導電率計

導電率計とは

導電率計とは、物質や溶液の導電率を測定するための計測機器です。

導電率は物質が電流を通す能力を表す物理的な特性です。導電率計では電流を試料に流し、それによって生じる電圧の測定を通じて導電率を計測します。

導電率計の使用用途

導電率計はさまざまな用途で使用されます。以下は導電率計の使用用途一例です。

1. 水質試験

導電率計は水の導電率を測定するために使用されます。水の導電率はその中に溶解している溶質やイオンの量に関連しており、水の純度や汚染度を評価するために導電率計が利用されます。飲料水やプールの水質管理、環境モニタリングなどがその一例です。

2. 鉱業と冶金

導電率計は鉱業や冶金業界でも広く使用されます。鉱石の導電率測定によって、鉱石中の金属の存在や濃度を評価することが可能です。また、金属の溶解や精錬プロセスの制御においても、導電率計が使用されます。

3. 電解液の品質管理

電池液などの電解液における導電率を測定するために使用されます。電解液の導電率は品質に関わる重要な指標です。導電率計を使用して電解液の導電率を監視することで、電池の性能や製品の品質を確保することができます。

4. 発電・ボイラー

発電所では、タービンや発電機などの機器を冷却するために大量の水が使用されます。冷却水の導電率を測定することで、水の純度や汚染度を把握することが可能です。

また、発電所のボイラーでは水を加熱して蒸気を発生させます。ボイラー内の水中には不純物や溶解酸素が存在し、それらがボイラーの効率や耐久性に影響を与える可能性があります。導電率計を使用してボイラー内の水の導電率を測定することで、水中の不純物や溶解酸素の濃度を監視します。

導電率計の原理

導電率計は、電流と電圧の測定を通じて導電率を計測します。まず、導電率計によって電圧を印可し、電流を試料に流します。試料は、導電性を持つ物質や溶液である場合が一般的です。電流が試料内を流れると、試料中のイオンや溶質が電荷を運びます。

試料の抵抗値に応じて、一部に電圧降下が生じます。導電率計は試料中の電圧降下を測定し、電流との比率を計算することで試料の導電率を求めます。また、電極を4本使用する方法も存在します。

この方法では、電極接触抵抗や試料の表面効果を補償することが可能です。複数の周波数の電流を使用して測定を行い、導電率の周波数依存性を評価することもあります。

導電率計の種類

導電率計には接触式や誘電式などの種類があります。

1. 接触式導電率計

電極をサンプル溶液に直接接触させて測定する方式です。電極に異物が付着すると測定値が変動するため、固体を含まない溶液や電気伝導率が低い純水などの測定に用いられます。測定原理が比較的簡単である点が特徴です。

2. 誘電式導電率計

誘電体の特性を利用して導電率を測定する方式です。誘電体は、電荷の蓄積と解離が起こることで導電性を示します。誘電式導電率計では高周波信号を試料に印加し、誘電体の特性による影響を測定します。

非接触測定が可能であり、試料と電極の接触抵抗の問題を回避することが可能です。また、腐食液や高イオン濃度の溶液でも測定できます。誘電体の特性による情報も得られるため、試料の物理的な変化や濃度の変動を評価することができます。

導電率計の選び方

導電率計を選ぶ際は、測定レンジや試料の性質などから選定します。

1. 導電率

導電率計は測定可能な導電率の範囲があります。測定対象の導電率範囲に合わせて、適切な導電率計を選ぶ必要があります。導電率が低い試料から高い試料までを測定する場合、それに対応できる広範囲の導電率計が必要です。

2. 測定精度

測定精度も重要な要素の1つです。一般的に、測定範囲が狭い方が測定精度が高い傾向があります。必要とされる測定精度を考慮し、測定レンジとの兼ね合いを確認して選定します。

3. 試料の性質

測定対象の試料の性質も考慮に入れる必要があります。液体の導電率測定であれば、防水性や耐薬品性が求められる場合も多いです。また、試料の温度や圧力の範囲に耐えられるような導電率計を選ぶことが大切です。

参考文献
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/electrochem/ec/
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_sensor/0012/index.html
https://www.mt.com/jp/ja/home/products/Process-Analytics/conductivity-sensor.html

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