ばい煙測定

ばい煙測定とは

ばい煙測定

ばい煙測定は、日本における大気汚染防止法の「第16条:ばい煙量等の測定」により、環境省令で定められた「ばい煙発生施設に係るばい煙量」と「ばい煙の濃度」を測定し、その結果を記録しなければなりません。

ばい煙とは、燃焼などにより発生するイオウ酸化物やスス、有害物質のことを指します。有害物質には、カドミウムとその化合物、塩素、塩化水素、フッ素、フッ化水素、フッ化ケイ素、鉛とその化合物、窒素酸化物があります。

大気汚染防止法では、一定規模を超えた施設が、ばい煙発生施設の対象となっています。ばい煙の排出基準には、一般排出基準と特別排出基準、上乗せ排出基準、総量規制基準があります。

ばい煙測定の使用用途

大気汚染防止法に伴うばい煙の測定項目や頻度については、環境省により公開されています。そして、測定の義務は、大気汚染防止法の第16条により規定されており、ばい煙の測定と頻度は、同法の施行規則である第15条に規定されています。

ばい煙の測定は、各項目に分けられており、例えばガス専焼ボイラーやガスタービン、ガス機関では、硫黄酸化物排出量が10m3N/時以上と未満により区分が分けられています。

10m3N/時以上の場合は、硫黄酸化物の測定を総量規制地域内の特定工場において、常時行う必要があります。また、総量規制地域外の場合は、2ヶ月に1回以上の測定を行わなければなりません。

10m3N/時未満の場合は、硫黄酸化物を測定する必要はありません。

窒素酸化物は、排出ガス量も関係しており、排出ガス量が4万m3N/時以上と未満により測定頻度が異なります。

硫黄酸化物排出量が10m3N/時以上のときに総量規制地域内の特定工場であれば、常時行う必要があり、総量規制地域外であれば、2ヶ月に1回以上行わなければなりません。

さらに、排出ガス量が、4万m3N/時以上の場合は、同上の条件と同じですが、4万m3N/時未満の場合は、総量規制地域もしくは総量規制地域外のどちらの場合でも年2回以上の測定が必要です。もし、4万m3N/時未満の場合において、継続して休止する期間が6ヶ月以上の施設の場合は、年1回以上の測定が必要になります。

硫黄酸化物排出量が10m3N/時未満の場合は、窒素酸化物の測定頻度は、硫黄酸化物排出量が10m3N/時以上の場合と同様です。

ばいじんの測定については、硫黄酸化物の排出量がどちらであっても5年に1回以上の測定と定められています。

ばい煙測定の原理

有害大気汚染物質の対策を推進する取り組みとして、現在、有害物質の対象となっている物質には23種類あり、対象になり得る可能性がある物質には、248種類もの候補があります。有害大気汚染物質として、早急に排出抑制が必要な物質には、ベンゼントリクロロエチレン、テトラクロロエチレンが該当しています。

ばい煙測定の結果を判断するには、大気汚染防止法の「ばい煙の測定分析方法に関する事項」を確認する必要があります。この項目は、一部が改訂されましたが、ばい煙濃度に関する測定値の取り扱い方法などが記載されています。

同法によると、ばい煙の排出濃度は、一定ではなく変動し、分析には誤差を伴うため、排出基準値と測定値の比較は、原則として複数回の測定データの平均値とするとしています。そして、測定値の有効数字は、原則として2桁とし、3桁目以下は、切り捨てます。また、測定値の有効範囲は、±10%を目安にしています。

試料の採取方法では、ばい煙の採取時期をひとつの工程の期間内で行い、測定値をこの期間の平均値として取り扱います。さらに、ひとつの工程に必要とする時間が長い場合は、測定時間を工程内における適正な期間に設定します。しかし、工程の期間が明確ではない場合のばい煙発生施設では、試料の採取時期を排出濃度が平均的な濃度に設定される時期において行います。

例えば採取時間が20分までの場合は、採取回数を5回程度に設定します。20分〜40分であれば、採取回数を4回程度に設定します。

水銀分析

水銀分析とは

水銀分析

水銀分析は、環境試料や人体試料などから水銀の含有量もしくは蓄積量を検出する方法です。水銀分析が行われるようになった経緯は、以下の通りです。

1956年に国内で水俣病の発生が確認され、大量の水銀が工場から排出されていたことが判明しました。水銀は、許容量以上を摂取すると、人体にとって有害となります。通常は、体内に蓄積することはありません。

このことから水銀は、2003年の第22回国際連合環境計画(UNEP)管理理事会で報告されたGlobal Mercury Assessmentにより、国際的に水銀の排出抑制を行うべきだという決議が採択されました。

日本がホストを務めた国連環境計画の外交会議では「水銀に関する水俣条約:Minamata Convention On Mercury」が約140か国で採択され、EUを含む92か国が条約への署名を行っています。

また、日本国内では、水銀による環境汚染の防止などに関する水銀汚染防止法も施行されています。

水銀分析の使用用途

水銀分析は、日本からEU圏内へ電子機器を輸出する際に活用されています。EUでは、RoHS指令によって有害物質の制限が取り決められており、カドミウム(Cd)や水銀(Hg)などが規制の対象となっています。

水銀は、かつて多くの産業で取り扱われていました。しかし、現在は、許可を得た製品以外での使用は禁止されており、部品としての使用も制限されています。水俣条約の採択もあり、世界中で水銀対策が主導的に行われています。

水銀の世界と日本における需要は、下記の通りです。

世界の水銀需要は、2008年のUNEPから公表された「Global Atmospheric Mercury Assessment」によると、小規模金採掘が21%、塩ビモノマー製造工程が20%、塩素アルカリ工業が13%、電池が10%、歯科用アマルガムが10%、計測機器が9%、照明が4%、電気機器が5%、残りの内訳は、そのほかとなっています。

日本における水銀需要は、2013年度に更新された「我が国におけるマテリアルフロー」によると、照明が37%、医療用の計測機器が21%、無機薬品が12.9%、ボタン形電池が11%、工業用の計測機器・スイッチリレーが10.3%、医薬品が0.6%、歯科用アマルガムが0.2%です。

水銀分析の原理

水銀分析において信頼性のある分析データを得るためには、適切な試料採取や前処理、試料に合わせた測定方法、試験溶液の調整法が必要です。そして、適切な分析を行うには、実験室の清掃や器具・用具の洗浄など、外部からの汚染の防止に努めなければなりません。

また、水銀の影響評価や生体内・環境中における動態を解明するためには、総水銀やメチル水銀を無機水銀と差別化して定量分析を行わなければなりません。これらの分析法は、2004年3月に環境省が「水銀分析マニュアル」として公表しています。なお、魚介類や大気などの水銀分析は、公定法として「魚介類の水銀の暫定的規制値について」および「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」で取り決められています。

環境試料や人体試料などの分析値を品質的に管理または保証するための標準試料がいくつかの機関から市販されています。例としてNISTやIAEA、NRCC、NIESなどがあります。

サンプリングで必要となる環境試料や人体試料には、以下のような試料があります。

環境試料では、生物試料(魚介類)や水試料、底質・土壌試料、植物試料、大気・空気試料があります。

人体試料では、毛髪試料や血液試料、尿試料、臍帯試料があります。

PCB分析

PCB分析とは

PCB分析とは、対象物のPCB含有状況を調べる試験です。

PCBは「Poly Chlorinated Biphenyl (ポリ塩化ビフェニル) 」の略称であり、合成化学物質の一つです。PCBは絶縁性・耐薬品性が優れていることから、かつては電気機器の絶縁油や塗料などに幅広く使用されていました。

ただし、人体や生活環境に悪影響を及ぼす有害物質であることが判明し、1972年以降製造を禁止されています。

PCB分析の使用用途

PCB分析は、電気機器などを破棄する際に用いられます。1972年以前に製造された電気機器が稼働している場合は、廃棄する際にPCB分析でPCB含有有無を調査します。

また、1990年付近に製造された機器でも意図的ではない微量のPCBが絶縁油中に確認される場合もあるため、PCB分析が必要です。PCB分析でPCB含有が確認された機器は、通常の産業廃棄物ではなく、PCB汚染廃棄物として処分しなければなりません。

近年では、PCB分析結果が無ければ廃棄を請け負わない産廃業者も少なくないため、そのような場合はPCB分析を実施して不含を確認します。

PCB分析の原理

PCB分析には、低濃度PCB含有廃棄物の測定法と絶縁油中の微量PCB簡易測定法の2通りがあります。

1. 低濃度PCB含有廃棄物の測定方法

低濃度PCB含有廃棄物の測定方法は、廃棄物中の濃度が5,000mg/kg以下のものと100,000mg/kg以下のもの、微量PCB汚染物があります。これらの判定を行うには、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理推進室が公表している低濃度PCB含有廃棄物の測定方法に従うことが大切です。

この公開文章では、廃棄物の種類ごとに試験方法が定められています。それぞれについて試薬や器具などが定められており、試料の操作についても公開されています。

2. PCB分析の簡易測定法

PCB分析の簡易測定においては、マニュアルを環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課が公表しています。絶縁油の測定にあたっては、共存する妨害物質の存在について留意が必要です。

共存する妨害物質には、1種から7種までの物質が定められています。

PCB分析のその他情報

1. PCBと廃棄物処理法

PCBを含む廃棄物のうち微量PCB汚染廃電気機器は、2009年の11月に廃棄物処理法に定める無害化処理認定制度の対象廃棄物に追加されました。2010年の6月には、同制度のもとで焼却による処理が行われるようになりました。

その後の2012年8月には、PCB含有量が5,000mg/kg以下のPCB汚染物質等も同制度の処理対象廃棄物に加えられました。結果として、微量PCB汚染廃電気機器と上述したPCB汚染物質が低濃度PCB廃棄物と呼ばれ、無害化処理認定施設によって焼却処理できるようになりました。

上記の取扱いについては、低濃度PCBに関するガイドラインが作成されて環境省より公表されています。

2. PCB汚染廃棄物の処分方法

高濃度PCB廃棄物はJESCOで処理し、低濃度PCBは民間事業者で処理する方法が一般的です。JESCOとは、国などから委託を受けてPCB廃棄物の処理を行う政府全額出資による特殊会社のことを指します。

民間事業者でPCB廃棄物を処理する場合には、民間事業者が環境大臣による認定と都道府県市による許可を受けていなければなりません。高濃度PCB廃棄物については、PCB特別措置法に基づいた処分期間もしくは特例処分期限日までに処分を委託する必要があります。

低濃度PCB廃棄物については、2027年の3月31日までに処分委託を行わなければなりません。

3. PCB廃棄物の収集と運搬方法

PCB廃棄物の収集と運搬に関しては、主に収集運搬事業者が行います。収集運搬事業者はPCBの漏洩防止対策を施した運搬容器で運搬しなければなりません。

運搬車には応急措置設備が搭載され、緊急時の連絡設備などが備え付けられている必要があります。運搬に関する業務に従事する者は、PCBの性状や応急措置の知識と技能を有した者に限られます。

ダイオキシン分析

ダイオキシン分析とは

ダイオキシン分析とは、一般ごみや産業廃棄物焼却施設、製鋼用電気炉、紙などの塩素漂白工程、たばこの煙、自動車の排ガスなどから生じるダイオキシンを検出する方法です。

ダイオキシンは、発生源対策や汚染状況の調査、測定が義務付けられています。また、ダイオキシン類の分析を繰り返し、または継続的に行う事業所は、特定計量証明事業とされ、事業所ごとに所在地を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要があります。

ダイオキシン類対策の経緯としては、昭和58年にごみ焼却施設の飛灰からダイオキシンが検出されたことがはじまりです。

現在、日本におけるダイオキシン類の対策は、平成11年3月にダイオキシン対策関係閣僚会議(平成12年12月廃止)により制定されたダイオキシン対策推進基本指針と平成11年7月に議員立法により成立したダイオキシン類対策特別措置法の2つを基に推進されています。

ダイオキシン分析の使用用途

ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準では、環境基準や排出基準が定められており、これらの調査や測定が義務付けられています。

環境基準は「大気:年平均値0.6-TEQ/m3以下」「水質:年平均値1pg-TEQ/l以下」「底質:150pg-TEQ/g以下」「土壌:1000pg-TEQ/g以下」です。

排出基準は、一部を抜粋して紹介します。排ガスの特定施設および排出基準値は、廃棄物焼却炉において、火床面積が0.5m2以上、または焼却能力が50kg/h以上の場合に該当します。また、施設規模が4t/h以上の場合、新設施設基準では、0.1ng-TEQ/m3N、既設施設基準では、1ng-TEQ/m3Nです。

ダイオキシンは、毒性が高く、人体に有害なため、ダイオキシン類対策特別措置法において、以下の通りに分類しています。

一般的にダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を総括してダイオキシン類と呼んでいます。そして、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB、ダイオキシン様PCB)のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類似化合物と呼んでいます。

平成11年7月16日に公布されたダイオキシン類対策特別措置法では、PCDDおよびPCDF、コプラナーPCBを含めてダイオキシン類と定義しています。

ダイオキシン類は、基本的に炭素で構成されるベンゼン環2つが酸素で結合しており、そこに塩素が付いた構造をしています。PCDDには75種類、PCDFには135種類、コプラナーPCBには12種類の仲間があります。これらのうち毒性があるとみなされているのは29種類です。

ダイオキシン分析の原理

政府は、平成12年9月のダイオキシン類対策特別措置法に基づき「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」を策定し、総排出量を平成9年比でおおむね9割削減することを目指して、平成14年度末のダイオキシン類の削減目標値(843〜891g-TEQ/年)および、その事業分野別の削減目標量を設定しました。そして、平成15年のダイオキシン類の推計排出量は、平成9年比で約95%削減することに成功しました。

しかし、平成16年11月12日の中央環境審議会では、ダイオキシン類は、環境中で分解しにくく、一度排出されたダイオキシン類が環境中に蓄積されていくことなどから長期的なリスク管理が必要であると提言しました。

これを踏まえて平成17年6月に国の計画変更を行い、平成22年の目標値を315〜343g-TEQ/年に設定し、平成22年のダイオキシン類の排出量は、削減目標量を事業分野ごとに下回っており、目標が達成されています。

このような経緯があり、ダイオキシン類の排出量は、着実に減少し、大気や水質のダイオキシン類濃度は、国内において環境基準を達成しており、人の平均的な蓄積量も基準値を下回っています。

以上のことからダイオキシン分析は、非常に重要であり、ダイオキシン類の汚染を今後も改善していくには必要不可欠な取り組みです。

環境測定

環境測定とは

環境測定

環境測定は、水や大気、土壌中の物質濃度、音圧レベル、振動加速度レベルの測定を指します。環境測定を繰り返し、または継続的に行う事業所は、計量証明事業に該当し、そのなかでも環境計量証明事業に該当します。

このように計量証明事業に該当し、事業を行おうとする者は、物象の状態の量を計量証明する事業の区分にしたがって、事業所ごとに所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。

計量証明事業とは、長さや質量、面積、音圧レベルおよび振動加速度レベルなどに係る物象の状態の量を公に表明する事業を指します。

環境測定の使用用途

環境測定を行う事業所は、多くが環境計量証明事業に該当しますが、計量証明事業には、大別して一般計量証明事業と環境計量証明事業の2種類があります。

そして、環境計量証明事業のうち、特にダイオキシン類に関するものを特定計量証明事業と区分しています。

主にこれらは、以下のような区分で分けられており、計量証明を行う対象がそれぞれ異なります。

  • 一般計量証明事業

    一般計量証明事業は、長さや質量、面積、体積、熱量の計量証明を行う事業です。

  • 環境計量証明事業

    環境計量証明事業は、濃度や特定濃度、音圧レベル、振動加速度レベルの計量証明を行う事業です。

    • 特定計量証明事業

      特定計量証明事業は、ダイオキシン類の測定を取り扱う事業で、計量法により、経済産業大臣から委任を受けた認定機関などの認定を受け、都道府県に登録しなければなりません。

環境測定に係る環境証明事業では、物象の状態の量を計量法施行令第28条より次の通りに定めています。

まず、大気(大気中に放出された気体を含む)、水または土壌中(水底の堆積物を含む)の物質濃度が環境証明事業に該当するものとしています。

次に、音圧レベルでは「計量単位令別表第2第6号の聴感補正に係るものに限る」とし、振動加速度レベルでは「計量単位例別表第2第7号の感覚補正に係るものに限る」と定めています。

ただし、大気の区分では、建築物内の空気を該当しないものとし、水の区分では、飲料水が該当しません。

そして、水および土壌の区分では、土壌と一体化していない産業廃棄物と肥料、鉱物、重油を含まないものとしています。

また、濃度の区分では、風速(速さ)と温度、濁度、透明度、電気伝導率、色度、臭気、石綿濃度、大腸菌群数が該当しません。

計量証明事業の登録について

計量証明事業を行うには、計量法第107条で定められた通りに都道府県知事の登録を受けなければなりません。

しかし、国または地方公共団体が計量証明の事業を行う場合については、計量法に基づく事業の登録を受けることなく、当該事業に係る分野の計量証明事業を行うことができます。

そして、そのほかにも「労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)第19条の規定に基づく厚生労働大臣の認可を受けた者」や「下水道事業センター法の一部を改正する法律(昭和50年法律第41号)による改正前の下水道事業センター法(昭和47年法律第41号)第10条第1項の規定に基づく国土交通大臣の認可を受けた者」は、登録を受けることなく事業を行うことが可能です。

また、作業環境測定法と浄化槽法に基づく機関や環境大臣の指定を受けた者についても同様です。

これら計量法に違反した場合には、罰則が規定されています。例を挙げると、計量法第107条の規定違反では、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処し、これを併科する場合もあると定められています。

また、計量法170条または計量法172条から第175条までの規定違反には、その行為者を罰するほか、その法人または人に対しても罰金が科せられます。

環境測定の項目

環境測定の項目には、証明事業の形態によって、多くの区分がありますが、代表的な以下の項目について解説します。

作業環境測定

作業環境測定は、労働安全衛生法第2条によって定義されており、同法では、作業環境の実態を把握するため、空気環境、そのほかの作業環境について、デザインやサンプリング、分析、解析のことを指すとしています。

作業を行う環境中には、ガスをはじめとした蒸気や粉じんなどの有害物質や騒音および放射線などの有害因子が存在しており、これらは働く人々の人体に悪影響を及ぼすおそれがあります。

そのため、職業による健康疾病を予防するために、有害因子などを一定のレベル以下に保ち、管理する必要があります。

その方法のひとつに作業環境測定があり、正確な作業環境の実態を把握するための手段として活用されています。

局所排気装置の定期自主検査

局所排気装置の定期自主検査は、有機溶剤中毒予防規則や鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則などにより、定期自主検査の適正と有効な実施を図るために検査項目・検査方法・判定基準などが定められています。

また、準備すべき測定器なども厚生労働省により公開されており、スモークテスターや熱線風速計等直読式の風速計、ピトー管およびマノメータなどが必要としています。

検査項目には、フードやダクト、ファンおよび電動機、吸気および排気の能力などがあります。

これらの局所排気装置等の点検は、はじめて使用するとき、もしくは分解や改造、修理をおこなったとき、設置してから1年以内の定期自主検査が必要です。

ただし、例外として1年を超えて局所排気装置等を使用しない場合は、運転再開時に自主検査を行います。

これらの点検の記録は、3年間保存しなければなりません。

揮発性有機化合物( VOC )測定

揮発性有機化合物( VOC )測定は、大気汚染防止法のVOCが該当します。VOCとは、Volatile Organic Compoundsの略称で、トルエンキシレン酢酸エチルなどのさまざまな有機化合物が該当しています。

これらのVOCを抑制するために、2004年5月には、大気汚染防止法が改正されました。そして、2006年の5月には、大気汚染防止法に基づく大気汚染防止法施行令・大気汚染防止法施行規則が改正され、VOC濃度の測定法が環境省から告示されました。

特にVOCの排出量が多く、規制を行う必要がある施設を揮発性有機化合物排出施設(VOC排出施設)と呼びます。

VOC排出施設は、細かく区分が分けられており、それぞれにおいて、規模要件や排出基準が定められています。有害大気物質としては、中央環境審議会により、248物質が対象として登録されています。

対象施設は、都道府県に施設の届出を行う必要があり、VOC濃度の測定を年1回以上行う必要があるとしています。

貴金属分析

貴金属分析とは

貴金属分析は、ネックレスや指輪などの宝飾品や歯科治療用品、電子機器などの廃棄版、炉底から排出される溶融メタルなどに含まれる金属成分を検出する試験方法です。また、そのほかにも自動車の触媒中に含まれる貴金属の分析などにも活用されています。

貴金属分析は、宝飾品の鑑定に関わりが深く、高価な貴金属を取り扱うには、技能と技術の蓄積が必要不可欠です。貴金属の登録認定機関には、ロンドン金市場の「LBMA:The London Bullion Market Association」や白金とパラジウム市場の「LPPM:The London Platinum & Palladium Market」などがあります。

貴金属分析の使用用途

貴金属分析は、主に貴金属や廃棄板のリサイクルで活用されています。そのほかにも税関分析室にて密輸入された金製品の鑑定を目的に活用されたり、メッキ浴のさまざまな成分を分析することなどにも利用されています。

リサイクル分野では、品物を溶解し、貴金属ごとの含有量を測定します。そして、化学的処理で貴金属を単離することにより、貴金属を精錬し、地金として再生しています。

関税中央分析所報によると、税関分析室では、消費税率が増税されたことに加えて、金の取引価格が高騰していることから、メッキや塗装などにより偽装された貴金属の持ち込みが増加しているそうです。

税関分析室での貴金属分析は、例えばメッキされた金製品からメッキを除去した後に分析を行う方法などがあります。金は、王水に溶けるため、メッキの除去を王水以外の硝酸塩酸などの酸により行います。メッキに使用された金属の種類は、蛍光X線分析により判断することが可能です。

貴金属分析の原理

貴金属分析には、蛍光X線分析とICP発光分析があります。以下において、それぞれの分析法を解説します。

蛍光X線分析は、X線を物質に照射することで発生する固有のX線(蛍光X線)を利用する方法です。照射したX線が物質の構成原子である内殻電子を励起し、生じた空孔に外殻電子が移動することにより、内殻と外殻のエネルギー差に対応したX線が放出されます。この放出されたX線が蛍光X線です。蛍光X線は、元素固有のエネルギーを有しており、このエネルギーからモーズリーの法則によって、定性分析が可能になります。また、このエネルギーのX線強度から定量が可能になります。

ICP発光分析は、発光分光分析法のひとつです。分析試料にプラズマのエネルギーを与えると、試料中に含有されている成分元素が励起されます。この元素が低いエネルギー準位に戻るときに放出されるスペクトル線を測定する分析手法です。また、ICPは「Inductively coupled plasma:誘導結合プラズマ」の頭文字から構成されており、高周波コイルに対して、高周波を流すことにより、トーチ部に電界を発生させ、ここにアルゴンガスを流すことで放電し、プラズマを生成します。

レーザー彫刻

レーザー彫刻とは

レーザー彫刻

レーザー彫刻は、素材の表面に模様や絵柄などを彫り刻む技術です。素材の種類やレーザーの出力強度によって彫刻の深さが決まります。レーザー加工は、大別してレーザーカット、レーザーマーキング、レーザー彫刻、レーザー刻印に分類することができます。

  • レーザーカットは、素材の切断に用いられ、直線の切断を得意としています。
  • レーザーマーキングは、素材の表面を溶かしたり、焦がすことで印字を行います。この方法は、素材の表面にプリントで印字する方法とは異なり、印字物が長期にわたって残り続けます。
  • レーザー刻印は、レーザーを照射することにより、素材の表面を溶融して印字や刻印を行います。刻印は、高精度に行うことが可能です。
  • レーザー彫刻は、レーザーマーキングのひとつでもあり、グラフィックデータがあれば、彫刻することができます。また、高精度で彫刻を行えるため、細かい彫刻を行うことが可能です。

レーザー彫刻の使用用途

レーザー彫刻は、木材やプラスチック、布、金属、アクリルガラスなどの素材を彫り刻むことができます。レーザー彫刻機によっては、ゴム・果皮・石などのやわらかい素材やかたい素材にも彫刻することが可能です。また、レーザー彫刻は、摩擦に強いため、半永久的に彫刻が残ります。このことからノベルティなどによく使用されています。

レーザー彫刻に使用するレーザー光は、約0.1mmの精密さです。手彫りでは困難な文字や線の再現が可能です。レーザーによる彫刻は、素材によって彫刻される色合いが異なり、レーザーの強度によっても色合いを変化させることができます。一般的には、アルミ製品が白色で、真鍮が金色、木製品が焦げ色です。

レーザー彫刻の原理

レーザー彫刻は、一般的にレーザー加工用のデータ作成、レーザーの出力設定・データ調整、加工材料の設置、レーザー加工の順で行われます。

まず、加工用のデータを作成します。レーザー彫刻で使用するデータは、デザイン原稿とも呼ばれ、グラフィックソフトやCADソフトを用いて作成します。デザイン原稿は、モノクロで作成し、原稿で黒色にした部分がレーザーによって加工されます。また、グラフィックソフトを使用せずとも、手書きのイラストをスキャンしてデジタルデータに変換すれば、加工を行うことができます。

次に、レーザーの出力設定とデータの調整を行います。レーザーの出力設定では、レーザー光線の強さと速さを設定します。レーザーで加工を行う際には、パワーやスピードといったパラメーターの設定値があり、材料の種類に合わせて数値を調整します。レーザー加工機は、それぞれのメーカーがパラメーターの参考値を設定しているため、テスト加工を行いながら適切な値に調整します。また、データの調整では、レーザーと素材の位置を取り決めるため、モニター画面上から原稿と照射位置の設定を行います。

最後に、レーザー加工機のなかに材料の設置を行い、レーザー加工を行います。加工機内部へ材料の設置を行ったら、加工機に加工用データを転送します。加工用データに問題がなければ、レーザー加工機を稼働させて加工を開始します。

ただし、加工材料は、レーザー加工機の加工用テーブルに設置できないものは、加工を行うことができません。また、本加工の前に品質試験としてテスト加工を行うとよいでしょう。

シボ加工

監修:株式会社日本エッチング

シボ加工とは

シボ加工とは様々な製品の表面に凹凸などの装飾を施す表面処理技術のひとつです。サンドブラスト(ビーズブラスト)工法やケミカルエッチング処理、放電加工、レーザー、切削、彫刻などありとあらゆる工法で表現されています。

金属(金型・平板・ロール)・プラスチック・ガラス・石など、あらゆる物が持っている素材の表情を引き出し、 高級感や付加価値を高めます。

プラスチック金型、ブロー金型、ゴム金型、ダイカスト金型、ガラス金型、ロール金型など、また金型以外ではプラスチック製品表面にシボ塗装などシボ加工風の仕上げなどで用いられることも多々あります。 梨地模様、砂目模様、皮模様、幾何学模様、ロゴ、ヘアライン、ディンプルパターンなど様々な模様が存在します。

シボ加工の使用用途

主にシボ加工は製品外観向上目的(プラスチック表面の美観向上)で使用されています。射出成形、ブロー成形、押出成形などでつくられた製品の表面はウエルドやヒケなどの外観不良が少なからず存在し、シボ加工を施すことによって製品の外観が劇的に向上します。皆様の身の回りにある様々なプラスチック製品、ゴム製品、エラストマー製品などそれらの多くにはシボ加工が施されています。

シボ加工は製品外観向上の為だけに使用されているわけではなく、時には機能性向上を目的としたものもあります。機能性パターンの一例としてトライボロジーの増大低減、製品の離形性向上、指紋、汚れ等がつきにくい、防キズ性、ソフトフィール、触感向上、グリップ効果、アンカー効果、エアー抜き効果、拡散パターン、視認性向上、撥水親水、超低輝度(無反射パターン)など様々な目的で使用されています。

シボ加工の原理

冒頭でも説明した通り、シボ加工の方法は様々です。

金型シボ加工専業メーカーではサンドブラストや薬液を使用したケミカルエッチング、天然鉱石を使用したショットピーニング、5軸レーザー加工機によるレーザーエッチング等などが挙げられますが、金型メーカーにて工作機械を駆使してつくられる切削シボ加工や放電加工機による放電シボ、様々なブラストメディア(ブラストマシン)を使用した高圧、低圧シボ加工、最近ではドライアイスを用いたシボ洗浄機やレーザーを用いたシボ洗浄機なども登場しています。

また違う分野ではありますが、最近では超短パルスレーザーの発展により、より微細領域での精密シボ加工や微細孔パターン、粉末焼結などによる積層シボ加工なども存在しています。

5軸レーザー彫刻(5軸レーザーシボ加工)

レーザー加工とはレーザー光の直進性・高エネルギー密度・集束性を利用し、各種材料を融解・気化して切断、穴あけ、溶接などを行う加工方法であり、シボ加工のデジタル化への移行が日々進んでいく中で、手作業の伝統的な加工方法における限界を打破する技術のひとつです。

環境問題等の観点から、デザイン面での制約がより少なく効率性の高い加工技術のひとつとして当社ではこの先進技術を以前から取り入れております。

デジタル3Dモデルデータの取り込み、グレースケールデータの面貼り込み、様々な形状に追従した形でのテクスチャの貼り込み、正確に定義されたデザインを反映、最終製品化と今までのデザイン定義を根底から覆す新技術です。

従来のケミカルエッチングとの融合(ハイブリッド工法)や、異形材へのシボ加工(人工大理石、セラミックなど)、ケミカルに反応しないような合金金属、超硬などへの加工も可能となっております。

本記事はシボ加工を扱う株式会社日本エッチング様に監修を頂きました。

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合成木材

合成木材とは合成木材

合成木材とは、一般的に木材を細かく粉状にしたした木粉とプラスチックや樹脂のような素材とを混ぜ合わせて成型した複合素材のことです。

木材やプラスチックは主に廃材を使用するため、環境面にも優しい素材です。また、天然木材と異なり、プラスチックを含んでいます。腐りにくく防腐剤や塗装が不要です。このため、メンテナンスにかかる労力や費用が軽減されます。

さらに、合成木材は芯材などを入れることによって、温度変化による伸縮を抑え、反りや曲がりも防いでいます。

合成木材の使用用途

合成木材は、家庭の屋外に設置されるウッドデッキやテラス、フェンス、ルーバーといったところによく利用されています。また、公園の遊歩道やテーブル、ベンチ、温泉施設、レストランのテラス席など、一般家庭以外の施設に用いられる場合も多いです。

合成木材は天然木材に比べて吸水率が低いため、腐りにくい特徴メンテナンスが楽という特徴があります。さらに、表面が濡れても滑りにくく、経年劣化によるササクレも発生しません。経年劣化が天然木材よりも遅いという特徴を活かし、さまざまな場面で使用されています。

合成木材の特徴

合成木材は、木材を細かく粉状にしたした木粉とプラスチックや樹脂のような素材とを混ぜ合わせて成型した複合素材のことです。そのため、木材とプラスチックの双方の特徴を兼ね備えています。

一般的な価格としては、スギ、ヒノキなどの国産の天然木材より高い傾向にあり、ハードウッドと言われているウリン、セランガンバツ、イペなどの外国産の硬い天然木材より安いものが多く流通しています。ただし、長所だけでなく短所も存在するため、事前に理解しておくことが大切です。

長所

合成木材は天然木材と異なり、プラスチックなどの樹脂を含んでいます。そのため、腐りにくく、定期的な防腐処理・防虫処理・防水処理の必要がないことが長所です。薬剤の使用による危険性もありません。メンテナンスにかかる労力や費用が軽減されます。

本来、天然木材を使用するのが難しい屋外や公園等の公共施設において、木材の質感や風合いを生かすことができ、温かみのある雰囲気を出すことが可能です。原料は木材とプラスチックでできているので、切る・穴をあけるなどの加工が簡単です。

電動工具などを使用せず、ノコギリで切れます。R加工・穴あけも可能です。ホームセンターでいつでも簡単に手に入れられるため、一般家庭のDIYにも向いています。

短所

合成木材の短所は、プラスチックが含まれるため、直火などの高熱による変形が起こることです。焚火やバーベキューなどを行う際には注意が必要です。また、天然木材に比べて、風合いや香り、ぬくもりなどの質感は落ちてしまいます。

その他、熱もこもりやすく、夏の直射日光においては高温に注意しなければならないことも短所の一つです。触れないほど熱くなる場合もあります。

合成木材の種類

合成木材は、一般的に木材とプラスチックを混ぜ合わせて成型した複合素材のため、様々な種類があります。具体的には、表面が波状のリブ加工、中が空洞になっている中空加工、板の両端が凹凸になっているさね加工されているものなどです。

また、ツーバイフォーの規格の製品、板材だけではなく角材の製品などの建築規格に合わせた製品があります。木材の配合が少ないとよりプラスチックに近い質感になり、木材の配合が多いと、天然木材に近い質感となります。配合比率によって風合いを変えられる点も大きな特徴です。

合成木材の選び方

合成木材は、一般的に木材とプラスチックを混ぜ合わせて成型した複合素材のため、様々な種類があり、使用環境は用途により適したものを選ぶことができます。ウッドデッキには滑りにくいリブ加工が施された合成木材を選ぶ傾向があります。

フェンスにはツーバイ材を使用する場合が多いです。色や風合いは家や建築物とのバランスを考慮して、選ぶことが大切です。天然木材より自由度が高い選択ができます。

二酸化チオ尿素

二酸化チオ尿素とは

二酸化チオ尿素 (英: Thiourea dioxide) とは、化学式CH4N2O2Sで表される有機硫黄化合物です。

その他の名称として、ホルムアミジンスルフィン酸(FAS) やチオ尿素ジオキシドなどがあります。CAS登録番号は、1758-73-2です。

また、可燃性であり、湿った空気や湿気、水に接触すると発火するおそれがあります。このため、消防法において「適応の可否については検討が必要」とされています。

二酸化チオ尿素の使用用途

二酸化チオ尿素の主な使用用途は、還元剤です。皮革加工、製紙産業、写真産業、繊維加工などの分野で広く使用されています。具体的な利用方法には、古紙の漂白による紙のリサイクルや織物の染料の脱色、羊毛や絹の漂白などがあります。

その他の用途は、ポリマー材料工業などにおける有機合成の際の触媒や、写真用エマルジョンの増感剤の添加物、医薬品の製造などです。さらに、貴金属の回収および分離などの用途もあります。熱安定性が良く、還元性に優れ、操作及び輸送が容易で保管が容易であることから、広く好まれて用いられている物質です。

二酸化チオ尿素の性質

二酸化チオ尿素の基本情報

図1. 二酸化チオ尿素の基本情報

二酸化チオ尿素は、分子量108.12、融点144℃ (分解) であり、常温での外観は白色または淡黄色の無臭の結晶性粉末です。

無臭ですが、刺激性が強く、かぶれやすい性質があります。水にやや溶けやすく、エタノールおよびアセトンにほとんど溶けません。また、ジエチルエーテル、ベンゼンにも不溶です。水への溶解度は 27g/L (20℃)です。

二酸化チオ尿素の種類

二酸化チオ尿素は、一般的に研究開発用試薬製品や産業用化学薬品として販売されています。

1. 研究開発用試薬製品

研究開発用試薬製品としては、100gや500gなどの容量の種類があります。実験室で取り扱いやすい容量が中心ですが、やや大きい容量での提供です。室温にて保管されることもありますが、冷蔵保管とされることも多い物質です。

2. 産業用化学薬品

産業用化学薬品としては、25kgバッグ、50kgバッグ、50kg紙ドラム、180kg鉄ドラム、500kgコンテナバッグ、1,000kgコンテナバッグなどの容量の種類があります。

工業用還元剤として幅広い用途で提供されている他、古紙処理薬品として位置づけられている製品もあります。

二酸化チオ尿素のその他情報

1. 二酸化チオ尿素の合成

二酸化チオ尿素の合成反応

図2. 二酸化チオ尿素の合成反応

二酸化チオ尿素は、主に過酸化水素を用いたチオ尿素の酸化反応にて合成されます。

2. 二酸化チオ尿素の有害性

二酸化チオ尿素の有害性

図3. 二酸化チオ尿素の有害性

二酸化チオ尿素は、下記のような有害性が指摘されています。

  • 自己発熱: 火災のおそれ
  • 飲み込むと有害
  • 吸入すると生命に危険
  • 皮膚刺激
  • 強い眼刺激
  • 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
  • 呼吸器の障害
  • 腎臓の障害のおそれ
  • 眠気やめまいのおそれ
  • 長期にわたるまたは反復ばく露による肝臓、腎臓の障害のおそれ

また、GHS分類では、下記のように指定されている物質です。

  • 自己発熱性化学品: 区分1
  • 急性毒性 (経口) : 区分4
  • 急性毒性 (吸入: 粉じん) : 区分2
  • 皮膚腐食性・刺激性: 区分2
  • 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 区分2
  • 生殖毒性: 区分2
  •   特定標的臓器・全身毒性 (単回ばく露) : 区分1 (呼吸器) 、区分2 (腎臓)、区分3 (麻酔作用)
  •   特定標的臓器・全身毒性 (反復ばく露) : 区分2 (肝臓、腎臓)

3. 二酸化チオ尿素の法規制情報と取扱い上の注意

二酸化チオ尿素は、消防法において「形状、条件によって発火性を示すことがあるので、適応の可否については検討が必要」とされている物質です。

また、前述の有害性があることから、取り扱いの際は、適切な局所排気、全体換気を整備するとともに、保護衣・保護メガネなどの適切な個人用保護具を用いることが必要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1758-73-2.html