超音波研磨機

超音波研磨機とは

超音波研磨機とは、超音波を利用した研磨機のことです。

従来の大規模な研磨機ややすり、工具では対応が難しい状況でも活躍します。超音波研磨機の特徴は、その先端に刃物や砥石を取り付け、1秒間に数万回もの微振動を与えることで、研磨作業を効率的に行える点です。

また、研磨性能が高いため、短時間での加工が可能であり、生産性の向上に貢献します。さらに、微少な構造面やもろい物質に対しても使用できるので、他の研磨機では難しかった加工も実現可能です。

これらの特長から、超音波研磨機は幅広い分野で活用されており、今後もこの技術の進化によって、さらなる応用が期待されます。

超音波研磨機の使用用途

超音波研磨機は、ピンポイントでの研磨や仕上げ作業に適しており、細かな部分の加工が可能です。特に、電子部品や精密機器のバリ取りに活用されています。従来の研磨機ではアプローチが難しい細かな箇所も、超音波研磨機を使えば効率よく削り取れます。

また、彫刻や貴金属加工分野でも重宝されています。細部まで緻密な作業ができるため、高度な加工技術を駆使して美しいデザインを生み出すことが可能です。さらに、研磨過程での素材の変質やゆがみが軽減されるので、貴重な宝飾品の加工にも適しています。

超音波研磨機の原理

超音波研磨機は、超音波の微振動を利用して研磨をしていますが、用途に応じて超音波スピンドル加工、超音波砥粒加工などの使用方法があります。

どちらも先端に超音波振動を送ることで研磨しており、一秒間に数万回の微細な振動が起きています。この振動数の違いによって、加工の精度や研磨速度を調節することも可能です。

1. 超音波スピンドル加工

超音波研磨機の先端に砥石を付けて表面を研磨する方法です。先端の砥石にはホーンが繋がっており、これが回転することで超音波振動を砥石に送ります。

研磨表面には切削油が付けられ、効率よく研磨される仕組みです。高い精度で表面を研磨できます。

2. 超音波砥粒加工

超音波研磨機の下に微少な砥粒を流して研磨する方法です。こちらもホーンに加えられた超音波振動が先端の加工器具に伝わります。しかし、実際に表面を削るのはその下にある砥粒です。微細な穴の研磨や広い面を同時に研磨することが可能です。

超音波研磨機の種類

超音波研磨機は、複数の種類があり、主にハンドヘルド型、テーブルタイプ、自動化型が存在します。用途や作業環境に応じて最適な超音波研磨機を選ぶことが重要です。

1. ハンドヘルド型

ハンドヘルド型の超音波研磨機は、手で持って操作できる小型の研磨機です。コンパクトさから、特に狭い空間や細かい部分の研磨に適しています。また、携帯性が高いため、現場での作業にも便利です。

2. テーブルタイプ

テーブルタイプの超音波研磨機は、固定されたワークテーブル上で作業を行うタイプの研磨機です。精密な加工や大量生産が必要な場合に適しており、安定した作業環境で高い精度の研磨が可能です。

3. 自動化型

自動化型の超音波研磨機は、ロボットや自動搬送システムを組み合わせた、自動で研磨作業を行う機械です。作業者の負担を軽減しつつ、高い生産性と研磨品質が確保されます。大規模な生産ラインや繰り返しの作業に適しています。

4. マイクロ型

マイクロ型の超音波研磨機は、非常に小さな寸法の研磨が求められる場合に使用されます。電子部品や医療機器の微細な部分の加工に適しており、その精密さが特徴です。極めて高い研磨精度が求められる分野で活躍しています。

5. 水中型

水中型の超音波研磨機は、水中での研磨作業に特化した機種です。水中での作業に適した防水構造を持っており、船舶や水中構造物のメンテナンスや修復作業に使用されます。また、研磨粉の飛散を抑える効果もあり、作業環境の改善に寄与しています。

参考文献
https://www.sonotec.com/column/principle.html
https://echotech.co.jp/blog/13081/
http://usmaj.o.oo7.jp/kezuru.html

超音波分散機

超音波分散機とは

超音波分散機

超音波分散機とは、物質の分散や反応を促進させる装置で、超音波を用いて均一化 (ホモジナイズ) するため、超音波ホモジナイザとも呼ばれる装置のことです。

加工において物質を混ぜるのは基本ですが、水と油のように簡単には混ざらないものも存在します。物質が混ざりにくい理由として、粒子の大きさが異なることが挙げられます。超音波分散機を用いることで、粒子を細かく粉砕し、物質の粒子の大きさを揃えることが可能です。

また、他の粉砕方法と比較して、粉砕媒体 (ビーズなど) を使用しないため、コンタミネーションが起こりにくく、メンテナンスが容易という特徴があります。これらの利点から、超音波分散機は多くの分野で活用されています。

超音波分散機の使用用途

超音波分散機は、物質の粒子を均一化することで、ものづくりにおいて多くの利点をもたらします。混ぜにくい物質同士をうまく混ぜられ、品質の安定化を実現します。

水と油のような混合が難しい組み合わせには、一般的に界面活性剤が使用されますが、単独での添加では均一に混ぜることが困難です。超音波分散機と界面活性剤を併用することで、水と油を効果的に混合できます。

超音波分散機は、食品製造業界でも幅広く活用されており、マヨネーズやジュース、クリームなどの製品に有用です。また、印刷関連品の製造でも、インクの品質向上に寄与しています。

超音波分散機の原理

超音波分散機は、振動子、発振器、そしてホーンから構成され、液中に超音波を照射することで物質を均一化します。発振器からの出力は振動子内の振動素子によって振動に変換され、ホーンから液中に放射されます。

液中で振動が発生すると、加圧と減圧が繰り返され、キャビテーションという真空の泡が生成され、泡が破れる際に生じる衝撃波により、液中に大きな流れが発生し、流れによって、固まっていた粒子どうしが接触し、粒子の塊が砕かれ、細かくなる原理です。

超音波分散機の特徴は、外部から物理的な衝撃を与えず、粒子どうしの接触によって物質を均一化する点です。そのため、分散後の粒子が球状に整いやすく、分散の最終工程として適しています。

超音波分散機の種類

超音波分散機は、さまざまな分野で幅広く活用されている技術です。主にバッチ式超音波分散機、インライン式超音波分散機、ハンドヘルド型超音波分散機、低周波式超音波分散機、高周波式超音波分散機の5種類が存在します。用途や性能に応じて適切な種類を選択することで、効果的な分散処理が実現できます。

1. バッチ式超音波分散機

バッチ式超音波分散機は、一定量の液体を容器に入れて処理を行うタイプの機器です。特定の量のサンプルを一度に処理することが可能で、研究室や小規模な生産ラインでの使用に適しています。また、実験や試作段階での評価にも適したタイプです。

2. インライン式超音波分散機

インライン式超音波分散機は、連続的な流れの中で処理を行うタイプの機器です。大量生産や連続的な処理が必要な場合に適しています。流れる液体に対して連続的に超音波を照射することで、効率的かつ均一な分散処理が可能です。

3. ハンドヘルド型超音波分散機

ハンドヘルド型超音波分散機は、手持ち式の小型機器です。簡易的な分散処理や、場所や容器に制約のある状況での使用に適しています。携帯性が高く、臨機応変に対応できるため、研究や現場での柔軟な対応が求められる場合に便利です。

4. 低周波式超音波分散機

低周波式超音波分散機は、周波数が低い範囲で動作する機器です。大きな粒子や固まりを効果的に分散させることが可能です。建材やセラミックスなどの分野で、大きな粒子を効率的に細かくする処理に適しています。

5. 高周波式超音波分散機

高周波式超音波分散機は、周波数が高い範囲で動作する機器です。微細な粒子の分散やエマルジョンの安定化に優れています。化粧品や医薬品、細かな粒子を扱うナノテクノロジー分野などで、高い分散性能が求められる場合に適しています。

参考文献
https://www.mitsuiec.co.jp/ultrasonichomogenizer
http://usmaj.o.oo7.jp/tokasu.html 

色彩照度計

色彩照度計とは色彩照度計

色彩照度計とは、光の色と明るさを測定するための測定器です。

光の明るさを測定する照度計の機能と、光の色を測定する機能が組み合わされたものです。照度計は、光源から発せられる光の強さを単位面積あたりに測定し、単位ルクス (lux) で表示します。

また、色については光の波長を分析し、発光体の分光特性や色温度を測定して表示します

色彩照度計の使用用途

色彩照度計は、照明や表示装置などで光の品質管理や設計/調整に広く用られています。

具体的な用途は以下の通りです。

1. 照明設計

建物や店舗、オフィスなどの照明設計において、光の強さや色温度、色域などを測定し、適切な照明を提案するために使用されています。また、既存の照明設備の性能評価や改修計画の立案にも役立ちます。

2. 製品評価

照明器具やディスプレイなどの製品開発において、光の性能評価や改善を目的として使用されています。製品の色再現性や均一性、明るさの一定性などを評価することができます。

3. 色管理

印刷や塗装などの色管理において、正確な色再現性を確保するために使用されています。色の違いを数値化し、規定値に合わせることで、一定の品質を維持できます。

4. 健康/安全管理

光が健康に与える影響を測定するためにも使用されます。例えば、光の強さや色温度が適切でない場合には、眼精疲労や睡眠障害などの問題が発生することがあります。また、工場や建設現場などの安全管理においても、適切な照明環境を確保しなければなりません。

5. 研究開発

光に関する研究開発において、光の特性や光源の特性を評価するために使用されます。例えば、LEDの開発においては、色温度や色域の均一性を確認することが重要です。また、光を利用した医療機器やセンシング技術の開発にも活用されています。

色彩照度計の原理

色彩照度計は主に受光部と演算部から構成されます。

1. 受光部

受光部は光を感知するセンサーとして、特定の波長域を透過する光学フィルターと受光素子であるシリコン・フォト・ダイオード (SiPD) とを組み合わせ、その出力電流を増幅する回路から構成されています。通常受光部は各々赤、青、緑に感度を持つ3つの光学フィルターと受光素子とを組み合わせたセンサーを備え、その出力信号を演算部に伝達するよう構成されているものです。

2. 演算部

演算部は、受光部からの信号を基に光の明るさや色を演算して表示するものです。受光部が赤、緑、青の領域に感度を持たせた3つのセンサーを備えていれば、各センサーの信号の大きさから光量と色を算出することが可能です。

さらに、色彩照度計は人間の目で見たときの色を数値的に評価する必要があることから、演算部では可視光の各波長に対する感度が人間の目と一致するように感度を調整しています。

3. その他

色温度計やスペクトル分布計では、光を分光してその波長分布を測定し、それを元に光の色を表す色温度や色域を算出します。

色彩照度計の種類

色彩照度計は、光の強度と色の情報を測定するための機器です。異なるタイプの色彩照度計がありますが、代表的な種類は以下のとおりです。

1. 分光放射照度計

分光放射照度計は、光の波長スペクトルを測定します。波長ごとに光の強度を評価し、その結果から色やスペクトル分布を分析するものです。高度な色の測定やカラーコンサルティングなどに使用されます。

2. 色温度計

色温度計は、光源の色温度を測定するものです。色温度は光の色合いを表す指標で、一般的にケルビン (K) で表されます。照明環境の色調整や、写真撮影や映像制作などの分野で使用されます。

3. 色差計

色差計は、測定した色と標準的な色との間の色差を評価するものです。色差は色の違いを表す指標であり、ΔEなどの数値で表されます。品質管理や製造業、印刷業界などで使用され、色の一貫性や正確性を確保することに役立っています。

 

これらは一般的な色彩照度計の種類ですが、実際にはさまざまな特殊な機能や応用が組み合わされた製品も存在します。具体的な用途や要件に基づいて、最適な色彩照度計を選択することが重要です。

色彩照度計のその他情報

色彩照度計を利用する際の注意点

色彩照度計は受光部に当たる光の強度から色を評価しているため、受光部への光の当たり方が重要になります。具体的には、光が当たる角度と光源からの距離が重要です。

シリコン・フォト・ダイオードは受光部の奥に設置されているため、光が受光部に斜めに入射すると受光部への光の当たり方が偏り、測定値が乱れます。光が受光部に対して垂直に入射する様設置して下さい。

また、照度は光源の距離の二乗に反比例するため、光源から離れた距離で測定すると光が微弱で誤差が相対的に大きくなります。近すぎると受光部が飽和して、正確な測定ができません。

光源の強さ (明るさ) に依存しますが、一般的には1メートル程度離れて測定することが望ましいです。

参考文献
https://www.konicaminolta.jp/instruments/products/light/cl200a/index.html
https://web-material3.yokogawa.com/19/13300/tabs/rd-tr-r04104-005.jp.pdf
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol06.html
https://www.keyence.co.jp/ss/imagemeasure/sokushiri/news/006/

耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは

耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは、高温に耐える特殊なガラスで作られた管状の製品です。

通常のガラス管と比較して、熱膨張が起こりにくいという特徴を持ちます。熱膨張はガラスが割れる原因になるため、耐熱ガラス管には熱膨張率が低い耐熱ガラスが用いられます。耐熱ガラスには含有成分や製法が異なるいくつかの種類があり、それぞれ耐熱温度が異なります。

代表的な材質はホウケイ酸ガラスとして知られるテンパックス、ネオセラム、石英ガラスなどです。耐熱ガラス管は高温に耐える特性を持っていますが、それでも限度があります。

過度な温度や急激な温度変化にさらすと、破損や割れの原因となる可能性があります。使用する際には、メーカーの推奨する最高温度や温度変化の制限を遵守することが必要です。

耐熱ガラス管の使用用途

耐熱ガラス管は、その特性からさまざまな使用用途があります。

1. 科学実験

主な使用例の1つが、科学実験用のガラス器具です。耐熱ガラスの中でも石英ガラスは、最高使用温度が1,000℃と耐熱性が特に高いです。薬品に対する耐性も高いことから、科学実験では石英ガラス製の器具が重宝されています。 

2. 保温容器

保温容器としても使用され、高温の飲み物や液体の温かさを保つために利用されます。保温水筒や保温ポットの内部に耐熱ガラス管が組み込まれている場合も多いです。

3. 製造業

製造業においては、化学工業や製薬業界においても重要な製品です。その耐熱性と化学的な安定性により、さまざまな化学プロセスや薬品合成に使用されます。

耐熱ガラス管の原理

ガラスを冷却するとガラス表面に張力が生じ、反対に加熱すると圧縮力が生じて伸び縮みする物質です。この張力または圧縮力がガラス自体の強度よりも大きくなった場合、ガラスが割れてしまいます。

ガラスは圧縮力に強い反面、張力には弱いため、破損の原因は張力であることがほとんどです。ガラス内部に生じる張力は熱膨張率が高くなるにつれて大きくなることが知られており、耐熱ガラスは熱膨張率が低い特性があります。

そのため、ガラスに生じる張力が小さく、急冷されても割れにくい特徴を有します。耐熱ガラスが採用された耐熱ガラス管は、急激な温度変化に耐えることが可能です。

熱膨張率に大きく影響するのは、ガラスの組成です。ナトリウムカリウムといったアルカリ成分の含有量が多いと、熱膨張率が高くなります。耐熱ガラス管はガラスの主成分であるケイ素やホウ素の含有量が多く、アルカリ成分が少なくなるように製造されています。

耐熱ガラス管の種類

耐熱ガラス管には材質などの違いによって、いくつか種類が存在します。以下は代表的な耐熱ガラス管の種類です。

1. 石英ガラス管

石英ガラスは高い耐熱性と化学的な安定性を持つ特殊なガラスです。クォーツガラスとも呼ばれます。非常に高温に耐えることができ、耐熱温度は1,000℃程度です。

高い耐熱性能と化学的な安定性から、化学反応や高温プロセスの容器として使用されます。また、紫外線透過性が高く、光学機器やUV照射装置などにも利用されます。

2.  テンパックスガラス管

高い耐熱性と耐衝撃性を持つ特殊なガラスです。主に耐熱性を求められる炉や窯の観察窓、炉扉のガラス、暖炉のガラスドアなどに使用されます。

テンパックスガラスは高温下での熱膨張に対して耐性があり、急激な温度変化にも比較的強いです。また、耐衝撃性があり、割れにくい特性があります。

3. ネオセラムガラス管

耐熱性と透明性に優れた特殊なガラスです。最高使用温度は700℃程度となる耐熱ガラスであり、透明性が高い点が最大の特徴です。主に高温の環境での観察や測定が必要な場面で使用されます。

ネオセラムガラスは高温に耐える特性があり、化学的な耐性も備えています。光学的な透明性が高く、高温下での実験やプロセスの観察に最適です。高い透明性から、オーブンレンジのガラス面や調理皿に使用されることも多いです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1952/1/2/1_2_86/_pdf/-char/ja
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_SIMAX.pdf
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_CTE-33.pdf
https://order-sheetglass.com/list_hr/
http://www.hiraoka-sg.co.jp/products/img/tainetsu.pdf 

磁気研磨機

磁気研磨機とは

磁気研磨機とは、磁気の力を用いて物体の表面を研磨する装置のことです。

磁力により研磨粒子を動かし、磁石を高速回転させることで、表面の凹凸部分に高速で粒子が当たり、均一に研磨できます。特に、手の届かない場所や一般的な研磨器では難しい微細な位置の研磨が可能です。

磁気研磨機の特長は、研磨粒子が液体の中で激しく運動させられることにより、複雑な水量が発生し、細かな面にも侵入できる点です。そのため、微細な研磨に適しており、幅広い用途で活躍します。

従来の研磨方法では難しかった高精度な研磨が実現可能です。そのため、磁気研磨機は様々な産業分野で重要な役割を果たしており、品質向上や効率化に大きく貢献しています。

磁気研磨機の使用用途

磁気研磨機は特性をいかして、複雑な物体の研磨に利用されています。形状に関わらず高い精度で研磨できるため、自動車、航空機、電子部品、医療機器など、使用用途は幅広いです。

研磨粒子を含んだ液体を磁力で高速運動させることにより、複雑な構造部分や微細な面も滑らかに研磨することができます。一般的な研磨器では難しい狭い部分の研磨も、磁気研磨機を使用することで可能となります。

中でもバリ取り加工、金属のさび取り、酸化膜の除去、表面のつや出しが代表的です。

1. バリ取り加工

金属や樹脂製品の加工後に発生するバリを除去し、安全性や品質向上に寄与します。

2. 金属のさび取り

錆びた金属表面を研磨し、新たな防錆処理の準備や金属の寿命延長に役立ちます。

3. 酸化膜の除去

アルミニウムやステンレス鋼の表面に発生する酸化膜を取り除き、見た目や機能性を向上させます。

4. 表面のつや出し

研磨によって表面を滑らかにし、美観や耐久性を高めます。

磁気研磨機の原理

磁気研磨機は、磁力を利用した運動によって物体を研磨することで成り立つ機械です。磁気研磨機の構造では、研磨材を入れる容器の下に回転運動させる磁石が設置されている点が特徴です。

まず、容器に磁性粒子 (研磨メディア) や溶液、研磨対象物を入れます。次に、下部の磁石を高速で回転させることで、N極とS極が交互に変わり、磁性粒子が運動します。高速で変化する磁場の中で、液体に複雑な流れが発生し、研磨対象の表面を削ることが可能です。研磨メディアは高速に運動するものの、動きは不規則であり、様々な方向から研磨対象にぶつかります。

数千回、数万回と繰り返されることで、滑らかな研磨を実現します。磁気研磨機の利点として、研磨メディアを含む溶液が狭い部分にも浸入できるため、直接接触させる研磨機が届かないような微細な場所でも均一に研磨可能です。

磁気研磨機は、磁力による運動を利用して研磨メディアを高速かつ不規則に動かし、研磨対象物の表面を削ることで滑らかに仕上げるという原理に基づきます。この原理により、従来の研磨方法では難しかった狭い部分や複雑な構造の研磨が可能となり、磁気研磨機は多くの産業分野で利用されています。

磁気研磨機の種類

磁気研磨機は主にバイブレーション式磁気研磨機、タンブル式磁気研磨機、トルネード式磁気研磨機の3種類が存在します。

1. バイブレーション式磁気研磨機

バイブレーション式磁気研磨機は、磁気研磨機の中でも最も一般的なタイプです。研磨容器を振動させることで磁性粒子が動く原理を利用しています。

研磨粒子が研磨対象物に対してランダムな動きを行い、均一な研磨が可能です。また、バイブレーション式磁気研磨機はコンパクトで操作が簡単なため、小規模な加工業者や研究室でも使用されています。

2. タンブル式磁気研磨機

タンブル式磁気研磨機は、研磨容器を回転させることで磁性粒子を動かす原理を利用しています。

容器内の磁性粒子が研磨対象物とともに回転し、一定の方向に研磨力がかかることで、研磨時間が短縮可能です。タンブル式磁気研磨機は、特にバリ取りや研磨後の仕上げ加工に適していると言えます。

3. トルネード式磁気研磨機

トルネード式磁気研磨機は、高速で回転する磁石によって磁性粒子を渦巻状に動かす原理を利用しています。

研磨粒子が強い遠心力で研磨対象物にぶつかり、より高速で均一な研磨が可能です。また、トルネード式磁気研磨機は、微細な研磨や難削材の研磨にも対応できる性能を持っています。

参考文献
https://www.polishing-qcd.net/polish_youshiki/magnetism.html
http://www.priority.co.jp/Product_info/ProINFO_WhatsPRI.html
http://www.priority.co.jp/Tech_info/Tech_sys.html

熱伝導率測定器

熱伝導率測定器とは

熱伝導率測定器とは、物質の熱伝導率を測定するための装置のことです。

熱板や熱線、レーザーを使うものなど様々な種類があります。熱伝導率とは物質の中での熱の伝わりやすさの値で、材質を特徴づける1つのポイントです。例として鍋やフライパンを挙げると、熱伝導率が高ければ早く加熱することが可能で、低ければ保温性が高いと言えます。

熱伝導率測定器の使用用途

熱伝導率測定器は、製品の製法評価や新たな材料や製品の開発に使用されます。

1. 保温性能の評価

例えば、保存容器の保温性能の評価があります。熱伝導率が低いほど断熱性が高く、長時間温かさを保つことができます。その性能の指標として熱伝導率を測定します。

2. 放熱素材の開発

最近では、放熱素材の開発に使用されることが増えました。CPUなどにおいては発熱による熱暴走を防ぐため、放熱が重要な要素です。

例えば、放熱性の向上のために使われる熱伝導性グリースは、熱伝導率が高いほど放熱性が高くなります。

熱伝導率測定器の原理

Fig1 定常法と非定常法

図1. 定常法と非定常法

熱伝導率測定器には、大きく分けて定常法と非定常法があります。

1. 定常法

定常法とは、定常的な熱勾配を発生させて熱伝導率を直接測定する方法です。試料の片面を高温、もう片面を低温にすることで定常的な熱の流れを発生させます。

熱流束計や既知の熱伝導率の材料と温度から熱流束を測定することで、試料で生じた温度差から熱伝導率を測定できます。単純な原理なので正確な測定が可能になりますが、試料表面の温度調節や周囲への放熱などが誤差の原因になります。また、定常状態に至るまでに多くの時間がかかるのもデメリットです。

2. 非定常法

非定常法とは、非定常的な熱を試料に与えて熱伝導率を測定する方法です。熱を加えてからの試料温度の時間変化を計測することで、計算によって熱伝導率を算出できます。熱を与える方法としては、レーザー光を用いたレーザーフラッシュ法やヒーター線などを用いた熱線法などがあります。

レーザーフラッシュ法では、レーザー光を用いて試料を加熱し赤外線センサで検出します。熱伝導率の小さすぎるものは、検出が難しいのが欠点です。また、熱線法では試料内部に熱線を通して加熱します。固体や液体の区別なく測定できる方法です。

熱伝導率測定器のその他情報

1. 熱拡散率測定装置との違い

Fig2 熱拡散率と熱伝導率

図2. 熱拡散率と熱伝導率

熱拡散率は一般的にレーザーフラッシュ法を利用した装置で測定されますが、熱伝導率を直接測定することはできません。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法の測定装置で得た熱拡散率に、比熱と密度を掛けること求めることが可能です。

比熱は示差式熱分析装置 (DSC) で、密度はアルキメデス法で知られる水中置換法等で測定された値を利用します。レーザーフラッシュ法では、ゴムやプラスチックなどの高分子材料やセラミックス材料、また金属材料まで幅広く熱拡散率を測定可能です。一方で、試験条件に制約あり、測定する材料は多孔質でなく緻密です。

金属材料でよくある引け巣などの欠陥や割れなどないことが求められます。従って、繊維や粒状物質の複合材料や積層材料は測定することができません。

熱拡散率測定装置には、レーザーフラッシュ法とは別に周期加熱法もあります。この方法では、周期的に変化させた熱エネルギーを与えた際に、ある一定距離だけ離れた場所での温度の応答や位相差から求めます。しかし、こちらも熱伝導率を直接測定することはできません。 

2. 迅速熱伝導率計 (非定常法細線加熱法) 

Fig3 非定常法細線加熱法

図3. 非定常法細線加熱法

迅速に熱伝達率を測定したい場合は、非定常法細線加熱法という方法を利用した迅速熱伝達率計が有効です。センサー部分は、直線状に張られた加熱線と熱電対により構成されていて、一定電流を流し加熱温度を上昇させることができます。

例えば、セラミックスなどの熱伝導率が高い試験片であれば、試験片に熱が急速に拡散して加熱線の温度が低下します。逆に熱伝導率の低い試験片では加熱線の温度が上昇するので、この時の昇温グラフの傾きから熱伝導率を求めることが可能です。

均一な試験片であれば、熱伝導率が迅速かつ簡単に測定可能で、測定器自体も小型化で持ち運べます。そのため、現場ですぐに測定できる点も大きなメリットです。工業用の建築材料から食品や服飾品まで幅広く利用できます。

なお、測定可能な試験片例は以下の通りです。

  • 繊維系、発泡プラスチック系の断熱材
  • プラスチック、ガラス、木材等
  • シート、皮、うす板状サンプル等
  • パン生地、練り物、粉体等
  • 高温での耐火物断熱材、セラミックス等

参考文献
https://www.ibieng.co.jp/analysis-solution/g0014/
https://www.kyoto-kem.com/ja/learn/heat/heat05/
https://www.agne.co.jp/analysis/gijutsu_001.htm
https://www.cerij.or.jp/service/05_polymer/thermophysical_property_01.html

渦流探傷器

渦流探傷器とは

渦流探傷器とは、渦電流を用いて物体の傷を測定する装置のことです。

金属製品のひびや割れ、傷などの欠陥を非破壊で検査することができます。探傷器の種類はさまざまで、渦流探傷器の他にも磁粉探傷器、浸透探傷器、超音波探傷器などがあります。

その中でも渦流探傷器は操作が簡単で、非接触で測定できるのが特徴です。また、航空機や自動車の検査に利用されるのはもちろん、導電率や薄膜の厚みを検査するためにも利用されます。これは傷だけでなく、導電率や膜の厚さも渦電流の変化に関係しているからです。

渦流探傷器の使用用途

渦流探傷器は主に、金属製品の表面での傷や欠陥検査に利用されています。欠陥検査以外にも塗装やめっき膜厚などにも応用可能です。渦流探傷器は以下に示す5つの目的で使用されています。

1. 金属製品の表面の傷、表面付近の内部欠陥の検査

金属製品の加工方法である鍛造品の表面割れ、熱処理による割れの有無の確認、焼結部品の割れや欠けなどの欠陥の有無、線材、管、丸棒の表面欠陥の検査、ベアリングのボールやコロの表面検査に用いられます。

2. 金属製品の異材選別

合金の混合比の変化の識別、焼き入れ有無の判別などに用いられます。

3. 金属製品の品質保証

パイプ製品の減肉検査、塗装下の割れ、橋梁や鉄骨建築での溶接部の割れの有無を確認も、渦電流探傷器の用途の1つです。

4. 塗膜厚さの変化やめっき膜厚の変化の確認

塗装やめっき膜厚は厚さの均一性が求められます。渦電流探傷器は厚さの変化を検知することが可能です。

5. 樹脂などの金属混入

樹脂製品への金属混入を渦電流探傷器で検査することができます。

渦流探傷器の原理

渦流探傷器ではまず、コイルに電流を流して磁束を発生させます。磁束を生じたコイルを検査対象に近づけると、測定表面に渦のような形の電流を発生させます。これは磁気誘導によるものです。

検査対象に発生する渦電流は、傷や欠陥の有無によって変化します。表面に傷があると、均一であるはずの渦電流にひずみが発生するからです。そこで、渦流探傷器では検査対象物に発生する渦電流の変化によって、傷の有無や大きさを判定します。

渦流探傷器のような測定法は非接触、非破壊で対象を調べることが可能です。連続した製品の検品作業に適しており、航空機や自動車産業にて広く利用されている検査方法です。また、金属製品の傷や表面状態の確認のためにも利用されます。

しかし、電磁誘導を利用しているため、発生させた磁界が有効な範囲以外の検査はできません。非接触で検査できますが、検査範囲は製品の表面付近のみに限られます。

渦流探傷器の特徴

渦流探傷器には大きく6つの特徴があります。

1. 非鉄金属でも検査できる

渦流探傷器は導電体であれば検査できます。鉄系材料のような磁性材だけでなく、非鉄材料である非磁性材でも検査可能です。

2. 表面と表面近傍の検査ができる

渦流探傷器は表面はもちろん、表面近傍の欠陥まで検査することができます。磁性材料は表面から0.1mm程度まで、非磁性材料なら表面から2mm程度の深さの範囲が検査範囲です。

3. 棒材・線材・パイプなどの製品検査に向いている

長さのある製品なら、短時間での検査が可能です。製造ラインに組み込んで、オンラインでの検査にも向いています。

4. 非接触で検査できる

渦流探傷器は非破壊検査であるだけでなく、製品に触れない非接触検査です。検査対象物とは1mm以下程度のクリアランスを確保しながら検査します。

5. 製品が高温の場合や細線・穴内径の検査に向いている

渦流探傷器は磁気誘導による検査のため、製品の温度は問いません。引き抜かれた直後の棒材など、温度が高い製品の検査も可能です。渦流探傷器なら検出コイルの形状によって、細線や穴内径の検査にも向いています。

6. 検査の自動化に向いている

渦流探傷器の検査結果は、電気信号で出力されます。電気信号の変化を検出するなどのプログラムを設定しておくことによって、検査作業を自動化しやすい検査方法です。

参考文献
https://www.rohmann.co.jp/?page_id=1022
https://www.dia-elec.com/technique/sinuous_flow/ECT_Principle.html
https://www.ndtadvance.com/eddy-current/point/principle.html

摩擦計

摩擦計とは

摩擦計とは、様々な摩擦力を計測する装置です。

摩擦とは2つの物体が触れ合っているときに発生する抵抗力の一種で、静止摩擦 (静摩擦力) 力と動摩擦力があります。静止摩擦力は静止している物体に加わっている摩擦力で、動摩擦力は運動している物体に加わる摩擦力です。

そのため、静摩擦係数を計測すれば、その物体の静止時の動きにくさや滑りにくさを評価できます。一方、動摩擦係数は動いている物体間の摩擦力を表すことから、その物体の動作時の滑りやすさや摩耗のしやすさを評価できます。

摩擦計の使用用途

摩擦計は、様々な材料や製品の検査および性能評価のために使用されています。

1. 材質の評価

例えば、ゴムや樹脂の評価です。ゴムやプラスチックなどの樹脂は、衝撃の緩衝材や安全装置によく使用されています。そこで、摩擦計を用いて摩擦力を計測して素材の寿命や安全性をチェックしています。

2. 自動車分野での評価

摩擦計は塗装面の評価にも使用されます。自動車のボディなどを塗装する際には、ある程度の摩擦に耐えうる耐久性が必要です。また、表面をコーティングした場合は傷つきにくく、はがれにくい性能が求められます。これらの性能の評価も摩擦計が有用です。

3. 建材分野での評価

建材の塗装に関する評価も摩擦計の使用用途です。体育館や住宅にある木製の床の滑りやすさや、ペンキなどの塗膜の引っ掻き強度の測定などに使用されています。

4. 医療分野での評価

医療分野では、人工関節の摩擦測定や注射針の摩擦測定にも使用されています。

摩擦計の原理

前述の通り、摩擦力は「静止摩擦力」と「動摩擦力」の2種類です。摩擦計には「静止摩擦係数」を測定するものと「動摩擦係数」を測定するものがあります。

1. 静止摩擦係数測定タイプ

静止摩擦係数を求めるための摩擦計です。紙やプラスチックフィルムなどの静止摩擦係数を計測するのによく使用されます。測定の方法は傾斜法と水平法の2種類です。傾斜法では試料の上に重りを載せ、これらを傾斜させていきます。

そして、重りが傾斜面を滑り始めた時の傾斜角から静止摩擦係数が算出可能です。なお、この重りが滑り落ち始める直前の静止摩擦係数を最大静止摩擦係数と呼び、物体の滑りやすさおよび滑りにくさの指標になります。水平法は、試料の上に重りを載せ、これに面方向に引っ張る荷重を掛け、動き出した時の摩擦抵抗を検出して静止摩擦係数 (最大静止摩擦係数) を計測します。

なお、この方法では、その後動いている状態の動摩擦係数の測定も可能です。水平法は紙やプラスチックフィルムの他、皮革の評価などにも使用されています。

2. 動摩擦係数測定タイプ

水平法の摩擦計でも動摩擦係数を測定できますが、ほかに動摩擦係数の測定に特化した摩擦計が多くあります。動摩擦係数を測定する摩擦計では、基本的に試料に所定の相手材を摺動させて動摩擦係数を測定しています。

さらに、これら動摩擦係数を測定する摩擦計は大きく分けて、移動方向が回転方向である回転型と直線方向の往復である往復型の2種類です。上記のような摺動を行ったときに生じる動摩擦係数を測定する方法としては、以下のような方法があります。

  • 摩擦力を歪ゲージやロードセルを用いる、回転トルク計を用いて直接計測して算出する方法
  • 駆動モーターの負荷電力を計測し、これを変換して算出する方法
  • 摩擦による振動減衰挙動から求める方法

摩擦計の種類

摩擦計のうち、動摩擦係数の測定に特化した摩擦計は、大きく分けて回転型と往復型の2タイプです。どちらも、点接触型と線接触型、面接触型があります。

1. 点接触型

点接触型は、ボールオンプレート方式とボールオンディスク方式の2種類です。これら試験方式でのボールは球状の所定の相手材です。一方、ディスクはディスク状の試料、プレートは試料よりなる板を指します。したがって、試料がディスクであるときは回転させながら摩擦係数を測定し、プレートであるときは往復摺動で摩擦係数を測定しています。

この方式は、点接触となるため当たりが出やすいのがメリットです。しかし、摩耗によって使用するボールやピンが削れてしまうと接触面積が変化し、摩擦力を正しく計測できなくなるデメリットがあります。

2. 線接触型

線接触型は、ブロックオンリング方式とピンブロック方式の2種類です。ブロックオンリング方式の摩擦係数測定は、円筒状の相手材の側面にブロック状の試料を押しあて測定して行われます。

ピンブロック方式の摩擦係数測定方式は、ピン状の被試験物を一対のブロック状の相手材で挟み込んで、その中でピンを回転させて測定する方式です。つまり、ブロックオンリング方式とピンブロック方式の両方とも回転型になります。

なお、ピンブロック方式は、油などの潤滑物質の摩擦力計測によく利用されます。

3. 面接触型

面接触型は、ブロックオンプレート方式とピンオンディスク方式、スラストシリンダー方式の3種類です。なお、この方式でのピンは円柱状の相手材です。スラストシリンダー方式では、平板上の試料に円筒状の相手材の端面を押し当てて摩擦係数を測定しています。

ブロックオンプレート方式は往復型、ピンオンディスク方式とスラストシリンダー方式は回転型に当たります。面接触型では、面で接触しており摩擦にかかわる部分が大きくなって耐久性が高いのがメリットです。

参考文献
https://www.juntsu.co.jp/masatsu/masatsu01.php
https://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_tribology.html
https://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_tribology/what_tribology-1.html

応力測定器

応力測定器とは

応力測定器とは、素材にどのような応力がかかっているかを調べる機器のことです。

応力を測定する機械には目的に応じて、いくつかの種類がありますが、ここでは応力を測定する機械全般について説明します。応力には圧縮応力と引張応力とがありますが、どちらの応力でも高すぎると、部品の損傷に繋がりかねません。応力は機械的な外力によって発生するもの以外にも、熱処理や成膜形成などによって、1つの部品自体に生じている残留応力もあります。

ガラスの強化や鉄鋼材料の強化は、製品の表面に意図的に残留圧縮応力を生じさせることによって、製品の強度を高めています。

応力測定器の使用用途

応力測定器は製品開発の分野から、熱処理、成膜やガラス強化の分野などでも用いられています。研究開発領域においては、部品に発生する応力を知ることによって部品の強度を確認したり、逆に無駄な形状を減らすことによって軽量化やコスト低減を実現したりします。

半導体産業ではシリコンウェハ上に各種薄膜の成膜が行われますが、成膜によって製品には応力が発生します。過度な応力は膜剥がれを起こしてしまうため、応力測定による品質管理が大変重要です。

また、ガラスを強化する際には、表面付近の圧縮応力が増大することで強度が上げており、強化処理後の応力測定も行われます。

応力測定器の原理

応力測定器の原理は、測定方法によって異なりますが、いずれも測定する対象物に生じている歪みを検出しています。歪みとは物体が外力を受けて、伸びたり縮んだり、捻れたり、変形することです。

また、応力は単位面積あたりに生じている力ですが、外力によって生じた歪みと、その物質のヤング率との積によって算出されます。よって応力測定器は応力を直接測定するのではなく、外力によって物質に生じた歪みの大きさを捉え、ヤング率と掛け合わせることによって応力値に換算するのが一般的です。

歪みの検知方法には複数の種類があり、それぞれの原理を利用した応力測定器が開発されています。

応力測定器の種類

応力測定器には測定する製品や応力の大きさによって、複数のタイプがあります。代表的な種類は以下の4つです。

1. 歪みゲージ

歪みゲージは、構造用部品などの応力測定に用いられます。貼り付けた部分の歪みを、電気抵抗の変化から検出する装置です。歪みゲージによる応力測定は、歪みゲージを貼り付けた部位しか測定できません。

また、歪みゲージは貼り付ける位置だけでなく、貼り付ける方向も重要です。CAEによる構造解析の検証として用いられることもあります。

2. 赤外線検出

赤外線応力測定も、歪みゲージと同様に構造用部品の応力測定に用いられる方法です。物質は、外力によって変形すると熱弾性効果によって表面の温度が変化します。

赤外線応力測定は歪みによって物体表面に生じた温度の変化から、応力を検知する装置です。歪みゲージは貼り付けたポイントだけの応力しかわかりませんが、赤外線応力測定なら広範囲の測定が可能です。

3. レーザー光反射

薄膜の成膜などの応力測定に用いられるのは、レーザー光の反射を利用した応力測定です。レーザー光の反射を成膜前後で比較することによって、基板の反りによる曲率半径の変化を求め、成膜によって生じた膜応力に換算する方法です。半導体のシリコンウェハや強化ガラスの評価にも、レーザー光による応力測定が使われます。

4. X線回折

X線回折による応力測定は、鉄鋼材料の熱処理や表面処理によって生じる残留圧縮応力の測定などに用いられます。X線回折は原子が規則正しく並んでいる物質に、原子同士の間隔と同じ程度の波長を持つX線を照射し、散乱するX線の回折を利用する測定方法です。

X線回折は応力測定だけでなく、物質の定性分析や定量分析、結晶サイズや格子歪みの算出など、さまざまな分析に用いられます。

参考文献
https://www.toho-tec.co.jp/products/inspection/inspection/flx/
https://www.jpu.or.jp/products-index/bi-ref-index/

循環ろ過装置

循環ろ過装置とは

循環ろ過装置

循環ろ過装置とは、温泉や水道水などをろ過し、ろ水を循環させる装置のことを指します。

循環ろ過装置は、機能によって物理ろ過装置と生物浄化装置の2つに分けられます。物理ろ過装置は、細かい粒子や毛髪、繊維など、水に溶けていない異物を取り除くために用いられます。生物浄化装置は活性炭などのろ材を支持体として、微生物を繁殖させているものです。こちらは物理的なろ過の機能をほとんど持ちませんが、微生物によって水中の汚濁物質を分解できます。 

循環ろ過装置の使用用途

循環ろ過装置は物理ろ過または生物浄化により、水質を維持および浄化することが可能です。そのため、水質を常に一定に保つ必要がある場所や、水の使用量を抑えたい場所で使われています。

循環ろ過装置の使用例としては、公衆浴場が代表的です。公衆浴場の浴槽水は、濁度、過マンガン酸カリウム消費量、大腸菌群、レジオネラ属菌の4つについて水質基準値が定められています。これらの基準を満たすため、毛髪などの大きい異物を除去する集毛器、消毒装置を追加した循環ろ過装置が用いられているのです。 

循環ろ過装置の原理

ろ過したい水を多孔質であるろ材に通すと、ろ材の穴より大きい物質は捕集され、穴より小さい物質だけが通過します。ろ過装置ではこのようにして、異物を水から取り除いているのです。ろ過装置には大きく分けて砂ろ過、珪藻土ろ過、カートリッジ式ろ過の3つの方式があります。

砂ろ過は、ろ材に砂や砂利を採用したろ過方式です。天然砂やアンスラサイトなどが用いられ、数十µm程度までの物質を除去できます。ある程度の水質変動に対応可能、処理水の水質が安定しているなどさまざまな利点があり、広く普及しています。

珪藻土ろ過は、珪藻土をろ過助剤に用いるろ過方式です。合成繊維に珪藻土を付着させたろ過膜により、5µmほどの小さな物質まで除去可能です。3つの中では除去能力が一番高い方式ですが、維持管理が難しいとされています。

カートリッジ式ろ過は、カートリッジ形式のろ材を用いるろ過方式です。合成繊維やポリエステルをカートリッジの素材に採用し、10-15µm程度の物質を取り除くことができます。カートリッジは基本的に消耗品であるため、ランニングコストは割高です。 

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0109/tp0911-1.html#no3
http://www.shasej.org/oshirase/1204/kuminaoshiban.pdf