ダイオキシン分析とは
ダイオキシン分析とは、一般ごみや産業廃棄物焼却施設、製鋼用電気炉、紙などの塩素漂白工程、たばこの煙、自動車の排ガスなどから生じるダイオキシンを検出する方法です。
ダイオキシンは、発生源対策や汚染状況の調査、測定が義務付けられています。また、ダイオキシン類の分析を繰り返し、または継続的に行う事業所は、特定計量証明事業とされ、事業所ごとに所在地を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要があります。
ダイオキシン類対策の経緯としては、昭和58年にごみ焼却施設の飛灰からダイオキシンが検出されたことがはじまりです。
現在、日本におけるダイオキシン類の対策は、平成11年3月にダイオキシン対策関係閣僚会議(平成12年12月廃止)により制定されたダイオキシン対策推進基本指針と平成11年7月に議員立法により成立したダイオキシン類対策特別措置法の2つを基に推進されています。
ダイオキシン分析の使用用途
ダイオキシン類対策特別措置法に基づく基準では、環境基準や排出基準が定められており、これらの調査や測定が義務付けられています。
環境基準は「大気:年平均値0.6-TEQ/m3以下」「水質:年平均値1pg-TEQ/l以下」「底質:150pg-TEQ/g以下」「土壌:1000pg-TEQ/g以下」です。
排出基準は、一部を抜粋して紹介します。排ガスの特定施設および排出基準値は、廃棄物焼却炉において、火床面積が0.5m2以上、または焼却能力が50kg/h以上の場合に該当します。また、施設規模が4t/h以上の場合、新設施設基準では、0.1ng-TEQ/m3N、既設施設基準では、1ng-TEQ/m3Nです。
ダイオキシンは、毒性が高く、人体に有害なため、ダイオキシン類対策特別措置法において、以下の通りに分類しています。
一般的にダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を総括してダイオキシン類と呼んでいます。そして、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB、ダイオキシン様PCB)のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類似化合物と呼んでいます。
平成11年7月16日に公布されたダイオキシン類対策特別措置法では、PCDDおよびPCDF、コプラナーPCBを含めてダイオキシン類と定義しています。
ダイオキシン類は、基本的に炭素で構成されるベンゼン環2つが酸素で結合しており、そこに塩素が付いた構造をしています。PCDDには75種類、PCDFには135種類、コプラナーPCBには12種類の仲間があります。これらのうち毒性があるとみなされているのは29種類です。
ダイオキシン分析の原理
政府は、平成12年9月のダイオキシン類対策特別措置法に基づき「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」を策定し、総排出量を平成9年比でおおむね9割削減することを目指して、平成14年度末のダイオキシン類の削減目標値(843〜891g-TEQ/年)および、その事業分野別の削減目標量を設定しました。そして、平成15年のダイオキシン類の推計排出量は、平成9年比で約95%削減することに成功しました。
しかし、平成16年11月12日の中央環境審議会では、ダイオキシン類は、環境中で分解しにくく、一度排出されたダイオキシン類が環境中に蓄積されていくことなどから長期的なリスク管理が必要であると提言しました。
これを踏まえて平成17年6月に国の計画変更を行い、平成22年の目標値を315〜343g-TEQ/年に設定し、平成22年のダイオキシン類の排出量は、削減目標量を事業分野ごとに下回っており、目標が達成されています。
このような経緯があり、ダイオキシン類の排出量は、着実に減少し、大気や水質のダイオキシン類濃度は、国内において環境基準を達成しており、人の平均的な蓄積量も基準値を下回っています。
以上のことからダイオキシン分析は、非常に重要であり、ダイオキシン類の汚染を今後も改善していくには必要不可欠な取り組みです。