ポットミル

ポットミルとは

ポットミルとは、研究や実験で用いられる粉砕・混合装置の1種です。

セラミック製の円筒形のポットが回転することで、内部のボールがサンプルを粉砕し、細かく均一な粉体が得られる点が特徴です。ポットとボールには、硬度が高く耐摩耗性に優れた素材が使用されています。

そのため、粉砕中に装置が破損するリスクは極めて低いです。また、耐薬品性が高いので、サンプルの成分によって装置が腐食される心配もありません。これにより、装置の破片や溶出物によるサンプルのコンタミネーションを防ぐことが可能です。

ポットミルの使用用途

ポットミルは、特に細かく均一に混ぜたいサンプルの粉砕に適しており、耐摩耗性・耐薬品性の高いセラミック製のポットやボールが主流となっています。ポットやボールからのコンタミネーションが起きにくく、サンプルを清潔な状態で粉砕できるのが大きな利点です。

産業利用にも適しており、例えば陶芸の釉薬の混合に活用されています。釉薬を均一に混ぜることで、焼き物の仕上がりがより美しく、品質が向上させることが可能です。また、ポットミルはデータ保護の観点からも重要で、USBやフロッピーディスクなどのデータ記憶媒体を完全に破壊することで、データ流出を防ぐ用途で使用されています。

例からも分かるように、ポットミルは多岐にわたる分野で幅広い用途を持ちます。高い粉砕効率と安全性から、今後も様々な産業や研究での活用が期待される重要な装置です。

ポットミルの原理

ポットミルは、ポットが回転することで、内部に入れられたボールが衝突・摩擦を繰り返します。これによって、サンプルを粉砕し、混合される仕組みです。

回転速度や回転時間、ボールの大きさや数などの条件を調整することで、粉砕の粒度や混合の均一性をコントロールできます。また、セラミック製のポットやボールは耐摩耗性・耐薬品性が高いため、サンプルへのコンタミネーションが少なく、粉砕や混合を安全かつ効果的に行うことが可能です。

ポットミルの利点は、効率的な粉砕・混合が可能であることに加え、さまざまなサンプルに対応できる汎用性も挙げられます。

ポットミルの構造

ポットミルはポット、ボール、本体から成ります。

1. ポット

セラミック製の円筒形です。粉砕したいサンプルとボールを入れます。

2. ボール

材質はアルミナジルコニアナイロンなどです。サンプルと共にポットへ入れます。

3. 本体

2本の回転シャフトが水平に配置されており、この上にポットを乗せて回転させます。

ポットミルのその他情報

1. ポットミルの使い方

  1. ポットにサンプルとボールを入れ、フタを密閉してネジで固定します。
  2. 本体の回転シャフト上に、ポットを横向きにして置きます。
  3. シャフトを回転させるとポットが回ります。内部ではボールとサンプルが攪拌され、衝突のエネルギーでサンプルが砕かれます。回転速度を調整できる場合は、安全のため低速から始めて、徐々に回転速度を上げていくと良いです。
  4. シャフトを止めてからポットを開けます。「ふるい」を使って、粉砕されたサンプルを回収します。

ボールは摩耗しにくいため、洗浄して再利用可能です。ただし使い古したものは、表面に欠けやひび割れがないかを毎回確認してください。

2. ポットミルとボールミルの違い

ポットミルと意味の似た言葉に、「ボールミル」というものがあります。ボールミルとは、金属やセラミックのボールを使って物を粉砕する機器の総称であり、「ポットミル」よりも広い概念です。厳密な分類基準があるわけではありませんが、ボールミルのうち小型の機種が「ポットミル」と呼ばれる傾向があります。

ボールミルの中には、粉砕室の容量が数百〜数千Lにも達する大型機種も存在します。大型の工業用ボールミルは粉砕能力が高く、粉砕・混合する以外に、圧力によって物性を変化させる目的でも使用される点が特徴です。なお、工業用ボールミルの主な用途は以下の通りです。

  • アスファルトやセラミックの原料を作るため、鉱物を均一に粉砕する。
  • 製剤工場において、医薬品原薬を粉砕して賦形剤と均一に混合する。
  • 粘土や顔料を、均一な粘性になるよう十分に練る。
  • 結晶のアモルファス化
  • 電子部品の製造に使われる半導体の均一化

3. ポットミルのボール粒径

ボールの粒径は、粉砕の細かさや粉砕後の物性に影響します。卓上ポットミルに使われるボールは、大きい物で直径2cm前後、小さいものでは1mm未満のものまで幅があります。一般的傾向として、ボールの直径が大きいほど粗い破砕になり、直径が小さいほど細かい粉砕が可能です。

粒径が大きいボールは落下のエネルギーが大きいものの、ボールどうしの隙間が大きいため、摩擦による粉砕効率は低下します。一方、粒径の小さいボールは落下のエネルギーは小さいものの、ポットが回転する際の遠心力で粉砕のエネルギーが増強されるのが特徴です。さらに、ボールどうしが密着しているため、摩擦力による粉砕が進みます。

微細なボールで粉砕した場合、摩擦熱による物性変化に留意が必要です。例えば、結晶性の物質を処理した場合、高い圧力で粉砕されることでアモルファス化し、熱伝導性や反応性が変わる場合があります。

物性を変えることなく粉砕したい場合は、ボールの粒径を変えて粉砕試験を行い、目的にかなうボール粒径を選択することが必要です。

参考文献
https://www.mitsuwa.co.jp/products/detail/nanomech/
https://www.aimex-apema.co.jp/case/2018/05/09/103

ダストシール

ダストシールとは

ダストシールとは、外部からの有害な粒子の侵入を防ぎ、パッキンや軸受を保護するために使用されるシール材です。

ダストシールという名前の通り、「ダスト=ゴミ、ホコリ、粉じん」を「シール=封じる、密閉する、内部の侵入を防ぐ」もので、別名で「パッキン」と呼ばれることもあります。産業機械から自動車部品まで様々な分野で使用され、主に摺動する部位に取り付けられます。具体的には、回転運動するシャフトや直線運動するシリンダなどです。

各種機械の可動部には、スムーズな動作、寿命や信頼性の確保が重要です。このため、ダストシールには、動作温度・想定される有害物質・機械的な強度などに応じた、様々な材質や形状があります。また、ダストシールは装置の一番外側で内部を守るためにも使われており、その場合は定期的な交換が必要です。

ダストシールの使用用途

ダストシールは、産業機械や自動車、航空・宇宙産業に至るまで、幅広い分野で使用される重要な部品です。稼働する部品の隙間からの異物の侵入を防ぎ、システムの寿命、性能、信頼性を確保しています。これにより、保守のためのコスト低減や機械システム全体の効率向上を図ることが可能です。

産業機械の分野の代表的な例では、ポンプやギアボックス、電動アクチュエータに代表されるモータなどが挙げられます。特に回転軸を含む部品で、ほこりや汚れなどの汚染物質にさらされると、摩耗が加速し、効率の低下が引き起こされます。また、CNCマシンなどの加工機では、加工精度の低下につながります。

1. 自動車分野

自動車の分野では、車軸のベアリング、サスペンション、駆動系などに使用されています。どの部位もほこりや汚れ、湿気などの影響を受けやすい環境です。これらを保護することで機能が確保され、車両の安全性を確保できます。

2.  航空・宇宙分野

航空・宇宙の分野では、シール性が非常に重要です。
液圧および空気圧で動作するアクチュエータには、シームレスな機能を確保するために、汚染物質がない環境が要求されます。

ダストシールは外部からの有害物質の侵入を防ぐために使用されますが、さまざまな機械システムの寿命、性能、信頼性を確保する重要な役割を果たしています。

ダストシールの原理

図2. リップシールによる保護

ダストシールの基本的な原理は、粒子、ほこり、汚れ、湿気、汚染物質などの外部物質から、機械部品を効果的にシール (保護) するという考えに基づいています。また、このシールは可動部に取り付けられるため、摩擦にも考慮した設計をしなければなりません。シール性と低摩擦性の両方を、バランスよく確立した機能の確保が求められます。

このバランスを確保するために、ダストシールの断面形状が「リップ」形状になっているものと、まるで迷路のような内部構造をもつ「ラビリンス」形状があります。

ダストシールの種類

図3. リップシールとラビリンスシールの構造の例

ダストシールは、「リップ形状」と「ラビリンス形状」に大別されます。

1. リップ形状

一般的なオイルシールは、リップ形状を持つものです。柔軟なリップが回転軸または部品に接触し、外部からの侵入をリップがはじき返すことで、シール性を確保します。

リップ部は摺動を受けるため、これによる摩擦と熱の発生を減少させる潤滑が必要となる場合があります。材料はさまざまで、耐久性、柔軟性、環境要因への耐性を考慮した選定が必要です。

2. ラビリンス形状

ラビリンスシールは、高速回転やより過酷な環境下にさらされる機械に使用されます。ラビリンスシールは内部に迷路のような障壁が存在し、有害物質がシール内部を通過するのを防止しています。

リップシールと比較すると、ラビリンスシールは、初期コストは高いものの、シール性と耐久性に優れていることが特徴です。ダストシールの多くは、圧入によるはめ込み式のため、装着方向を間違えないように注意が必要です。

ダストシールのその他情報

1. ダストシールの材質

ダストシールの材質として、主にゴム系材料が使用されます。代表的なものは、ニトリルゴムウレタンゴムフッ素ゴムなどで成形されています。

ニトリルゴムを使用したダストシール
ニトリルゴムは安価で汎用性が高いことが特徴です。一方で、耐候性や温度条件には制限があります。特に、直射日光に弱く日光の当たるところで使用すると劣化しやすいところが欠点です。

ウレタンゴムを使用したダストシール
ウレタンゴムは、合成ゴムの中では一番耐摩耗性に優れることが特徴です。機械強度が大きく弾性力が高くエネルギー吸収力が高いため、激しい動きを伴う工業用品に使用される傾向があります。

フッ素系ゴムを使用したダストシール
フッ素ゴムは薬品に強く熱に強い特徴があるため、油圧シリンダや屋外用途で使われます。

2. ダストシールの製造

ダストシールは、金型でプレス成形して製造します。ゴム原料と硬化剤、あるいは配合剤を練り合わせ、コンパウンドと呼ばれるゴム材料を作成します。ゴム材料を金型に流し込み、熱と圧力をかけ、硫黄による架橋反応、加硫と成形を同時に行います。

成形されたダストシールを金型から取り出しバリを取りを行い、さらに加熱して二次加硫を行うという流れです。

セラミックテープ

セラミックテープとは

セラミックテープとは、セラミック繊維に少量の有機繊維を混入し、ガラス繊維で補強した紡績ヤーンを原料とするテープです。

セラミックとは、金属、木材、プラスチック以外の素材で、人工的に作られたものすべてを指します。岩石や粘土などの鉱物を混ぜ合わせて、成形し、焼き上げることで作られます。

セラミックテープは、ガラス繊維以上の耐熱性があり、高温となる場所の断熱材として、ボイラー・パイプなどを保温材で覆う作業(ラギング)などに使用されます。 

セラミックテープの使用用途

セラミックテープは耐熱性が高いので、遮断カーテンや配管の断熱材、燃焼作業など高温となる個所に利用されます。

具体的には、ボイラーやパイプなどのラギング、配管や排気ダクトの断熱材、加熱炉の炉前カーテン、熱処理徐冷用のカバー、溶接時の火花防止、スパッタ防止、耐熱パッキングなどです。

また、煉瓦膨張代充填、炉扉シール、水ホース耐熱被覆や、内燃機マフラーの高温部の養生、輻射熱の遮断、やけど防止などにも利用されます。 

セラミックテープの特徴

セラミックテープは、セラミック繊維と少量の有機繊維からなり、ガラス繊維で補強された紡績ヤーンを原料とするテープで、耐熱性、柔軟性に優れています。石綿(アスベスト)の代用品として使用できます。

断熱、保温、保冷材に適しており、特に高温となる場所の断熱材として利用されています。

シリカクロスやアルミナテープ類に対して、比較的安価です。

非晶質セラミックファイバー(リフラクトリーセラミックファイバー;RCF)を使用したものは、RCF規制の対象です。RCFは、表示対象物、特定化学物質の管理第2類物質で、RCF使用の通知義務、作業環境測定、特別管理物質としての措置、作業主任者の選任、特殊健康診断などの対応を必要とします。

現在は、RCFを使用していない、RCF規制対象外の製品もあります。

RCFの代わりに、生体溶解性繊維(BSF)を主原料とし、グラスファイバ、SUS線、インコネル線などを基線として使用し、有機繊維(レーヨンなど)を補強材として添加した製品などです。 

スピードコントロールモーター

スピードコントロールモーターとは

スピードコントロールモーターとは、スピードコントローラが内蔵されており、回転速度を制御可能なモーターです。

モーターの駆動部に速度計測用のセンサが取り付けられており、そのセンサから送られてくる速度をもとにフィードバック制御をすることで回転速度を制御しています。交流を電源として使用する製品が一般的です。

スピードコントローラには、速度設定器が接続されており、任意の回転数などをパソコンや入力ボタンから入力します。

スピードコントロールモーターの使用用途

スピードコントロールモーターは、精密なモーターの動作が要求される生産工場や装置の内部で使われます。

具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 半導体製造工程や電子部品製造工程における位置決め装置の駆動部の動力
  • 糸やワイヤーの巻取り作業の動力源
  • コンベアなどの停止する際の負担軽減用のモーター

スピードコントロールモーターを選定するは、スピードの可変範囲、スピード制御の精度、寿命、消費電力、サイズ、熱や塵、振動への耐久性を考慮する必要があります。

スピードコントロールモーターの原理

動作時は外部の速度設定器から送られてくる信号と、センサから送られてくるモーターの回転数の信号をもとに、どの程度の回転が必要かを回転速度の制御回路にて計算します。その回転速度の制御回路で計算した内容をもとに、どの程度の電圧をモーターに入力すればいいかを電気信号の制御回路で計算し、外部の電源から電力を必要分だけモーターに送信します。

その処理を繰り返し行うことによって、速度を制御する仕組みです。回転速度の出力の精度は、電気制御盤でモーターに送信する電圧の幅とセンサから送られてくる信号の処理速度によって決定します。 

スピードコントロールモーターの構造

大きく動作部と制御部に分けられています。動作部にはモーターと回転速度を検知するセンサがあり、制御部には回転速度の制御を行う回路と電気信号の制御を行う回路で構成されています。

動作部に取り付ける速度検出するセンサは、レートジェネレータと呼ばれる装置です。これはモーターの回転速度に比例した交流電圧を出力することが可能で、交流電圧を制御部にフィードバックする役割を持ちます。

モーターは一般的なACモーターと、同じステーターとローターを持つ構造です。誘導電流を元にして回転力が発生します。

スピードコントロールモーターのその他情報

1. 回転速度 – トルク特性

回転速度を横軸に、トルクを縦軸に取った際に使用限界曲線と起動トルクを示す直線を描くことができます。使用限界曲線と起動トルクより下側の領域は連続運転領域と呼ばれ、この領域内での回転速度とトルクの組み合わせであれば、定格内の連続運転が可能です。

一方で、使用限界曲線と起動トルクより上側の領域は使用制限領域と呼ばれ、この領域内でのスピードコントロールモーターの運転はモーターケースの温度が90℃を超える恐れがあります。モーターケース温度が高温にならないように、周囲環境の調整が必要です。

2. 他モーターとの違い

スピードコントロールモーターは速度制御を行う機構に対して、インバータ駆動モーターに注目すると速度に加えてトルク制御も可能です。モーターの容量もスピードコントロールモーターは小容量であるのに対して、インバータは大容量まであります。

ブラシレスモーターは、モータードライバに対して回転速度を入力することで比較的簡単に速度を制御することが可能です。機能面ではインバータ駆動のモーターは多くの機能を備えていますが、スピードコントロールモーターはコスト面や使用性で優れています。

ブラシレスモーターと比較すると、どちらも小型のモーター制御に使用されますが、スピードコントロールモーターは低コストで運用可能です。目的に応じた機器を選定する必要があります。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/sp_kiso_1_1/
http://www.mekatoro.net/mechatro_parts/vol3/pdf/P05-218.pdf
https://www.orimvexta.co.jp/product/detail/?id=001003
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/orien-sougou/book/orien-sougou-P0383.pdf

シリコンガスケット

シリコンガスケットとは

シリコンガスケット

シリコンガスケットとは、シリコーン (熱硬化性または熱可塑性のポリマー) で作られたガスケットのことです。

ガスケットは、配管や器具の可動性のない部位で部材と部材の間に設置し気密性や水密性、油密性などの密閉性を保つためのシール材を指します。設置個所に合わせて成形されたシート状ガスケットと、液状を塗布・固化させて密閉性と耐圧性を得る液状ガスケットがあります。

素材によって、耐熱性や耐薬品性などが異なります。シリコンガスケットは高温や化学薬品に耐性があり、耐久性が高い点が特徴です。成形された製品も販売されていますが、液状ガスケットを指してシリコンガスケットと呼称する場合が多くあります。

シリコンガスケットの使用用途

シリコンガスケットは高い耐久性や耐熱性、耐薬品性などを有するため、産業に広く使用されます。以下はシリコンガスケットの使用用途一例です。

  • 自動車エンジンのシリンダーヘッドやバルブカバーなどのパッキング材
  • 航空機のエンジンやタービン、燃料ポンプ、バルブなどのガスケット材
  • 医療機器や食品加工機器など、清潔性が重視される産業機器のシール材
  • 電子部品や半導体の製造工程での高温・高圧環境下でのシール材
  • 建築材料、雨水排水設備、配管、化学工業装置などの耐候性・耐薬品性を必要とするシール材

シリコンガスケットはこれらの産業分野において、特性を生かした高性能なシール材として広く使用されています。また、柔軟性に優れているため、さまざまな形状やサイズにカットして使用することが可能です。

加えて、色の種類も多く、さまざまな用途に合わせた色のガスケットが開発されています。

シリコンガスケットの原理

シリコンガスケットのシール効果は、その柔軟性と弾性によって生み出されます。さまざまな形状にカットしてシールする部分に密着させることで、ガスや液体などの流体を漏れなくシールできます。

素材であるシリコーンは、二酸化ケイ素を還元したものにメチルアルコールなどの有機酸を結合させた化合物です。有機と無機の両方の性質を持ち非常に安定しています。化学的に安定で、酸化・分解されづらいことや生理活性の低いことが特徴です。

生理活性が低い点から、蛇口や炊飯器などの体内に取り込まれる可能性のある用途でのガスケットにも使用されます。また、耐熱性も高いため、エンジンオイルの流路のガスケットなどにも有用です。

成形ガスケットは厚みがあり、使用経過とともにへたりやずれ変形などが生じます。液状ガスケットは比比較容易に複雑な形状でもシーリングでき、へたりがない点が利点です。一方、硬化に時間がかかるなどの難点もあります。

シリコンガスケットの種類

シリコンガスケットにはさまざまな種類が存在します。以下はシリコンガスケットの種類一例です。

1. シートタイプ

シリコンガスケット材料をシート状にカットして使用するタイプです。ゴム素材の性質を生かした柔軟性や弾性によって、さまざまな形状にカットして使用することが可能です。

ただし、カット精度によってシール効果が左右されるため、正確なカットが必要です。また、厚みや硬度によってもシール効果が変わるため、使用する環境に応じて適切な厚みや硬度を選ぶ必要があります。

2. メタルクラッドタイプ

シリコンガスケットの表面に金属を張り合わせたタイプです。金属とシリコンガスケットの両方の特性を併せ持ち、高い耐久性と高いシール性を発揮します。

3. リジッドコアタイプ

シリコンガスケットの中心にリジッドコア (金属または樹脂製の芯材) を挟んで作られたタイプです。シリコンガスケットの強度を高め、圧縮力に対しても高い耐久性を発揮します。

4. マルチレイヤータイプ

複数のシリコンガスケット層を積層させたタイプです。耐久性とシール性に優れています。

5. 液状タイプ

シリコンゴムを液状状態にしたタイプです。専用のノズルを使って塗布することで、ガスケットとしてのシール効果を発揮します。さまざまな形状に対応可能で、密着するためシール効果が優れています。

ただし、塗布面が平坦でないと密着しないため、塗布面の処理が必要です。また、完全硬化するまでの時間が必要なため、作業はすぐ終わりません。

参考文献
http://www.mohno-dispenser.jp/compass/compass13.html
https://www.henkel-adhesives.com/jp/ja/products/industrial-sealants/liquid-gasket-solutions.html

AED収納ボックス

AED収納ボックスとは

AED

AED収納ボックスは自動体外式除細動器(AED)を収納する設備で、学校、事業所、公共機関などに設置されています。AEDが故障しないように水分や衝撃から守り、一次救命が必要なときにすぐ使えるよう改良されてきました。

ただの収納ケースではなく、①精密機器であるAEDを保護する、②AEDを定置管理する、③目立つデザインでAEDの場所を知らせる、③開放時にアラームを鳴らして周囲に異常を伝える、という役割があります。機種によっては災害時の非常道具を収納しておくこともできます。

AED収納ボックスの使用用途

AEDは、一次救命における心臓の除細動(心室の小刻みな震えを止めて心拍を正常に戻す行為)を自動でおこなう医療機器です。学校や企業の事業所、駅、空港、スーパーマーケットなどあらゆる場所に設置されています。

AEDを設置するにあたり、重要なのは保管環境です。精密な医療機器なので、適切に保管しなければ必要な時に正常に作動しないおそれもあります。また、分かりにくい場所に置かれていては、すぐに見つけることができません。そこでAED収納ボックスに保管ことで、AEDを保護し、定置管理して場所を分かりやすくすることができます。

AED収納ボックスの特徴

AED収納ボックスの外観は、以下の3種類が主流です。設置場所の広さや、壁を加工できるかどうかによって選定します。

  • 壁埋め込み型
    筐体形のボックスを壁のくぼみにはめて固定します。壁に埋め込まれているので、振動に対して丈夫で邪魔にもなりません。
  • 壁掛け型
    壁の平面部分にボルトで固定します。壁の形状に関係なく取り付けられます。
  • スタンド型
    床や地面に直立させるタイプで、壁に取り付けられない場所でも設置できます。縦長な形をしており、下側が防災用品の収納スペースになっている製品もあります。

AED収納ボックスにAEDを保管するメリットを以下に紹介します。

  • AED収納ボックス本体は主に金属製(亜鉛めっき)であり、耐衝撃性や防水性があります。そのためAEDに衝撃が加わったり水がかかったりするのを防ぎ、故障を予防します。
  • 収納ボックスを壁に据え付けておくことでAEDの定置管理ができ、必要な時にすぐ取り出せます。
  • 赤やオレンジ色を基調とした目立つデザインが施されており、「AED」のロゴも大きく入っているため、初めて来る場所でもAEDの位置を見つけやすくなります。
  • 収納ボックスの扉を開けるとアラームが鳴り、周囲に異常を知らせます。これにより一人でも多くの救助者を集めることができます。

UHFレシーバー

UHFレシーバーとは

UHF (英: Ultra High Frequency) レシーバーとは、極超短波を受信する機器のことです。

この周波数帯は300MHzから3GHz (波長: 10cm~1m) までの範囲にあり、通常テレビ放送、移動体通信、無線LANなど、様々な無線通信サービスで利用されます。UHFレシーバーは、この周波数帯をキャッチし、視聴者や利用者が情報を得られる形に変換します。

なお、UHF帯はVHF (英: Very High Frequency) 帯よりも高い周波数帯を使用しているため、通信速度は速く、データ転送能力も高いです。しかし、その一方で、物理的な障害物による影響を受けやすい特性も持っています。

一般的にUHFのみの電波を受信するレシーバーは少なく、通常はより広い帯域の電波を受信できるレシーバーがほとんどです。

UHFレシーバーの使用用途

UHFレシーバーは、業務用音響機器に広く使用されています。以下に、UHFレシーバーの主な使用事例をいくつか紹介します。

1. ワイヤレスマイク

UHFレシーバーは、ワイヤレスマイクに使用されます。レシーバーは、マイクから送信される信号を受信し、音声信号に変換します。高性能かつコンパクトなUHFレシーバーが多数販売されており、様々な用途に使用されています。

2. 業務用音響機器

例えば、業務用スピーカーや業務用アンプ、業務用ミキサーなどに使用されます。UHFレシーバーを使用して、高品質の音声信号を受信ができます。

3. カラオケ機器

カラオケでは、ワイヤレスマイクロホンがよく使われますが、その受信機としてUHFレシーバーが必要です。UHFレシーバーは、複数のチャンネルに対応し、デジタル処理によりクリアな音質を実現します。また、高効率受信のフロントアンテナ採用で移動や設置が簡単です。

4. 広帯域受信機

広帯域受信機とは、多くの周波数帯をカバーする受信機のことです。アマチュア無線や航空無線、各種デジタル無線などを受信できます。

UHFレシーバーの原理

UHFレシーバーは、大きく分けて以下の4つの部分からなります。

1. アンテナ

UHF帯域の電波を受信する部分です。アンテナの形状や大きさは、受信したい周波数によって異なります。アンテナから受信した電波は、電気信号に変換されます。

2. チューナー

電気信号に変換された電波から、目的の周波数を選択する部分です。チューナーは、可変キャパシタや可変インダクタなどの素子を使って、周波数を調整します。

チューナーから出力された信号は、中間周波数 (IF) と呼ばれる一定の周波数に変換されます。

3. デモジュレータ

中間周波数に変換された信号から、音声や映像などの情報を取り出す部分です。デモジュレータは、変調方式に応じて異なる回路を使って信号を復調します。

デモジュレータから出力された信号は、スピーカーやディスプレイなどに送られます。

4. 制御回路

UHFレシーバーの動作を制御する部分です。制御回路は、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどの集積回路を使って、チャンネル選択や音量調整などの操作を行います。制御回路は、リモコンやボタンなどからの入力を受け取ります。

UHFレシーバーの種類

UHFレシーバーは、さまざまな用途や性能に応じて、以下のような種類に分けられます。

1. ワイヤレスマイクロホン用レシーバー

カラオケやライブパフォーマンスなどで、ワイヤレスマイクロホンから送信される音声信号を受信するレシーバーです。通常、800MHz帯や900MHz帯を使用し、FM (周波数変調) やデジタル変調方式で信号を伝送します。

受信感度や歪率、音質などに優れたものが求められます。モデルによりますが、デジタル処理によりクリアな音質を実現し、高効率受信のフロントアンテナ採用で移動や設置が簡単なUHFワイヤレスレシーバーもあります。

2. ハンディレシーバー

持ち運びができる小型のレシーバーで、広い周波数帯をカバーし、FMやWFM (広帯域FM) 、AM (振幅変調) などの受信モードを切り替えられます。ラジオ放送やエアバンド、各種業務無線などを受信可能です。

電池寿命やスキャン速度、メモリー機能などに優れたものが求められます。モデルによっては0.100~1309.995MHzをカバーし、100ch/秒の高速スキャンや空線キャンセラーなどの多彩な機能を備えた広帯域ハンディレシーバーも存在します。

3. レシーバーシステム

複数のトランスミッターやアンテナと連携して、高品質な音声や映像を受信するレシーバーシステムです。会議室や教室、劇場などで使用されます。同時使用チャンネル数や周波数安定性、干渉除去能力などに優れたものが求められます。

参考文献
https://www.alinco.co.jp/product/electron/detail/id=4401
http://www9.wind.ne.jp/fujin/diy/radio/radio02.htm

パイプラックシステム

パイプラックシステムとは

パイプラックシステムとは、パイプ同士をジョイントを使って結合し、それに様々なパーツを組み合わせて、ラックや台車など様々な設備品を作成できる一連の商品のことです。

パイプラックシステムを使うと、パイプの長さや本数、パイプの結合の仕方を変えることにより、簡単に望み通りの寸法を持ったラック等を作れます。また脚の先端にキャスターを付けて移動できるワゴンを作ったり、床にネジで固定する金具を付けて耐震性に優れた棚を作る等、使用目的に合った設備品を構築可能です。

パイプラックシステムの使用用途

パイプラックシステムで構築した設備は、倉庫、工場、オフィス、病院など多くの場所で使用されています。

パイプラックシステムが広く使われる理由は、専用の付属品と組み合わせることで使用状況に適した形状と大きさの棚、台車、作業台、仕切り板等を作ることが可能な、利便性と自由度の大きさにあります。

パイプラックシステムでは、パイプをジョイントを使って結合させ基本となるフレームを組み立て、そこに専用の付属品を取り付けることで、それぞれ異なる使用目的の設備が作られます。

例えば、フレームの脚となるパイプの先端にキャスターを取り付けると、移動用の台車やワゴンを作れます。ものを置く棚や作業用の机を組み立てる際にはキャスターの代わりに樹脂製のアジャスターを取り付けます。地震の際に倒れたり移動したりしないようにする場合には、ボルト止めの穴が開いた金具を取り付けて、床に固定することができます。

パイプラックシステムの原理

パイプラックシステムの基本は、フレームとなるパイプと、パイプ同士を接合するジョイントです。組み上げる設備の外形や寸法の自由度が高く、それに取り付けるボードや車輪、金具などで様々な用途の設備を組み上げることが可能です。

パイプは丸型のパイプが一般的ですが、角型のパイプもあります。パイプの材質はアルミなどの合金の他に樹脂のものもあります。長さや太さは様々あり、組み立てる設備の寸法に合わせて選択します。また、長さは切断によって調整を行うこともあります。

ジョイントはそれぞれのパイプの太さと形状にあったものを使用します。ジョイントには、パイプの外側に装着するものと内側にはめ込むものがあります。ジョイントを使ったパイプ同士の接合形状はT字型、L字型とx-y-zの3軸方向に直角に交わるものを基本とし、立方体のフレームを組み上げます。また、2つのパイプを斜めに結合するジョイントもあります。

パイプラックシステムの選び方

パイプシステムラックを選択する際には、それで何を作りたいのかを考えて、システムに組み込む主要部品と、それを収納するパイプの大きさと本数、必要なジョイントの数や形、アジャスターやキャスターなどの付属品をリストアップします。

その際に重要なのは、十分な強度と安全性を保てるように検討することです。特に、シューター等を使った重量物の保管棚等を組み立てるときには十分な耐荷重性能を持たせることが必須です。さらに、使用する環境によっては、発塵性や耐薬品性能を検討項目に加える必要があります。

また、パイプやジョイントやそのほかの部品等は、WEBサイトで単品でも購入できます。個別に部品を買い揃える際には、それぞれのサイズや適合性を確認する必要があります。

パイプラックシステムのメーカーの中には、作ろうとしている設備品の仕様を伝えると、それに必要なパイプや部品を揃えて提案書 (設計図) を作ってくれる会社もあります。さらには仕様に基づいた完成品までを受託する会社もあります。自分たちがパイプラックシステムでどういう構築方法を選択したいのか、それに合った交渉相手を選択可能です。

参考文献
http://www.omikogyo.co.jp/product_detail/98/
https://www.tmehjapan.jp/pipe_racking_system/
https://www.spacio.co.jp/business/solution/
https://www.steel-labo-shopping.com/pipe_system.html
https://www.tmehjapan.jp/item/products_pipe/
http://www.antac.co.jp/kaizen.html 

バーラック

バーラックとはバーラック

バーラックは、支柱と腕木(バー、アーム)からなるラックです。カンチラックとも言います。

前面側に支柱がないため、長さ3m以上の長尺物や重量物の収納に適しており、支柱と支持するバーを水平方向に追加して耐荷重を増やすこともできます。

バーは支柱に一点で取り付けられており、棚の有効高さの変更も容易です。パレットラックと比べて無駄な隙間ができず、いろいろなサイズの荷物を効率よく保管できます。

出し入れの際に棚板とこすれて傷が発生することも、軽減できます。 

バーラックの使用用途

バーラックは、主に、木材、鋼材、パイプなど、パレット化できない棒状や板状の長尺物や重量物を保管するために使用されます。

丸棒、サイディング、鉄パイプ、アルミ角パイプ、建築資材(合板)、各種波板、樹脂フィルム、工作物などの保管に適しています。

長尺物や重量物を扱う工場や倉庫での製品の保管や、販売店での商品の陳列・保管に使用できます。

保管スペースの削減や、段組み作業時間の短縮など作業効率のアップにつながります。 

バーラックの特徴

バーラックは支柱とバー(腕木)からなり、棚板がないラックです。

前面側に支柱がなく、長さ3m以上の長尺物や重量物の収納に適しています。出し入れをスムーズかつスピーディーに行うことができるので、保管作業の効率がアップします。

支柱とバーを水平方向に追加して耐荷重を増やすことができ、収納物に合わせてサイズを容易に変更できます。バーは支柱に一点で取り付けられており、棚の有効高さも容易に変更でき、無駄な隙間を作らず、効率よく荷物を収納できます。

棚板がなく、収納物を「線」で保管するため、荷物の出し入れの際に棚板とこすれて傷が発生することを軽減できます。

前面・両端に支柱がないので、パレットラックでは柔軟に対応できないような場合にも対応でき、収納する荷物の大きさが頻繁に変わる場合や、横幅や奥行きが異なる荷物を横に並べておきたい場合などにも活用できます。また、所定外の荷物を置きたい場合にも、隙間なく収納することが可能です。 

参考文献
https://kitajimasteel.com/html/page9.html
http://fuso-metal.jp/item_detail.html?sid=6

ハヤコート

ハヤコートとは

ハヤコートとは、サンハヤト株式会社が製造販売する基板用コーティング剤の商品名です。サンハヤトの基板コーティング剤であるハヤコートは、ハヤコートMark2と呼ばれ、
屋外設置された機器の内部にある基板の湿気や結露や塩害と言った外的な環境要因に対して、その他にも温泉地を代表する硫黄などの腐食性気体を発生させる環境下において、又、
マイグレーションや吸湿などによる絶縁性低下に対しても、このハヤコートを塗布することで、基板の腐食や絶縁防止対策が図れます。

ハヤコートの使用用途

ハヤコートの使用用途については、サンハヤトのホームページより、ハヤコートの採用事例に関する記載が有りましたので、以下に参考転記します。ハヤコートMark2の採用事例は、工場内におけるファクトリーオートメーションロボット用の制御基板に採用、信号機や券売機などの交通制御システムに採用、自動販売機に採用、携帯基地局にて採用、野外での音響装置に採用、空調用室外機に採用、温泉地の監視装置や通信装置に採用、強制冷却中の結露によるマイコンオーバークロック対策など、量産向けに多数の使用実績があります。

ハヤコートの原理

ハヤコートを製造販売しているサンハヤト株式会社は、化学製品事業から始まった会社で、ヒット商品の接点復活剤を始めとした主に電子基板に関する化学製品を主体に開発しており、現在では電子機器事業から基板関連製品事業からオーディオ関連製品事業まで広げています。その中でも基板絶縁コーティング剤のハヤコートは、会社創設後、間もなくして発売を始めているサンハヤトにとっても歴史のある主力商品であることは間違いありません。そんな主力商品のハヤコートは、そのコーティング剤を基板に塗布することで、基板に形成した絶縁被膜が、湿気や腐食を引き起こす汚れた外気などの不具合要因から基板をガードしてくれます。臭気も低く、有機溶剤中毒予防規則に非該当である為、作業も容易に行えます。基板の狭い箇所にまで十分に染み渡るので絶縁性は抜群で、半田面や金属や樹脂などにもシッカリ密着します。更に、基板の補修時にはコーティングを剥がさなくとも、そのまま状態で半田付けが可能ですので、リワーク性にも優れています。