PCB分析

PCB分析とは

PCB分析とは、対象物のPCB含有状況を調べる試験です。

PCBは「Poly Chlorinated Biphenyl (ポリ塩化ビフェニル) 」の略称であり、合成化学物質の一つです。PCBは絶縁性・耐薬品性が優れていることから、かつては電気機器の絶縁油や塗料などに幅広く使用されていました。

ただし、人体や生活環境に悪影響を及ぼす有害物質であることが判明し、1972年以降製造を禁止されています。

PCB分析の使用用途

PCB分析は、電気機器などを破棄する際に用いられます。1972年以前に製造された電気機器が稼働している場合は、廃棄する際にPCB分析でPCB含有有無を調査します。

また、1990年付近に製造された機器でも意図的ではない微量のPCBが絶縁油中に確認される場合もあるため、PCB分析が必要です。PCB分析でPCB含有が確認された機器は、通常の産業廃棄物ではなく、PCB汚染廃棄物として処分しなければなりません。

近年では、PCB分析結果が無ければ廃棄を請け負わない産廃業者も少なくないため、そのような場合はPCB分析を実施して不含を確認します。

PCB分析の原理

PCB分析には、低濃度PCB含有廃棄物の測定法と絶縁油中の微量PCB簡易測定法の2通りがあります。

1. 低濃度PCB含有廃棄物の測定方法

低濃度PCB含有廃棄物の測定方法は、廃棄物中の濃度が5,000mg/kg以下のものと100,000mg/kg以下のもの、微量PCB汚染物があります。これらの判定を行うには、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理推進室が公表している低濃度PCB含有廃棄物の測定方法に従うことが大切です。

この公開文章では、廃棄物の種類ごとに試験方法が定められています。それぞれについて試薬や器具などが定められており、試料の操作についても公開されています。

2. PCB分析の簡易測定法

PCB分析の簡易測定においては、マニュアルを環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課が公表しています。絶縁油の測定にあたっては、共存する妨害物質の存在について留意が必要です。

共存する妨害物質には、1種から7種までの物質が定められています。

PCB分析のその他情報

1. PCBと廃棄物処理法

PCBを含む廃棄物のうち微量PCB汚染廃電気機器は、2009年の11月に廃棄物処理法に定める無害化処理認定制度の対象廃棄物に追加されました。2010年の6月には、同制度のもとで焼却による処理が行われるようになりました。

その後の2012年8月には、PCB含有量が5,000mg/kg以下のPCB汚染物質等も同制度の処理対象廃棄物に加えられました。結果として、微量PCB汚染廃電気機器と上述したPCB汚染物質が低濃度PCB廃棄物と呼ばれ、無害化処理認定施設によって焼却処理できるようになりました。

上記の取扱いについては、低濃度PCBに関するガイドラインが作成されて環境省より公表されています。

2. PCB汚染廃棄物の処分方法

高濃度PCB廃棄物はJESCOで処理し、低濃度PCBは民間事業者で処理する方法が一般的です。JESCOとは、国などから委託を受けてPCB廃棄物の処理を行う政府全額出資による特殊会社のことを指します。

民間事業者でPCB廃棄物を処理する場合には、民間事業者が環境大臣による認定と都道府県市による許可を受けていなければなりません。高濃度PCB廃棄物については、PCB特別措置法に基づいた処分期間もしくは特例処分期限日までに処分を委託する必要があります。

低濃度PCB廃棄物については、2027年の3月31日までに処分委託を行わなければなりません。

3. PCB廃棄物の収集と運搬方法

PCB廃棄物の収集と運搬に関しては、主に収集運搬事業者が行います。収集運搬事業者はPCBの漏洩防止対策を施した運搬容器で運搬しなければなりません。

運搬車には応急措置設備が搭載され、緊急時の連絡設備などが備え付けられている必要があります。運搬に関する業務に従事する者は、PCBの性状や応急措置の知識と技能を有した者に限られます。

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