直管蛍光灯

直管蛍光灯とは

直管蛍光灯はガラス管内の放電で発光する円筒形の省エネ型ランプです。

ガラス管の内面に塗られた蛍光体が紫外線を可視光に変える仕組みです。真空ではなく、少量のアルゴンと水銀蒸気が封入され、放電によって紫外線を発生させます。発光効率は白熱電球の約4〜5倍で、同じ明るさなら消費電力を抑えられる点が特徴です。

色温度は昼白色・昼光色・電球色が選べ、演色性も一般照明に十分な水準です。寿命は約12000〜20000時間で、寿命末期には黒化が目立ちますが、電子安定器を使うと点灯回数の影響が少なく長持ちします。ただし、水銀を含むため、廃棄時には安全処理が求められます。LED直管灯との置換が進んでも、光が均一で広がりやすい特性から、一部施設で今も根強く使用されます。

直管蛍光灯の使用用途

直管蛍光灯は以下のような用途で使用されます。

1. オフィス・教育施設

水平面を均等に照らす必要がある執務室や教室で活用されます。天井面に器具を規則正しく配置し、柔らかな拡散光を供給します。長時間点灯でも発熱が小さく、室内の温度上昇を防げるため集中を妨げません。高演色タイプを用いれば紙面の色が自然に見え、板書も読みやすくなります。

2. 工場・倉庫

高天井の大空間では、多灯を直線状に並べて床面照度を確保します。金属ハライドランプより起動が速く、作業開始直後から十分な明るさを得られる点が利点です。防水カバーや耐震支持と組み合わせることで、粉塵や振動がある現場でも安定した光を保ちます。影が少なくなり、品質検査や組立作業の精度向上にも寄与します。

3. 家庭・商業空間

住宅のキッチンや洗面所では、細長いスペースに沿わせて設置し、視界を遮らず均一な光を確保できます。店舗では間接照明として商品を柔らかく照らし、引き立てることが可能です。水耕栽培や水槽用の専用波長モデルも販売されており、植物の光合成や観賞魚の体色維持にも使用されます。LED化が進んだ現在も、既存器具を生かして低コストで改装できる選択肢として重宝されます。