レーザー彫刻とは
レーザー彫刻は、素材の表面に模様や絵柄などを彫り刻む技術です。素材の種類やレーザーの出力強度によって彫刻の深さが決まります。レーザー加工は、大別してレーザーカット、レーザーマーキング、レーザー彫刻、レーザー刻印に分類することができます。
- レーザーカットは、素材の切断に用いられ、直線の切断を得意としています。
- レーザーマーキングは、素材の表面を溶かしたり、焦がすことで印字を行います。この方法は、素材の表面にプリントで印字する方法とは異なり、印字物が長期にわたって残り続けます。
- レーザー刻印は、レーザーを照射することにより、素材の表面を溶融して印字や刻印を行います。刻印は、高精度に行うことが可能です。
- レーザー彫刻は、レーザーマーキングのひとつでもあり、グラフィックデータがあれば、彫刻することができます。また、高精度で彫刻を行えるため、細かい彫刻を行うことが可能です。
レーザー彫刻の使用用途
レーザー彫刻は、木材やプラスチック、布、金属、アクリル、ガラスなどの素材を彫り刻むことができます。レーザー彫刻機によっては、ゴム・果皮・石などのやわらかい素材やかたい素材にも彫刻することが可能です。また、レーザー彫刻は、摩擦に強いため、半永久的に彫刻が残ります。このことからノベルティなどによく使用されています。
レーザー彫刻に使用するレーザー光は、約0.1mmの精密さです。手彫りでは困難な文字や線の再現が可能です。レーザーによる彫刻は、素材によって彫刻される色合いが異なり、レーザーの強度によっても色合いを変化させることができます。一般的には、アルミ製品が白色で、真鍮が金色、木製品が焦げ色です。
レーザー彫刻の原理
レーザー彫刻は、一般的にレーザー加工用のデータ作成、レーザーの出力設定・データ調整、加工材料の設置、レーザー加工の順で行われます。
まず、加工用のデータを作成します。レーザー彫刻で使用するデータは、デザイン原稿とも呼ばれ、グラフィックソフトやCADソフトを用いて作成します。デザイン原稿は、モノクロで作成し、原稿で黒色にした部分がレーザーによって加工されます。また、グラフィックソフトを使用せずとも、手書きのイラストをスキャンしてデジタルデータに変換すれば、加工を行うことができます。
次に、レーザーの出力設定とデータの調整を行います。レーザーの出力設定では、レーザー光線の強さと速さを設定します。レーザーで加工を行う際には、パワーやスピードといったパラメーターの設定値があり、材料の種類に合わせて数値を調整します。レーザー加工機は、それぞれのメーカーがパラメーターの参考値を設定しているため、テスト加工を行いながら適切な値に調整します。また、データの調整では、レーザーと素材の位置を取り決めるため、モニター画面上から原稿と照射位置の設定を行います。
最後に、レーザー加工機のなかに材料の設置を行い、レーザー加工を行います。加工機内部へ材料の設置を行ったら、加工機に加工用データを転送します。加工用データに問題がなければ、レーザー加工機を稼働させて加工を開始します。
ただし、加工材料は、レーザー加工機の加工用テーブルに設置できないものは、加工を行うことができません。また、本加工の前に品質試験としてテスト加工を行うとよいでしょう。