監修:株式会社アントンパール・ジャパン
密度計とは
密度計は液体や固体の密度を測定する装置です。密度は試料濃度や溶媒の種類によって変化する値であり、様々な業種で密度測定は行われます。密度測定の手法としては液体では振動式密度計、固体ではピクノメーターと呼ばれる手法が使われます。
密度測定は繰り返し精度が高く、小数点以下3-5桁(g/cm3)で測定を行うことが可能です。また、通常の卓上密度計に比べると精度は劣るものの携帯性に優れているハンディタイプの密度計も販売されており、現場でデジタルでの測定が可能です。また、配管に取り付けて連続的に液体密度を測る、プロセス密度計(オンライン密度計)も存在します。
密度による濃度測定
密度値が濃度度密接な関係を示すことを用い、様々な業界で2液混合物の濃度計として使用されています。
例えば、アルコール濃度の測定用としては、国税庁の所定分析法にも密度計での測定が定められています。エタノールのほかに、IPA、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、アセトン、NMP、ガソリン、軽油、潤滑油、冷媒、ビール、糖(Brix)、など幅広く対応できるため、化学、石油、食品、飲料、半導体、電池、自動車など使用する業界を問いません。
また、液体濃度だけでなく、スラリーなどの固形分濃度計に使用できる密度計も存在しますが、対応する装置かどうか確認が必要です。
液体密度の測定原理
液体用デジタル密度計の測定方法については、JIS等で規格化(JIS Z 8804:2012、JIS K 0061)されています。これはASTM、DINなどでも同様にUチューブを使用した振動式密度測定方式として登録されています。
密度計によっては、この方法を採用しているものの他に独自の方式で振動式密度計の値と相関を取っている分析計もあるので、注意が必要です。
また、コリオリ式の質量流量計などでも密度測定は可能ですが、これは振動式密度計とは異なりますので事前に目的にあった装置を選定することが必要です。
固体密度の測定
固体密度測定は、様々な産業分野の研究、開発、品質管理の取り組みに使用されています。これらの技術の一つを国際的に認められた試験方法として用いられています。実際、固体密度測定について記述された標準試験法の多くは、これらの装置を中心にして作成されたものです。
こうした試験法は今日あらゆる業界で採用されています。タップ密度計、ガスピクノメーターなど、目的に合わせた方式を選定することが必要です。また、ASTM、ISO、UOP、USP、MPIF、JISなど多くの測定方法に適合しているかどうかの確認も必要になります。
他の物性値との同時測定
密度値は非常に一般的な物性値のため、多くの分野で測定されていますが、そのようなケースでは他の物性値と同時に測定が行われます。
液体密度計などでは、装置内のU字管にサンプルを注入して測定します。密度計から出たサンプルを屈折率計などに導入することにより、短時間に複数項目の測定を可能にします。効率を求められるラボで活躍するだけでなく複数のパラメーターを用いることで複雑な分析を実施することも可能です。
3成分分析や、体積弾性率の算出などがそれにあたります。これは、卓上型密度計や、プロセス密度計で実現可能です。
測定の注意点
密度測定は、試料を一定量装置に入れて測定するため、気泡や不純物が混入していると、それも含めた測定になってしまいます。液体やスラリーの場合は気泡を確実に除去することが必要です。
本記事は密度計を製造・販売する株式会社アントンパール・ジャパン様に監修を頂きました。
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