ネジ継手

ネジ継手とは

ネジ継手_図0

ネジ継手 (英: Threaded Joint, Screw Joint, Screwed Fitting) とは、ねじ込み継手とも呼ばれることも多く、管継手の一種です。

管継手は、JIS B0151 鉄鋼製管継手用語で「配管において、次の目的で管の接続などに用いる継手」に定義されています。

  • 流体の方向転換
  • 流体の分岐又は集合
  • 管の接続
  • 管径の異なるものとの接続
  • 管の末端の閉鎖
  • 計器、バルブなどの取付け
  • 膨張、収縮などの吸収
  • 管の回転又は屈曲

配管継手の接合方法は、ネジ (ねじ込み) 接続、溶接接続、フランジ接続、ヘルール接続の4種類がありま、ネジ継手は4種類の中でも容易に施工が可能です。

ネジ継手の使用用途

ネジ継手_図1

図1. ネジ継手の使用例

ネジ (ねじ込み) 接続は、特殊な機材や工具を使用せずに施工できる接合方法で、ネジ継手は比較的コストの安い管継手として、発電・化学プラントや工場・ビル設備、一般家庭など幅広い分野で使用されています。ネジ継手の使用目的は、配管施工時の管 (パイプ) 同士の接続・分岐・閉止のためです。

配管の経路はほとんどの場合一直線にはならず、上下、左右に曲がり勾配を設けたり、経路を2~4本に分岐させ、またその逆に集合させたりします。一般的に、ネジ継手は低圧流体用の配管で使用し、高温・高圧蒸気などの流体の場合は、漏洩による事故や損傷を回避するため、差し込み継手や溶接継手などを使用します。

参考として、JIS B2301ねじ込み式可鍛鋳鉄管継手では、下記のように最高使用圧力が規定されています。

流体の状態 最高使用圧力
120℃以下の静流水 2.5 MPa
300℃以下の蒸気、空気、ガス及び油 1.0 MPa

ネジ継手の原理

1. ねじの種類

ネジ継手は、片端または両端に管用 (くだよう) ねじの加工がされていて、下記のように各規格によってねじ形状が規定されています。

規格 規格番号 規格名称
JIS B0202 管用平行ねじ (G)
B0203 管用テーパねじ (R、Rc)
ISO 228-1 Pipe threads where pressure-tight joints are not made on the threads – Part 1: Dimensions, tolerances and designation
7.1 Pipe threads where pressure-tight joints are made on the threads – Part 1: Dimensions, tolerances and designation
ANSI/ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose, Inch
NPS: American National Standard Straight Pipe Threads
NPT: American National Standard Taper Pipe Threads

2. 管用平行ねじとテーパねじ

ネジ継手_図2

図2. テーパねじの原理

管用平行ねじは、オス・メスともにねじ全長でねじ外径は同じです。管用テーパねじはオスねじは先端に向かって、メスねじは穴の奥行に向かって、ねじ外径が小さくなっています。

管用テーパねじは、ねじ部にはシールテープを巻いたり、シール材を塗布して、密閉性を高めて使用します。また、管用平行ねじは平行ねじ同士ではねじ部の密閉性が低いため、管と継手の接合にはあまり使用せず、座面のある機械と継手の接合で、間にガスケットを挟み込み接合します。

3. 管用ねじの組み合わせ

管用平行ねじと管用テーパねじは、用途や必要な密閉性に応じて、下記のような組み合わせで選定します。

ねじの組み合わせ おねじ
管用テーパねじ (R) 管用平行ねじ (G)
めねじ 管用テーパねじ (Rc) ×2
管用平行ねじ (Rp) ×2
管用平行ねじ (G) ×1 〇1

◎: 配管など耐密接合の目的でシールテープを巻き組み合わせが可能
〇1: 機械的接合の目的でパッキン、ガスケットを合わせて使用することで組み合わせが可能
×1: 平行ねじの破損、パッキンの損傷による漏洩の可能性があり組み合わせは不可
×2: ねじ製作公差によってはねじ込めないこともあり密閉性が得られなく組み合わせは不可

ネジ継手の種類

ネジ継手_図3

図3. ねじ込み継手の種類 (1)

ネジ継手_図4

図4. ねじ込み継手の種類 (2)

ネジ継手はその形状や目的により多くの種類があり、参考としてJIS B2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手の種類を下表に示します。

種類 使用用途
エルボ 90°エルボ 90度または45°に配管経路を変える
45°エルボ
径違いエルボ
オスメスエルボ (ストリートエルボ)
45°めすおすエルボ (45°ストリートエルボ) 
径違いめすおすエルボ (径違いストリートエルボ)
ティー(チーズ) 同径ティー 3方向に配管経路を分岐(または集合)
径違いティー
三方径違いティー
クロス 同径クロス 4方向に配管経路を分岐(または集合)
径違いクロス
ソケット 同径ソケット オスねじのパイプ同士を接合
径違いソケット
メスオスソケット
ブッシング メスねじのねじ込み継手と異径のパイプを接合
ニップル 同径ニップル メスねじのねじ込み継手同士を接合
径違いニップル
キャップ オスねじのパイプを閉止する
プラグ メスねじのねじ込み継手を閉止
ユニオン 同径ユニオン メスねじのねじ込み継手同士を接合・分離
メスオスユニオン
ユニオンエルボ
めすおすユニオンエルボ

ネジ継手のその他情報

1. 規格

ネジ継手は、各規格で寸法・形状・材質・適用範囲などが規定されていて、代表的な規格は下記のとおりです。

  • JIS B2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手 Screwed type malleable cast iron pipe fittings
  • JIS B2302 ねじ込み式鋼管製管継手 Screwed type steel pipe fittings
  • JIS B2303 ねじ込み式排水管継手 Screwed drainage fittings
  • JIS B2308 ステンレス鋼製ねじ込み式管継手 Stainless steel threaded fittings
  • ISO 4144 Pipework – Stainless Steel Fittings Threaded in Accordance With ISO 7-1
  • ASME/ANSI B16.1 Cast Iron Pipe Flanges and Flanged Fittings
  • ASME/ANSI B16.3 Malleable Iron Threaded Fittings
  • ASME/ANSI B16.4 Cast Iron Threaded Fittings

2. 材質と表面処理

ネジ継手のJIS規格における代表的な材質は、以下の通りです。

  • JIS G3214 圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品Stainless steel forgings for pressure vessels
  • JIS G3452 配管用炭素鋼管 Carbon steel pipes for ordinary piping
  • JIS G3454 圧力配管用炭素鋼管 Carbon steel pipes for pressure service
  • JIS G3459 配管用ステンレス鋼鋼管Stainless steel pipes 
  • JIS G4303 ステンレス鋼棒Stainless steel bars
  • JIS G5121 ステンレス鋼鋳鋼品 Corrosion-resistant cast steels for general applications
  • JIS G5501 ねずみ鋳鉄品 Grey iron castings
  • JIS G5705 可鍛鋳鉄品 Malleable iron castings

炭素鋼や鋳鉄製の場合は、溶融亜鉛めっきの表面処理が施工されているものがあります。また、エポキシ樹脂を焼き付け塗装したエポキシコーティングがあり、管内外の防錆に効果を発揮し、水用配管や埋設配管などに使用されます。

3. 仕様・サイズの表示

JIS規格では、ネジ継手製品の仕様・サイズの表示は下記の通りです。

  規格番号又は規格名称 形式 形状 表面状態 継手呼び
例1 JIS B 2301 I形 径違いめすおすエルボ 2×3/4
例2 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手 I形 45°エルボ めっき 1-1/2

 

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/joint/
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/504/

ウレタンチューブ

ウレタンチューブとは

ウレタンチューブ

ウレタンチューブとは、耐圧性や柔軟性が高く扱いやすいウレタン製のチューブです。

産業界でも広く利用されていて、使用する流体は空気や水が主流となっています。色は半透明、白、黒が一般的ですが、緑や青、赤といったカラフルなチューブもあり、チューブ径もさまざまです。

その他、静電気防止対策が施された導電性ウレタンチューブや耐油性、耐候性の高いチューブもあります。また、ソフトウレタンチューブは、通常よりもさらに柔軟性が高いです。

ウレタンチューブの使用用途

ウレタンチューブは一般空気圧配管や冷却水の配管に広く使用されています。空気圧配管は、制御盤内の空気配管や空圧機械、真空機械いった用途があります。

その他、組立装置用や半導体プロセス機器用、理化学分野の機器用、ドローンによる農薬散布用等のチューブとしても有用です。価格が比較的安く、加工しやすいので、コイル加工や溶着加工などもされています。専用の継ぎ手があれば、ワンタッチで接続することができます。

ウレタンチューブの原理

ウレタンチューブは柔軟性があるので、一般的な配管によく使用されます。ウレタンチューブは、多湿でもカビや劣化が少なく済み、使い勝手の良いチューブです。ウレタンチューブの材質には、軟質ウレタン、硬質ウレタン、半硬質ウレタンの種類があります。

エーテル系のポリウレタン樹脂を使用する場合が多いです。軟質ウレタンが最も柔軟性があり、硬質ウレタンがやや硬めです。いずれもナイロンチューブよりも柔らかくなっています。ただし、使用可能な温度は60℃程度と基本的に高くありません。

また、凍結に弱く、耐熱性のウレタンチューブでも最大温度は80℃程度です。使用可能圧力は20℃で約0.8MPa程度とあまり高くありません。圧力が高い場所で使用する場合は、ナイロンチューブを選択します。

耐薬品性が要求される場合はウレタンチューブは耐性が低いので、テフロンチューブが適しています。なお、ウレタンチューブは押し出し成型によって製造されています。

ウレタンチューブの種類

1. 通気性ウレタンチューブ

通気性ウレタンチューブは、ウレタン樹脂に特殊な加工を施すことで、空気やガスの通過が可能なタイプのチューブです。この特性により、気体や湿気を含んだ状態で使用することができます。

エアブレーキシステムやエアフィルター、排気システムなど、空気の通過が必要な産業分野や用途に幅広く適しています。特に自動車産業においては、エンジンの排気システムやブレーキの動作制御において重要な役割を果たす製品です。

2. 耐圧性ウレタンチューブ

耐圧性ウレタンチューブは、ウレタン樹脂を強化することで耐圧性を向上させたタイプのチューブです。高い耐圧性が求められる液体の導管やホースとして使用されます。

油圧システム、空調システム、液体供給システムなどの産業機械や設備において、高圧の液体を安全かつ効率的に輸送するために利用されます。また、航空機や自動車などの輸送機器にも使用され、信頼性の高い動作を実現可能です。

3. 耐摩耗性ウレタンチューブ

耐摩耗性ウレタンチューブは、ウレタン樹脂に耐摩耗性を持たせたタイプのチューブです。この特性により、ウレタンチューブは摩擦や擦過に強く、長期間の使用でも劣化しにくいです。

耐摩耗性が求められる用途として、コンベアベルト、スラリーパイプ、研削装置などに広く利用されています。特に鉱山や建設業界などでの使用に適しており、堅牢さと耐久性が重視される環境で優れた性能を発揮します。

4. 耐熱性ウレタンチューブ

耐熱性ウレタンチューブは、ウレタン樹脂に耐熱性を持たせたタイプのチューブです。高温環境での使用に適しており、エンジン部品やヒーターシステム、熱風送風機などの部品に利用されます。耐熱性ウレタンチューブは、高温にさらされる状況でもその特性を維持するため、信頼性の高いソリューションとして重宝されています。

電気絶縁性が高く、高温環境での電気・電子部品にも使用され、耐薬品性も優れており、化学産業や医療機器産業などでの用途にも適した製品です。

参考文献
https://www.fujigomu.co.jp/whats_urethane/
https://kikaikumitate.com/post-5886/

はく離剤

はく離剤とは

はく離剤とは、金属やガラス、プラスチック面など素材に付着している古くなった塗装や塗膜、樹脂、接着剤の除去に用いる薬剤です。

従来、塩化メチレンタイプ (ジクロロメタン) を主成分とするはく離剤が多く用いられてきましたが、最近は環境に配慮したノンクロルタイプが多数開発されています。

はく離剤の使用用途

再塗装時の塗装ムラや塗装剥がれ、塗装後のひび割れなどを防ぐ目的で使用します。

水系、溶剤系、塩化メチレン系の溶剤は素材への影響やはく離箇所、作業工程などを考慮し て選択されます。特に塩化メチレン系は人体や環境への影響が大きいので、使用の際は適切な準備が必要です。

はく離剤の原理

はく離対象である塗膜上に塗布されたはく離剤は、塗膜自体の性状を変え、素材との密着力を損なわせます。大別して2種に分かれ、使用する溶剤により異なる作用で塗膜をはく離可能です。

1. 塩化メチレンタイプ

塩化メチレンタイプは浸透性が高く、塗膜を軟化させてはく離します。錆の懸念のある鉄を素材とする箇所や水洗のできない箇所へのはく離に優れ、常温で使用可能です。

中性タイプや強力な酸性、アルカリ性タイプもあり、労働安全衛生法やPRTR法に該当します。

2. ノンクロルタイプ

ノンクロルタイプは、塗膜自体を溶解させてはく離します。硬化した接着剤などの、水系では対応できない樹脂系塗膜のはく離に適しており、 塩化メチレンタイプより環境に配慮されていることが特徴です。

ただし、刺激臭があり粘性が高いため細部の洗浄性や乾燥性に劣り、消防法にも該当します。

はく離剤のその他情報

1. はく離剤の使い方

はく離剤への浸漬
はく離剤を槽に準備し、表面の塗膜はく離を行いたい素材を浸漬させます。表面全ての塗膜が除去されるので選択的なはく離には対応できません。

通電によりはく離を促進させる手法もあり、めっき加工業者にて主に使用されています。はく離した塗膜成分が液中に不純物として蓄積する為、定期的にはく離剤の更新が必要です。

スプレーでの塗布
スプレー装置にてはく離剤を対象に吹き付ける方法です。表面へ均一に付着させる事が容易ではありません。

はく離剤のロスも多く、不要部への付着も懸念されます。自動化により、ある程度の安定化は見込めますが、手作業での実施には課題が多い手法です。

直接塗布
刷毛塗にて直接対象にはく離剤を塗布する方法です。選択的なはく離が可能であり、必要最低限の使用にて対応できるため、経済的には最も優れています。

2. 医療分野での活用

はく離剤は、医療分野でも応用されています。人工肛門や人工膀胱の手術を受けた患者は、排泄する際の受け皿となるスマート装具を装着します。これは人体の皮膚との隙間から臭い漏れを防ぐため、しっかりと固定されています。これを取り替える際に、はく離剤を使用します。

工業用の塗装はく離とは異なり、医療分野で使用されるものは臭いや人体への影響を懸念し、成分的にも配慮されています。臭いは無臭のものから、柑橘系やミントなどの香りのついたものまであります。成分は皮膚への負担が少ない非アルコール性、シリコン性がほとんどです。オイルを使わないものもあり、使用感で不快になることはありません。

はく離剤の種類も豊富で、用途によって使い分けが可能です。はく離剤が個包装になっているものもあり、すぐに取り出して使用できるため、外出時に重宝されています。また、介護者などのスマート装具を装着した本人以外が使用するために、どの角度からでも塗布できる工夫がされています。

医療用のはく離剤は、その使用目的から「日用品」です。機能性や携帯性など、さまざまな要素に考慮して開発・製造されています。

なべ小ねじ

なべ小ねじとは

なべ小ねじ

なべ小ねじ (英語: Pan Head Screws, Pan Head Machine Screws, Pan Head Phillips Screws, Cross-Recessed Pan Head Machine Screws) とは、小ねじ頭部の形状が鍋をひっくり返したような形状に見えるねじのことです。

なべ小ねじは一般的に、メスねじが切られている被締結物に使用したり、ナットで締め付けたりして使用します。そのため、ねじ部先端はタッピングねじのように とがり先ではなく、平坦になっています。なべ小ねじ単体で使用する他、金属ワッシャと組み合わせて使用することも多くあります。

十字穴付きなべ小ねじやナベねじも同義語です。なお、なべ小ねじの規格は下記の通りです。

  • JIS B 1111 十字穴付き小ねじ
  • ANSI/ASME B 18.6.3 Machine Screws, Tapping Screws Metallic Drive Screws

なべ小ねじの使用用途

なべ小ねじ_図1

図1. なべ小ねじの使用例 (1)

なべ小ねじの使用用途は、非常に汎用的で工業用機械から家電製品、玩具など幅広い場所で使用されています。小ねじとは、頭部形状が丸形で、ねじ頭部の工具差し込み穴はプラス形 (十字形) になっていて、ねじサイズはM2~M8になります。

それに対してボルトは、頭部形状が六角・四角で、ねじ頭部の外形に合う工具を使用し、ねじサイズはM8以上がほとんどになります。 (M8未満の小さいねじサイズのボルトもあります。)

なべ小ねじ_図2

図2. なべ小ねじの使用例 (2)

なべ小ねじの原理

なべ小ねじ_図3

図3. なべ小ねじ頭部の穴形状

なべ小ねじは、一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により被締結物を締め付け固定します。なべ小ねじは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工したメスねじに直接ねじ込み締結する方法に多く使用されています。

六角ボルトのようにボルト頭部にレンチをはめ込むのではなく、プラスドライバー (先端が十字形状のねじ回し工具) を十字穴に差し込み締め付けるのが特徴です。なべ小ねじは、皿ねじと比べて頭部十字穴が深く製作できるため、ドライバー先端が十字穴にしっかり噛み合い、安定して強い力で締め付けができます。

なべ小ねじ頭部のドライバー差し込み穴は、十字形の プラス形」と、マイナス形とプラス形の混合形のプラスマイナス形 があります。なべ小ねじの締め付けは、頭部十字穴のサイズに合ったプラスドライバーなどの締め付け工具を使用します。

なべ小ねじ頭部の穴形状は、上記図3を参照してください。なお、なべ小ねじの長さ表示は、六角ボルトなど一般のボルト長さと同様に、ボルト頭部の高さを除きねじ部を含む軸部の長さで表されます。

なべ小ねじのその他情報

1. なべ小ねじの主な材質と表面処理

なべ小ねじ_図4

図4. なべ小ねじの材質別の例

なべ小ねじの材質は、鋼製の場合 鉄、炭素鋼ステンレス鋼、真鍮などが一般的に使用されています。また、他の金属として、アルミニウムチタンが使用されています。

樹脂製には、ポリカーボネートナイロン製もあります。なべ小ねじの材質別の例は、図4を参照してください。なべ小ねじ材質選定において、電蝕を防止すること重要です。ボルトの材質と被締結物の材質が異なる場合、それぞれの金属間に電位差が生じて腐食することがあります。

特に、アルミやステンレスの場合は、注意が必要です。なべ小ねじの表面処理は、鋼製の場合、耐食性を目的として電気メッキ、無電解メッキ、アルマイト処理黒染めなどの施工が一般的です。

2. なべ小ねじの適正な使い方

なべ小ねじの適正な使用方法は、主に下記のようになります。

  • なべ小ねじと被締結物のねじ穴部が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること
  • なべ小ねじと被締結物のねじ穴部に加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が、許容範囲内であること

3. なべ小ねじのゆるみ止め

なべ小ねじのゆるみ防止として、ゆるみ止め用接着剤の使用、ゆるみ止め施工されたボルトの採用などがあります。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element1.html
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/machine_screw/machine_screw_pan_head.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/nedzicom-topics-13-galvanic-corrosion/?SelectedLanguage=ja-JP

丸皿小ねじ

丸皿小ねじとは

丸皿小ねじ_図0

丸皿小ねじ (英: Raised Countersunk Head Screws, Oval Head Screws) とは、小ねじ頭部の形状がねじ側にテーパ状の円すい形で、横から見ると皿のような形状をしているねじです。

皿小ねじ頭部の上端面は平坦であるのに対して、丸小ねじは上端面が丸みを帯びています。小ねじとはJIS B0101 ねじ用語で、「比較的呼び径の小さい頭付きのねじ。駆動部の形状として一般的には、すりわり付き、十字穴付きなどがある」と規定されています。

「丸サラ小ねじ」「丸さら小ねじ」なども、同義語として使用されています。

丸皿小ねじの使用用途

丸皿小ねじ_図1

図1. 丸皿小ねじの使用例

丸皿小ねじは一般的に、メスねじが加工されている被締結物 (取り付ける相手側) に使用します。被締結物には、ボルト頭部の円すい形より少し大きい、テーパ状のザグリ穴を加工します。

小ねじ頭部の丸みを帯びた部分は、被締結物表面から若干はみ出します。基本的な用途は、頭部上端面が平坦な皿小ねじと同様ですが、頭の部分に丸みがあるためより優しい印象です。

人目に触れる箇所に対して、美観的な理由で使用されています。また、皿小ねじは小ねじ頭部の十字穴に引っかかる場合があり、それを防ぎたい場合にも有用です。

身近な使用例として図1のように、ドアクローザー、ドアロックのカバーやドアガードの取り付けなどに使用されていています。

丸皿小ねじの原理

丸皿小ねじは、一般な小ねじと同様に、ねじ  (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。丸皿小ねじは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工しためすねじに直接ねじ込むのが特徴です。

六角ボルトのように、ボルト頭部をレンチで挟み込むのではなく、十字もしくはすりわり (マイナス穴) にプラスもしくはマイナスドライバーを差し込み締め付けます。

なお、丸皿小ねじの長さ表示は、ボルト頭部を含む全長で表されています。六角ボルトなど一般のボルトの長さは、ボルト頭部の高さを除くねじ部を含む軸部の長さで表されています。それぞれの長さ表示の違いに注意が必要です。

丸皿小ねじ種類

丸皿小ねじ_図2

図2. 丸皿小ねじの種類、材質と形状

丸皿小ねじの種類は、下記の2つに分類されます。

1. 小ねじ頭部の穴形状による分類

丸皿小ねじ頭部の穴形状は、工具を差し込む部分の形状で、下記の2種類があります。

十字穴 (プラス穴) H形、Z形
H形 (Philips) とZ形 (Pozidriv) の十字穴形状は異なるため、基本的にはそれぞれ専用のドライバーソケットビットを使用します。H形とZ形の違いは、H形は圧力面 (締め付け時にドライバー面と接触する面) の角度が若干開いていて、Z形はほぼ垂直です。

Z形の方がカムアウト (締め付け時にドライバーが浮き上がる現象) しにくいという利点があります。しかし、日本国内ではH形が多いようです。

丸皿小ねじ_図3

図3. 丸皿小ねじ頭部の穴と工具の形状

すりわり形 (マイナス穴)
すりわりは、1本の真っ直ぐな溝でマイナス穴とも呼ばれています。工具はマイナスドライバーやマイナス形状のソケットビットを使用します。

2. 材質 (強度区分) による分類

一般的な丸皿小ねじの材質 (強度区分) は、下記の3種類があります。

材料区分

強度区分

適用規格

4.8

JIS B1051

ステンレス鋼

A2-50, A2-70

JIS B1054

非鉄金属

右記の材質区分の中で受渡当事者間にて決定

JIS B1057

丸皿小ねじのその他情報

1.  丸皿小ねじの規格

  • JIS B1111 十字穴付き小ねじCross recessed head screws
  • JIS B1101 すりわり付き小ねじ Slotted head screw
  • ANSI/ASME B18.6.3 Machine Screws, Tapping Screws, And Metallic Drive Screws (Inch Series)
  • ISO 7047 Raised countersunk head screws (common head style) with type H or type Z cross recess — Product grade A

市販されている丸皿小ねじには、現行のISO規格に準拠する前の旧JISで製作されているものもあり、ねじピッチが異なっています。また、旧JISで製作されているものには、小ねじ頭部外径が小さいものがあります。

したがって、取り替えの際や被締結物のめねじが、現行JIS品と旧JIS品のどちらかを確認して使用することが大切です。それ以外にも、JIS規格外寸法で製作されている丸皿小ねじがあります。

2. 丸皿小ねじのサイズ

  • ねじの呼び: M2~M8
  • ねじ長さ (推奨長さ): 4~60 mm ※ねじの呼びによって長さの範囲は異なりますので、詳細はJIS規格を参照してください。

参考文献
https://www.handsman.co.jp/DMC_DIY/myweb/D03-3-2.html
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/machine_screw/machine_screw_r_c_head.html
https://www.nejishop.com/html/page1.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000547326/

皿小ねじ

皿小ねじとは

皿小ねじ

皿小ねじ (英: Countersunk Head Screws, Flat Head Screws) とは、小ねじ頭部の形状がねじ側にテーパ状の円すい形で、横から見ると皿のような形状をしているねじです。

丸皿小ねじ頭部の上端面は丸みを帯びているのに対して、皿小ねじは上端面が平坦になっています。小ねじとはJIS B0101 ねじ用語で、「比較的呼び径の小さい頭付きのねじ。駆動部の形状として一般的には、すりわり付き、十字穴付きなどがある」と規定されています。

「サラ小ねじ」「さら小ねじ」なども、同義語として使用されています。

皿小ねじの使用用途

皿小ねじ_図1

図1. 皿小ねじの使用例

皿小ねじは一般的に、メスねじが加工されている被締結物 (取り付ける相手側) に使用します。皿小ねじの身近な使用例として、図1のように、ドアクローザー、ドアノブ、ドアヒンジ (蝶番) の取り付けなどが挙げられます。

被締結物には、ボルト頭部の円すい形より少し大きい、テーパ状のザグリ穴を加工 (ザグリ加工) します。そのため、小ねじ頭部は、被締結物表面からはみ出しません。

基本的な用途は、頭部上端面に丸みを帯びた丸皿小ねじと同様ですが、頭部分が平坦になるように使用されます。また、皿小ねじは、小ねじ頭部の十字穴に引っかかる場合があり、これを防ぎたい時は丸皿小ねじが有用です。

皿小ねじの原理

皿小ねじは、他の小ねじと同様に、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。皿小ねじは、タップ加工しためすねじにねじ込み締結する場合に使用し、一般的にナットを使用して締結する場合には使用しません。

皿小ねじは、十字穴もしくはすりわり (マイナス穴) にプラスもしくはマイナスドライバーを差し込み締め付けます。なお、皿小ねじの長さ表示は、ボルト頭部を含む全長で表されています。六角ボルトなど一般のボルトの長さは、ボルト頭部高さを除くねじ部を含む軸部長さで表されています。

皿小ねじの種類

皿小ねじ_図2

図2. 皿小ねじの種類、材質と形状

皿小ねじの種類は、下記の2つに分類されます。

1. 小ねじ頭部の穴形状による分類

皿小ねじ頭部の穴形状は、工具を差し込む部分の形状で、下記の4種類があります。

十字穴 (プラス穴) JIS H (Phillips) 形、Z (Pozidriv) 形
十字穴にはH形 (Philips) とZ形 (Pozidriv) の2種類があり、それぞれ穴形状が異なります。したがって、それぞれ専用のドライバーソケットビットなどの工具を使用します。

H形とZ形は、H形は圧力面 (締め付け時にドライバー面と接触する面) の角度が若干開いていて、Z形はほぼ垂直であることが違いです。Z形の方が、締め付け時にドライバーが浮き上がるカムアウト現象が起こりにくいという利点があります。しかし、日本国内ではH形が多くなっています。

すりわり形 (マイナス穴)
すりわり形は、真っ直ぐな1本の溝でマイナス穴とも呼ばれています。マイナスドライバーやマイナス形状のソケットビットなどの工具を使用します。

皿小ねじ_図3

図3. 皿小ねじ頭部の穴と工具の形状

六角穴
六角穴は、穴にぴったりフィットした六角レンチを使うため、高い締め付け力を得られます。L形の六角レンチは、締め付け時のボルト周囲のスペースが少なくて済むメリットがあります。

ただし、六角レンチには、ミリサイズとインチサイズがあり、六角レンチの選定には注意が必要です。

トルクス穴 (Torx、Torx Plus、Tamper-Resistant Hex、Tamper-Resistant Drilled)
トルクス穴は、星形の穴形状で「トルクス」はテキストロン社 (Textron Inc.) の登録商標のため、一般的な名称では「ヘックスローブ」などと呼ばれています。

2. 材質 (強度区分) による分類

一般的な皿小ねじの材質 (強度区分) は、下記の3種類があります。

材料区分

強度区分

適用規格

4.8

JIS B1051

ステンレス鋼

A2-50, A2-70

JIS B1054

非鉄金属

右記の材質区分の中で受渡当事者間にて決定

JIS B1057

皿小ねじのその他情報

1. 皿小ねじの規格

  • JIS B1111 十字穴付き小ねじCross recessed head screws
  • JIS B1101 すりわり付き小ねじ Slotted head screws
  • ANSI/ASME B18.6.3 Machine Screws, Tapping Screws, And Metallic Drive Screws (Inch Series)
  • ISO 7046 Countersunk flat head screws (common head style) with type H or type Z cross recess – Product grade A

市販されている皿小ねじには、現行のISO規格に準拠する前の旧JISで製作されているものもあり、ねじピッチが異なります。旧JISで製作されているものには、小ねじ頭部外径が小さいものがあります。

そのため、取り替えの際や被締結物のめねじが、現行JIS品と旧JIS品のどちらかを確認して使用する必要があります。それ以外にも、JIS規格外寸法で製作されている皿小ねじがあり、使用の際は注意が必要です。

2. 皿小ねじのサイズ

  • ねじの呼び: M2~M8
  • ねじ長さ (推奨長さ): 4~60 mm
    ※ねじの呼びによって長さの範囲は異なりますので、詳細はJIS規格を参照してください。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element2.html
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/machine_screw/machine_screw_flat_head.html
https://www.nejishop.com/html/page1.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/nedzicom-topics-13-galvanic-corrosion/?SelectedLanguage=ja-JP

勾配計

勾配計とは

勾配計

勾配計は傾斜計とも呼ばれ、水平器とよく似ています。この水平器という名称を聞いたことがある方も多いかと思いますが、勾配計は水平面に対してどれだけ傾いているか角度を測る器具であり、屋根や坂など傾斜面を測定する際に使用します。水平器は工具箱に一つ入っている場合をよく見かけますが、勾配計を持っているのは大工さんや装置類の据え付けを行うサービスエンジニアなど本業の方が多いです。

勾配計には安価で一般的に広く使用されている気泡管を用いた勾配計や専門家が用いるようなレーザーを利用して精密な測定を行う形式の勾配計があります。

勾配計の使用用途

勾配計は傾斜がある面の角度を求める際に使用されており、建築現場でよく使用されています。他にも土木や測量の際にも用いられ、最近では個人でも使用する機会が多くなりました。

鉄骨の構造物の勾配を測定する際には裏面にマグネットが付いているタイプが使用され、磁石で鉄筋にくっつけて滑らないように固定しますので大変便利です。

気泡管タイプは気泡の位置で調べますが気泡の位置を目で見て読み取りますので精密という点では劣っており、精密な調査が必要な際はレーザータイプが使用されます。

勾配計の原理

気泡管ですが、土台に緑色の蛍光塗料などの入った液体と少量の気泡が入った円筒形の小さなガラス管を言います。この管が重力に対して垂直に置かれると、気泡は管の中央部に移動して停止します。この中央部に気泡がある状態が地面に対して水平とみなされます。この気泡管が立方体状の土台に水平に固定され水平面を測定する器具が水平器であり水平かどうか、つまり地面に対して180°かどうかのみ測れます。

勾配計はこの原理を利用して勾配計を傾斜物に載せて気泡管を回転させます。すると気泡は真上に行こうと動き出します。この気泡が管の中央部に来るように気泡管の傾きを調整してあげることで傾斜物の角度を測ることができます。気泡管には標線と呼ばれる基準線が複数引かれており、気泡の位置と基準線の位置を見ながら気泡が基準線の内側に来るように微調整が行われます。

以上は気泡管を回転させて測定するタイプの説明ですが、気泡管を回転させずに読み取るタイプもあります。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/552/

平ベルト

平ベルトとは

平ベルト

平ベルトとは、断面が平らで長方形のベルトです。

複数の軸をつなぐために使用される柔軟なベルトで、V字型の断面を持つベルト (Vベルト) とは異なり、平らな断面を持つ点が特徴です。平ベルトは柔軟で伸縮性が高く、動力伝達の際にショックを吸収する能力があります。

これにより、機械部品間の突然の負荷変動や振動を和らげることが可能です。また、意図的に滑ることにより、過負荷時のダメージを最小限に抑えることができます。

ただし、Vベルトよりも力伝達能力が低い傾向があります。高いトルクや大きな負荷を扱う場合には、適切な設計が必要です。また、同様に高速回転の負荷には不向きです。

平ベルトの使用用途

平ベルトはさまざまな場面で使用される部品です。以下は平ベルトの使用用途です。

1. 産業機械

工場内の多くの機械や装置には、モーターからの動力伝達が必要です。平ベルトはそのような機械においてポンプやファン、コンプレッサーなどの動力伝達に使用されます。平ベルトの柔軟性が過負荷に対して効果的であり、ショック吸収能力も重宝されます。

2. 自動車

自動車エンジンから、発電機や冷却ファンへの動力伝達に平ベルトが使用されることも多いです。これにより、エンジンの回転運動がこれらの部品に伝えられます。また、一部の車種ではパワーステアリングや水中ポンプにも平ベルトが利用されることがあります。

3. 農業機械

農業機械では、草刈り機などの動力伝達に平ベルトが使用されることが多いです。これにより、エンジンから各種作業機器への動力が伝えられ、農作業が効率的に行うことが可能です。

4. 運送業

トラックやバンなどの荷台に積まれた貨物は、運行中の振動や動きによって荷台内で移動する可能性があります。平ベルトを使用して、貨物を荷台に固定して不要な移動を防ぐことが可能です。これにより、貨物が車内で転倒や傷つきを防ぐことができます。

平ベルトの原理

平ベルトは、複数の層で構成される柔軟なベルトです。表層の下に補強層を有する構造が一般的で、表層と補強層では材質が異なります。

1. 表層

表層は平ベルトの外側に位置する部分で、通常ゴムまたは合成材料で作られることが多いです。平ベルトに耐摩耗性や耐久性を提供し、外部からの影響や摩擦に対する保護を行います。

また、摩擦によって動力が伝達される場合もあるため、十分なグリップが必要です。

2. 補強層

表層の下には補強層があり、通常はポリエステルなどの合成繊維で製造されます。ベルトの強度と耐久性を向上させ、荷物の固定や動力伝達に必要な力を支えます。長方形の形状をしており、ベルト全体に均等な強度を与える層です。

補強層は通常2つまたは3つの層で構成され、ベルトの方向に対して異なる角度で配置されます。これにより、ベルトが伸縮性を持ちつつも一定の強度を維持することが可能です。

平ベルトの選び方

平ベルトを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。

1. 材質

平ベルトの材質は、使用環境や用途に合わせて選定する要素です。一般的に材質はゴムや合成材料が使用され、それぞれの材質には耐摩耗性や耐油性などの異なる特性があります。

荷物の固縛に使用する場合は耐久性が求められるため、安価で丈夫なナイロンなどを使用されます。

2. 引張強度

平ベルトの引張強度は、ベルトがどれだけの荷重や負荷に耐えられるかを示す重要な指標です。選ぶベルトの引張強度は、輸送する荷物や貨物の重さに合わせて選びます。引張強度が低い場合、ベルトが破損してしまう可能性があるため注意が必要です。

3. 幅

平ベルトの幅は、荷物や貨物を固定するための接触面積を示します。広い幅のベルトは荷物の負荷を広く分散させることが可能で、固定効果が高い場合多いです。荷物の大きさや形状に合わせて適切な幅を選ぶことが重要です。

4. 厚さ

ベルトの厚さは、その強度や耐久性に影響を与えます。一般的には厚いベルトほど強度が高くなりますが、同時に柔軟性も低くなる場合があります。運搬する荷物や貨物の性質に合わせて、適切な厚さを選ぶことが大切です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/
https://forbo.blob.core.windows.net/forbodocuments/840501/333_JP_01-19.pdf

ガラス管ヒューズ

ガラス管ヒューズとは

ガラス管ヒューズ

ガラス管ヒューズとは、保護管にガラスを使用したヒューズです。

最も一般的に使用される管ヒューズと言えます。そもそもヒューズとは、定格以上の電流が流れた際に、エレメントを溶断させることで通電を遮断する安全部品です。定格以上の電流が流れ続けると回路破損や発煙発火などの事故が発生するため、これを未然に防止します。

ガラス管ヒューズの使用用途

ガラス管ヒューズは計装・制御機器に広く使用されます。以下はガラス管ヒューズの使用一例です。

  • モーターコントロールセンターユニットの制御電源
  • 電源ランプや計器用変圧器の過電流保護
  • 車載制御装置やバイク用制御装置の過電流保護
  • 家電製品のプリント基板
  • 産業用整流器の制御基板上

制御回路などに使用される場合がほとんどです。ガラス管ヒューズは小さく省スペースなため、基板上の過電流保護用途として使用されます。また、一般的なブレーカよりも速動するため、主幹表示灯や制御電源にも用いられます。

ガラス管ヒューズの原理

ガラス管ヒューズはガラス管、エレメント、口金などで構成されます。

1. ガラス管

ガラス管はフィラメント保護用の部分です。材質はPCガラスが使用されることがほとんどです。透明ガラスが使用され、内部のフィラメントが溶断しているかを目視で確認できる点が特徴です。

製品によってはガラス管ヒューズの中に消弧剤が封入されています。消弧剤はフィラメント断線時のアーク発生を抑制する素材であり、主に珪砂が使用されます。

2. エレメント

エレメントは過電流時に溶断する部分です。一般的にはエレメントが太い方が許容電流が高く、ガラス管から内部を見ると目視で違いが分かります。材料には多くの場合は亜鉛が使用されます。亜鉛以外には鉛や銀などの合金で製作され、配合によって融点を調整します。

エレメントには上記のような低い融点の金属を使用され、電流によるジュール熱によって温度が融点に到達すると溶断します。エレメントの配合や放熱および熱容量を変化させて、ユーザーの意図したヒューズ溶断特性を得ることができます。

3. 口金

口金はヒューズホルダーと呼ばれるヒューズ受け部品と接続される部分です。材質はニッケルメッキ加工したが使われます。口金部には耐電圧や許容電流などの情報が印字される製品が一般的です。

ガラス管ヒューズの種類

ガラス管ヒューズには、普通溶断型やタイムラグ溶断型、速動溶断型が存在します。各ガラス管ヒューズは、さらにそれぞれA種とB種の区分があります。

A種とB種はそれぞれ溶断特性が異なります。A種はアメリカで主流のヒューズであり、日本では現在あまり使用されていません。

1. 普通溶断型ガラス管ヒューズ

普通溶断型は、一般的なガラス管ヒューズです。定格電流の200%程度であれば、2分ほど耐えることが可能なヒューズです。通信機器や制御電源に使用されるガラス管ヒューズは主に普通溶断型です。

2. タイムラグ溶断型ガラス管ヒューズ

タイムラグ溶断型は、溶断する際のタイムラグが大きいヒューズです。突入電流や起動電流が大きい場合にはタイムラグ溶断型のガラス管ヒューズを使用します。モーターや電磁弁の保護にはこのヒューズを使用します。

3. 速動溶断型ガラス管ヒューズ

速動溶断型は、過大電流を瞬時に遮断するヒューズです。200%程度の電流が流れた場合、0.5~1秒程度で遮断します。過大電流や逆電流で故障する危険がある半導体の保護などに使用します。

ガラス管ヒューズのその他情報

ガラス管ヒューズの使い方

ガラス管ヒューズは一般的に、ヒューズホルダーに接続して使用します。ヒューズホルダーには爪やばねが付いており、口金部分を保持します。取り外す際に口金に触れると感電の危険があるため、専用治具を使用するなどして安全処置を図ります。

使用するガラス管ヒューズの容量は、電装品の定格電流以上である必要があります。ただし、配線や弱点部品の最大容量以下のものを選定することも重要です。耐電圧にも注意が必要であり、125V用と250V用がそれぞれ存在します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/
https://www.daitotusin.co.jp/case/2017/11/14/3

金属ワッシャ

金属ワッシャとは

金属ワッシャ

金属ワッシャとは、ボルトとナットの間に挟む金属製パーツです。

ワッシャはほとんどが金属製で作られており、座金や平座金などとも呼ばれます。ワッシャはボルトやナットの下に置かれることで、締結面積に圧力を均等に分散させます。

これによって部品同士の接触が均一になり、強力な締結が可能です。均等な圧力分散がないと、部品の変形や破損が生じる場合があります。

また、ボルトやナットが部品の表面に直接接触するのを防ぐ役割も果たします。金属同士の直接の接触は、摩擦や腐食の問題を引き起こすことも多いです。ワッシャを挟むことで、部品同士の接触を緩和し、摩耗や腐食を軽減することが可能です。

金属ワッシャの使用用途

金属ワッシャはありとあらゆる場面に使用される部品です。以下は金属ワッシャの使用用途です。

1. 建設業

建築業において金属ワッシャは、建材の締結に使用されます。鉄骨構造の建物では、大きな荷重に耐えるためにボルトやナットと一緒に金属ワッシャが使用されることが多いです。また、コンクリートの固定や木材の組み立てにも利用されます。

2. 自動車産業

自動車産業では、金属ワッシャがサスペンションや車体の組み立てに使用されます。振動や道路の振動にさらされる自動車部品は、安定した締結が重要です。金属ワッシャはこの安定性を提供し、部品同士の接触を保護します。

3. 電子機器

電子機器内部では、金属ワッシャはボルトやネジの締結において、接続を安定させる役割を果たします。また、導電性のある金属ワッシャは、電子部品の接地や導電性を保つために使用されることも多いです。家庭用電化製品やコンピュータなどに広く使用されます。

4. 産業機械

産業機械の製造や保守において、金属ワッシャは部品同士の接続の強化や部品の摩耗を軽減するために重要です。産業機械は高負荷や厳しい作業環境に置かれることが多いため、金属ワッシャの耐久性が求められます。加工機やプレス機などに広く使用されます。

金属ワッシャの原理

金属ワッシャの主な原理は部品同士の接触を均一にし、締結や組み立て作業における安定性や信頼性を向上させることです。一般的には、円筒状で滑らかな形状をしています。中央に穴が開いており、ボルトやナットを通して使用することが多いです。

材質は鉄やステンレスが広く使用されますが、黄銅チタンアルミニウムなどの製品も販売されています。総じて金属ワッシャは堅牢であり、長期間にわたって安定して使用することが可能です。

金属ワッシャは、さまざまな規格に基づいて設計・製造されています。これにより、異なるサイズや形状の金属ワッシャが特定の用途に適した形で提供されることが保証されます。ISOやDINなどの規格において形状や寸法が定められており、国内ではJISに準拠した製品が多いです。

金属ワッシャの選び方

金属ワッシャを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

1. 材質

金属ワッシャは、さまざまな材質で製造されます。鉄やステンレス鋼、真鍮などが一般的です。使用環境に応じて適切な材質を選ぶことが重要です。例えば、屋外や湿った環境では錆に強いステンレス鋼が採用されることも多いです。

2. 準拠規格

金属ワッシャは、国際的な規格や国内規格などに従って製造されることが多いです。規格にはワッシャの寸法や形状、性能基準などが含まれており、製品の品質と適合性を保証します。使用する環境や用途に応じて適切な規格に準拠したワッシャを選ぶことが重要です。

3. 呼び径

金属ワッシャは、ボルトやナットのサイズに合わせて選ぶ必要があります。ワッシャの内径と外径を適切に選んで、ボルトやナットと正しく組み合わせることが重要です。呼び径は規格によって異なる場合もあるため、準拠する規格を確認して選ぶことが大切です。

4. 種類

金属ワッシャには、平ワッシャやスプリングワッシャ、ロックワッシャなどさまざまな種類があります。使用環境や目的に応じて、適切な種類を選ぶことが重要です。スプリングワッシャは振動や緩みの防止に適しており、ロックワッシャは緩みの防止に特化しています。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element11.html
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element12.html
https://wilco.jp/products/washer/metal/
https://neji-one.com/lineup/W1000250.htm