真空管

監修:株式会社テクソル

真空管とは

真空管とは

真空管は、内部を高度な真空とし、電極を封入した中空の管(管球)のことです。電子を放出する電極(陰極)を高温に加熱し熱電子放出効果により、陰極表面から比較的低い電圧により容易に電子を放出させ、この電子を電界や磁界により制御することにより、増幅、検波、整流、発振、変調などができます。

真空管は電子の作用を応用しているので電子管ともいわれています。構造としては、一般的にガラスや金属あるいはセラミックスなどで作られた容器内部に複数の電極を配置し、容器内部を真空もしくは低圧とし、少量の稀ガスや水銀などを入れた構造を持ちます。

その電極の数により、2極管、3極管、4極管、5極管という。さらに 2極管の中でも整流に用いるものを特に整流管と呼びます。

真空管の使用用途

一般的な電気電子回路において汎用的(整流、変調、検波、増幅など)に用いる目的の素子としては、多くが半導体素子に置き換えられ、真空管はその役割をほぼ終えていますが、半導体では実現が難しい高周波及び大電力を扱う特殊な用途で送信管として現在でも使われており、放送局用、軍用として製造されています。またオーディオアンプやギターアンプなどでは、その音の良さから現在も真空管によるアンプが好まれ、それらの用途のための真空管が現在も大量に生産されています。

特殊な真空管の一種であるマグネトロンは、強力なマイクロ波の発生源として、電子レンジやレーダーなどに使われ、現在でも生産されています。

他にも、X 線を発生させる X 線管や、高感度光計測に用いる光電子増倍管(PMT)、暗視管(イメージインテンシファイア)など真空管は高度で先端的な用途にも使われています。

真空管の原理

真空管の原理

真空中で物質を高温に加熱すると、物質内の電子は熱エネルギーを得て、その物質表面より放出されるという性質があります。これは熱電子放射現象と呼ばれており、真空管のほとんどはこの現象を利用して作られています。

2極真空管はフィラメントを高温に加熱すると熱電子が放出され、プレートに正の電位を加えるとプレートに電子が引き寄せられることによって電流が流れ、プレートに負の電位を加えると電子が跳ね返され電流が流れなくなります。つまりプレートに交流(正負の電圧が交互に流れる)の電圧をかけると正の電圧の時だけ電流が流れ、負の電圧の時は電流が流れないことになります。これを整流と呼びます。

3極真空管はプレートとフィラメントの間にグリッド(金網)を入れ、グリッドの電位を変化させることによってフィラメントからプレートに向かう電子の流れを制御することができます。グリッドの電位を負側に強くするとプレートに流れる電子の数を少なくすることができます。そしてグリッド電圧変化よりもプレートに流れる電流の変化の方が大きくなります。つまりプレート回路に負荷抵抗を入れてその電圧を測定すると、グリッド電圧変化よりも負荷抵抗にかかる電圧変化の方が大きくなります。これが増幅作用で
す。

その他にも 3極管の改良型として 4極管、5極管、ビーム管があります。

真空管の種類

真空管は以下のように数種類あり、それぞれ性質が異なります。目的に合致するものを選択してください。

  • オーディオ・ギター用真空管: 音楽や楽器演奏の信号を増幅するアンプに用いられます。
  • 送信管: 無線通信や放送などの送信機、工業用の高周波発生装置などに用いられます。
  • 陰極線管 (cathode-ray tube, CRT) : ブラウン管などの電子ビーム映像表示装置に用いられます。
  • マグネトロン: レーダーや電子レンジなどマイクロ波を発生させる装置に用いられます。
  • 撮像管: 昔は TV カメラに使われていましたが、最近では耐放射線特性から原子炉廃炉作業等に使われます。
  • 暗視管 (イメージインテンシファイア): 暗視用装置やゴーグルに用いられます。
  • X 線管: 歯科用や工業用の X 線検査装置に用いられます。

 

本記事は真空管を製造・販売する株式会社テクソル様に監修を頂きました。

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