貴金属分析

貴金属分析とは

貴金属分析は、ネックレスや指輪などの宝飾品や歯科治療用品、電子機器などの廃棄版、炉底から排出される溶融メタルなどに含まれる金属成分を検出する試験方法です。また、そのほかにも自動車の触媒中に含まれる貴金属の分析などにも活用されています。

貴金属分析は、宝飾品の鑑定に関わりが深く、高価な貴金属を取り扱うには、技能と技術の蓄積が必要不可欠です。貴金属の登録認定機関には、ロンドン金市場の「LBMA:The London Bullion Market Association」や白金とパラジウム市場の「LPPM:The London Platinum & Palladium Market」などがあります。

貴金属分析の使用用途

貴金属分析は、主に貴金属や廃棄板のリサイクルで活用されています。そのほかにも税関分析室にて密輸入された金製品の鑑定を目的に活用されたり、メッキ浴のさまざまな成分を分析することなどにも利用されています。

リサイクル分野では、品物を溶解し、貴金属ごとの含有量を測定します。そして、化学的処理で貴金属を単離することにより、貴金属を精錬し、地金として再生しています。

関税中央分析所報によると、税関分析室では、消費税率が増税されたことに加えて、金の取引価格が高騰していることから、メッキや塗装などにより偽装された貴金属の持ち込みが増加しているそうです。

税関分析室での貴金属分析は、例えばメッキされた金製品からメッキを除去した後に分析を行う方法などがあります。金は、王水に溶けるため、メッキの除去を王水以外の硝酸塩酸などの酸により行います。メッキに使用された金属の種類は、蛍光X線分析により判断することが可能です。

貴金属分析の原理

貴金属分析には、蛍光X線分析とICP発光分析があります。以下において、それぞれの分析法を解説します。

蛍光X線分析は、X線を物質に照射することで発生する固有のX線(蛍光X線)を利用する方法です。照射したX線が物質の構成原子である内殻電子を励起し、生じた空孔に外殻電子が移動することにより、内殻と外殻のエネルギー差に対応したX線が放出されます。この放出されたX線が蛍光X線です。蛍光X線は、元素固有のエネルギーを有しており、このエネルギーからモーズリーの法則によって、定性分析が可能になります。また、このエネルギーのX線強度から定量が可能になります。

ICP発光分析は、発光分光分析法のひとつです。分析試料にプラズマのエネルギーを与えると、試料中に含有されている成分元素が励起されます。この元素が低いエネルギー準位に戻るときに放出されるスペクトル線を測定する分析手法です。また、ICPは「Inductively coupled plasma:誘導結合プラズマ」の頭文字から構成されており、高周波コイルに対して、高周波を流すことにより、トーチ部に電界を発生させ、ここにアルゴンガスを流すことで放電し、プラズマを生成します。

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