ステンレス箔

ステンレス箔とは

ステンレス箔とは、ステンレス鋼を圧延して薄く延ばした金属箔です。

一般的に厚さが0.2mm以下の金属膜を指します。様々な厚さの製品が販売されており、家庭で使われるアルミホイルよりもさらに薄い数μmまで製造が可能です。

クロムやニッケルといった金属を鉄に混ぜ合わせたステンレスがステンレス箔の原料です。不動態皮膜という薄い保護膜が表面に形成されています。不動態皮膜が、錆や腐食の原因となる酸素や水分から金属を守るため高い耐食性を発揮します。

また耐熱性や強度にも優れており、薄くても破れにくいという特徴があります。さらに加工がしやすい柔軟性も兼ね備えています。これらの特性から、過酷な環境下で使用する部品や精密さが求められる分野で活用されています。

ステンレス箔の使用用途

ステンレス箔は以下のような用途で使用されます。

1. 電子機器

ステンレス箔は、スマートフォンやパソコンといった電子機器の内部部品に広く使用されます。リチウムイオン電池の部材や、精密な回路を形成するフレキシブル基板の補強材として活躍します。薄くて軽く、かつ十分な強度と導電性を有するため、機器の小型化や高性能化に貢献する材料です。また電磁波を遮断するシールド材としても利用され、電子部品同士が干渉して起こる誤作動を防ぎます。

2. 自動車・産業機械

自動車のエンジンや排気系部品には、高温・高圧に耐える性能が求められます。ステンレス箔は、優れた耐熱性と耐久性から、エンジン内部のガスケットや排気ガスセンサーの部材などに使用されます。また精密な厚さ調整が可能なため、機械部品の隙間を調整するスペーサーとしても有用です。腐食にも強いため、過酷な環境に置かれる産業機械の内部でも活用できます。

3. 医療・食品

ステンレスは錆びにくく衛生的であるため、医療機器や食品関連の分野でもステンレス箔が活用されます。注射針の先端部分や精密な手術用器具の部品には、高い加工精度と安全性が求められます。ステンレス箔は、これらの要求を満たす素材の一つです。食品分野では容器の蓋材として使用され、臭い移りなどを防止します。