バリ取り工具とは
バリ取り工具とは、金属などを加工する際にどうしても出てしまうバリを除去するための工具です。
バリとは加工時に意図せず発生する突起や残留物のことで、切削やプレス切断した際に加工材料が変形し引きちぎられる過程で発生します。
発生したバリは鋭利なため、誤って触ってしまうと怪我をする恐れがあるため、世の中にある板金部品のほぼ全てでバリ取りが必須となっています。バリの種類はドリルやフライスなどの切削バリ、プレス機によるプレスバリ、鋳造や鍛造した際隙間にながれて発生する射出成型のバリなどが存在します。
バリ取り工具の使用用途
バリ取り工具は、加工工程で発生した突起や残留物を除去する作業をするために使用します。バリ取りをする目的は大きく3つあります。
1. 計測時の誤差を防ぐ
部品の計測面のエッジ部分にバリがあると、本来の寸法に対して誤差が発生します。誤差があると決められた部品同士の組付けが適切に行われず、設計通りに組み立てできなかったり、製品の機能が損なわれることになります。
2. 製品の故障や摩耗を防ぐ
製品が完成した後でも様々な不具合の原因となります。製品の使用中にバリが落下し異物となったり、駆動部だとほかの部品と接触し傷や摩耗が生じます。電気製品であればバリが回路と接触しショートする可能性もあります。
3. 作業者や利用者のけがを防ぐ
製品に付着するバリは不規則な形状で特に金属製品だと鋭く、触るだけでけがすることもあります。バリが残ったままだと作業者や利用者は常にけがのリスクを負うことになります。
バリ取り工具の原理
バリ取り工具の原理は単純で工具の目に沿って研磨することでバリが除去され、凹凸になっていた部分が平坦になり触れてもけがすることのない滑らかな状態となります。
若干異なりますが、穴加工で発生するバリなどには手工具を使用してバリを除去するのではなく、エッジ部分ごと切削加工することでばりも一緒に除去する面取りという方法もあります。
バリ取り工具の種類
バリ取りの方法には様々なものがありますが、中でも加工機や工具などを用いて機械的な接触によりバリを除去する方法が代表的です。主な種類は以下となります。
- ヤスリ
- スクレーパー
- 研磨ペーパー
- グラインダー
- リューター
- ベルトサンダー
ヤスリやスクレーパー、研磨ペーパーなどのは手に持ち部品のエッジ部分を磨くことでバリを除去します。グライダーやリューター、ベルトサンダーなどは回転物に対して部品をあてることでバリを除去します。バリの状態に合わせてボール盤やフライス盤を用いることもあります。
バリ取り工具のその他情報
バリの除去方法
バリが発生してしまう箇所は、加工したときにできる角部です。除去方法には、大まかに5種類あります。部品の材質や
1. 機械加工法
手仕上げで行う方法と、ボール盤やフライス盤などを使用する方法があります。エンドミル加工でバリが発生する箇所をあらかじめ加工し、バリが出ないように工夫することもあります。
2. 砥粒加工法
砥粒と呼ばれる硬い粒状の物質を使用してバリを取り除く方法です。砥粒をバリに吹き掛けて除去する砥粒ジェットと、砥流を回転する機械に製品をセットしバリを除去する砥流流動と、バリのついた製品と砥粒を同じ容器に入れ、回すことによりバリを除去するバレル研磨の3種類があります。細かな部品のバリを取るときに使用されます。
3. 熱的加工法
熱的加工法によるバリ取りには2つの方法があります。火炎やプラズマによりバリのみ加熱除去する方法と、バリ部分を通電させ電気抵抗による発熱で除去する方法です。
4. 化学加工法
薬品を使用しバリのみを溶かして除去する方法です。
5. 電気化学的加工法
電解溶液の中にバリの付いた製品を浸し、電解液を振動させて通電し、バリを除去する方法です。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0031.html
http://benrikougu.com/reamer/