ストロボスコープ

ストロボスコープとは

ストロボスコープ

ストロボスコープとは、高速点滅する光を照射する観測・測定用器具です。

瞬時に点灯・消灯を繰り返すことで、照射された物体が描く軌跡や運動量を解析ができます。大きく2つに分けると、「単位時間あたりの点滅回数の設定により作動するもの」と「外部からの信号により可変作動するもの」に分別されます。

主に前者は「運動の様子を測定するもの」として、後者は「タイミングを測定するもの」として使用されます。個人用のポータブルサイズから産業用の比較的大型なものまで、各社から様々な製品が販売されています。

ストロボスコープの使用用途

ストロボスコープは、主に回転数が性能に直結するテープレコーダーやレコードプレーヤーのような製品の校正作業、エンジンの点火時期調整などに用いられます。

1. 校正作業

校正作業の場合、規格回転数100RPMで回転する円盤にマーキングを施し、ストロボスコープを毎分100回点滅するように設定し照射すると、その円盤やマーキング部分は停止しているように見えます。

したがって、回転数が規定回転数よりも遅くなっている場合、ストロボスコープを照射された物体は1RPMで逆回転しているように見えるため、校正が必要であると判断できます。

2. 点火時期調整

エンジンの点火時期調整に使用する場合、第1シリンダーのイグニッション回路に信号線を割り込ませることで、スパークプラグにより第1シリンダーに点火されたタイミングでストロボが照射されます。

そのため、クランクプーリーの目盛りとシリンダーブロックのマークが一致する点を読み取り、点火時期を把握ができます。

 

どちらの場合であっても、「調整の必要があるかどうか」「調整の結果」が視覚としてリアルタイムに現れるため、効率的な作業が可能になります。

ストロボスコープの原理

1. 網膜の残像現象

ストロボスコープの作動原理は、特に人間の視覚に起因する「網膜の残像現象」に注目したものです。瞬間的に光の強度が変わった場合、その変化が一定時間 (1/16秒程度と言われています) 続く現象です。具体的には、光源が消えた後も私たちの視覚にはその光源が短時間存在しているかのように見える現象を指します。

ストロボスコープは、この視覚効果を利用して、点滅する光を用いて高速に動く物体を一瞬だけ照らし、その一瞬を「静止画」として捉えます。これは、映像業界で使われるコマ撮り技法に似ています。

2. ストロボスコープの光源

ストロボスコープの光源としては、「キセノンフラッシュランプ」や「LEDランプ」が主流となっています。キセノンフラッシュランプは大光量の白色光を提供し、LEDランプは消費電力を抑えつつ長寿命で、光色を変えることも可能です。

しかし、これらの光源は大光量で物体への照射を前提としているため、肉眼での直視は避けるべきです。これは、網膜への過度な刺激が視覚に影響を及ぼす可能性があるからです。

ストロボスコープの選び方

ストロボスコープの選択は、その使い方や必要な機能に大きく左右されます。そのため、選定時は以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 明るさ

ストロボスコープの明るさは、観察対象の環境や対象物自体に依存します。明るい場所や大きな対象物に対しては、より強い光を出力するモデルが適しています。

2. 発光周波数

発光周波数は動きの速い対象物を観察する場合や、微細な動きを詳細に観察するためには、高い発光周波数を持つストロボスコープが必要となります。

3. 光源の種類

ストロボスコープの光源としては、主にキセノンフラッシュランプとLEDランプが使用されます。キセノンフラッシュランプは強力な光を出力しますが、消費電力が大きく、ランプの寿命が短いのが欠点です。一方、LEDランプは消費電力が少なく、長寿命であり、また光色を変えることも可能です。

4. 携帯性と耐久性

使用環境によっては、携帯性と耐久性も重要な選択基準となります。野外や工場などの厳しい環境で使用する場合は、堅牢な設計と良好な防塵・防水性能を持つモデルを選びます。

ストロボスコープのその他情報

1. ストロボスコープの長所

ストロボスコープは他の運動量を計測する装置、例えば回転センサーや加速度センサー、位置センサーと異なり、その汎用性が非常に高い利点があります。化学反応の進行観測や咽頭癌の診断など、あらゆる領域で活用が見られます。

2. ストロボスコープの短所

しかしながら、ストロボスコープは光と明暗差を利用する機器であるため、「適切な距離や方向から照射しなければならない」「明るい場所での使用には不向きである」「明暗差が大きすぎると白飛びする」制約も存在します。これに対応するために、自動露出機能を備えたモデルもありますが、特に明るい屋外などでは計測が難しいケースが多いです。

参考文献
https://www.nissin-ele.co.jp/products/index.php
https://www.sugawara-labs.co.jp/guide/xenonflash/ストロボスコープの原理

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