包装機

包装機とは

包装機

包装機とは、食料品や医薬品を効率的に梱包・パッケージするための機械のことです。

主に生産工場で利用されており、その種類も多岐にわたります。充填機やピロー包装機、シュリンク包装機、シール機、結さつ機などがあり、各々が異なる機能を持ちます。

また、自動計量機能が付いた包装機は製品の重量や個数を一定に揃えられ、真空パック用の包装機はパッケージ内に真空を作ることが可能です。これらの多様な包装機を利用することで、食料品や医薬品に最適なパッケージを実現できます。

包装機の導入により、生産効率の向上や品質管理が容易になるため、食品や医薬品の安定供給にも寄与しています。近年では、さらなる高速化や省エネルギー化が求められる中、包装機の技術も日々進化し続けています。

包装機の使用用途

包装機は、食品工場や医薬品工場で製品を効率的にパッケージするために活用されています。例えば、液体をボトルに詰める際はボトル充填機が適しており、粉末をスティック包装にしたい場合や冷凍食品、スナック菓子を包みたい場合はピロー包装機が採用されています。

また、牛乳パックのような箱型の容器に製品を入れる場合は、容器成形充填機が適しています。食品を外気から遮断し、長持ちさせることが求められる場合はシール機が用いられ、真空やガスを封入したい場合はガス封入包装機や真空包装機が最適です。

パンなどを袋に詰めた後、袋の口を閉じる際は結さつ機 (クロージャー) が役立ちます。さらに、包装が終わった製品を段ボールなどの箱に詰める作業では箱詰め機が活躍し、総菜などが入ったトレーをフィルムで包む際にはシュリンク包装機が適しています。

包装機の原理

包装機の原理は、製品の種類や包装方法によって異なります。

1. 充填機

充填機には液面規制式、ピストン式、ウェイト式、メーター式などがあり、それぞれの方式で充填量を調整可能です。液面規制式は液面センサーで容量を確認し、ウェイト式とメーター式は重量や計量機能を利用します。ピストン式は、粘度の高い液体を充填する際に有用です。

2. ピロー包装機・シール機

ヒーターを使ってフィルムを圧着し、同時にカッターで切断して製品を包装可能です。シール機では、空気が入らないようにスポンジなどのクッションで袋を押し潰す工程があります。

3. 結さつ機

ベルトコンベアで搬送され、袋詰めされた製品の口を絞り、バッグクロージャーやビニタイで括り付けます。

4. 箱詰め機

ロボットアームとセンサーを用いて製品を箱に詰める仕組みです。製品と箱の検知により、適切に詰められます。

5. シュリンク包装機

熱を加えると縮む性質のフィルムを使用し、トンネル内で熱風や蒸気によってフィルムを縮ませて製品を包装します。ガス封入包装機はノズルを袋の口に差し込み、空気を吸い上げる片側とガスを充填する片側の2本のノズルを利用する仕組みです。

包装機のその他情報

包装機はさまざまな機械と併用することで、生産ラインを効率化させています。

包装機と併用する機械

1. ラベル機
ラベル機は、包装された製品にラベルを貼るための機械です。自動的にラベルを製品に貼り付けられ、製品の種類や形状に応じて異なるタイプのラベル機があります。

ラベル機は、包装機と連携して使用されることが多く、効率的な生産ラインを構築するために重要な役割を担っています。

2. 検査機
検査機は、包装された製品の品質をチェックするための機械です。金属探知機やX線検査機、重量検査機などがあり、異物混入や欠陥品を検出して排除することが可能です。検査機は、包装機と併用されることで、安全で高品質な製品の提供が可能になります。

3. パレタイジング機
パレタイジング機は、包装された製品をパレットに積み上げるための機械です。ロボットアームやコンベアシステムを利用して、効率的に製品をパレットに積み上げられます。パレタイジング機は、包装機と連携して使用され、出荷作業を効率化し、労働負担の軽減に貢献しています。

参考文献
https://www.ishida.co.jp/ww/shichiho/original/various-packaging.cfm
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/packing/chapter01/int_pack_machine.jsp
https://www.youtube.com/watch?v=iy0WFpSPpK0
https://www.orikane.co.jp/orikanelab/5445/
http://www.jpml.jp/expert/knowledge/06.html

亜鉛ダイカスト

亜鉛ダイカストとは

亜鉛ダイカストとは、高温で溶かした亜鉛を精密な金型に高圧・高速で流しこんで、瞬時に金属製形をするダイカストとという製法またはその製法で作られた製品のことです。

亜鉛ダイカストは、寸法の精度や強度が非常に高く、その柔軟性からさまざまな形状に対応可能な点が特徴です。優れた特性をいかして、私たちの身の回りの日用品から工業製品まで幅広く利用されています。

亜鉛ダイカストの使用用途

亜鉛ダイカストは、インテリアの調度品や服飾および家具の建築金物に使用されます。例えば、屋内用ドアのドアノブなどは亜鉛ダイカスト製品です。

調度品としては、置き時計の本体が例として挙げられます。亜鉛ダイカストの表面は滑らかであり、金・銀・クロムニッケルなど他の金属のめっきや、塗装加工に優れているため、さまざまな質感の製品に仕上げることが可能です。

また、70年代に流行した超合金と呼ばれる金属製の玩具も、亜鉛ダイカスト製品です。超合金の玩具は細かい形状も再現可能で、重量感もあることから、比較的高価ながらも人気を得ました。工業用途では、複雑な機械部品 (モーター用受け軸の部品、ギア、自動車・バイクのミッション関連部品) や、弱電関係機器や医療関係機器の部品にも使用されています。

亜鉛は融点が低いため薄肉に加工しやすく、さらに寸法精度が良いことから、複雑な機械部品に適しています。

亜鉛ダイカストの性質

亜鉛以外にもダイカストで用いられる金属にアルミニウム合金がありますが、亜鉛はアルミニウムに比べて強度が強く、金型をより長く利用できるという利点があります。この特徴により大幅な生産コストカットが可能です。

また、機械部品や機器部品に使用した場合、高い電気伝導率により入力のエネルギーロス (余計な熱が発生しない) が抑えられ効率的に機器を使用できます。さらに、他の金属に比べて融点温度が低いことから、亜鉛ダイカストで作られた部品同士の接合も、冷間成形・加工により容易です。

亜鉛ダイカストの特徴

1. 表面処理に向いている

亜鉛ダイカスト製品は、滑らかな表面が特徴です。滑らかな表面によってめっきや塗装などが施しやすく、さまざまな色や質感の製品に仕上げることができます。

2. 寸法精度が高い

ダイカスト製品はプラスチックの射出成形や、ダイカストのように製造時に圧力を用いない重力鋳造に比べて、高い寸法精度が得られます。自動車部品ではドアミラーのステーと呼ばれる支持台に、亜鉛ダイカストが用いられています。

3. 薄肉で軽量化もできる

亜鉛は金属材料としては融点が低く、ダイカストにおいても材料が金型内部に流れやすい材料です。ダイカストは湯口から材料を流し込み製品全体の形状を作るため、細い部分や薄肉の部分には溶湯が流れにくい場合があります。

亜鉛ダイカストは良好な湯流れ性を活かして、薄肉で軽量化した製品の製造も可能です。

4. 高い量産性

一般的にダイカストは大量生産に向いた製法ですが、亜鉛ダイカストは特に量産性に優れた製法です。ダイカストに用いる金型は、溶湯が繰り返し流れることによって、摩耗や損傷が起こり、決して無制限に製造できるわけではありません。

金型の寿命はアルミダイカストでは10万個程度ですが、亜鉛ダイカストは50万個程度まで製造することができます。

亜鉛ダイカストの種類

亜鉛ダイカストに用いられる亜鉛合金には、ZDC1とZDC2の2種類があります。両者の主な違いはCuの含有量です。ZDC1が0.75~1.25%のCuを含むのに対して、ZDC2は0.25%以下とされています。

ZDC1は機械的性質と耐腐食性および耐クリープ性に優れているため、より強度が要求される場合に利用されます。一方で、ZDC2は優れた寸法安定性により表面が綺麗に仕上がる特性のため、金・銀が鍍金加工が必要なインテリア調度品や家具の金物などに多く使用される材料です。

参考文献
http://www.takahashi-tk.co.jp/die-casting.html
https://jlzda.gr.jp/zd_po.htm

ワイヤーボンダ

ワイヤーボンダとは

ワイヤボンダはICチップやLSIチップなどの集積回路で、多数のI/O電極を基盤側と電気的に接合する為の装置です。

その他、プリント基板同士の電極を繋ぐ用途などでも用いられます。 近年での集積回路実装にはフリップチップボンダが多用されていますが、ワイヤボンダで接合するニーズは現在でも残されています。ワイヤボンダには実態顕微鏡で観察しながらボンディングするマニュアルタイプと、予めボンディングアドレスをプログラムする全自動タイプがあります。

ワイヤーボンダの使用用途

半導体製造工程の後工程であるアセンブリ工程で主に使用されます。 その場合は集積回路内部での結線作業となり、その他に基板への集積回路の実装工程でも用いられます。

実験や試作的な基板回路を製作する場合には上述したマニュアル式が用いられ、量産工程では全自動型のワイヤボンダが利用されています。ワイヤボンダは電極を1対1で結線していく為、高い生産性が要求されます。その為、1カ所当たりの結線速度が0.05秒程度の高速で結線する製品が主流となっています。

ワイヤーボンダの原理

基板上の電極と、集積回路の電極間を金やアルミ、などの極細ワイヤーで結線していきます。 各電極とワイヤーの接合には超音波溶着技術が用いられ、ごく短時間で接合を終えます。 ワイヤーを渡し、接合する部分をヘッドと呼び、その構造によって複数のタイプが存在します。

ワイヤボンダは極微小な電極間にワイヤー結線をする必要がある為、位置決め精度は非常に高精度となっており、±2ミクロン程度の精度誤差が必要となります。また、精密なヘッドの押しつけ荷重 (ボンディング荷重) の管理と制御を必要とし、高度な位置決め精度を実現する為に外部からの振動を抑制する無反動サーボ機構や防振システムを搭載しています。

ワイヤボンディングには大別して2つの方法があり、一つはボールボンディングと呼ばれ、ワイヤと電極間に放電を発生させ、双方の溶融部がボール状に形成され、その後に熱や超音波を加えながら圧接する方法と、ウェッジボンディングと呼ばれるボール状の溶融部を形成せずにワイヤーを直接電極へ超音波で圧接する方法があります。

用いられるワイヤ径は十数ミクロンから数百ミクロンのリボンワイヤまで幅広い種類があり、そのワイヤによってボンディング方法を選定する必要があります。

グリースガン

グリースガンとは

グリースガン

グリースガン (英: Grease gun) とは、潤滑剤であるグリースを機械や装置の部品に塗布するために使用される工具です。

グリースガンは一般的に手持ちのポンプまたは圧縮空気を使用してグリースを容器から押し出し、部品に注入する機構を備えています。グリスガンまたは注油器とも呼ばれます。グリースは機械の摺動部を円滑に動作させ、摩擦を緩和させるために使用する潤滑油です。

液状潤滑剤に増稠剤を添加し均一に混合させ、半固体状とした製品が一般的です。グリースガンを使用することで、グリースを簡単かつ正確に部品に供給することができます。グリースを直接部品に塗る場合よりも、効率的で均一な塗布が可能です。

また、必要な量のグリースを正確に部品に供給するため、無駄な浪費を防止します。適切な量のグリースを使用することで、コストの節約も可能です。

グリースガンの使用用途

グリースガンは、さまざまな機械の注油に使用される治具です。一般的には回転機器のベアリングなどに対して、グリースを塗布する目的で使用されます。以下はグリースガンの使用用途一例です。

1. 産業機械

自動車の部品や車両の潤滑に広く使用されます。ボールジョイント、車軸、ホイールベアリング、サスペンションなど、さまざまな部品にグリースを供給するために使用されます。特に、自動車整備や自動車製造業界では一般的な治具です。

また、工業用搬送設備には歯車が使用されます。歯車の歯面や歯車ボックス内の歯車機構にグリースを塗布することで、摩擦や摩耗を軽減することが可能です。

2. 建設機械

建設業に使用される重機においても、グリースガンを使用することが多いです。クレーン、ショベル、ブルドーザーなどの重機がその一例です。グリースガンを使用して関節部やブッシュなどにグリースを供給し、機械の動作を滑らかに保ちます。

3. 農業機械

農業機械やトラクターの部品にもグリースが必要です。トラクターの車軸、ベアリング、ジョイントなどにグリースガンを使用して潤滑剤を供給します。

グリースガンの原理

グリースガンの基本的な原理はポンプ機構を使用してグリースを押し出し、部品に供給することです。グリースガンの容器には、グリースを充填するためのカートリッジや缶が入れられます。グリースの容量も80gから500gまでさまざまです。

カートリッジタイプはグリースを交換する際に手が汚れにくい一方、高価な場合があります。グリースガンには、グリースを押し出すポンプが備わっています。駆動源は手動や電動・空気圧駆動などさまざまです。ポンプを操作することでグリース容器内に圧力がかかり、グリースがポンプヘッド方向に進みます。

グリースはノズルから部品に供給されます。ノズルは細長い形状であり、部品へのアクセスが容易になるように設計されていることが多いです。ノズルを部品に接触させることで、グリースが部品表面に塗布されます。

グリースガンの種類

グリースを簡単にセット可能なカートリッジタイプや先端のノズルが曲がるフレキシブルタイプ、手動式、充電式、エアー式などさまざまな種類が存在します。

1. カートリッジタイプ

あらかじめグリースが封入されたカートリッジを使用するグリースガンです。一般的に手動式ポンプを備えており、ポンプ操作によってグリースが押し出されます。簡単にグリースを補充できる点が特徴です。

2. フレキシブルタイプ

柔軟なホースやノズルが取り付けられたグリースガンです。狭いスペースや難しい位置へのアクセスが可能です。ホースの長さやノズルの形状は異なる場合があり、作業のニーズに合わせて選択できます。

3. 手動式

ポンプハンドルを手動で操作することでグリースを押し出すグリースガンです。ポンプハンドルを上下させることで圧力が生み出され、グリースが供給されます。シンプルで使いやすく、小規模な作業に最適です。

4. 充電式

内蔵されたバッテリーを使用して動作するグリースガンです。モーターによってグリースを押し出すため、手動操作が不要です。電源供給が不要なため移動性が高く、大量のグリース供給に適しています。

5. エアー式

圧縮空気を使用してグリースを押し出すグリースガンです。空気圧でグリースを供給するため、効率的に大量供給が可能です。高い圧力を生成できるので、重負荷や遠距離への供給に適しています。

クリーンローラー

クリーンローラーとは

クリーンローラーとは、板状あるいはシート状の製品から塵やほこりなどの異物を取り除くための回転ローラーです。

基板などの板状の製品や紙・プラスチックなどのシート状の製品はロールを用いて搬送される場合が多いですが、クリーンローラーを使用することでロール搬送ラインから取り外すこと無くインラインで異物の除去を行うことが可能となります。

非接触式の除塵方法と比較して、強固に付着した異物も除去できる点に優れています。

クリーンローラーの使用用途

クリーンローラーは板状製品のロール搬送やシート状製品のローラー搬送(ウェブハンドリング)における除塵システムとして使用されています。

板状製品の例としては電子基板のクリーニング用途、シート状製品の例としては紙製品や樹脂製品などが挙げられます。

クリーンローラーはロールに付着した異物を最終的には粘着製のロールによって捕集するため、使用に際して発塵することが少なく、クリーンルーム内でも多く採用されています。

クリーンローラーの原理

クリーンローラーは製品から塵やほこりなどの異物を付着させることによって補修するクリーンロールと、クリーンロールからさらに異物を転写する粘着ロールによって構成されています。確実に異物を捕集するためにどちらのロールも吸着性・粘着性を有しており、粘着ロールの方が吸着力が大きく設定されています。

これらのロールは一定量使用した後に、最外面のシートを剥がして内側の新しい粘着部分を使用できるようになっており、定期的に最外面を剥がすことによる異物の回収や粘着ロールの交換を実施する必要があります。この交換頻度は粘着ロールを大径化することによって下げることができます。

クリーンローラーは圧縮エアで吹き飛ばす方式や集塵ノズルで吸引する方式と比較して、接触式の除塵システムであるため静電気によって強く付着したほこりなども確実に辞去することができるメリットがあります。一方で、傷が付きやすい材料など繊細な製品に対しては、クリーンローラーが接触する事による品質劣化の可能性があるため、非接触式の除塵システムが優れます。

参考文献
https://www.tanimura.biz/catalog/clean_transfertape.html

オゾン水生成装置

オゾン水生成装置とは

オゾン水生成装置

オゾン水生成装置とは、空気や純水、酸素ガスを原料として水中に低濃度のオゾンを生成させる装置です。

オゾンは酸化力が高く、汚れの除去、雑菌や微生物の除去、さらには半導体用シリコンウェハの洗浄にも使うことができます。原料が安価、金属不純物が入り込みにくい、操作が簡便、立ち上げ後すぐに使用できるなどの理由から医療、食品、飲食、半導体など様々な業界で使用されています。

オゾン水生成装置の使用用途

オゾンは強力な酸化剤であり、汚れの原因である化合物を分解したり、雑菌や微生物を除去したりすることができます。そのためオゾン水生成装置は殺菌、脱臭、ぬめりの除去などを目的として食品、飲食、医療など業界で用いられます。また、オゾン濃度を高めることで有機物の分解のみならず金属の除去や有機膜のエッチングを行うことができるため半導体や液晶、太陽電池などの業界でも用いられます。

なお、オゾン水には金属不純物が含まれないという点も半導体、液晶業界で用いられる理由の一つです。

オゾン水生成のその他情報

1. オゾン水生成の原理

オゾン (O3) の原料には水や水蒸気、もしくは酸素ガスが用いられます。水を原料として用いる場合は、水に高電圧を印加させて電気分解を起こし、水中に微量のオゾンを生成させます。通常の水の電気分解では酸素と水素が生成しますが、電圧を上げることでオゾンも生成させることができます。

酸素ガスをオゾンの原料とする場合は酸素ガスに高電圧を印加します。高電圧を印加することで酸素分子(O2)は酸素原子(O)に分解し、分解した酸素原子が酸素分子と結合することでオゾンが生成します。

 陽極
 2H2O → O2 + 4H+ + 4e
 3H2O → O3 + 6H+ + 6e

 陰極
 6H+ + 6e → 3H2

2. オゾン水生成装置の特徴

半導体業界で用いられる塩酸アンモニアなどの薬品は高純度であるため、比較的高価です。一方でオゾン水の原料は純水や酸素ガス、空気であるためコストは比較的安めです。また、オゾン濃度を変更したり大量のオゾン水を生成できる装置など、用途に応じた多様な装置が販売されています。

なお、オゾンは比較的不安定な物質であるため長期保管には適さず、使用するたびに装置を稼働させてオゾン水を生成させます。ただし装置を立ち上げてから実際に使用するまでの待機時間は短いため、実際に使用する際には問題になりません。

3. 医療業界におけるオゾン水生成装置の利用

上記の通り、オゾン水生成装置は医療業界でも用いられています。例えばウイルスや細菌の除去に用いられます。通常、ウイルスなどの対策としては薬剤を用いますが、使用期間が長くなるほど、薬剤耐性を有するウイルスが新たに発生する可能性が高まります。一方でオゾンは細菌やウイルスのDNAを直接破壊するため、耐性を持ちにくく、病原体の除去に適しています。

また、装置で生成されるオゾン水に含まれるオゾンの濃度は非常に小さく、使用後は直ちに分解して酸素分子に変換されるため人体への影響はありません。さらに、オゾン水に含まれるのは水、酸素、微量のオゾンだけであるため、種々の薬品が含まれる排水に比べて使用後の排水も容易、低費用で処理することができます。しかも、オゾン水生成装置は操作方法も簡単であるため、専門性が異なる現場の担当者も日常的に使うことが可能です。

参考文献
https://www.sat.co.jp/product/ozonegw/sat-w.php
https://www.mtk-2.com/product-info/ozone_generator.html
https://www.hamanetsu.co.jp/products/clean/how/
https://ozone-plus.com/magazine/nosocomial-infection/
https://www.teco.co.jp/wp/topix/2962

https://www.ozon-uv.com/ozon-water/ow-carrie-pat.htm

エッジワイズコイル

エッジワイズコイルとは

エッジワイズコイルとは、導体である電線の断面が長方形の平角線を用いて作られたコイルです。

通常の断面が丸の電線をボビンに巻いたコイルとは異なり、コイルの大きさと形に合わせた薄板を加工したものを積層して螺旋状に電流が流れるような構造をとっています。そのため、フィンが積層されたような見た目をしています。

エッジワイズコイルの使用用途

エッジワイズコイルは、電子回路ではDCDCコンバーターなどに利用され、スイッチング回路でエネルギーを一時的に溜めておくコイルとして利用されています。 製品としては、電源アダプターユニット、DCDCコンバーターユニット、インバーターユニット、充電器、モータードライバーユニット、ジェネレーターユニット、モーターユニットなどです。

比較的大きな電力を取り扱うものに利用され、電力関連事業や自動車関連事業向けなどに様々な製品がつくられています。パワーエレクトロニクスの分野で使用される例が多く、10Aを超えるような大電流を必要とする回路でのインダクターやモーターユニット、ジェネレーターユニットなどの電磁石のような用途で使用されます。

エッジワイズコイルの原理

大きな電力を扱う回路に必要とされるコイルには、大きな電流を流すことが求められます。コイルに電流を増やすには、巻き線の電線の断面積を増や差なければなりません。

式: L = (A×4π2×μs×a2×N2) ÷ b (bはコイルの長さ)

ソレノイドコイルのインダクタンスの計算式に示されるように、高いインダクタンスを得るには計算上の分母となるコイルの長さの値を小さくする必要があります。つまり、全長が短いコイル程、高いインダクタンスが得られるということです。

そこで、エッジワイズコイルでは巻き線である電線に平角線を用いることで断面積を増やしつつコイルの長さを抑えて高いインダクタンスを実現しています。

エッジワイズコイルの構造

エッジワイズコイルは、線を螺旋状に圧延した構造をしています。そのため、従前の巻き線によるコイルでは必須であった巻き取り用のボビンが不要な場合があり、従前ではボビンのラインナップによる制限を受けて作ることができなかったようなコイルでも製作できる可能性がある点が特徴です。

仮に従前のように巻き取り用のボビンを使う方法で、ボビンの既製品ではないボビンを必要とするコイルを作ろうとした場合、専用のボビンを設計して金型を起こすなど非常に多くの手間とコストが必要になります。しかし、ボビンそのものが不要であるため、これらの手間やコストを掛けることなくコイルの開発が可能です。開発や設計の自由度の面から見ても、エッジワイズコイルは非常に魅力的なデバイスと言えます。

エッジワイズコイルの選び方

エッジワイズコイルのラインナップとしては、取り扱いメーカーによって既製品としてのラインナップもありますが、取り扱いメーカによってはカスタムでの対応も可能です。既製品のラインナップでは大電流に対応したものが多く、パワー系の製品開発に適した製品構成になっています。

業界的なラインナップが充実していて、10Aを超えるような電源回路のインダクタンスなども豊富です。他方でカスタム品での対応では電気的な性能はもちろんのこと、大きさや形状など任意の要求を問い合わせることで臨機応変に応えてくれる可能性があります。

エッジワイズコイルのその他情報

エッジワイズコイルの利点

エッジワイズコイルの利点は、インバーター回路などで電気的な設計上の自由度が増すことです。同じ断面積の丸の断面をした電線で巻いたソレノイドコイルよりもソレノイド形状の長さを短くできるため、高いインダクタンスが得られます。また、ジェネレーターユニットやモーターユニットでは大電力化や小型化、放熱性能などで設計に貢献できることも利点の一つです。

参考文献
http://www.uratani-eng.com/ejjiwaizukoiru.html

エアインパクトレンチ

エアインパクトレンチとはエアインパクトレンチ

エアインパクトレンチとは、ボルトやナットを締結する、あるいは緩めるために使用されるインパクトレンチのうち、圧縮空気により駆動する工具です。

エアインパクトレンチの駆動源は外部から供給される圧縮空気であるため、同じサイズの電動のインパクトレンチと比較して大きなパワーを発揮できるのが特徴です。

エアインパクトレンチを使用することで、一定の力で素早くネジやナットの締結を行えます。作業の効率化や組み立て品質の均一化が実現可能です。

エアインパクトレンチの使用用途

エアインパクトレンチは、ネジやナットを締結するために使用されます。特に自動車の組み立てラインに代表される組み立て工場では、いかに短時間で組み立てを完了できるかが生産能力に直結するため、小型で扱いやすく瞬時に締結作業を完了できるエアインパクトレンチが重用されています。

また、これらの工場では各種生産設備のためのユーティリティとして、コンプレッサから圧縮空気が工場全体に供給されているため、新たな動力源を用意しなくてもポートを接続するだけでエアインパクトレンチの使用が可能です。

エアインパクトレンチの原理

エアインパクトレンチの内部は、圧縮空気を回転力に変換するエアモーターと、エアモーターに接続されたハンマー、出力回転部にあたるアンビルの3点構成です。締結するネジの形状やサイズに応じたソケットと呼ばれる工具をアンビルに取り付けて使用します。

入力ポートを圧縮空気と接続しスイッチを握ると、圧縮空気によってエアモーターとハンマーが勢いよく回転します。ハンマーは一定の回転量でアンビルに設けられた突起と衝突しますが、衝突後もハンマーはアンビルよりも高速で回転し続けることが可能です。

ハンマーは繰り返しアンビルに衝突するため、この衝撃力でネジやナットが締め付けられます。

エアインパクトレンチの選び方

エアインパクトレンチを選ぶ際に気をつけるポイントは、以下の4点です。

  1. 本体の形状
  2. 最大トルクや最大締結能力
  3. ソケットの差し込み角 (角ドライブ) 
  4. 空気消費量や使用空気圧

エアインパクトレンチは機種によって発揮される最大トルクや最大締結能力、空気消費量などが異なるため、使用するネジの径や供給される圧縮空気の最大流量に応じて適切な機種を選定する必要があります。

1. 本体の形状

ピストルタイプ
もっとも一般的なのがピストルタイプです。電動ドリルと同じような握りやすいグリップで、幅広い作業に対応できます。種類が豊富なため、ニーズに合わせた機種を選べます。

Dハンドルタイプ
Dハンドルタイプは、大型車両や機械の整備によく使われます。グリップがD型になっており、さらにサイドにもグリップが付いています。両手でしっかりと握れるため、高トルクでも安定した作業が可能です。

ストレートタイプ
製造業の組み立て工程などで多く使用されているのがストレートタイプです。作業対象に合わせて、持ち方を縦方向でも、横方向でも自由に変えられる特徴があります。

アングル (コーナー) タイプ
アングル (コーナー) タイプは、狭いところや奥まったところにあるネジでも対応できます。車やバイクの整備のほか、農機具の爪交換などにもよく使われます。

2. 最大トルクや最大締結能力

エアインパクトレンチは、小型のものから大型のものまで性能に幅があります。作業対象に要求されるトルクやネジの大きさに適合する製品を選ぶことが必要です。小さすぎるのはもちろん、大きすぎてもいけません。

3. ソケットの差し込み角 (角ドライブ)

本体に装着するソケットの差し込み角 (角ドライブ) は、9.5sq、12.7sq、19.0sq、25.4sq、38.0sqの5サイズがあります。それぞれ適合するネジの範囲が異なるため、選定の際は注意が必要です。

4. 空気消費量

エアインパクトレンチは、適切な圧縮空気を供給しなければ、正しく性能を発揮できません。コンプレッサーの能力と、製品の空気消費量や使用空気圧が合っているか確認する必要があります。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/airimpactwrench-guide/#99Nm
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/454/
https://ktc.jp/facebook/771

アンモニア計

アンモニア計とは

アンモニア計とは、アンモニアガスの濃度を測定するための装置です。

アンモニアは農業、工業、冷凍技術などのさまざまな分野で使用されている無色で有害なガスです。アンモニア計は、特定の環境やプロセスでアンモニアガスの濃度を監視し、必要に応じて制御するのに役立ちます。

具体的には、畜産業において家畜の健康管理や冷蔵庫・冷凍庫などの冷却システムへの使用が一般的です。工業プロセスや環境保護のためにも重要な役割を果たしており、アンモニアガスの漏れや過剰な放出を防ぐ役割があります。

アンモニア計には、アンモニウムイオンを検出するための電極が取り付けられています。電極が汚れると測定値の変動を引き起こすため、使用後には装置の洗浄が必須です。またアンモニウムイオン用の電極、並びに比較電極は消耗品であるため定期的な交換が必要です。

アンモニア計の使用用途

アンモニア計は、排水や河川水のアンモニア分析に使われます。具体的には、アンモニアを分解・処理する下水処理場や廃水処理プラントなどです。生物処理を行う前、処理後の排水のアンモニア量をアンモニア計で測定し、アンモニア量の制御、最適なプロセスの設計を行います。

アンモニアは、環境への排出が制限されている化合物で酢。工場の排水に含まれるアンモニア量の管理、ならびに河川や湖、海水中の環境分析が欠かせません。アンモニア計は小型であるため、現場で排水を採取してその場で簡易的に分析できます。

アンモニア計の特徴

アンモニア計には、膜と電極が取り付けられており、アンモニウムイオンを選択的に透過する膜を含む電極と比較電極の間の電位差からアンモニウムイオンの量を算出します。アンモニウムイオン電極は同じ陽イオンであるカリウムイオンが妨害物質として作用するため、アンモニア計にはカリウムイオン電極も補正用に取り付けられています。

一方で、アンモニア計を用いて測定するサンプルは河川水や工場の排水、下水など様々な物質が混ざっている水溶液です。そのため、アンモニア計をサンプルに長期間浸し続けると電極表面に汚れが蓄積していきます。汚れが蓄積すると電位差の測定値が変動するので、電極表面の汚れの確認と定期的な交換が必要です。

なお、装置によっては超音波振動子を内蔵しているものもあり、電極表面に付着した汚れ、スケールを除去することも可能です。用途によっては経時的なアンモニア量をモニタリングする必要があるため、常にサンプル液に電極を浸してアンモニア量のデータを出力し続けるアンモニア計も販売されています。

アンモニア計の種類

一般的なアンモニア計のタイプには、化学センサー、電化学センサー、ガスクロマトグラフィー、赤外線吸収スペクトルなどがあります。これらの装置は、アンモニアの濃度をリアルタイムでモニターし、適切な安全性や効率を維持するために使用されます。

アンモニア計の選び方

1. 使用用途

アンモニア計の選定において、まず重要なのは使用目的です。どのような環境やプロセスで使用するのかを考え、適切なセンサータイプを選びます。例えば、化学センサー、電化学センサー、ガスクロマトグラフィーなどセンサータイプはさまざまで、目的に応じて最適なセンサーを選ぶ必要があります。

2. 測定範囲

アンモニア計の測定範囲は、対象となるアンモニア濃度に合致していなければなりません。計測範囲が広すぎるか、狭すぎると正確なデータを得るのが難しい場合があります。使用環境やアプリケーションに合った適切な測定範囲を確認することが重要です。

3. 精度と信頼性

アンモニア計の精度と信頼性は非常に重要です。高い精度の計測が求められる場合、信頼性の高いメーカーやモデルを選びます。また、キャリブレーションや保守が容易であるかどうかの考慮も必要です。

4. 環境条件への適合性

アンモニア計はさまざまな環境で使用されます。計測対象の環境条件 (温度、湿度、圧力など) に適合するかどうかを確認します。特に厳しい環境下での使用を考える場合、耐久性や防爆性が必要な場合もあります。想定外の環境で使用してしまうと、アンモニア計の故障や精度低下につながりかねません。

参考文献
http://www.jeta.or.jp/jeta127/pdf/kangikyou/%E6%8A%80%E8%A1%93HAT.pdf

アルミ選別機

アルミ選別機とは

アルミ選別機 (Aluminum Sorter) とは、ペットボトルやビンなどの資源ゴミや再生原料、破砕された廃棄物に混ざったアルミ缶、アルミチップや非鉄金属を選別、回収する機械です。

ゴミ及び産業廃棄物や廃家電品などのリサイクル現場で、鉄のような磁性体と古紙、廃ガラス、廃プラスチックのような非金属類、そしてアルミニウムのような非鉄金属を同時に3種類に分離、選別、回収するのに最適です。

手で一つ一つ選別するより機械を用いて自動選別することによって人件費を削減できます。

アルミ選別機の使用用途

アルミ選別機は主に各種廃棄物及び資源リサイクル工場で鉄金属、非鉄金属、非金属を自動的に選別する用途で使用します。化工薬品工場、鋳物工場などの高温用原料製造工場でも使われます。

生活ゴミや産業ゴミ焼却場、廃半導体リサイクルライン、廃家電リサイクルライン、アルミ缶選別ライン、廃ガラスリサイクルライン、廃車シュレッダーの破砕物の中から非鉄金属の選別ライン、高温処理される原料であるカーボンブラック工場、ゴミ 焼却灰の中からアルミの回収などに適用され、生産選別ラインの自動化が可能です。その他、駅や高速道路サービスエリアでのごみ回収やパチンコ台の釘の選別などにも使われます。

アルミ選別機の原理

アルミ選別機は高周波磁場の渦電流を利用して非鉄金属を選別する装置です。FRPドラムに円周上に貼り付けられた強力な永久磁石を高速回転させ、ドラムの表面に強力な交流磁界を発生させ、鉄、非金属、アルミニウム、銅等の非鉄金属を分離することが可能です。

コンベヤベルト内部で高いRPMで回転する高性能の永久磁石ドラムは、ベルトの上を通る非磁性体、非鉄金属に渦電流を誘導し、磁場が生じるようになります。この力は引力の反対に作用し、コンベヤーベルトが流れている時発生する推進力により非鉄金属は跳ね飛びますが磁性体、金属はそのままベルト上を流れますので、破砕物の中に混じっているアルミニウムなどの非鉄金属が選別されます。

選別対象物質である非鉄金属は表面積が大きくて広いほど、そして軽くて導電率が高いほど選別が容易です。また、アルミ選別機は丈夫でメンテナンスがほとんど必要ない構造になっており、長時間の運転でも安定的な選別が可能です。

ローター内部にある永久磁石の付け方によって偏芯マグネットタイプと同芯マグネットがあります。偏芯構造は同芯構造と比べて磁気ロータの交流磁界の磁気勾配が大きく、分別能力に優れて、ドラムとベルト間に処理物の巻き込みが発生しにくいです。

参考文献
http://www.aem1996.co.jp/singlefolder/aluminum.html
https://www.sanshin-kk.co.jp/product/sys501.htm
https://www.nmi-jpn.com/products/eddy-current-separator/
http://www.nmd.co.jp/recycle/entry-50.html