サーボモーター減速機

サーボモーター減速機とは

サーボモーター減速機 (英: Servo Motor Gearbox) とは、サーボモーターの出力軸から得た動力を、ギヤ (歯車) で出力軸の回転速度を減らし、減速比に比例したトルクを得ることができる装置です。

サーボモーター減速機

図1. サーボモーター減速機

図1はサーボモーター減速機の外観です。出力軸を中空軸にして、中にケーブルなどを通せるような機種もあります。

サーボモーター減速機を使う最大のメリットは、小さいモーターでも大きなトルクを出せるようになることです。

サーボモーター単体で装置を動かそうとすると、大出力のサーボモーターが必要になり、装置全体の重量やサイズが大きくなってしまいます。そこでサーボモーター減速機を使うと、サーボモーター単体の約4倍~100倍のトルクが出せるようになります。これによって大型モーターを用いることがなく、装置を小型化、安価に実現できます。

減速機の種類や特徴、製品の仕様を理解し、用途に合わせたギヤと減速比などを選定することが、サーボモーター減速機を使う装置を構成する上で重要なファクターとなります。

同様の考え方でギヤードモーターと呼ばれる製品も存在します。

サーボモーター減速機の使用用途

サーボモーター減速機は主に工場の中で動く自動化装置に使われます。

具体的な仕様用途は、次のようなものがあります。

サーボモーター減速機の原理

サーボモーター減速機の中には、ギヤ (歯車) が入っています。ギヤはサーボモーターの出力軸から得た動力を次のように変える仕組みがあります。

  • 回転速度をギヤの (1/減速比) 分、減速させる
  • トルクを減速比に比例して増やす

図2のようなギヤを例にして、具体的に説明します。

サーボモーター減速機の原理

図2. サーボモーター減速機の原理

図2は、①歯車1~歯車2 (減速比 : 3/1=3) 、②歯車3~歯車4 (減速比 : 7/3≒2.33) の2段のギヤで構成されています。

このギヤの組み合わせの減速比は

(①の減速比) × (②の減速比) = 3/1×7/3=7

と計算できます。

このサーボモーター減速機によって、減速機の出力軸の動力は次のように変化します。

  • 回転速度は1/7になる
  • トルクは7倍になる (注1)  

(注1) 厳密には、ギヤの摩擦などの損失により、出力軸のトルクは7倍より小さい値になります。ここでは簡単に考えるため、損失を無視しています。

サーボモーター減速機の種類

サーボモーター減速機の種類としては大きく直交軸、平行軸の2つに分類されます。

直交軸の減速機は、サーボモーターの出力軸と減速機の出力軸が直交しています。直交軸で使われるギヤは主にウォームギヤ、ハイポイドギヤです。平行軸の減速機は、サーボモーターの出力軸と減速機の出力軸が平行になっています。平行軸で使われるギヤは主に遊星減速機です。

それぞれの特徴を以下に記載します。

1. ウォームギヤ (直交軸) 

高強度で高い静粛性を持ち、出力軸を中空軸にしやすいことが特徴です。0.2~15kW程度のモータとの組み合わせができ、減速比の範囲は約1/10~1/60になります。

2. ハイポイドギヤ (直交軸)

ウォームギヤに比べて高効率であることが特徴です0.2~11kW程度のモータとの組み合わせが可能で、減速比の範囲は約1/5~1/200になります。

ハイポイドギヤ

図3. ハイポイドギヤ

3. 遊星減速機 (平行軸) 

高効率で、段数を増やすことで減速比を大きくできることが特徴です。0.2~3kW程度のモータとの組み合わせが可能で、減速比の範囲は約1/3~1/100になります。

 

参考文献
https://www.nissei-gtr.co.jp/gtr/product/servomotorreducers/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/reducer/servo-motor/reducer/

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