振動計

振動計とは

振動計

振動計(英語: Vibration meter)とは、被測定物の振動の大きさを測定する装置です。振動の大きさは、変位、速度、加速度の3つの尺度で表すのが一般的です。

測定したい振動の種類や評価したい項目によって、どのパラメーターを測定するかを選択することが重要です。加速度を計測する際は、加速度計と呼ばれることもあります。

振動計の使用用途

振動計は研究開発、生産現場、環境保全などの分野で広く使われています。研究開発の分野では、例えば製品の開発段階で部品などの振動特性を計測して、共振、破損、異常音などを未然に防止します。

生産現場では、製品の出荷検査の一つの方法として、例えばエンジンの振動測定により良否の判定を行います。また、輸送による破損等を防止するため、輸送中の振動を試験機で再現して梱包などを改善します。

また、タービン発電機などでは、稼働中の振動をモニターして、故障を早期に発見することを行っています。環境の分野では、工場や工事などから発生する振動による公害問題の解決には、振動測定が必須です。

なお、人体に対する振動の影響は、基準加速度に対する比率を表す振動レベルを測定して判断します。振動レベルは、ISOやJISに定められており、自動車や鉄道車両の乗り心地の判断にも使用されます。

また、地震の振動を測定して警報を出すことや、地震の振動波形を測定して、建物の耐震・免振構造の評価に使用します。

振動計の原理

振動計における振動の検出は、ピックアップと呼ばれるものを使用します。ピックアップには圧電式、電磁式、機械式、光学式、電磁波式などがあります。

1. 圧電式振動計

振動によって生じた力が、ピエゾ素子の圧電効果によってその力に比例した電圧に変換されます。ピエゾ素子の表面のひずみを計測するせん断型と、ピエゾ素子におもりを載せた単純な構造の圧縮型の2種類があります。小型軽量で、周波数の高い領域まで測定できます。

2. 電磁式振動計

磁石とコイルによって構成されており、振動によって磁石とコイルの位置関係に応じて発生する電磁誘導で生じた電流の変化を測定します。

3. 機械式振動計

MEMS(micro electric mechanical system)半導体素子を使用して、可変電極の変位に応じた静電容量の変化を測定します。

4. その他の振動計

レーザー光を照射して変位を測定する光学式、及びマイクロ波ドップラーレーザーを使用して相対的な変位を測定する電磁波式の振動計もあります。これらの方式はピックアップを振動体に装着する必要がなく、微小物体や高温の物体及び液面などの振動計測に適しています。

振動計のその他情報

1. 振動計の使い方

ピックアップの固定方法は、非測定物に密着するようにスタッドボルトなどでしっかり固定することが推奨されます。取り付け方法がしっかり固定していないと、フィルタとなってしまい正確な計測ができなくなることがありますので注意が必要です。

スタッドボルト以外の固定方法としては、接着剤を用いる方法やマグネットを用いる方法などがあります。振動を解析する場合、周波数解析が広く用いられます。測定された波形が、どのような周波数がそれぞれどれくらいの強度で含まれているかを調べる方法です。

2. 振動の単位

機械振動の定義は、機械系の運動または変位を表す量の大きさが、ある平均値または基準値よりも大きい状態と小さい状態を交互に繰り返す時間的変化とJISで規定されています。振動は、振幅・周波数・位相の3つの要素からなっています。振動を測定する場合、変位・速度・加速度の3つパラメータがあり、その測定に振動計を用います。

振動の実用単位は

  • 変位:cm、μm(=10-6 m)、nm(=10-9 m)
  • 速度:cm/s、mm/s
  • 加速度:cm/s2、Gal(ガル=cm/s2)、G(ジー=9.80665m/s2) です。

また、環境振動の測定として用いられる振動レベル計については、人体の振動感覚特性に基づいた測定値である振動レベル(dB)によって環境振動の大きさ評価が行われます。これは騒音レベルと同じ考え方で、物理的振動量に人体の感覚特性による補正を行ったうえで、得られた測定値を評価対象としています。

  • 振動レベルL=20log(V/ V0) [dB]
  • V0:基準振動加速度
  • V:振動加速度の実効値(r.m.s.)

V0は、日本では、10-5 m/s2、海外では、10-6 m/s2が使われています。

参考文献
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-26
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_vibrations.aspx
https://www.torex.co.jp/technical-support/application-note/design-guide-for-dcdc-converter/whats-dcdc-converters/
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_vibrations.aspx

RFID

RFIDとは

RFID

RFID (radio frequency identifier) とは、近距離無線通信を用いた自動認識技術の総称 (概念) です。

読み取り機を用いて電子情報を入力したRFタグを非接触的に複数同時に読み込むことが可能で、情報の入力・消去・書き換えのすべてを行える点が、バーコードやQRコードを用いた光学式の読み取りと大きく異なります。

ただし、読み取り機の設置は現在まだ非常にコストがかかるため、個人が経営する飲食店や商店では導入のハードルが高いです。

RFIDの使用用途

RFIDの身近な使用用途は、鉄道会社などが発行する交通系ICカードやプリペイド型ICカードなどです。運転免許証に埋め込まれたICチップもRFIDタグであり、偽造防止のために氏名・生年月日・現住所・本籍地・顔写真・免許の種類・免許証番号・免許取得年月日などの情報が書き込まれています。

他にも、アパレルメーカーや流通、医療分野など、大量のデータを同時に扱える利便性を考慮して、在庫や流通商品の様々な情報管理のツールとして活用されています。

RFIDの原理

RFIDは近距離無線通信を活用し、RFタグと読み取り機との情報のやり取りや管理を一括に行えます。RFタグ内には、通常はメモリと通信用信号の送受信のためのアンテナが内蔵されており、RFタグを媒体とした情報の入出力はこれらのアンテナやメモリを介して行われています。

また、RFIDには大きくわけてパッシブ型とアクティブ型があり、RFタグ内にバッテリーが内蔵されているかどうかの違いがあります。

1. パッシブ型

パッシブ型では読み取り機から発せられた電波を動作電力として利用し、RFタグはメモリに入力された情報を送信します。情報のやり取りはあくまで読み取り機からの応答が起点になります。

2. アクティブ型

アクティブ型では、バッテリー内蔵のRFタグが積極的に情報の発信を行い、読み取り機がそれを受信します。読み取られた情報はコンピュータに格納され、閲覧したり編集したりと、管理することが可能です。

 

上記のように、RFIDは無線通信で非接触的な読み取りができることから、RFタグと読み取り機の距離がある程度離れていても情報の読み出しが可能です。また、複数のタグを同時に読み込めることも、バーコードなどを利用して光学的にタグを読み取る技術には無い特徴と言えます。

例えば、アパレルメーカーの在庫管理で導入する場合、衣服を一枚ずつケースから取り出してバーコードで読み取る必要がなくなります。

RFIDのその他情報

1. RFIDの価格

RFIDを利用する際は、RFタグとリーダーが必要です。かつて高価だったRFタグの価格も近年では低下傾向にあり、安いものでは1枚10円程度から購入可能できます。金属の読み取りにも対応したタグであれば、1枚100円程度です。

RFIDタグの普及に伴い、RFタグの価格は現在も下落傾向にあり、特にパッシブ型を中心に将来的には1つ1円程度まで下がるのではないかともいわれています。最近では、コンビニエンスストアの商品管理などにRFIDを導入し、受発注の効率化や業務コストの削減を行う試験的な試みも行われており、この価格 (1円以下) は経済産業省とコンビニ各社とのRFID化のコンビニへ適用に向けて合意した際の条件とされています。

リーダーについては性能により価格が異なりますが、ハンディタイプであれば20万程度、物流倉庫に利用するようなゲートタイプであれば数百万程度が目安の価格帯です。限られた性能をもつリーダーであれば、1万円程度からでも購入可能ですが、読み取り性能や端末の耐衝撃性が低いなど、利用用途が限られることに注意が必要しなければなりません。

また、RFタグ・リーダーに加えて商品管理等のソフトウェアをセットで販売する業者もいます。この場合の費用は、導入するシステムに応じて個別の見積りが必要です。

2. RFIDの利用周波数と規格

RFIDは利用する周波数に応じて「LF帯 (130KHz帯) 」「HF帯 (13.56MHz帯) 」「UHF帯 (900MHz帯) 」「ISM帯 (2.45GHz) 」などの定義がされており、各規格に応じて、伝送距離や通信の安定性が異なるだけでなく、アンテナのサイズにも密接に関係します。

また、RFIDの技術体系の一部であるNFCは、そのうちHF帯の通信方式を用いて独自に定義された規格であり、マイナンバーカードやSuicaなどの交通系電子マネーに利用されている非常に身近なRFIDです。RFIDのうち860~960MHzの極超短波帯を利用したUHF帯は、最大で10mまで通信可能であるのに対して、NFCが利用しているHF帯では、約10cmという近距離通信を実現します。

通信距離が短い分、NFCでは機器の薄型化や小型化が実現できる点がメリットです。NFCは業界標準団体である「NFCフォーラム」で策定された技術仕様であり、交通系電子マネーの他、スマートフォンにも搭載され非接触決済などにも利用されています。

 参考文献
http://www.sk-el.co.jp/sales/rfid/glossary/a01.html
https://asreader.jp/blog/rfid%E3%81%A8nfc/
https://www.wantedly.com/companies/company_9259596/post_articles/199313
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/category/apparel/sp/solving-problems/archive/201125-01.html
https://www.denso-wave.com/ja/adcd/fundamental/rfid/rfid/index.html

リニアモータ

リニアモーターとは

リニアモーター (英: linear motor) とは、直線運動をする電気モーターのことです。

一般的なモーターが回転運動を発生させるのに対し、リニアモーターは直線運動をします。磁石の吸引・反発、あるいはローレンツ力を利用して推進力を発生させる駆動装置です。

従来のモーターを使用して直線方向に駆動するには、様々な部品の組み合わせが必要ですが、リニアモーターによって煩雑な仕組みを使用しなくても、直線運動を容易にできます。

リニアモーターの使用用途

リニアモーターの応用として、良く知られているのはリニア新幹線を始めとするリニアモーターカーです。リニア新幹線などは、磁石の反発により車体はレール上に浮遊しているため、摩擦力による駆動力のロスが極めて少ない点が特徴です。そのため、高速で移動することができます。

東京都の都営地下鉄大江戸線や、神戸市営地下鉄海岸線などの車両は浮上式ではありませんが、駆動するのはリニアモーターです。近年、産業機器などの駆動部にリニアモーターを採用する例が増えています。

精密さが必要な工作機械や半導体製造装置、宇宙船、加速器、リニアモーターガンなどに使用される場合が多いです。民生品では、自動車用電動カーテン、ひげそり器、カメラのオートフォーカス、回転すし店などが事例として挙げられます。

リニアモーターの原理

リニアモータは、磁石の吸引・反発又はローレンツ力を駆動原理としています。この点は従来のモーターと同様ですが、リニアモーターは直進運動を発生させるために、従来のモーターを切り開いたような構造です。

動作原理により、リニア誘導モーター、リニア同期モーター、リニア直流モーター、リニアステッピングモーターなど多くの種類があります。

1. リニア誘導モーター

誘導モーターと同様の原理、即ち電磁誘導によるローレンツ力を駆動力とする方式です。磁極がNS-SNと並んだ磁石上に電磁石を配置し、電流を流すことで駆動します。高精度が必要な産業用のリニアモーターには、この方式が多く使われます。

2. リニア同期モーター

同期モーターと同様の原理、即ち磁極同士の吸引・反発力を利用する方式です。直線的に並んだ固定磁石の磁極を可動電磁石の運動に合わせて変化させることにより、直線運動の駆動力を得る方式です。

リニア同期モーターは、他の方式に比べ、効率が高い特徴があります。リニアモーターカーでは、電力消費を抑えるために多くは同期モーターです。なお、磁気浮上式のリニアモーターカーでは、車体側の電磁石に、超電導磁石を使用することで電力の供給を最小限に抑えます。

3. その他の方式

リニア直流モーターは、アクチュエータ等に使用されます。リニアステッピングモーターの用途は、カメラのオートフォーカスをはじめとする光学機器等の精密制御です。また、ピエゾ素子によって駆動するリニア圧電モーターは、効率は低いですが高精度の制御が可能で、精密機械等に使用されます。

リニアモーターのその他情報

1. リニアモーターの速度と精度

リニア新幹線への応用では、高速化のメリットが大きく、リニアモーターの性能面や制御技術の開発が進んで実用化の目途が付いています。リニアモーターのメリットは、減速機構が不要で高精度送りが可能であること、長軸化・複数モーターを配置し同時に稼働できることなどです。

一方、デメリットは、外乱影響の制御が難しい、高推力が得にくい、点検保守が難しいなどがあるが、年々改良が進んでいます。このような状況の中で、高速化とともに、高精度化が注目されるようになり、研削盤旋盤などの工作機械への活用が進んでいます。さらにリニアモーターは、環境保全の観点から、今後の可能性として、油圧式の大型機械への採用などです。

2. 超電導リニアの冷却について

磁気浮上式のリニアモーターカーの駆動に多いのは、超電導磁石を使用する事例です。4K (-269℃) の低温では電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用することにより、電気エネルギーのロスがなく、強力な磁界を発生することができます。

常に超電導状態を維持するためには、冷却する仕組みを搭載する必要があり、従来は、液体ヘリウムを使って冷却しています。価格や大掛かり装置がデメリットです。近年、超電導磁石を構成するコイルの材料を変更することにより、液体ヘリウムを使わずに直接冷却することが可能になってきました。

使用される材料は、ビスマス系銅酸化物で、超電導状態になる温度が従来より高く、20K (-253℃) の冷却で可能です。高温超電導磁石と呼ばれる磁石です。高温超伝導磁石を冷却する為の装置は、断熱膨張を利用して直接材料を冷却する方式を採用し、軽量・コンパクト化が図られています。

参考文献
https://www.sodick.co.jp/st/tech/linear_motor.html
https://www.pulsemotor.com/feature/shaftmotor2.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/2/75_2_242/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/39/12/39_12_651/_pdf
https://diamond.jp/articles/-/234426?page=2
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/ninja/123

パーツフィーダ

パーツフィーダとは

パーツフィーダ

パーツフィーダ(英語:parts feeder)は、工場の生産ライン上で部品の補給を自動的に行うことができる装置です。

自動部品供給装置とも呼ばれます。組立機・包装機協働ロボットや検査機など、自動化システムと一緒に使われます。

一般に部品を振動させて、バラバラの向きの各部品を同じ向きに整列させて供給できるようにします。これにより、組み立て・梱包・包装など様々な工程を効率よく行うことができます。

画像処理装置や人工知能と組み合わせて部品の検査を同時に行ったり、次の工程の装置と組み合わせたりすることで、作業の正確性を向上させ、人的コストや設置コストを削減するのに貢献できます。

パーツフィーダの使用用途

パーツフィーダは工場生産の効率を向上させるために導入します。機械部品や電子部品の他、医薬品や食品の製造においても利用されています。パーツフィーダの利用は、部品の供給を自動化することによる作業効率の上昇だけでなく、画像処理装置や人工知能などと組み合わされることもあります。

部品の自動供給と同時に部品の検査を行うことを目的としており、作業の正確性と製品の品質を向上させます。ワッシャーとボルトを合わせて供給するなど、複数の部品を組み付けて供給したり、組み付けてある部品を分解して供給するパーツフィーダーもあります。

パーツフィーダの原理

パーツフィーダでは部品を振動させることで整列を行っています。部品を振動させる部分は振動体、または発振体と呼ばれ、パーツフィーダの心臓部です。振動の方式は主に電磁石を利用した電磁式で行われ、発生した振動は板ばねを通して増幅され更に大きな振動を起こします。

他にもピエゾ素子を用いたピエゾ式などの方式もあります。供給される部品は、まず部品を入れる容器であるボウルに入れられ、振動体がボウルを振動させることで部品の整列を行います。整列した部品はシュートに送られ、次の工程の機械に供給されます。

ボウル内の部品はホッパーという装置により監視されています。ホッパーはボウル内の部品の数を検出し、供給を制御します。ホッパーには、電磁式・コンベアー式・シリンダー式等様々な種類があります。ホッパーは、ボウルへの部品の入れ過ぎや不足を防止し、パーツフィーダの部品供給能力を安定化させる働きをします。

パーツフィーダは様々なセンサーやオプションパーツを組み込むことができるように設計されており、目的に応じてカスタマイズできるようになっています。

パーツフィーダの選定

パーツフィーダのボウル部分には、様々な駆動パターンが使用されており、パーツに従って適切なパーツフィーダを採用する必要があります。

一般的なパーツフィーダは、電磁式パーツフィーダですが、その他にもモーター式・圧電素子式・複合回転円盤式など様々なタイプのものがあります。それぞれの長所・短所があるため、使用条件やコスト等を把握した上で最適なパーツフィーダを選定することが非常に重要です。

パーツフィーダの種類

パーツフィーダの種類は、電磁式・モーター式・圧電素子(ピエゾ)式・複合回転円盤式などがあり、それぞれの特徴があります。

1. 電磁式パーツフィーダ

電磁式パーツフィーダには、半波方式・全波方式・高周波パーツフィーダ・デュアルモーションなどの種類があります。

  • 半波方式: 1分間に3,000回~3,600回の振動数となっているため、振幅が大きく高い搬送能力があり機器の取り扱いも容易で、選別の簡単な部品に採用されることが多く、全波方式よりも機器価格が有利です。
  • 全波方式: 1分間に6,000回~7,200回の振動数となっており、振動が細かいため、微小なものや選別の難しい部品に適しています。
  • 高周波パーツフィーダ: インバータコントローラを使用することで、250Hz~350Hzの周波数で細かい振動数を発生させます。微小なワーク向けに適しています。
  • デュアルモーション: デュアルモーションは、水平方向と垂直方向の2つの振動系を設けることにより、楕円運動を発生させます。そして、縦振動と横振動を別々に制御することにより、迅速な供給と滑らかな搬送を可能にしています。また、振動方向を縦横のどちらかを選択することもできます。

2. モーター式パーツフィーダ

モーターにより水平運動のみで駆動するパーツフィーダで、騒音が少ない特徴があります。

3. 圧電素子式パーツフィーダ

圧電素子を使って駆動します。振動調整が不要で、省エネルギーが見込めるパーツフィーダです。

4. 複合回転円盤式パーツフィーダ

振動を使わず、回転円盤を使用して、部品を緩やかに回転させて、整列供給出来るようにしたパーツフィーダーです。低振動・低騒音かつ高速供給が可能です。

参考文献
http://kachitas.net/parts/
https://www.shinwa-gikencorp.co.jp/partsfeeder/
https://pfd.co.jp/basic/body/

インバーター

インバーターとは

インバーター

インバーター (英語: inverter) とは、入力された電流を交流電流へと変換する装置です。

入力する電流には、直流と交流どちらのケースもあります。後者の場合、入力された交流電流は一度直流に変換された後、電圧や周波数が変調した別の交流電流に再び変換されます。

インバーターはその構造を構成する回路の一つであるインバーター回路と区別するために、インバーター装置と呼ばれることもあります。

インバーターの使用用途

インバーターは、モーターを利用した電気製品によく利用されています。なぜなら、インバーターは主にモーターの回転の制御に使われているからです。

インバーターを利用した最も身近な製品はエアコンです。インバーターはコンプレッサ部分に搭載されており、モーターの回転の強弱をコントロールしています。インバーターがなければ、エアコンの温度調節は運転のオン・オフだけで行わなければなりません。

インバーターを用いることによって、運転のオン・オフではなく、運転の強弱によって温度を管理することが可能になります。電源のオン・オフは大量の電力消費を伴うので、インバーターは省電力化に貢献していると言えます。そのため、現在販売されているエアコンにはインバーターが搭載されている場合がほとんどです。

インバーターの原理

インバーターは大きく、コンバーター回路、コンデンサー、インバーター回路の3つによって構成されています。インバーターでは、交流電流を別の電圧や周波数が変調した交流電流に変換するには、入力電流を一度コンバーター回路に通して直流電流に変換します。

この変換は、ダイオードを用いて整流することで達成されます。整流された電流は、コンデンサーに蓄えられ、充電・放電を繰り返すことで更に整形されます。

こうして擬似的な直流電流を作り、続いてインバーター回路に入力します。インバーター回路では、パルス幅変調 (PWM) というパワートランジスタのスイッチングによって、幅の異なるパルス波を発生させています。

これらを合成することによって、擬似的な正弦波を作り出すことが可能です。パルス電圧を生成する場合は電圧型インバータ、パルス電流を生成する場合は電流型インバータと呼びます。生成するパルス幅の組み合わせを制御することで、電圧や周波数を自由に変えられます。

インバーターのその他情報

1. インバーター制御のメリット・デメリット

メリット
インバーターを採用する理由の多くは、省エネ化を目的としています。回転機構を持つ機械にインバーターを搭載すると、モーターの回転数を必要な分に合わせて調整が可能なため、過度に機械を稼働させずに済み、省エネ化に繋がります。

また、エアコンやオイルコンなどの流体の温度調節を行う機械に搭載することで、温度制御の精度が向上する点もメリットの一つです。従来の製品では、電源のON/OFFの切り替えのみで温度を管理していたため、消費電力が多いうえに設定温度との誤差が大きくなってしまう傾向がありました。インバーターはこういった問題を解消する装置として、非常に有効なものだったといえます。

デメリット
デメリットとしては、費用が高額になってしまう点や、インバーター内のコンデンサは消耗品のため、定期的に交換が必要になる点などが挙げられます。使用を検討する際は、デメリットもよく考慮したうえで、総合的に判断することが重要となります。

2. インバーターが壊れる原因

インバーターを長年使用していると、過電流トリップや過電圧トリップが起こりやすくなります。このような場合に考えられるのは、インバーターに内蔵されているコンデンサの「寿命」です。

インバーター内のコンデンサの多くは「電解コンデンサ」が使用されています。電解コンデンサは周囲の温度の影響を受けやすく、温度が10℃上昇すると、寿命は1/2になるとも言われています。

そのため、夏の暑い時期に連続稼働しているエアコンなどは電解コンデンサの消耗が急速に進み、最終的に故障してしまうケースが多いです。過電流・過電圧トリップの他にも、モーターの回転時に振動が出ていたり、異常な振動音がしたりする場合には、早期のインバーター交換が推奨されます。さらに劣化が進むと、電解コンデンサが膨らんできたり、液漏れが起きたりするケースもあります。

参考文献
https://www.fujielectric.co.jp/products/column/inverter/inverter_02.htm
http://energychord.com/children/energy/pe/inv/contents/inv_fund.html
https://www.takagishokai.co.jp/product-search/2016/06/02/57

メディアコンバータ

メディアコンバータとは

メディアコンバータ

メディアコンバータ(Media Converter) とは、電気信号によって情報を伝送するメタルケーブルと、光を媒体として情報を伝送する光ファイバーを接続するための装置です。

メディアコンバータは異なる媒体による信号を相互に変換するための装置を指しますが、ここでいう媒体とは電気信号と光信号に限定しています。即ち、メディアコンバータは、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する装置であり、光メディアコンバータもしくはMCとも呼ばれます。

メディアコンバータの使用用途

メディアコンバータは、電気信号によって情報を伝送するメタルケーブルと、光を媒体として情報を伝送する光ファイバーを接続する際に使用されています。電気的な信号を伝送するメタルケーブルは、伝送距離が伸びると、信号が減衰するとともに電磁ノイズの影響を受けやすくなります。そのため、伝送可能な距離は100m程度に制限されてしまいます。

一方、光ファイバーによる光信号の伝送では、電磁ノイズの影響を受けることが無い上に信号の減衰も少ないため、長距離の伝送に最適です。しかし、電圧の変化を信号として伝えるメタルケーブルと、光の点滅を信号として伝える光ファイバーとでは信号の媒体が異なるため、両者を接続するには信号を相互に変換する必要があります。

そこでメディアコンバータを介在させ、2つの信号を相互に変換することで、それぞれのケーブルの長所を生かしたネットワーク回線を構築します。

メディアコンバータの原理

一般的に、一対のメディアコンバータはメタルケーブルで構築された2つのネットワークを繋ぐ光ファイバーの両端に設置されます。第1のメディアコンバータは、メタルケーブルの電気信号から光ファイバーの光信号への変換を行います。メディアコンバータに入力された電気信号は、レーザーダイオードなどの発光素子に伝えられ、信号に対応して変調された光信号として光ファイバーケーブルに出力されます。

第2のメディアコンバータでは送られてきた光信号を、受光素子により電圧の変化に変換して、元の電気信号に復元します。この仕組みにより、2つのネットワーク間に光ファイバーを介在させて、長距離でも確実な信号伝送が可能です。

また、メディアコンバータにはパケット信号の処理方法により次の2つのタイプに分類できます。

1. リピータータイプ

電気信号側の通信速度と光信号側の通信速度が等しいことが特徴です。通信速度が同じ場合、変換は遅延することなく実行われます。つまり、メディアコンバータは電気信号であるパケットを受信すると、その内容に関わらず直ちに光信号に変換して出力します。

信号の遅延時間がなく、伝送スピードが重要で信号の遅れが許容されない用途に向く仕組みです。また、どのようなパケットであってもそのまま通過するため、通信プロトコルに関わらず使用することが可能です。仮にエラーパケットが存在しても、それを破棄することはありません。機器トラブルに関する情報をモニター機器で把握して対応策に活用する場合に有効です。

2. ブリッジタイプ

ブリッジタイプでは、送信側から送られてくるパケット信号を送信側のメディアコンバータが一旦バッファ回路に受信します。その上で光信号に変換し、受信側のメディアコンバータへ送信するものです。

そのため、電気信号と光信号の通信速度が異なる場合でも対応可能で、スイッチタイプとも呼ばれます。また、何らかの理由で接続機器間の通信速度が変更されても、支障なく通信を続けられる点が特徴です。

リピータータイプと比較すると、バッフ回路を介するため伝送遅延が大きくなり、特に伝送するパケット長が大きいほど遅延が顕著になります。一方、ブリッジタイプであればバッファ回路に信号を受信した時点でエラーパケットを判定し、除去することも可能です。

メディアコンバータのその他情報

1. 一芯 / 二芯 光ファイバケーブルへの対応

光ファイバーの通信では一般的に二芯タイプを採用します。これは、送信側と受信側で各々専用の光ファイバーコアを使う通信方法で、通常2つのコアを一組にしたケーブルを用いて接続します。光が常に一定方向に向かうため、メディアコンバータの構造はシンプルです。

これに対して1つの光ファイバーコアで双方向に光を通す、即ち双方向通信となる、一芯タイプもあります。多数の光ファイバーを通す必要がある場合など、スペース的な制約がある環境に設置される際に使用するケースが多いです。一芯での双方向通信では、対向するメディアコンバータ同士で波長が異なる光源を使うため、受光素子も相手側の波長に感度を有するものでなければなりません。

つまり、一芯タイプのメディアコンバータでは、互いに異なる送信波長の光源を備え、受光部は相手側の送信波長に合わせた受光素子を備えたものを組み合わせて使う必要があります。

参考文献
http://www.sopto.com.cn/sp_news/show-427.html
https://www.allied-telesis.co.jp/products/list/convert/know.html

耐電圧試験器

耐電圧試験器とは

耐電圧試験器 (英: withstanding voltage tester) とは、電気製品やそれを構成する部品に電圧を印加した際に、十分に絶縁されているかを確認する試験に使用する装置です。

絶縁耐力がなく、高電圧を印可した際に絶縁破壊を起こすと、利用者が感電したり、利用者に障害を与えたり、火災が発生したりすることがあります。この様な事態を回避するために、国内では電気用品安全法にて守らなければならない耐圧が機器によって規定されています。

絶縁性能を評価するための装置として絶縁抵抗計がありますが、耐電圧試験器では、実際に絶縁破壊に至るほどの高い電圧を印加する点が差異です。また、絶縁抵抗計は絶縁能力を定量的に評価するのに対し、耐電圧試験器は、絶縁破壊の有無を定性的に評価します。耐圧試験器や絶縁耐力試験器とも呼ばれます。

耐電圧試験器の使用用途

耐電圧試験器は、絶縁破壊が起こらないかどうかを確認するために使われます。耐電圧試験器を用いた耐圧試験は、日本だけでなく世界中の安全規格に含まれています。

絶縁抵抗計を用いた絶縁性能試験、さらに保護導通試験とあわせて、電気製品の製造者は最終工程においてこれらの試験を行い、感電・漏電の危険がないかどうかを確認することが義務付けられています。

耐電圧試験器の原理

耐電圧試験器による関連試験項目は4種類あります。

1. AC/DC耐電圧試験

規定の高電圧を規定時間だけ被試験物に印加する試験です。高電圧の印加によって、わずかな電流の漏れも検出可能です。耐電圧試験は、様々な電気製品の安全と品質の確認のため、全数実施が義務付けられています。

耐電圧試験器は被測定物に対し、通常の使用でかかる電圧の10~20倍といった非常に高い電圧を印加し、絶縁破壊による急激な電流の増加が起こるかどうかを試験します。

2. 絶縁抵抗試験

1,000Vまでの直流電圧を被試験物体に印加して、直流の電気抵抗を測定する試験です。絶縁抵抗試験は、製造過程に関わらず、保守点検等により現地での試験が行われます。

3. 保護導通試験

被試験物のグラウンドポストと製品のシャーシとの間に大電流を流し、確実に接地されていることを試験します。

4. 漏洩電流試験

人間が感電したことを想定した試験です。人間のかわりに人体のインピーダンスに相当した回路を接続し、回路に発生した電圧から計算して漏洩電流を求めます。

耐電圧試験器のその他情報

1. 耐電圧試験器の点検

耐電圧試験器を使用する前には、始業点検が必要です。また、試験中は高電圧が発生するため、点検を怠ると試験者が負傷する恐れがあります。

具体的な点検方法は説明書を参照しますが、一般的に記述されているのは、「試験器が大地と接地されていること」「試験器の外観に割れ、ひびなどの損傷がないか?」「測定リード線および被覆にひび割れなどの損傷がないか?」などです。

さらに、定期的に耐電圧試験器の校正を行う必要があります。校正とは、その測定機器が正しく測定できているかどうかを点検し、耐電圧試験器が正常に機能していることを確認します。

購入後から一度も校正をしていない場合、耐電圧試験器の校正は自分で行うことも可能ですが、高電圧が流れることもあるため、十分な知識および技術を持った人が行わなければなりません。耐電圧試験器の校正は、半年~数年に1度、専門メーカーに行ってもらうのが一般的です。

2. 耐電圧試験器のレンタル

耐電圧試験器はレンタルで使用することも可能です。ただし機器選定を行う際は、「印可電圧はいくら必要か?」「直流と交流のどちらで試験を行うのか?」という点は、最低限検討しておく必要があります。

レンタル可能な耐電圧試験器は機能として様々なタイプがあります。電圧計および電流計をデジタル表示できるタイプであれば、測定値の読み間違いが生じるリスクの低減が可能です。

また、絶縁抵抗試験も可能なモデルもあるため、絶縁抵抗試験を行うのであれば1台で完結します。必要のない高機能モデルをレンタルしてしまうと無駄な費用がかかってしまうため、実際の使用用途とよく照らし合わせて選択することが大切です。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=35
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=safetytest
https://www.measuring.jp/kei/kei05

絶縁抵抗計

絶縁抵抗計とは

絶縁抵抗計

絶縁抵抗計とは、絶縁状態を診断するための装置です。系統の電圧に合わせてDC1,000V程度の高電圧を印可できる絶縁抵抗計も販売されています。

電気を使う機器にとって、機器が絶縁されていることは大変重要です。絶縁状態が悪化すると、漏電火災や感電事故の発生原因となります。上記事故を未然に防ぐため、定期的に絶縁抵抗計で絶縁性能を評価する必要があります。

絶縁抵抗計の使用用途

絶縁抵抗計は絶縁能力を数値化するために使われます。一般家庭で見ることはまずありません。

生産現場では、電気製品の出荷工場における最終試験などに使用されます。また、電気設備の保守担当者は、多くの場合保守用の測定器として所持しています。

抵抗値の測定には電圧の印加を行いますが、系統電圧に応じて印加電圧が異なります。例えば、電話回線の絶縁測定は25~50Vの電圧を印加する絶縁抵抗計が用いられ、家電製品にはDC125Vが使用されます。高圧配電線路や発電所などではDC1,000Vの印可電圧が使用されます。

絶縁抵抗計の原理

絶縁抵抗計は、配線端子、スイッチ、直流電源電流計、電流保護素子などで構成されます。

配線端子は、アース端子とライン端子と呼ばれる2つの端子が使用されます。アース端子は接地し、ライン端子は測定部分に接続して測定します。

スイッチを押すことで、直流電源で作られた直流電圧を印加します。大地へ流れる微少電流を漏れ電流と呼びますが、電流計で電圧印加時の漏れ電流を測定して絶縁抵抗を求めています。

高圧電圧を印加するため、回路に過電流が流れないように電流保護素子でインピーダンスを高めます。電流保護素子によって、絶縁抵抗計の内部インピーダンスは非常に高く設計されています。

絶縁抵抗値は、高いほど絶縁性能が高いことを示しています。絶縁破壊が起こると、絶縁抵抗値は極端に低くなります。

絶縁抵抗計のその他情報

1. 絶縁抵抗計を使用する目的

絶縁抵抗計は、工場や家庭などに施工されている電路や電気部品などの絶縁状態を測定するための機器です。

絶縁不良の原因は、電路の施工不良、充電部と非充電部の絶縁不良、経年劣化、内部配線の劣化、使用部品のショートによる破損、筐体の破損などが考えられます。これらをそのまま放置しておけば、漏電火災や感電死傷事故へとつながり、大変危険です。

こういったトラブルを防ぐため、「漏電ブレーカーが落ちる」「操作中に感電した」という現象が現れたら、すぐに電源系統を遮断し、絶縁抵抗測定を行います。

2. 測定方法

絶縁抵抗計の測定方法は、以下の手順で実施します。

  1. 絶縁抵抗計のアース端子を接地された金属箇所(可能であれば接地極と接続された端子)に接続する。
  2. 系統電圧に合わせて、つまみで印可電圧を選択する。
  3. ライン端子を、アース端子とは別の接地された箇所へ押し当て、測定ボタンを押す。
  4. 0.00MΩ表示となる事を確認する。(ゼロチェック)
  5. 測定ボタンから手を離し、ライン端子を測定箇所へ押し付ける。
  6. 測定ボタンを押し、絶縁抵抗を確認する。

電路長が長いと電荷が溜まるまで時間がかかるため、絶縁抵抗表示が安定しないことがあります。その場合は、表示が安定するまで電圧を印可し続けます。

また、DC1,000Vなどの高電圧を印可した際は、残留電荷が多く溜まります。電路を素手で触ると感電する危険性があるため、放電処置を確実に実施する必要があります。

電気設備技術基準では、電圧系統区分における絶縁抵抗値が定められています。測定結果を判断する基準とします。

  • 対地電圧150V以下→絶縁抵抗値0.1MΩ以上
  • 対地電圧150V以上300V以下→絶縁抵抗値0.2MΩ以上
  • 対地電圧300V以上の低圧電路→絶縁抵抗値0.4MΩ以上

実際に絶縁不良が発生した場合、電路や電気機器をうまく切り分けて測定することが劣化箇所の早期発見に繋がります。絶縁不良箇所の早期発見は、電気設備保全担当者の腕の見せ所と言えるでしょう。

参考文献
https://www.kew-ltd.co.jp/support/knowledge/technical/insulation
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=43 

LiDARセンサー

LiDARセンサーとは

LiDARセンサー

LiDARセンサーとは、レーザー光を照射し反射光や散乱光を検出することで、対象物までの距離や形状を測定する装置の総称です。

LiDARセンサーのうちのLiDARは「Light Detection and Ranging」の頭文字から名づけられた名称で、「ライダー」と読みます。特に、光の検出において飛行時間を計測する場合が多く、TOF (Time-of-flight ) センサーとも呼ばれます。

また、高度な計測にはドップラー効果を活用した周波数連続変調方式も用いられ、こちらの名称はFMCW (Frequency Modulated Continuous Wave)方式です。この様に離れた場所から距離などの測定を行う技術をリモートセンシング技術といいます。

LiDARセンサーの使用用途

LiDARセンサーの現在の代表的な使用用途は、自動車の自動運転技術向けや、スマートフォン向けの画像検出技術向け等ですが、もともとは航空機のレーダーや気象観測に長年用いられて来た歴史ある技術です。

最近ではADASと並んで、自動車において障害物や周辺車両の検出など、自動運転技術を実現するための不可欠な要素となっており、小型化や低コスト化など、積極的に開発が進められています。

さらに工場において、画像処理装置と組み合わせてまた、スマートフォンのカメラなどと組み合わせて写真撮影で効果的にピントをぼかすアシストや、VR (仮想現実) ・AR (拡張現実) のための技術として利用されはじめている状況です。また、Apple製のiPhone12ProとiPhone12ProMaxにも採用されたことは、LiDARセンサーの認知度を飛躍的に高める出来事でした。

LiDARセンサーの原理

LiDARセンサーの原理は、光源であるレーザーと受光素子によって構成され、照射したレーザー光を何らかの物理的な手法で受光することで、対象物までの距離を測定することにあります。例えば、現在最も広く用いられているTOF方式では、対象物にレーザー光を照射し反射や散乱によって戻ってくるまでの時間 (飛行時間:time-of-flight,TOF) を測定し、対象物までの距離を割り出します。

レーザー光の照射の仕方として、広視野で照射する方式と特定の方向に照射しそれをスキャンするスキャン方式があります。

1. 広視野で照射する方式

広視野で照射する方式は一般的なカメラと同様に扱えるためTOFカメラとも呼ばれます。TOFカメラは一度の光照射で視野全体の情報を一度に取得可能で、光学系も極めてシンプルなため、装置としては比較的低コストです。

ただし、センサー全体をカバーするようにレーザー光を広げる必要があるため、一画素あたりの光子密度が低下してしまうのが課題で、環境光などの影響を受けやすく、測定距離も短いという短所があります。

2. スキャン方式

一方、スキャン方式はミラーを用いてレーザー光を走査します。一画素ごとに走査を行うポイントスキャン方式と、一列ごとに行うラインスキャン方式があります。前者は高精度ですが、測定時間を要すため、空間解像度が高い必要のない場合には、反対の特徴を有するラインスキャン方式が用いられます。

LiDARセンサーのその他情報

1. TOF方式とFMCW方式の違い

LiDARセンサーの検出方式には、TOF (飛行時間) 方式とFMCW (周波数連続変調) 方式の2つがありますが、大きな違いはその距離の検出方式に用いる物理量の違いです。TOF方式は対象物にパルス照射したレーザー光が反射して戻ってくる時間量を計測して距離計測を実施しますが、FMCW方式においては、周波数を変化させながら連続波を照射した際の、対象物体からの反射波のドップラー効果を利用して測長が可能です。

TOF方式の方が原理的に簡単であり、LiDARセンサーのコスト抑制ができます。ただし、物体に照射したレーザー光が、自分が出したものか、他から出されたものかの識別が困難なため、現在の自動運転技術用の本命技術とはなりにくく、より高度な計測が可能なFMCW方式が有望視されています。

FMCW方式も計測距離を制限するコヒーレンス問題やコスト低減など、自動運転に向けてのクリアすべき課題がありますが、世界の研究機関を中心にこれらの課題をクリアするための、より高度な研究開発が現在活発に行われている状況です。

2. LiDARセンサーのカメラ

LiDARセンサーとカメラは通常別々になっています。しかし、LIDERセンサーとカメラが別々のユニットだと、LiDARセンサーとカメラのデータを合成した際にわずかな視差が発生してしまい、高い精度を出すことができません。そこで、カメラとLiDARセンサーを一つにしてまとめたタイプのセンサーが登場しています。

このタイプのセンサーでは、カメラとLiDARセンサーのデータを組み合わせることで高解像度の3D画像の作成を生成することが可能です。また、視差とひずみ差のない高精度な計測が可能になるので、車載用センサーとしての利用が期待されています。

3. LiDARセンサーの需要予測

昨今、トヨタ株式会社を中心に、自動運転技術の研究開発が盛んになっており、それに伴いLiDARセンサーやレーザー業界も熱気を帯びています。

マーケット調査会社である矢野経済研究所は、2030年までにLiDARセンサーやレーザーのマーケット規模が4,959億円まで増加するという予測をしています。また、別のマーケット調査会社のヨール・デベロップメントでは、LiDARセンサーのマーケット規模は2024年までに60億$まで拡大するという予測を(2019年の調査で)発表しています。

先進国を中心にLiDARセンサーの需要は、今後ますます増加していくものと見られています。

参照元:LiDARセンサーの需要予測

参考文献
Royo et al. Appl. Sci. 2019, 9(19), 4093; https://doi.org/10.3390/app9194093
https://www.kyocera.co.jp/tech/other/lidar.html
https://jidounten-lab.com/y_lidar-toha-matome-eye
https://robotstart.info/2020/06/20/livox-tele-15.html
https://eetimes.jp/ee/articles/2004/13/news028.html
https://wired.jp/2019/07/24/lidar-cheap-make-self-driving-reality/

バッテリーマネージメント

バッテリーマネージメントとは

バッテリーマネージメントとは、電池を安全に使用するために状態を監視するシステムのことです。

電池は誤った使い方をすると、発火や感電、爆発などの大きな事故災害につながるため、バッテリーマネージメントによって、電流量・電圧量・温度・電池残量など各種パラメーターをモニターし、異常がないかを監視しています。

バッテリーマネージメントシステム (英: buttery management system, BMS) 、バッテリーマネージメントユニット (英: battery management unit, BMU) とも呼ばれ、昨今のスマートフォンでの利用や自動車のEV化の流れに伴い着目されている分野です。

バッテリーマネージメントは特に複数の電池を直列に接続した組電池モジュールの管理を行う目的で使用されますが、単一の電池を個別に管理する際はセルマネージメントと呼ばれ、区別されることがあります。

バッテリーマネージメントの使用用途

バッテリーマネージメントの使用用途は、車載用バッテリーの監視用途やスマーフォン内部のリチウムイオンバッテリーの電池監視モジュール向けなどが代表的な事例です。

数ある電池の中でもリチウムイオンバッテリーは、高効率な反面使い方を誤ると重大な事故に繋がる恐れがあります。

バッテリーマネージメントは、特にリチウムイオンバッテリーの安全性を確保し、その性能を最大限に引き出すために使用されます。最近ではスマートフォンのみならず電気自動車の需要も増えてきていることから自動車用のバッテリーを管理する用途に多く使用されています。

バッテリーマネージメントの原理

バッテリーマネージメントの原理は、内蔵する電池保護ICにて電池の特性を随時検出し、異常発生時に回路的に電池を遮断し、電池のセル間のアンバランスの抑制でのバッテリー特性改善や長寿命化に貢献する仕組みを有する点にあります。

電池保護ICは一般に4つの回路ブロックからなり、過充電・過放電・放電過電流・充電過電流などの項目を検出し、問題があれば遮断する機能を有します。

これらの項目の検出と遮断には、主にコンパレータという素子が使われます。各項目に対応した入力値は、まず電圧に変換されそれぞれのコンパレータ内部に設定された基準値と比較されます。そして、結果の大小によって各回路を遮断するかどうかの判断が行われることで電池内の電圧、放電・充電電流が上昇及び低下しすぎないように適切に制御されています。

また、複数の電池の個体差による電圧のばらつきによる実効的な電池容量の減少を回避するために、各電池電圧をモニターして均等化を行うセルバランス機能があり、この場合でもコンパレータを使用することで実現されています。

バッテリーマネージメントのその他情報

1. 電池保護形式の種類

これまでの電池保護ICはあらかじめ設定された基準値に対して、大きい・小さいなどの特性比較に伴う、いわゆるスタンドアローン形式での保護回路動作が主でした。

しかし昨今のリチウムイオン電池は、多セル状態にて様々な電子・産業機器への搭載がなされるようになってきています。アプリケーションの例として、コードレスのロボット掃除機やドローン、電動バイクやアシスト機能搭載自転車、電動パワーツールなどがあります。

このような使用用途では、従来よりもきめ細かい電池保護の制御が求められる背景もあり、スタンドアローン形式ではなく、内蔵したマイコン制御により、多セルの電池状態を管理しながら最適な保護形式をアナログ制御できめ細かく設定動作が可能な電池保護ICが登場しています。

2. EVを見据えたバッテリーマネージメントシステム

近年の自動車のEV化に伴うバッテリーマネージメントはより複雑な制御が求められています。従来の12Vの鉛蓄電池ベースの車内電装システムとは別に車のエンジンに相当する電池には数100V相当のリチウムイオンバッテリーが用いられています。

EVの場合、電池の容量が車の走行距離に、電池の効率化つまり燃費に相当する箇所が電池電圧に直結します。よって各メーカー毎に、電池セルの接続手法には工夫が施されており、そのバッテリーマネージメントシステムにも高度な技術が要求されています。

セル毎に状況が異なるEVの世界では、そのデータの精度や解析手法が自動車の走行距離や高価なバッテリーの寿命に直結するために、(スタートアップ含め)関連するメーカーは、この制御のワイヤレス化やデータ解析への機械学習(AI)の導入含め最先端の技術革新にしのぎをけすっている状況です。

参考文献
https://www.zuken.co.jp/club_Z/zz/tech-column/20190627_r012.html