断路器とは
断路器とは、負荷電流が流れていない回路を開閉するための装置です。
ジスコンとも呼ばれ、負荷回路を電源から切り離すことができます。ただし、負荷電流が流れている回路で断路器を開放することはできません。負荷電流を断路器で開放すると、アーク放電による爆発事故や火災に繋がる可能性が高いです。そのため、負荷電流を遮断可能な遮断器と一緒に使用されます。
断路器の使用用途
断路器は高圧または特別高圧の電気専用機器であるため、産業用途のみに使用されます。
高電圧機器の点検や修理の際に断路器を開放し、人が触れても感電しないように断路器を使用します。断路器を使用する目的は、電気回路を電源から切り離すためです。
断路器の原理
断路器はブレード、キャッチ、ベース、支持碍子などから構成されます。
1. ブレード・キャッチ
ブレードとキャッチは導電箇所です。ブレードがキャッチに収まることで導通し、離れると開路します。主に溶融亜鉛メッキされた銅などの素材で構成されます。ブレードにはフック金具が付属し、ジスコン棒と呼ばれる操作棒を引っ掛けることが可能です。
2. ベース
ベースは筐体との固定箇所です。高圧用スイッチギアの基板などに固定するための箇所で、鋼材などで構成されます。
3. 支持碍子
支持碍子は、ベースと導電箇所を絶縁するための箇所です。絶縁樹脂や磁器で構成されます。
断路器の種類
断路器には、V形断路器と3極連動単投形断路器があります。使用電圧で見れば特別高圧用、高圧用と分かれます。
1. V型断路器
1相のみ個別に断路する断路器です。支持碍子が2方向からキャッチを支え、V字に見えることからV型断路器と呼ばれます。小型で経済的なのが特徴です。
2. 3極連動単投形断路器
3相の断路器が連動しており、1回の動作で3相を断路可能です。操作が簡単な反面、操作機構による構造物で大型化します。後述する自動ロック機能付き断路器は、多くの場合は3極連動単投形です。
特別高圧用と高圧用で、断路器の構成に大きな違いはありません。ただし、特別高圧用は絶縁距離を長くとりつつ堅牢にする必要があるため、構成部品が大型化します。
断路器のその他情報
断路器操作の注意事項
高圧用断路器の開閉は主に人力です。ジスコン棒と呼ばれる絶縁樹脂の棒で操作します。ジスコン棒をブレードのフック金具へ差し込んで開閉します。充電部と直接接触するため、ジスコン棒は優れた絶縁性と防水性が求められます。
断路器には遮断器のような消弧機能がありません。断路器で負荷電流を開放した場合、アーク放電による爆発事故が発生します。その結果、電力会社の送電線を停電させて損害問題にもなりかねません。さらには、人身事故が発生する危険性もあります。
このことから、断路器を使用する上で最大の注意点が負荷電流の誤遮断です。これを防ぐために対策を講じる必要があります。一般的には、手順書を作成することで事故を防止します。遮断器操作の順番を間違えないように、手順書を複数人でチェックしながら作業を進めていきます。
自動ロック機能を設けた設備を使用する場合もあります。これは、遮断器によって負荷電流を遮断しなければ断路器を操作できないようにロックする機構です。
参考文献
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