キーシーター

キーシーターとは

一般的に、円状の穴に溝を掘る加工のことをキーシーター加工と呼びます。この切削加工に用いたられる機械のことをキーシーターと呼びます。

キーシーターは、加工外径の大きな製品や切削長が長い製品、キー溝の幅が広い加工に用いられる装置です。スロッター加工に比べて、大きい製品に適した切削加工を実現します。

50mm程度のキー溝幅だと1回で切削する事ができます。高精度に加工されたキーシーター用カッターが上下運動し切削を行います。そのため、ストロークの範囲内であれば、複数の製品を積重ねて、同時に加工することも可能です。

キーシーターの使用用途

キー溝やスプラインの作成に用いられます。内側に溝を掘ることで、軸(シャフト)と歯車が一体となり、回転運動を伝える際に、空回りするのを防ぐことができます。軸や回転体にはキーを入れる溝があるものと、ないものに分けられています。溝があるタイプは、動力伝達用に使用され、溝がないタイプは、軽荷重用に利用されています。また、動力伝達用のキーの大部分は、キー高さが変わらない「平行キー」です。電動トルクの伝達を重視する場合は、キー高さが浅くなる「勾配キー」を適用します。

キーシーターは、長い加工幅を活かした切削が持ち味です。外径の大きなワークが加工可能です。切削サイズによっては、一回の加工で切削できます。

キーシーターの原理

キーシーターの基本原理は、スロッター加工にさかのぼります。スロッター加工とは、主にキー溝加工に用いられる加工方法です。作りたいキー溝の形に沿った刃物を上下運動することで切削加工を行う方法です。

深奥方向の調整は、手動で行います。加工途中で、ゆっくりと溝を掘るように移動させます。人の手で行うため、見た目、音、感覚を用いて少しずつ移動させます。1回のストロークではさほど変化は分かりませんが、何回も繰り返し行うことで切削が完遂します。イメージとしては、大工さんが使うカンナのように、繰り返し回数を重ね、時間をかけて切削していきます。

一方で、スロッター加工の特徴は、一つずつの形状ごとに加工するキー溝の大きさや長さの自由度が高い点です。設定は、任意の値を入力することができます。具体的には、内径、キー幅、キー深さ、切込み量、ゼロカット回数、クラウン量を入力します。後は、人の手で治具をセットし、スタートするだけです。

クロスローラーガイド

クロスローラーガイドとは

クロスローラーガイドは、精密ローラーを交互に直交させて組んだ有限ストロークタイプの直線案内です。剛性の高い、しかも動きの軽い直線運動が得られるので、特に精度、剛性の要求が高い直線案内に適しています。似ている部品に、ボールガイドがあります。

クロスローラーガイドと同じ役割で、ローラの部分がボール(剛球)に変わっただけです。一般的に、クロスローラーガイドの方が高価で長持ちします。また、厚み方向にはクロスローラーガイドの方がコンパクトです。

クロスローラーガイドの使用用途

クロスローラーガイドは、一般的に軌道台と呼ばれるパーツを平行移動するために用いられます。一定区間を俊敏な動作が必要になる場合に多用されています。

例えば「OA機器および周辺機器」「各種測定器」「プリント基板穴明機」などの精密機器や「光学測定器」「光学ステージ」「ハンドリング機構」「レントゲン装置」などのスライド部に使用されています。また「工場内での製品の移動や仕分け」「可動軸の支持装置」として活用されています。

クロスローラーガイドの原理

クロスローラーガイドは、精密ローラーを交互に直交させて組込んだローラーケージを、専用レールに設けられた90°V溝転動面に組合わせて使用します。2列のクロスローラーガイドを平行に組付けることにより、4方向の荷重を負荷することができます。また、予圧を与えられるので、隙間が極めて小さくなり、剛性が高くなります。剛性とは、振動や衝撃に対する頑丈さの指標です。これにより、さらに動きの軽いスライド機構が得られます。精密ローラーを交互に直交させて組込んだケージが、レールに設けられたV溝をストロークの1/2だけ移動するため、とてもコンパクトで、剛性の高い直動システムです。

耐久性の高いクロスローラーガイドが必要な場合は、剛性が高い型式を選びましょう。特に、ローラ間のピッチが短く、ローラ本数が多い型式ほど剛性が高いことが分かっています。さらに、内部にラック・ピニオン機構を内蔵することで、ガイドのずれが、ほぼ発生しなくなります。

コモン端子台

コモン端子台とは

コモン端子台とは、共通端子であるコモン端子を整列固定する端子台です。

動力制御盤などで使用されることが多いです。PLCなどの制御機器は、一般的に複数の機器の制御を担います。その配線は1つの接点で対象機器を制御するため、複数機器で共通となる端子があり、この端子をコモン端子と呼びます。コモン端子を複数機器に分配するために使用される端子台が、コモン端子台です。

コモン端子台を使用することで、複数の電線やケーブルをまとめて配線することができます。これにより、配線が乱雑にならず、整理された状態を保つことが可能です。したがって、配線の管理や保守作業も容易になります。

コモン端子台の使用用途

コモン端子台は主に電気回路で使用され、産業からOA機器まで幅広い用途で活用されます。以下はコモン端子台の使用用途一例です。

1. 製造業

コモン端子台は、工場や製造現場の産業機械で広く使用されます。これらの機械では、制御機器にPLCなどの制御装置が使用されます。制御装置が制御する対象機器は、複数のセンサーやモーターなどである場合が多いです。

これらのデバイスをコモン端子台を介して配線することで、信号の統合や制御が容易になります。また、メンテナンスや修理の際にも作業を簡単にすることが可能です。故障したセンサーを交換する際には、コモン端子台から簡単に接続を解除し、新しいセンサーを接続することができます。

2. 自動車産業

自動車の配線や電子制御システムにおいても、コモン端子台が使用されます。エンジン制御ユニットやセンサー、エレクトロニクス関連の部品などを接続する際に使用されることが多いです。

車両内の信号の統合や配線の整理、メンテナンスの容易さが求められます。コモン端子台を使用することで、信号線の一元化や配線の管理が効率的に行われ、車両の信頼性や保守性が向上します。

3. 電子機器

コモン端子台は、様々な電子機器においても広く使用される機器です。コンピューターケース内部での配線や周辺機器の接続に利用されます。USBハブやオーディオ機器、モニターなどの接続に使用されることがあります。

これにより、複数のデバイスを1つのポートに接続することが可能です。また、コモン端子台を介して配線をまとめることで、配線の整理やメンテナンス作業が容易になります。

コモン端子台の原理

コモン端子台はベース、ターミナルブロック、端子カバーなどで構成されます。

1. ベース

ベースは コモン端子台の基礎となる部分で、一般的にはプラスチックや金属で作られています。ベースには端子台の固定台や取り付け穴があり、ターミナルブロックを安定して固定することが可能です。

また、制御盤内部に導入する場合はDINレールに取り付けることで整列させる場合が多く、裏面にDIN取付用の金具が付いている場合があります。

2. ターミナルブロック

ターミナルブロックは端子台のことで、複数の端子が備わった主要部品です。これらの端子は一般的にネジやクランプなどの接続方法で導線を固定します。

端子ごとに識別するためのマークや色が付与される場合があり、これによって配線の識別や管理が容易にすることが可能です。

3. 端子カバー

端子カバーは、端子ブロックを保護するためのカバープレートです。カバーは一般的に透明なプラスチックで作られており、端子へのアクセスを制限して安全性を高めます。また、カバーには配線経路や端子の配置を表示するためのマーキングも施されることがあります。

コモン端子台の選び方

コモン端子台を選ぶ際は、配線の太さや点数を主な要素として選定します。

1. 配線の太さ

配線の太さは、コモン端子台に接続可能な配線の太さです。コモン端子台に接続する配線の導体直径は、一般的に1.25mm2または2mm2が多いです。機器によって接続可能な配線の太さが異なるため、接続する配線から機器を選定する必要があります。

2. 点数

点数は、接続できる配線数です。一般的に4の倍数となっていることが多く、16点や32点の製品が存在します。制御対象機器に合わせて、必要な数を選定することが必要です。その他、ニーズに合わせて省スペース製品や端子色が異なる製品が存在します。

タッピングペースト

タッピングペーストとは

タッピングペーストとは、塗布性と保持力を改善した切削油剤です。

広範囲な材質に適応可能で、タップ作業や低速切削作業等に最適です。一般的に、塩素タイプと非塩素タイプが市販されています。塩素タイプは、加工性が優れますが、加工により発生した熱によりダイオキシンが発生する可能性があると指摘されています。一方で、非塩素タイプは、塩素タイプに比べて有害性はありませんが、加工性が劣ります。使用方法によって適切なタイプを選定する必要があります。

タッピングペーストの使用用途

タッピングペーストは「ドリル」「リーマ」「ねじ切り作業」など、あらゆる低速切削作業や難削材に利用可能です。また、材質によって油種を変える必要がありません。例えば「炭素鋼」「合金鋼」「ステンレス」「鋳鉄」「アルミ合金」などにも適用でき、汎用性が高いです。特に「ステンレス」「耐熱鋼」などの難削材のタッピングには絶大な威力を発揮します。

さらに、常温でペースト状のため、取り扱いが容易で横穴加工にも適します。タッピング作業のみではなく、あらゆる低速切削作業に利用が可能です。刷毛塗り、筆付けが可能なため、ねじ切り、ヘール仕上げ、フライス、ドリル、リーマ、ダイス通し、オーバーバイブねじ切りなど、切削困難な場合こそ十分な効果を発揮します。

タッピングペーストの原理

金属材料の加工時に、熱や切子が発生します。それらは、作業環境を悪化させたり、道具・工具の変形・破損につながります。そこで、金属材料を切削する際に、切削油を用います。この切削油は、摩擦を抑える潤滑効果、発生した熱を放冷する冷却効果、切削により発生した微粉を洗い流すクリーニング効果があります。そのため、切削油は、常温ではペースト状のため、液状の切削油のように作業時に飛び散りません。したがって、大量に使用する必要がありません。

また、取り扱いが容易で、タップしたい部分に保持できるため面倒な作業が不要です。さらに、タップ加工をほどこしている時に発生する熱で、ペーストが液体に変化します。これにより、切削箇所に浸透するため、手加工やタッピング機での加工に最適です。

硫黄および塩素系の化学物質で構成されているため、粘性が高過ぎず切削がスムーズです。ただし、銅板腐食の中でも強い効果を発揮する活性硫黄系は、銅系において変色するので、および銅合金には適用できません。リーマ、タップ、ブローチ等の低速で仕上げ面重視のタイプなので、加工する材質や加工方法で選んだほうが好ましいです。

タッピングペーストの使い方

タッピングペーストは、ブラシや刷毛に少量つけてタップの刃先や下穴に塗って使用します。あまり大量につけすぎると穴加工時の視認性が悪くなる他、清掃が大変になり効率が悪くなりますので少量で十分です。

また、冬季などの寒い環境だとペーストが固まりやすくなり、浸透性や食いつきが低下するので不水溶性切削油などを加えて攪拌することで適切な濃度に調整して使用します。

穴加工ごとにタップに塗布する必要があるので、マシニングセンタを使用した連続的なタッピング加工にはタッピングペーストではなく切削油を常時出して加工します。

タッピングペーストのその他情報

タッピングペーストの洗浄

タッピングペーストの洗浄には、脱脂洗浄剤を使用します。

加工後の切りくずをエアブローで除去し、ウエス等で穴からはみ出したタッピングペーストを拭き取ります。

固形状のため切削油を使用した場合と比べると加工後の穴や表面、治具などに余ったタッピングペーストが付着しがちで汚れが頑固なため、脱脂洗浄剤を使用して清掃する必要があります。

タッピングペーストは材料を問わず優れた保護性能と潤滑性を発揮する反面、加工後の清掃に手間がかかるといったデメリットがあります。

ハンドタップにて少量の穴加工を手で加工するときはタッピングペースト、マシニングセンタを用いて大量のタッピング加工をするときは切削油といった使い分けが必要です。

チップドレッサー

チップドレッサーとは

チップドレッサーとは、スポット溶接の電極部を切削加工し、溶接性を回復させる装置です。これまで電極部の研磨は、手動によるヤスリ掛け作業が主流でした。しかし、作業者の安全面、作業負荷および品質に問題がありました。これらの問題を解消した研磨機がチップドレッサーです。

また、一般的な研磨機では、精密なチップ形状を再現しにくいことから、チップドレッサーは重宝されています。研磨対象となる溶接電極の種類、数、設置場所によって、チップドレッサーの種類を選定する必要があります。

チップドレッサーの使用用途

チップドレッサーは、スポット溶接用装置に適用されます。スポット溶接は、非常に広い分野で用いられています。主に「自動車製造」「家電」「住宅設備機器」など、多岐に渡ります。

また、溶接性を修復するだけでなく、溶接時に発生するバリを除去することができます。チップドレッサーにはハンディタイプと据え置き型があります。現場にて簡易にメンテナンスをするにはハンディタイプが適しています。一方で、チップの汚れが著しい場合であったり、精密な研磨が求められる場合には、チップを取り外した上で、据え置き型で処置する方が好ましいでしょう。”

チップドレッサーの原理

研磨パーツをセットした円形の部分を高速で回転させます。そこにチップを当てることで研磨が進行します。また、垂直に精度高く研磨するために、フローティングユニットが使われています。
これにより、適切な角度を維持し、チップやドレッサーへの負荷を軽減できます。

装置によっては、先端判別センサーが備え付けられており、適正に研磨されているかを速やかに確認することができます。電極は、先端の精密な径が重要になるため、光センサーによる計測を適用しています。

また、電空比例弁と多機能コントローラを使用したプログラム加圧によりドレッサーの電極への適正加圧ができる装置もあります。研磨屑による装置へのダメージを避けるため、研磨時に飛散せずに集積するチップコレクターを所持している機種もあります。単純なチップ形状であるA型、F型、P型は、一般的なチップドレッサーでも対応可能です。一方で、複雑なチップ形状である、E型、R型に対しては、特殊な機種を選定する必要があります。

ディスクリミネータ

ディスクリミネータとは

ディスクリミネータとは、電気信号のノイズ部分をカットする回路および装置です。和名では、周波数弁別機ともいわれます。

また、周波数を振幅に変換して出力することができます。これを応用し、FMラジオ放送が成り立っています。
横軸を入力周波数、縦軸を出力電圧として2次元面上にプロットすると、Sの字のような特性を示します。
各ディスクリミネータ値は、0Vから10Vまで0.01Vずつ設定することができます。必要に応じてオフにすることもできます。

ディスクリミネータの使用用途

ディスクリミネータは、実際の測定結果からノイズを除外するのに使われます。例えば「製造における異常時の検出システム」や「研究開発における微小な変化を与えたサンプルの検出システム」に用いられています。

具体的な例として、製造では溶接スパッタにおける正常なアーク溶接であるかを検出するシステムに使われています。また、生化学研究においては、細胞や細菌を評価するフローサイトメーターで利用されています。フローサイトメーターとは、核のDNAを蛍光染色した細胞1個ずつを高速で測定し、核DNA含量の分析と分取を行う装置のことです。このフローサイトメーターでは、ディスクリミネータは、不要な細胞片情報を汲み取らないように働きます。

ディスクリミネータの原理

ディスクリミネーターは、任意の電圧パルスを設定することができます。設定した電圧パルスの電圧が、排除基準値を越えた場合に、電圧パルスをアナログデジタルコンバータに取り込み、数値化します。一般的なシステムでは、8種類の電圧パルスを設定することができます。どの設定値も排除基準を超えないと、ノイズとして判断されデータは取り込まれません。

フローサイトメーターに用いる場合、評価対象以外の細胞が存在します。その細胞を検出しない様に、測定したい物質に特化した電圧パルスを設定することが必要です。

また、FM復調に関して、ディスクリミネーターは、ある電波の周波数の変化を振幅の変化に変換します。これには、ファオレスター・シーレ回路や、レシオ検波回路が用いられます。これらの回路は、共振回路にその中心周波数から少しずれた信号を入れると、出力の位相が周波数の偏移量に応じて、ずれるという現象を利用した検波回路です。

ブローバッククリーナー

ブローバッククリーナーとは

ブローバッククリーナーは、一般的に産業用の掃除機として利用されています。外観は、ホースが連結した蓋状の装置です。捕集容器になるペール缶に密着した状態で、圧縮空気を通すことで吸引機能を発揮します。

取扱いが容易で、コンパクト・ローコスト・ノーメンテナンスといった特徴があります。産業用掃除機としては、ブロワを搭載した型式も市販されています。圧縮空気を供給するラインがなくても、単独で稼働できます。その反面、コストが大幅にかかり、メンテナンスも必要になります。

ブローバッククリーナーの使用用途

ブローバックックリーナーは、固体・液体、または乾燥・湿潤に関わらず、幅広い物質を吸引できます。

固体としては「砂」「金属の切り粉」「粉塵」「木屑」「樹脂ペレット」が吸引対象です。これにより「機械加工工場における切り屑の回収」「鋳物工場における砂や切り粉の回収」「射出成形機におけるペレットの回収」に利用されています。

また液体では「水」「油」「ヘドロ」などが対象になります。使用用途としては、「各種機械のオイル交換及びヘドロの回収」「マンホールや溝に溜まった油や泥水の回収」「プレス機の打ち抜きカス及び油圧油の回収・交換」「洗車機のヘドロの回収」(ガソリンスタンド)「ショットブラスト機の砂と鉄球の回収」に用いられます。

ブローバッククリーナーの原理

ブローバックックリーナーは、圧縮空気の供給可能な場所であれば、屋内、屋外を問わず使用できます。まず、圧縮空気をクリーナー内に通し、エジェクターより排出する機構になっています。これにより、ペール缶を含む掃除機内部が陰圧になり、吸込ノズルより対象物を吸い込みます。

ブローバックックリーナーとペール缶が機密高く密着することで、安定した吸引力を発揮します。そのため、両者をつなぐゴムパッキンの溝にしっかりとはめ込むことが大事です。よって、捕集容器のサイズによって、適切なモデルを選択する必要があります。

市販品では、数十L用から200Lのオープンドラム用までラインナップされています。エジェクターに通す使用空気圧は、5 〜 6kg/cm2 が適当です。圧力と真空度は比例関係にあります。よって、圧力が低いと十分な吸引力を発揮できません。また、圧力が高過ぎると、容器が潰れる恐れがあるため注意が必要です。

圧力試験機

圧力試験機とは

圧力試験機は、容器や配管などに圧力を与えて、耐久性を検査する装置です。圧力試験には外圧試験と内圧試験の2種類があります。外圧試験は、窒素などの気体や水を利用して試験対象物の外側から圧力をかける試験です。

一方で、内圧試験は、試験対象物の内部から圧力をかける試験です。内圧試験の延長線上に破裂試験があります。これは内部にかけられた圧力で、対象物が破裂する時の圧力を計測する試験です。

機種によっては、温度や振動、パルス加圧を与える装置があり、過酷な状態での試験も可能です。

圧力試験における基本となる設定値は、圧力、周波数、圧力波形、サイクル数、試験時間です。また、一般的な評価項目は、耐圧強度、耐圧縮強さ、耐久性です。

圧力試験機の使用用途

圧力試験機は、圧力媒体に気体もしくは水が使えるため、試験対象物が実際に使用される環境に近い状態で試験が可能です。例えばガス配管や、高圧ガス容器は、窒素などの気体を使用した試験が適しています。また、水道管を試験する場合は、水を使うことで適切な評価が可能です。

一般的には「容器」や「配管」などの気密性を確保する必要がある製品・部材に対して試験が行われます。また、漏れが生じやすい「バルブ」や「配管のつなぎ目」のテストにも重宝されます。

圧力試験機の原理

外圧試験機は、強制的に圧力を加えていき、そのときの反力を測定する方法で荷重の大きさを計測します。圧力を加える装置として、一般的には、油圧ジャッキが使われます。計算の際は、油圧を計測して荷重に変換します。また、機械的にネジを締めて圧力を加える機種もあります。この場合の駆動力は、電気モーターを使用します。

荷重の大きさを精度よく測るために、ロードセルが内蔵されています。ロードセルは、歪みゲージにより、圧力を電気信号に変換する装置です。

内圧試験機は、ウォータージェットと呼ばれる超高圧水を利用します。ノズルから高圧で噴射し、密閉容器などに水を押し込んで、生じる圧力を試験に利用します。また、加圧に波を持たせたインパルス型の試験機も存在します。内圧の変動に対して、耐久性を確保しなければならない機器や器具の評価に用いられます。例えばウォータージェット装置に使用する超高圧ホースがそれに当たります。過酷な圧力波形をパルス的に加えることで、短時間に評価シミュレーションが可能な耐圧試験装置です。

真空管

監修:株式会社テクソル

真空管とは

真空管とは

真空管は、内部を高度な真空とし、電極を封入した中空の管(管球)のことです。電子を放出する電極(陰極)を高温に加熱し熱電子放出効果により、陰極表面から比較的低い電圧により容易に電子を放出させ、この電子を電界や磁界により制御することにより、増幅、検波、整流、発振、変調などができます。

真空管は電子の作用を応用しているので電子管ともいわれています。構造としては、一般的にガラスや金属あるいはセラミックスなどで作られた容器内部に複数の電極を配置し、容器内部を真空もしくは低圧とし、少量の稀ガスや水銀などを入れた構造を持ちます。

その電極の数により、2極管、3極管、4極管、5極管という。さらに 2極管の中でも整流に用いるものを特に整流管と呼びます。

真空管の使用用途

一般的な電気電子回路において汎用的(整流、変調、検波、増幅など)に用いる目的の素子としては、多くが半導体素子に置き換えられ、真空管はその役割をほぼ終えていますが、半導体では実現が難しい高周波及び大電力を扱う特殊な用途で送信管として現在でも使われており、放送局用、軍用として製造されています。またオーディオアンプやギターアンプなどでは、その音の良さから現在も真空管によるアンプが好まれ、それらの用途のための真空管が現在も大量に生産されています。

特殊な真空管の一種であるマグネトロンは、強力なマイクロ波の発生源として、電子レンジやレーダーなどに使われ、現在でも生産されています。

他にも、X 線を発生させる X 線管や、高感度光計測に用いる光電子増倍管(PMT)、暗視管(イメージインテンシファイア)など真空管は高度で先端的な用途にも使われています。

真空管の原理

真空管の原理

真空中で物質を高温に加熱すると、物質内の電子は熱エネルギーを得て、その物質表面より放出されるという性質があります。これは熱電子放射現象と呼ばれており、真空管のほとんどはこの現象を利用して作られています。

2極真空管はフィラメントを高温に加熱すると熱電子が放出され、プレートに正の電位を加えるとプレートに電子が引き寄せられることによって電流が流れ、プレートに負の電位を加えると電子が跳ね返され電流が流れなくなります。つまりプレートに交流(正負の電圧が交互に流れる)の電圧をかけると正の電圧の時だけ電流が流れ、負の電圧の時は電流が流れないことになります。これを整流と呼びます。

3極真空管はプレートとフィラメントの間にグリッド(金網)を入れ、グリッドの電位を変化させることによってフィラメントからプレートに向かう電子の流れを制御することができます。グリッドの電位を負側に強くするとプレートに流れる電子の数を少なくすることができます。そしてグリッド電圧変化よりもプレートに流れる電流の変化の方が大きくなります。つまりプレート回路に負荷抵抗を入れてその電圧を測定すると、グリッド電圧変化よりも負荷抵抗にかかる電圧変化の方が大きくなります。これが増幅作用で
す。

その他にも 3極管の改良型として 4極管、5極管、ビーム管があります。

真空管の種類

真空管は以下のように数種類あり、それぞれ性質が異なります。目的に合致するものを選択してください。

  • オーディオ・ギター用真空管: 音楽や楽器演奏の信号を増幅するアンプに用いられます。
  • 送信管: 無線通信や放送などの送信機、工業用の高周波発生装置などに用いられます。
  • 陰極線管 (cathode-ray tube, CRT) : ブラウン管などの電子ビーム映像表示装置に用いられます。
  • マグネトロン: レーダーや電子レンジなどマイクロ波を発生させる装置に用いられます。
  • 撮像管: 昔は TV カメラに使われていましたが、最近では耐放射線特性から原子炉廃炉作業等に使われます。
  • 暗視管 (イメージインテンシファイア): 暗視用装置やゴーグルに用いられます。
  • X 線管: 歯科用や工業用の X 線検査装置に用いられます。

 

本記事は真空管を製造・販売する株式会社テクソル様に監修を頂きました。

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オイルろ過装置

オイルろ過装置とは

オイルろ過装置は、油圧機器に用いる潤滑油や作動油を劣化した状態から油を再生するための装置です。通常、機器に用いる油は、劣化した油を廃棄し、新しい油に入れ替えます。しかし、この方法では、新油の購入費用や油の廃棄費用、環境負荷の増大など、あらゆる問題を生じます。そのため、油を再生して再利用することは、コストの削減や環境負荷の低減などの観点からも大切になります。

また、オイルろ過装置は、油圧機器を作動させながら、油のろ過が可能なため、油圧機器の故障を防ぐことにもつながります。なぜなら、油圧機器の故障は、大部分に作動油の汚染が影響しているからです。よって、オイルろ過装置を導入することで、油圧機器の安定した稼働が可能となります。

オイルろ過装置の使用用途

オイルろ過装置は、主に油圧機器を導入している工場において使用されています。油圧機器は、製鉄機械や工作機械の動力源として使用されているため、製品の生産において、必要不可な機器です。

近年では、24時間体制で生産している工場も数多く存在しており、油圧機器の故障は、安定した稼働において障害となります。

また、オイルろ過装置は、油圧機器に使用する作動油や潤滑油以外にも、食品や自動車業界でも活用されています。例えば食品業界では、外食産業が挙げられます。食品を揚げるフライヤーには、食品用の油が使用されており、古い油を使い回していると、揚げ物がベタベタしたり、不純物が食品に付着することで、品質の劣化を招きます。そのため、オイルろ過装置で油をきれいにすることで、油代の削減や品質の安定を図っています。

自動車業界では、自動車の加工に使用するクーラント液の「ろ過装置」として利用されています。クーラント液は、消防法で「危険物・第四類・第三石油類」に分類されており、作動油なども該当しています。

オイルろ過装置は、切削加工の際に生じる切りくずやスラッジを回収することで、クーラント液の寿命を延ばし、消費量を低減させています。

オイルろ過装置の原理

一般的なろ過の方法は、多孔性のろ材に油を通過させて固体粒を除去する仕組みで行われています。この方法以外では、磁石や遠心力を利用して油の酸化生成物を除去する仕組みがあります。このトピックでは、最も広く取り入れられている多孔性のフィルターについて解説します。

多孔性のフィルターは、油の流れや固体粒の補足などによって「表面式:Surface Type」「エッジ式:Edge Type」「多孔体式:Depth Type」の3種類が存在しています。

1. 表面式

表面式は、単純なろ過方式を採用しており、フィルターの表面のみでろ過を行います。そのため、フィルターによる圧力損失が少ないが、固体粒の吸収容量も少ないです。フィルターは、主に目が粗い場合には、金網が用いられており、目が細かくなれば、紙に石炭酸樹脂をしみこませ、加熱成形を行うことで、目の細かさを調整しています。

2. エッジ式

エッジ式は、ろ材の周囲から半径方向に沿って、隙間をつくり、油が通過する際にろ過を行います。この方法は、流体圧力が高いときに採用されます。また、ろ材を繰り返し使用することが可能です。

3. 多孔体式

多孔体式は、ろ材の外側だけに固体粒がつまってしまわないように注意する必要があります。フィルターには、薄いフェルトや圧縮した綿、セルロース繊維、フランネル、石綿などを成形したもの、もしくは金属粉を焼結などにより固めたものが使用されています。