ターボ冷凍機

ターボ冷凍機とは

ターボ冷凍機は、フロンなどの冷媒で不凍液などのブラインを冷却する熱サイクルシステムです。冷却されたブラインを空調や冷凍庫に使用します。

ターボ冷凍機によって高効率で省スペースに空調を設置できるメリットがあります。ただし、「圧縮機に相応の電力が必要であること」「冷媒配管を張り巡らせる必要があること」「初期投資が多くかかること」がデメリットとして挙げられます。近年では環境への配慮のため、代替フロンやノンフロン冷媒によるターボ冷凍機も開発されています。

ターボ冷凍機の使用用途

主に大型ビルや商業施設の集中空調などに使用されます。産業用としては、冷却を必要とする設備で用いられることがあります。以下に産業での使用例を示します。

  • 冷水を大量消費する紡績業や化学プラントのプロセス冷却
  • 恒温恒湿環境を維持する必要がある半導体製造工場
  • 広範囲な地域レベルで集中管理する地域冷暖房

近年では省エネルギー性能が高い事から、需要が増加傾向にあります。

ターボ冷凍機の原理

ターボ冷凍機は他の冷凍機と同様に蒸発→圧縮→凝縮→膨張というサイクルでブラインを冷却します。その圧縮工程でターボコンプレッサを用いている事からターボ式と呼称されています。 冷凍能力が高く、設備が大型化する為、大規模な冷却用途に用いられます。

冷却工程の概要は次の通りです。

1. 蒸発工程

蒸発器内で冷媒が低温低圧の液体から低温低圧の気体へと相変化します。この際に気化熱が奪われる事でブラインが冷却されます。冷却されたブラインは空調機へ循環されます。

2. 圧縮工程

蒸発工程で気化した冷媒がターボコンプレッサーで圧縮され、高温高圧の気体となります。ターボコンプレッサーでは羽根車を回転させる事で冷媒を遠心圧縮しています。

3. 凝集工程

凝集器内で高温高圧の冷媒が、冷却塔で冷却された冷却水によって冷やされ、中温高圧の液体へと相変化します。冷却水に奪われた熱は冷却塔で大気中へ放出されます。

4. 膨張工程

中温高圧の冷媒は膨張弁を通る事で減圧され、低温低圧の液体になります。 この後、蒸発工程へ戻り、サイクルが繰り返されます。

ターボ冷凍機のその他情報

1. ターボ冷凍機と吸収式冷凍機の違い

冷凍機には様々な種類がありますが、冷媒と冷凍サイクルによって「蒸気圧縮式冷凍機」と「吸収式冷凍機」の2種類に分類されています。ターボ冷凍機は蒸気圧縮式冷凍機の一種です。

吸収式冷凍機はターボ冷凍機の冷凍サイクルと異なり、「蒸発→吸収→再生→凝縮」のサイクルで冷却し、圧縮の工程はありません。吸収式冷凍機では冷水と温水をどちらも用いることができるため、冷房だけではなく暖房としても活用が可能です。

吸収式冷凍機は冷媒と併せて臭化リチウムという腐食性のある吸収液を使用します。そのため、長期間冷凍機を使用すると腐食により効率が低下します。また、吸収液には有害物質が含まれているため、廃棄時には回収業者に依頼が必要です。

冷凍機としての効率はターボ冷凍機の方が高いため、既存の設備や用途に併せて選定します。

2. ターボ冷凍機とチラーの違い

ターボ冷凍機と同じように温度逝去を行う装置としてチラー(冷却水循環装置)があります。ターボ冷凍機とチラーにはいくつかの違いがあります。

チラーはブラインによって循環する液体を冷却し、ターボ冷凍機はブラインによって冷風を発生させます。また、チラーでは過冷却すると循環液自体が凍結するため、冷却できる温度は-10℃程度です。ターボ冷凍機は冷却だけではなく冷凍も可能のため、冷却の限界値に大きく違います。

3. ターボ冷凍機の需要

ターボ冷凍機をはじめ、冷熱機器に関する分野の市場規模は約20兆円とも言われています。その中でも中東地域の需要は全世界のうち約3割であり、2030年までに約6倍の需要が広がると予測されています。ターボ冷凍機は今後も需要拡大が期待されています。

参考文献
https://www.jp.trane.com/commercial/asia-pacific/jp/ja/wp/hvac/whatsAbsorption.html
https://www.khi.co.jp/energy/mizutorbo/
https://www.amux.co.jp/blog/397

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