており、接続機器から取得したデータを別サーバーへのデータベースへ登録を目的としています。

参考文献
https://www.cybertrust.co.jp/blog/linux-oss/linux/industrial-pc.html
https://www.tegsys.net/case/caselist2/industrial/price-i/price-20-i/
https://www.automation-news.jp/2020/04/48632/

マイコン評価ボード

マイコン評価ボードとは

マイコン評価ボードとは、機器制御用のワンチップマイコンのソフトウェアを開発する際に利用するボードで、一般的にマイコンを販売するメーカーから提供されているものです。

マイコンのソフトウェアを開発する場合、通常、周辺回路を含めて回路設計した後に、これを基板上に実装してはじめて可能となります。しかし、回路設計における不具合の可能性もあるため、回路設計上の不具合の改修と自ら開発したソフトウェアのデバッグ作業を同時並行して進めなければならないため、まともにソフトウェアが動き始めるためには相応の時間が必要です。

マイコン評価ボードはメーカーが提供することから、当然正常な動作が保証されるため、ソフトウェアのデバッグを早期に着手できるというメリットがあります。

マイコン評価ボードの使用用途

マイコン評価ボードは機器制御用のワンチップマイコンのソフトウェアを開発する際に使用されますが、特に開発の初期段階でその役割は重要となります。開発の初期段階では、最終的なターゲットとなるマイコン搭載機器は存在しません。

製品の開発において、マイコンの開発と同時並行して、筐体の設計、回路の設計が行われるからです。このように、ターゲット機器が存在しない状態でマイコンの開発を行わなければならないのが通常の製品開発のケースです。

この場合、マイコン評価ボードを仮想のターゲット機器と想定してマイコンのソフトウェアの開発を行います。

マイコン評価ボードの原理

マイコン評価ボードには、マイコンの周辺部品として最低限必要なハードウェアが実装されています。リセット回路やリセットボタン、マイコンを動作させるための発信回路用の発振子、出力ポートの先に動作確認用の7セグメントLEDもしくは液晶表示器や入力ポートの先にスイッチ類、シリアル通信ポートの先にシリアル通信用ドライバICと通信用コネクタなどです。

マイコン評価ボードに接続するエミュレータとして、以下に示すものが挙げられます。

1. ICE (In Circuit Emurator)

CPUの機能を担うことができ、開発中の基板にCPUの代わりに装着することでプログラムの動作検証が可能になります。ターゲットボード上にマイコンが無いためICE自体にエミュレーションチップやメモリを持っており、周辺回路の動作はターゲットボードが担います。

リアルタイムトレース等高度なデバッグ機能が使用できます。一般的には、マイコン評価ボードを動作させるためのサンプルプログラムが添付されていることが多いです。

2. オンチップエミュレータ

フラッシュメモリを内蔵したマイコンは、デバッグに必要なモジュールを内部に持つものもあります。ホストPCから統合開発環境を用いてプログラム実行等の命令を出すことができ、出力された命令はデバッグ用ケーブルやターゲットボード内にあるコマンドコンバータが命令変換を行います。

変換された命令はデバッグ用モジュールが解釈できる命令となっているため、受信コマンドに応じた命令をCPUに送信して実行します。このようにホストPCとターゲットマイコンの間に接続し、コマンドコンバータ機能を持つケーブルもしくは装置をオンチップエミュレータと呼びます。

3. JTAGエミュレータ

JTAGとは、集積回路や基板テストのBoundary Scan TestやTAP (テストアクセスポート) の標準規格のことです。JTAGエミュレータはCPUデバッガ機能を搭載したオンチップエミュレータの1種です。

端子にプローブを当てることが難しいBGAパッケージ等が実装された基板上でも、問題なく実装不良を検査することができます。製品開発においては、マイコンの評価ボードに実装されていないハードウェアの制御ソフトウェアの開発が必要となるようなケースもあります。

このような時は、マイコン評価ボードの先に必要なハードウェアを搭載した追加のボードを用意して接続します。接続方法はさまざまです。マイコンのI/Oポートと直結したり、シリアル通信によりつないだりするようなケースもあります。 

マイコン評価ボードのその他情報

1. マイコン評価ボードの使い方

マイコン評価ボードは、マイコンのROMにプログラムを書き込むことにより、各出力ポートに電気信号を出力することができます。出力ポート以外にもネットワーク通信のモジュールが組み込んでいる製品もあり通信のテストに用いることも可能です。

製品により使用するプログラミング言語は変わりますが、おおよそのマイコン評価ボードではC言語による制御が可能になっています。

2. マイコン評価ボードFPGA

FPGA (Field Programmable Gate Array) とは、直訳すると「現場で書き換え可能な論理回路の多数配列」となります。FPGAの特徴としては、設計した「論理回路」を間違えてもその場で即座に「ハードウェア言語」にて修正可能なデバイスです。

ハードウェア言語
ハードウェア言語は半導体の回路記述をする際に用いられる言語です。どのような回路を作るのか設計しハードウェア言語で記述することになります。

論理回路
論理回路の最も基本的なものは下記の3点になります。

  • AND回路: 論理積回路
  • OR回路: 論理和回路
  • NOT回路: 否定回路

この3点の論理回路を組み合わせ作られる論理回路が下記になります。

  • NAND: 否定論理積
  • NOR: 否定論理和
  • EXOR: 排他的論理和

これらの論理回路をハードウェア言語で書き換えることにより動作させることができます。

2. マイコン開発ボードとの違い

マイコン開発ボードは、主に組み込み機器、IoT機器の開発用途に使用されます。8bitから64bitまで様々な製品があり、組み込み機器用のリアルタイムOSやLinuxなどのOSを搭載出来る製品もあります。

主に使用される用途は、センサーや駆動系 (モーター類) の制御や現在主流となりつつある、IoT (Internet of Things=物同士が自律的にインターネットに接続し制御情報や収集をやり取りする仕組み) の開発です。評価ボードの通り、製品に特化したデバイスではなくある程度汎用的に使用できるので、開発初期段階のプログラムテストや回路テストなどに用いられます。

参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1410/24/news017.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E3000000000/E3001000000/E3001040000/
https://dotstud.io/docs/microcon/
https://deviceplus.jp/hobby/basic-of-arduino/
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/intel/220/
https://japan.xilinx.com/japan/fpga-koza/chapter01.html
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/intel/220/

スイッチングダイオード

スイッチングダイオードとは

ダイオードは、トランジスタやICなどと同じように基本的な電子部品の1つで、抵抗やコンデンサが受動部品と呼ばれるのに対して能動部品とも呼ばれています。

材質としてシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素などの半導体が使われています。

一般的にダイオードは電流や電圧を一定に保つ働きに加え、一定方向にのみ電流を流す働きがあります。

スイッチングダイオードは、一定方向に電流を流している導通状態から、逆方向に電流の向きを切替た場合に遮断状態に切り替わるまでの時間(スイッチング時間)が短いという特性を持つダイオードです。

スイッチングダイオードの使用用途

電子回路において、ダイオードの果たす役割には、主に以下に説明する2つの役割があります。

  • 整流の働き
    商用電源から供給されるのは交流です。他方、電子機器に搭載されているのは、直流回路でこれらの各種制御回路は設計されています。交流で入ってきた電流を直流に変換するために、シリコンダイオードの電流を一定方向に流す性質を利用しています。これを整流化の機能と言います。
  • 検波
    シリコンダイオードにはテレビやラジオなどの放送電波の中から、映像や音声の信号を取り出す機能である検波の機能があります。

一般的にダイオードが有する機能の中で、スイッチングダイオードは、整流および検波用として使われますが対象となるのは小信号です。電源回路における大きな電流の流れを制御するような用途には使えません。

スイッチングダイオードの原理

ダイオードはトランジスタやIC同様、半導体の1つでスイッチングダイオードはその中に含まれるものです。半導体とは、電流をよく流す金属などの導体と電流を流さないプラスチックなどの絶縁体との中間の性質を有する物質のことを言います。

金属はよく電流を流しますが、これは金属原子内の電子が自由電子としてよく移動するからです。金属に電圧をかけると電荷が、自由電子によって運ばれ、その結果電流が流れます。

他方、半導体の場合は、電流の状態により導体になったり絶縁体として動作したりします。

P型半導体とN型半導体は電流を流す仕組みの違いにより分類しています。P型半導体の場合、足りない穴を埋めるように電子が移動していきます。P型半導体は、電子が不足している状態なので+に帯電とします。

N型半導体の場合、金属結合よりも少ない自由電子で電流を運んでいきます。N型半導体は、P型半導体とは逆に、電子が余分な状態なので-に帯電とします。

このP型半導体とN型半導体を接合して作られているのがダイオードの1つがスイッチングダイオードです。スイッチング時間が早くデバイスの大きさが小さいことから小信号処理の用途としてよく使われます。 

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what4
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://kurashi-no.jp/I0021164

ユニバーサルカウンタ

ユニバーサルカウンタとは

ユニバーサルカウンタ

ユニバーサルカウンタは周波数カウンタの持つ周期や周波数の測定機能に加え、いくつかの付加的な機能を装備した電気信号用のカウンタです。

信号のパルス幅や信号の位相に加えパルス幅に対する周期の測定、更には信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間の測定が可能です。

また2つの入力信号の時間差や周波数比なども測定ができるため非常に便利な測定機器といえます。

一定時間取りためたデータを解析して、その結果を表示させることが可能なユニバーサルカウンタも中にはあります。

ユニバーサルカウンタの使用用途

製品開発の際にまずは、製品の要求仕様を満足する回路設計を行いますが、その結果に基づき制作した基板の動作確認を行う際や、技術教育の現場などにおいても有効な測定機器です。

更に、製品の生産ラインや検査ラインにおいて期待する周波数を始めとする他のパラメータ値が得られているかどうかを確認する際にも有効です。

以前は、専用のロジック回路にて構成する必要があったため決して安くはありませんでしたが、最近では、ワンチップマイコンや周辺ICの低廉化と高機能化によりかなり低コストな製品も販売されています。

ユニバーサルカウンタの原理

繰り返しの信号において単位時間当たり、いくつの信号が存在するかを示す数値が周波数です。

ユニバーサルカウンタは、この周波数を測定するために以下の様な構成となっています。
まず、入力された被測定信号の波形を正確に測定するためにきれいな信号に整形するための波形整形が行われます(信号A)。

他方、信号Aの一定の測定期間のみを取り出すゲート信号を作ります。このために、特定の周波数のゲート信号を入力します。(信号B)

以上、入力された信号Aと信号BのANDを取り、その出力を計数します。特定の周波数期間に存在する信号Aの数をカウントすることにより、信号Aの周波数を算出することができます。

その結果を、ユニバーサルカウンタの専用の液晶ディスプレイ等に表示します。

一般的に、ユニバーサルカウンタでは、ゲート信号Bの周波数の設定やゲートされた信号の計数などは内蔵するマイコンに行わせることにより回路構成をシンプルにしていることも多いです。

参考文献
https://ekuippmagazine.com/measuring/universalcounter/