双腕ロボット

双腕ロボットとは

双腕ロボット

双腕ロボットとは、ロボットの胴体と胴体から伸びる2本の腕 (アーム) を有するロボットのことです。

それぞれのアームに役割を持たせて、それぞれのアームを個別に動作させることができます。そのため、2本のアームによって複雑な作業を実施できる点が双腕ロボットの利点です。

双腕ロボットに似たロボットとして、1本だけのアームを持つ単腕ロボットがあります。双腕ロボットは、単腕ロボットよりも人間らしい動作が可能で、物を浮かせた状態でも作業ができます。

双腕ロボットの使用用途

双腕ロボットは、製造業や物流業、飲食業などで使用されています。病院・介護施設などの医療福祉現場や大学などの研究現場で使用されることも多いです。

なお、双腕ロボットは関節部分の構造から2種類に分類できます。1つは垂直多関節型ロボットで、もう1つは水平多関節型ロボットです。水平多関節型ロボットはスカラロボットと呼ばれたりします。

1. 垂直多関節型ロボット

垂直多関節型ロボットは、立体的な作業に向いています。垂直多関節型ロボットが実際に行う作業は、加工や研磨、検査、塗装、溶接、組立、ピッキング、ハンドリングなどです。

2. 水平多関節型ロボット

水平多関節型ロボットは、平面上での作業に向いています。水平多関節型ロボットが実際に行う作業は、検査や組立、ハンドリングなどです。

双腕ロボットの原理

双腕ロボットは、一般的なロボットの仕組みと変わりません。先端のハンド部分とアーム部分、関節 (リンク) 部分で構成されています。垂直多関節型ロボットは、基本的に6軸以上で構成されています。

それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上を自由に移動できるような動作が可能です。垂直多関節型の双腕ロボットの中には、片腕が7軸で構成され、腰1軸を持つ人型ロボットもあります。水平多関節型ロボットは、基本的に4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

双腕ロボットのハンドおよびアームを動かす際には、モーターを使用しています。主として使用されるモーターは、サーボモーターです。同様の機能を有するモータとしてステッピングモーターもありますが、ステッピングモーターでは、エンコーダを使用していないことから、自身の位置を把握できません。そのため、ステッピングモーターはハンドやアームの駆動源に不向きです。

双腕ロボットでは、複数のカメラや力覚センサーなどによるセンシング機能によって自律能力を持たせることが可能です。胴体、アーム、ハンド、関節、カメラ、力覚センサー、画像処理、物体認識、力覚制御、これらを組み合わせることで人間に近い双腕ロボットを作り出しています。このおかげで複数の単腕ロボットが必要な作業でも双腕ロボット1台で賄うことができます。

双腕ロボットのその他情報

1. 双腕ロボットの価格について

かつての双腕ロボットの相場は500万円以上のものが大半で、双腕ロボットの購入が難しいと考えている企業が多いのが実情でした。しかし近年では、双腕ロボットが活躍できる食品工場や介護施設などで需要が見込まれるとみて、200万円~300万円台の双腕ロボットが開発されています。

双腕ロボットの低価格化だけではなく、ロボット自体の軽量化や安全性の向上に成功しています。今後の需要に合わせて、低価格で安全な双腕ロボットが増えていくことが期待されます。

2. 双腕ロボットのメリット

複雑な作業が行える
冒頭で紹介したように双腕ロボットは2本のアームを活用するので、他のロボットよりも複雑な作業を行えます。例えば、一方のアームで部品を取り外し、もう一方のアームで部品を取り付けることができます。 こうした複雑な作業を行うことで、作業の効率化を図れるのが大きな利点です。

安全性が高い
厚生労働省の労働安全衛生規則によると、80W以上のロボットの場合、安全柵で囲って、ロボットの作業半径への作業者の立ち入りを禁止する必要があります。しかし、双腕ロボットでは80W未満のモーターが使用されていることが多いので、作業者と共同で作業ができます。

また、作業者の安全も守ることができる点も双腕ロボットの利点です。なお、規制緩和によって一定の条件を満たせば、80W以上のロボットと人間が同じ作業スペースで働くことが可能になりました。

導入コストを抑えることができる
先ほども述べたように、双腕ロボットの低価格化が進んでいます。双腕ロボット自体もそこまで大きくなく、導入のコストを抑えることも可能です。また、作業の効率化を図れるので、人件費の削減にもつながります。

参考文献
https://www.epson.jp/products/robots/souwan/w01/
https://newswitch.jp/p/20537
https://www.robot-befriend.com/blog/dual-arm-robot/

卓上ロボット

卓上ロボットとは

卓上ロボット

卓上ロボット (英: Desktop robot) とは、机の上に載せて使えるサイズのロボットです。

例えば、作業者が行っている作業をロボットに行わせるためにFA (ファクトリーオートメーション) 用途で使用されたり、販売員をサポートするために販売用途で使用されたりします。

取り扱うワークに合わせて独自に開発されるケースもあれば、ロボットメーカーの汎用品を組み合わせて使用するケースもあります。卓上ロボットのエンドエフェクタを置換すれば、さまざまな用途への展開が可能です。

卓上ロボットの使用用途

卓上ロボットは、主にFA分野の自動化を促進するために使用されています。例えば、自動車や電気機器などの製造業です。

また、ワークに樹脂などを塗布する塗布工程やネジ締めなどの組立工程、基板の切断工程、検査工程などでも使用されます。使用目的や使用環境などに合ったタイプの卓上ロボットの選定が必要です。

卓上ロボットの原理

卓上ロボットは、一般的に仕事を行うためのエンドエフェクタとそれを動かすアームなどの可動部、全体を制御するための制御部で構成されています。エンドエフェクタは、各種用途で必要となる動きを具現化するために、溶接・切断・組立などの作業を行います。

一例として、車載用の駆動モータの生産ラインで使用される卓上ロボットの動作は以下の通りです。

  1. 直材が加工ステーションに到着
  2. 識別センサで加工物を確認
  3. 識別センサでの検知結果に基づいて、卓上ロボットに指示が入り、組立作業を開始
  4. エンドエフェクタの治具を入れ替え、組立作業を実施

卓上ロボットは塗布・組立・検査など汎用性に優れているため、 多品種少量生産を行うセル生産現場に最適です。

卓上ロボットの種類

卓上ロボットには、垂直多関節ロボットや直交ロボット、水平多関節ロボット (スカラーロボット) などがあります。

1. 垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕に近い構造を持つロボットです。一般的に4軸、5軸または6軸で構成されています。それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上で自由な動作が可能です。

2. 直交ロボット

直交ロボットは、単軸の直動ユニットを組み合わせたシンプルな構造のロボットです。例えば、XYZの3軸で構成されています。

3. 水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、水平方向に動作するハンド (エンドエフェクタ) を持つロボットです。例えば、4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

 

その他、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボットには2個のアームを持った双腕型のロボットもあります。卓上ロボットは、溶接や切断などの単工程を1個のアームで行うものと、組立などの複数工程を2個のアームで行うものに分けることも可能です。

卓上ロボットのその他情報

1. 卓上ロボットの安全対策

垂直多関節ロボットのように、ある程度大きいロボット (出力が80W以上のロボット) の場合、作業者の作業エリアとロボットの動作エリアが重ならないように、安全対策としてロボット周辺に柵を設置する必要があります。これは法律で定められていますが、近年法規制が緩和され、人に危害を加えないように人が近づいたときに減速・停止を行うなどの安全対策が取られている場合には柵を設けなくても良くなりました。

しかし、その普及はまだまだ拡がっていません。これは規制緩和後、企業の産業用ロボットに対する設備投資が進んでいないことが一因として挙げられます。一方、卓上ロボットは人と協働作業を行うことを想定して開発されているため、出力80W以下の製品が多く存在します。

この場合、ロボットの周囲に柵を設置する必要がないため、人と一緒に作業を行うことが可能です。しかし、例えば卓上ロボットに塗布作業を行わせるときなどは、卓上ロボットアームにニードルが取り付けられており危険です。距離センサーやカメラなどでロボットの周囲を常に測定して、人に危害を加えないようにする安全対策をシステム側で行うことが好ましいです。

2. 卓上ロボットの活用事例 (ペンプロッター)

ペンプロッターとは、パソコンから出力された文字をペンで紙に書き写す機械のことです。従来は機械工学分野で図面を紙に書き出す際などに用いられていました。

スカラロボットなどのNC機器で構成されることの多いペンプロッターですが、垂直多関節型の卓上ロボットでも実現できます。垂直多関節ロボットは動作の自由度が高く、XYZそれぞれの並進動作はもちろん、各軸の回転動作も可能です。

人間の手書き動作は、並進動作に加えて回転動作も含まれています。垂直多関節ロボットでペンプロッターを実現すれば、従来よりもより手書き文字に近い質感を実現できます。

参考文献
https://www.janome.co.jp/industrial/jpn/products/desktop_robot/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet_140115.pdf

単軸ロボット

単軸ロボットとは

単軸ロボットとは、xyzの3方向のうちのいずれか1方向のみの位置決めが行えるロボットのことです。

さまざまな自動機器に組み込まれており、自動機械には欠かせない存在となっています。単軸ロボットは、スライダーとモーター、ボールネジによって構成される簡単な構造です。

直線的なワークの搬送に用いられますが、単体ではなく何かと組み合わせて使用される場合が多いです。

単軸ロボットの使用用途

単軸ロボットは直線的な動作をするため、主にワークの搬送で使用されます。具体的には、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置、検査装置など幅広いです。単軸ロボットに似た機器として、ロボシリンダがあります。

ロボシリンダは単軸ロボットよりも小型で軽量なものの、搬送に適しているのが特徴です。単軸ロボットは1方向のみで水平移動しかできませんが、複数台組み合わせることでさまざまな用途で利用できるようになります。

例えば、ワークに樹脂などを塗布する塗布作業や円形のワークの外周面にテープを貼り付けるテープ貼付作業、ワークを押し当てて切断する押当て・切断作業、治工具を位置決めする治工具位置決め作業などです。

単軸ロボットの原理

単軸ロボットは主として、モーターとボールネジ、スライダーで構成されています。

1. モーター

モーターは単軸ロボットの駆動源です。モーターにはステッピングモーターサーボモーターのように回転量の制御が可能なモーターが使用されます。

2. ボールネジ

ボールネジは、モーターの回転運動を直線運動に変換する機能を果たしています。モーターが回転するとボールネジが回転し、ボールネジの回転量に応じて単軸ロボットの動作量が決まります。

3. スライダー

ボールネジは1方向に直線動作を行いますが、その他の2方向に対する耐性は強くありません。そのため、単軸ロボットにはスライダーが内蔵されています。スライダーによってボールネジの直線動作が担保されています。

4. コントローラー

単軸ロボットは、コントローラーを介して操作されます。上位制御装置と通信用コネクタが付いており、上位制御装置はハンディターミナルやPLC (Programmable Logic Controller) などです。

コントローラーには直接電源が供給され、主にPLCを介してデータのやり取りが行われます。タッチパネルなどからの操作も可能です。

単軸ロボットのその他情報

1. 単軸ロボットとロボシリンダの違い

単軸ロボットとロボシリンダは、いずれもモーター、ボールネジ、スライダーを搭載した高精度の電動アクチュエータです。すなわち、どちらも同じ構造になっています。しかし、単軸ロボットの価格よりもロボシリンダの価格の方が圧倒的に安いことがほとんどです。この価格差は使用目的の相違によって生じています。

単軸ロボットは、「重量物を高速に高精度で長距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。そのため、「剛性が高い」「ストロークが長い」「搬送重量の上限や位置決め精度が高い」「最高動作速度が速い」などが、ロボシリンダと比較した単軸ロボットの特徴です。

一方で、ロボシリンダは「軽量物をある程度の速度・精度で短距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。単軸ロボットに比べて小型な点も特徴であり、エアシリンダの置き換えとして使用できます。

このように、単軸ロボットとロボシリンダは同じような構造になっています。しかし、ワークに対してどのような動作をさせるか、品質はどのくらい必要なのかを考慮して、単軸ロボットとロボシリンダを適切に使い分けることで、装置全体のコストを下げたり小型化できます。

2. 2軸ロボット

2軸ロボットとは、2つの動作軸を持っているロボットのことです。直交ロボットと呼ばれることもあります。単軸ロボットにもう1軸を追加すれば2軸ロボット化できるため、市販品を購入せずに手持ちの単軸ロボットにもう1軸を付加すれば自作の2軸ロボットの作製が可能です。

例えば、搬送専用の単軸ロボットのスライダ部に支柱を立てて、その先にエアシリンダやロボシリンダを取り付けます。これを同一の制御装置で制御し、任意のタイミングでスライドさせてシリンダでワークを押し出すような動作を行います。

参考文献
https://www.yamaha-motor.co.jp/robot/lineup/application/
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/special/actuator_portal/rs/
https://www.iai-robot.co.jp/download/catalog/

電圧調整器

電圧調整器とは

電圧調整器

電圧調整器 (Voltage Regulator) とは、入力電圧から任意値へ出力電圧を可変出来る機能を有する機器のことです。

入力電力に交流 (AC) を扱う調整器はAC電圧調整器、自動調節機構を有する場合は特に、自動電圧調整器 (AVR:Automatic Voltage Regulator) と呼ばれます。

電圧調整器は、工場や建屋内の設備毎の電圧仕様に合わせ、発電機や電力供給源から調節可変した電圧供給を行うために用いられます。各種仕様に対して、様々な調整機構を有する電圧調整器があり、使用環境や使用用途・目的に応じて適切なものを選定する事が重要です。

電圧調整器の種類

電圧調整器は、その動作原理や内部の構成に応じて機械式と半導体ICをベースに用いた2つのタイプに大きくわけることができます。

機械式とは具体的にトランス等の変圧器と摺動ブラシ等の機械式の機構を用いた構成の機器です。IC等の半導体型と合わせた電圧調整器の区分は次の通りです。

  • 摺動型電圧調整器:トロイダル変圧器と摺動ブラシ及びスライダックでの摺動機構によって構成された電圧調整器
  • 半導体型電圧調整器:半導体IC回路をベースにした電圧の変圧機構を有することが特徴

半導体型は摺動型に比べ、電圧変換にICを用いる為、軽量かつコンパクトであるメリットを有するものの、瞬時的な過渡電流に弱く、ノイズなどによる破損のリスクが存在します。

電圧調整器の原理

1. 摺動型電圧調整器

機械式の摺動型電圧調整器は、通常トロイダルコイルを用いた変圧器を使って電圧変換を行います。トロイダルとはドーナッツ状 (環状) という意味であり、この形状の磁性体に巻き線を巻いた変圧器の場合、磁束がすべて磁性体中を通り磁界の発生方向が右ねじの法則に一致するため、効率よく磁界を取りこむことができます。

機械式でトロイダルコイルと対に用いる摺動ブラシは、その変圧器の巻き線比を変更するための機構です。電磁誘導の法則により電圧の変換比はトランスの巻き線比に比例しますが、巻き数比だけの変換の場合、細かい電圧調整が困難です。よってスライダックのダイヤル式での摺動機構を併用することで細かい電圧調整機構を実現しています。

また1次側にタップが設けられているタイプもあります。ダイヤル式の操作タイプの電圧調整器がよく知られていますが、近年では液晶画面でのタッチパネルや付帯スイッチでの操作後に、即座に入力電圧を任意の値へ可変するタイプが一般的であると言えます。

2. 半導体型電圧調整器

一般に半導体を用いた電圧調整器はDC/DCコンバータやLDO (Low Drop Out) といった名称でも呼ばれます。

最も良く用いられている電圧調整器の一つに自動電圧調整器 (AVR:Automatic Voltage Regulator) があり、半導体を用いた方式としてはPWMスイッチング方式のDC/ACインバータ回路があります。PWMスイッチングとは、電動モーターの回転制御などで広く活用されている方式で電圧パルス変換した波形のスイッチング変換を用いて、電圧値を変換し調整します。

この方式のメリットは変換効率が良く、出力電圧と周波数をともに応答性良く可変可能な点です。ただし、PWMスイッチング方式の為、ノイズが発生しやすいというデメリットもあり、先に述べた摺動型電圧調整器と使用用途に応じて使い分けがなされています。

電圧調整器の使用用途

電圧調整器は主に単相100V、単相200V、三相200V、三相400Vの4種類に分類されます。これらはそれぞれの用途に応じて使い分けされています。

その用途は例えば発電変電所の変圧器と一緒に用いられる数10KVでの比較的高電圧な電圧調整用途の使用目的です。摺動型の電圧調整器は変換効率も良く、瞬時過渡応答変動にも強いため、安定性が特に求められる工場や建屋内の設備毎の発電機からの電圧変換用途が中心です。

一方で半導体型の電圧調整器は、小型軽量である特徴を生かし、民生機器や移動体通信端末、小型のリチウムイオン電池の供給電圧からの変換電圧を得るという使用用途などで、比較的広範囲な製品に用いられています。

参考文献
http://www.tokyo-seiden.co.jp/seihinn/dc0157/
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NCGJ058559/

電圧発生器

電圧発生器とは

電圧発生器

電圧発生器 (英:Voltage generator) とは、任意の電圧を高精度で発生させる装置です。

直流や交流の電圧を発生させることができ、実験や計測及び電気機器の試験などの用途に使用されます。計測機器メーカーから様々な種類の電圧発生器が販売されており、使用環境や用途・目的に応じて適切な製品を選定する必要性があります。

電圧発生器の使用用途

電圧発生器は以下の用途で使用されます。

1. 電子機器産業

電圧発生器は電子回路のテストや実験に広く利用されます。一例として、回路基板の動作を確認したり、信号の挙動を調査したりする際に電圧発生器が使用されます。設計段階でのシミュレーションにも利用され、製品の品質や性能を確保するために重要な機器の一つです。

2. 通信業

通信機器やネットワーク機器のテストには、電圧発生器が欠かせません。特にアンテナや受信機、送信機などのテストでは、指定された電圧を供給して通信品質を測定します。無線通信機器の出力波形を調整するために、一定の電圧や信号波形を供給する役割を担います。

3. 自動車

自動車業界では特に電気自動車のテストや、車両内の電子システムのテストに電圧発生器が使用されます。車両のバッテリーや電気系統の動作を検証する際に使用することが多いです。また、電子制御ユニットの動作確認にも電圧発生器が広く活用されます。

4. 電力産業

電力業界では、主に電力機器の試験に使用されます。トランスやスイッチギアなどの動作確認や、絶縁耐力試験などに活用されます。電圧発生器によって異常な電圧状況をシミュレートして、機器が実際の運転環境でも正常に動作することを確認するために使用することが多いです。

電圧発生器の原理

電圧発生器は入力された電源を基に出力する電圧を制御し、所定の値に設定する装置です。

直流の電圧発生器は、スイッチング回路を使って入力電圧を変換することで動作します。内部のトランジスタなどのスイッチを高速でオン・オフし、入力される電力を効率的に変換して、所定の直流電圧を出力します。電源を一時的に保持するために、バッテリーを内蔵した機器も多いです。

交流の電圧発生器は、発振回路を使用して一定の周波数・振幅の交流電圧を生成します。オシレータ回路を使ってRC回路やLC回路を組み合わせ、所定の周波数で電圧を発生させます。用途に応じて正弦波や方形波及び三角波などの様々な波形に変換可能です。また、高精度な周波数の調整が必要な場合には、位相同期回路などを利用して信号の安定性を保つこともあります。

電圧発生器の選び方

電圧発生器は以下の要素を考慮して選定することが重要です。

1. 最大電圧

最大電圧は電圧発生器が提供できる最大の電圧値です。用途によっては高電圧を必要とする場合があります。

たとえば、機器の耐圧試験や高電圧のシミュレーションが必要な場合、高い最大電圧を有する製品が必要です。最大電圧が低すぎると、使用する機器や実験に十分な電圧を供給できなくなるため、使用する電圧範囲に適した機器を選択することが重要です。

2. 分解能

分解能は電圧発生器が生成できる電圧の最小単位を示す指標です。分解能が高いほど微細な電圧調整が可能になため、精密な測定や高精度なテストには分解能が高い製品を選ぶ必要があります。高精度な製品では、nV単位での微細な調整が可能な場合も多いです。

3. 出力容量

出力容量は電圧発生器が供給できる最大出力電力を示す指標です。高出力容量の電圧発生器は大電流を供給できるため、負荷が大きい機器を駆動する際に重要です。大電流を必要とする電動機のテストや、負荷が高い回路の評価を行う場合には高出力容量のモデルを選択する必要があります。

4. インターフェイス

インターフェイスは電圧発生器とパソコンなどとの接続方法を指す指標です。インターフェイスの種類にはUSBやGPIB及びEthernetなどがあります。自動的なテストやデータ収集が必要であれば、PCとの接続が可能なインターフェイスを備えた電圧発生器が便利です。

電磁波測定器

電磁波測定器とは

電磁波測定器(英語: Electromagnetic wave measuring instrument)は、電子機器や電気自動車などが発生する電磁波を測定しmG (ミリガウス)又はμT (マイクロテスラ)で数値化する測定器です。

環境電磁界で発生する電磁波を測定するために使用されます。

様々な種類の電磁波測定器が存在しており、求める測定精度によってハンディターミナルタイプから定置タイプまで存在します。

各種用途にあわせて適切な測定器を選定する必要性があります。

電磁波測定器の使用用途

電磁波測定器は主に環境試験のためにコンピューターモニター、テレビ、ビデオ機器、蛍光灯などの電化製品や高圧送電線や変電所周辺の環境電磁界などから生じる電磁波強度を測定するための測定器です。

電磁波測定器は応答性に優れた検出回路を実装した基板を採用しており、外部接続プローブから検出した発生磁界を瞬時に測定し、mG (ミリガウス)又はμT (マイクロテスラ)で数値化します。

具体的な使用事例としては、以下のようなものがあります。

  • 電気自動車の環境試験性能認可のためのEMS測定
  • 家電の環境試験性能認可のためのEMS測定

電磁波測定器の原理

ここでは電磁波測定器の原理について説明します。

電磁波測定器は、一般的に1軸式と3軸式の2種類が存在します。

電磁波には種類が何種類か存在しており、高周波や単周波などによって測定器に求められるスペックに違いがでます。

磁場を測定する原理は中に搭載されているコイルを通じて得たアナログ信号を計測基板で演算し、数値化しています。

数値の単位としては、mG (ミリガウス)又はμT (マイクロテスラ)で示します。

1軸式と3軸式の違いは、搭載されているコイル数の違いを示しており、それぞれのコイルの両端で電圧の違いを測定しています。

大規模な範囲の電磁場を測定する場合には、プローブと言われる電磁波の検出機を複数台設置した上でそれらの検出値を演算回路に取り込み、数値化します。

計測器メーカーとしては、ドイツのファウザー社やギガヘルツ・ソリューションズ社、ローデシュワルツ社、日本のアンリツ社などが業界では有名な企業となります。

参考文献
https://www.mksci.com/products/detail/694.html
https://ureruzo.com/index.htm

電流ロガー

電流ロガーとは

電流ロガーとは、電流値を測定しつつ記録する装置です。

電流ロガーは製品として測定機器メーカーなどから販売されています。電流を測定表示しながらメモリに記憶されるため、後で解析や確認が可能になります。主に電気工事、設備の保守点検、基板や電子部品のテスト、バッテリーのモニタリングなど、幅広い分野で活用されています。

電流の単位はA(アンペア)やmA(ミリアンペア)が主に使用され、インターフェイス用のパネルに表示されます。製品によってはサンプリングレートの選定が可能で、100回/秒(100Hz)程度の高いサンプリングレートを持つ製品も存在します。様々な種類の電流ロガーが販売されており、求める測定精度によって適切な測定器を選定する必要性があります。

電流ロガーの使用用途

電流ロガーは主に電流測定のために使用される測定器です。ハンディタイプのロガーも販売されており、ほとんどの場合は現場に持ち運んで使用されます。

1. 電子機器の動作確認

パソコン修理における通電確認や基板実装における半導体素子の取り付け前後のチェックに使用されます。

2. 生産設備の保守メンテナンス

機械の正常な稼働状況を確認し、故障予防やメンテナンス計画に役立てられます。

3. 電気工事の試運転確認

新設された配線や設備が正しく動作しているかの確認に使用されます。

4. リチウムイオン電池の監視

セル単位でのモニタリングにより、性能評価や異常検知を行うことができます。

5. その他

生産機械管理のための一時的な測定にも使用されます。

電流ロガーの原理

一般に電流ロガーはクランプ部、伝送配線、インターフェイスパネル、記録媒体などの部位に分かれます。

クランプ部
測定対象の電線を挟み込む部分です。変流器の原理と同じで、電線に流れる電流を磁場として検知し、電気信号に変換します。主要部は手で開閉できる円弧状鉄心です。一次巻線として測定電路を挟み、二次巻線である電送配線に電流を流します。

電送配線
クランプ部で検知された信号を記録部に伝える配線。一般的な線で、ビニル等の被覆に覆われています。先端に専用の接続プラグが付いたものや、ロガーに直接引き込まれているものがあります。

インターフェイスパネル
測定値の表示や設定を行う操作部です。サンプリングレートや記録様式等もこのパネルで設定できる装置もあります。レートを上げると細かに記録できますが、長期記録を保存できなくなります。

記録メディア
測定値を保存する部分です。USBフラッシュメモリやSDカードが使用されます。出力形式はCSVやtxtファイルが使用されることが多いです。

上記のクランプ部では、交流 (AC) 電源のみ測定可能です。直流 (DC) 電源の測定にはホール効果を利用したホール素子などが用いられます。ホール効果とは、電流が流れる導体に磁場を垂直に発生させると、起電力が発生する原理です。ホール素子はこのホール効果を利用して、電流の周囲に発生する磁場を電圧へ変換する素子です。

電流ロガーはアナログ信号を入力データとして用いるため、ノイズによって測定結果が正確ではなくなることがあります。検出精度を向上させるためには、ノイズが乗らないように配線経路のノイズ除去を行うなどの対応が重要となります。

電流ロガーの種類

電流ロガーには、使用用途や精度に応じたいくつかの種類があります。汎用性が高いため、一般にはホール素子方式やクランプ式の電流ロガーが使用されます。電流の単位はA (アンペア) です。測定時の単位としては、kA (キロアンペア) 、A (アンペア) 、mA (ミリアンペア) などが使用されます。

1. クランプ式電流ロガー

測定対象の電線を挟み込むだけで測定可能です。主にAC電流の測定に使用されます。

2. ホール素子方式電流ロガー

DC電流の測定に対応し、測定対象と接触せずに測定が可能です。

3. シャント抵抗式電流ロガー

精密測定に使用され、低抵抗のシャント抵抗器を測定回路に直列に挿入して測定します。シャント抵抗の両端の電圧を測定することで電流を計算します。ホール素子方式やクランプ式は回路に通電したまま電流測定可能ですが、シャント抵抗式は測定回路を一度開路する必要があります。

電流ロガーの特徴

電流ロガーの主な特徴は以下の通りです。

1. ポータブル性

多くの製品が小型で軽量なため、持ち運びが容易です。

2. 高精度測定

サンプリングレートを高く設定することで、瞬間的な電流変化も捉えられます。

3. 出力形式

データがCSVやtxtファイル形式で保存されるため、パソコンでの解析が簡単に行えます。USB接続や無線技術でパソコンにデータを送信できる製品もあります。

4. ノイズ耐性

一部の高性能モデルではノイズ除去機能があり、測定の精度を向上させます。

5. 長時間の記録

大容量の記録媒体を使用すれば、長時間のデータ収集も可能です。

電流ロガーのその他情報

電流ロガーの由来

ログ (log)とは日々の記録のことを意味する英語で、記録を保存する物をロガー (logger)と呼びます。例えば、ブログはWeb log の略でWeb上に日記を記すことを意味します。このように、電流ロガーは電流を記録する物を指します。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=31

電力ロガー

電力ロガーとは

電力ロガーは、電力を測定しつつ記録する装置です。電力ロガーは製品として測定機器メーカーなどから販売されており、電力を測定表示しながらメモリに記憶していきます。

電力の単位はkW(キロワット)やW(ワット)が主に使用され、インターフェイス用のパネルに表示されます。製品によってはサンプリングレートを選ぶことが可能で、100回/秒(100Hz)程度の高いサンプリングレートを持つ製品も存在します。様々な種類の電力ロガーが販売されており、求める測定精度によって適切な測定器を選定する必要があります。

電力ロガーの使用用途

電力ロガーは主に電力測定のために使用される測定器です。大きさはハンドバッグに入る程度の製品が多く、ほとんどの場合持ち運んで使用されます。

具体的な使用事例としては、以下のようなものがあります。

  • 電気工事における試運転確認
  • 生産設備の保守メンテナンス
  • 産業機械管理のための一時的な電力測定
  • 一般家庭における電子機器の電力測定
  • リチウムイオン電池パックの電力測定
  • 電気自動車におけるバッテリーマネジメントシステム

電力ロガーの原理

電力ロガーは「直接電力を測定する装置」と「間接的に電力を測定する装置」の2種類に大別されます。それぞれ仕組みが異なります。両者に共通点は、ほとんどの場合はインターフェイス用のパネルが付いていることです。パネルによってリアルタイムに測定結果を確認できます。

表示単位はkW(キロワット)やW(ワット)が主に使用されます。微細電力の測定用途ではmW(ミリワット)が使用されることもあります。サンプリングレートや記録様式などもこのパネルで設定できる装置がほとんどです。サンプリングレートを上げると細かに記録できますが、長期記録を保存できなくなります。

記録メディアにはUSBフラッシュメモリやSDカードが使用されます。出力形式はCSVやtxtファイルが多く使われます。アナログ信号を入力データとして用いるため、ノイズによって測定結果が正確ではなくなることがあります。検出精度を向上させるためには、ノイズが乗らないように配線経路のノイズ除去を行うなどの対応が重要となります。

1. 直接電力を測定する装置

直接電力を測定する装置には、電流測定用のクランプメータと電圧測定用のワニ口クリップケーブルが付属しています。電流と電圧から電力を測定して記録します。クランプメータを2本、ワニ口ケーブルを3本使用することで3相電源も測定可能です。

単相電源の電力測定の場合はクランプメータを1本とワニ口ケーブルを2本使用します。直接電力を測定する装置は、電圧電流を電力と同時に記録できるものがほとんどです。製品によっては、無効電力や力率も同時記録できます。

直接電力を測定する場合、測定可能な電圧の上限が装置によって決まっています。装置購入前に必ず確認する必要があります。高圧電力を測定したい場合、直接測定できるロガーは市販されていません。計器用変成器を介して測定し、測定結果に変成比を掛けて計算します。

2. 間接的に電力を測定する装置

間接的に電力を測定する装置とは、電力トランスデューサなどで変換された電力信号を記録する製品です。一般に入力信号はDC0-5VやDC4-20mAなどのアナログ信号となります。測定最大値(スパン値)は、電力トランスデューサのスパン値になります。

電力ロガーのその他情報

電力ロガーの由来

ログ(log)とは日々の記録のことを意味する英語で、記録を保存する物をロガー(logger)と呼びます。例えば、ブログは「Web log」の略でWeb上に日記を記すことを意味します。このように、電力ロガーは電力を記録するものを指します。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/detail/?product_key=228
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3078/

粉体ポンプ

粉体ポンプとは

粉体ポンプは、粉体を空気と混合させて輸送することで、粉体に流体としてのふるまいを持たせて、輸送するポンプです。

基本的には、ダイヤフラムと呼ばれる膜をピストンなどで引っ張ることで、容器内の体積を変化させることによって輸送するダイヤフラムポンプが使用されます。使用する空気量を減らすことや、脈動が少なく、定流量の輸送によって、発塵を抑制する工夫が製品によってされています。ダイヤフラムポンプ以外にも、ブロア真空ポンプを使用して輸送する製品もあります。

粉体ポンプの使用用途

粉体ポンプは、食品加工工場や化学工場、浄水施設など幅広い業界で使用されます。粉体ポンプの選定の際には、輸送量や輸送したい粉体に機器が対応しているかどうか、流量や脈動の少なさ、粉体の発塵の抑制度合い、サイズや消費電力を考慮する必要があります。また、粉体の性質上、メンテナンスが多く必要であるので、メンテナンス性も重要です。

粉体ポンプの使用例を以下に示します。

  • 食品工場における、小麦粉などの粉体原料の輸送
  • 浄水処理施設における、粉体の浄水材の輸送
  • 化学工場における、粉体原料の輸送

粉体ポンプの原理

粉体ポンプの動作原理を、ダイヤフラムポンプを使用した場合を例に出して説明します。粉体ポンプは、吸い込み口、ダイヤフラムポンプ、吹き出し口で構成されています。ダイヤフラムポンプは、容器、1から2つのダイヤフラムと呼ばれる膜、容器外にダイヤフラムを変位させるためのピストン、バルブで構成されています。

動作時は、容器を収縮しているダイヤフラムポンプの吐き出し口側のバルブを閉めた状態でダイヤフラムポンプを復元すると、内部の圧力が低下し、吸い込み口側から粉体を吸入します。その後、吸い込み口側のバルブを閉め、ダイヤフラムポンプを、容器を収縮する方向に移動させると、内部の圧力が増加し、吹き出し口側のバルブを開放すると、吹き出し口から粉体が吹き出され、輸送されます。ピストンの両端にダイヤフラムを接続することで、一度の往復で効率的に粉体の輸送を行えるため、通常は、2つのダイヤフラムが付いていることが一般的です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/59/12/59_12_1040/_pdf
http://www.mohno-pump.co.jp/products/powderpump.html
http://host118022018037.metio.jp/mechatro_parts/vol3/pdf/P09-120.html

偏心検査機

偏心検査機とは

偏心検査機

偏心検査機 (英語:Eccentric inspection machine) とは、軸対象形状で主に回転する部品について、回転軸からの形状のずれを検査するための検査具を言います。

多くはダイヤルゲージを取り付けて2つ以上の測定物の比較測定を行うための測定台のことです。測定する部品は通常シャフトや歯車プーリーなどであり、これらの振れを測定する際に使用します。

測定自体はダイヤルゲージを用いて接触方式で計測することが通常であり、偏心検査機はあくまで測定を行うための計測台を指します。偏心検査機には過去には多数のメーカーが存在していました。現状は大菱計器製作所と理研計測器製作所の2社で、ほぼ国内のシェアを2等分しています。

偏心検査機の使用用途

具体的な使用事例としては、以下のようなものがあります。

  • プーリーなどの歯車加工工程における抜き取り検査のための測定物固定
  • モータシャフトの比較測定のための測定物固定
  • 積層コアの直角度測定のための固定

測定方法としては、以下の2つの手法が存在します。

  • センサや変位計などを用いた「非接触式」
  • ダイヤルゲージを用いた「接触式」

偏心検査機の原理

偏心検査機は、測定対象物を実際に回転させ、回転中心から離れたある地点から、対象部品の外形との距離の変化を読み取ります。このために偏心検査機には回転軸を支えるためのセンターと呼ばれるコーン形状の端子が、互いに向き合って置かれています。さまざまな部品を計測できるよう、二つのセンターの距離は移動できるようになっています。

偏心検査機を選ぶ際に重要になるのがセンター距離、センターの高さです。センター距離は測定する部品の軸方向の全長、センター高さは測定する部品の最大径 (半径) より上回っていなければなりません。

また偏心検査機の測定精度に大きく関わるのが、センター間平行度です。二つのセンターの平行度が悪ければ、計測値の誤差となってしまいます。一般的な製品において、センター間平行度は10μm程度になっています。

実際の形状の触れを読み取るのはダイアルゲージです。ダイアルゲージを固定する台は、部品の軸方向に移動と固定ができるようになっています。

測定自体には手法が2種類存在しており、センサや変位計などを用いた「非接触式」とダイヤルゲージを用いた「接触式」に分類されます。

偏心測定機の種類

偏心測定機は大きく5つ種類があります。

標準型

両側にスピンドルを備えた一般的な偏心測定機です。

P形

主に卓上や定盤の上に置いて小型の部品を測定しやすいように、高さを低めにしたタイプです。

RV形

回転軸を支えるセンター部分がスピンドルではなく、V溝になったタイプです。V溝部は摩耗しにくい材質が選ばれています。

SG形

ダイアルゲージスタンドが軸方向だけでなく、左右もガイドによって移動できるタイプです。センター軸に対して平行と直角に移動できるので、偏心だけではなくシャフトの曲がりやシャフトについているフランジの振れも検査することができます。

VB形

測定品を水平ではなく垂直に設置して測定するタイプです。

偏心測定機のその他情報

歯車の測定

偏心測定機で歯車の振れを測ることができます。ダイアルゲージの測定子に、モジュール (歯車の歯の大きさ) に合わせた球形状を持つアタッチメントを取り付け、谷部分に当てながら測定します。

偏心測定機を使う上での注意点 

偏心測定機はほぼダイヤルゲージを用いた「接触式」が大多数を占めますが、読み取りに慣れが必要です。まず長針が回る方向によって、測定部位の距離が回転中心から長くなっているのか、短くなっているのかを理解しなければなりません。次に数値の読み取りにも注意が必要です。ダイアルゲージの多くは0.01mmか0.001mmのものであり、針が360°回転すると、それぞれ0.1mm、0.01mm移動したことになります。針が何周も回る場合には、短針の目盛から移動量を読み取る必要があります。測定者違いによる誤差を以下に小さくするかという改善が現場運用では必要です。

参考文献
https://www.obishi.co.jp/catalog/bench-centers/704/
https://www.fsk-level.com/