ダイレクトドライブモーター

監修:CKD日機電装株式会社

ダイレクトドライブモーターとは

ダイレクトドライブモーターとは

図1. ダイレクトドライブモーターとは

通常ACサーボモータは中間機構(減速機、ベルト、チェーン等)を用いて大きなトルクを有効に取り出しています。
これに対して、モータと負荷(被駆動体)を直接結合し動力・動作を伝えるモータをダイレクトドライブモーターといいます。

ダイレクトドライブモーターの主なメリットは以下になります。

  • 省スペース
    大トルクを発生する減速機は構造上大型となりスペースがかなり必要となりますが、ダイレクトドライブモーターは減速機が不要なため、駆動システム全体で見ると、省スペース・小型化が可能となります。
  • メンテナンスフリー
    ACサーボモータ+減速機の組合せの場合、減速機のギア摺動部分の摩耗の影響で、脱落した金属粉、劣化グリス等除去のための分解・清掃・組立調整が必要になります。対してダイレクトドライブモーターは、ギア摺動部そのものが無いシンプル構成であり、基本的にメンテナンス不要です。また、減速機構を持たないため、急加速・急減速させても故障や破損等の心配がありません。
  • 高応答
    低イナーシャ回転部と駆動系の剛性アップにより、サーボによる制御特性がダイレクトに反映するため、機械性能を向上させることが可能です。
  • 高精度な速度制御の実現
    ダイレクトドライブモーターは減速機が不要のため、バックラッシが無く、モータ極数が多く出力トルクのばらつきが少ないため、高い速度安定性を実現できます。

ダイレクトドライブモーターの原理

ダイレクトドライブモーターの原理

図2. ダイレクトドライブモーターの原理

ダイレクトドライブモーターの構造は、大きく固定部(ステータ)、回転部(ロータ)、軸受、回転位置検出用センサ(エンコーダ)の4つのユニット部品で構成されます。

軸受にはクロスローラベアリングを採用することが多く、軸受け一つでラジアル荷重、アキシャル荷重、モーメント荷重を受けることができ、アンギュラボールベアリング複列使用に比べ、薄型化と大幅な剛性向上を可能にします。さらにベアリング隙間が調整できる構造のため、予圧を与えることも可能であり、高精度な回転が得られます。

また、高分解能エンコーダを組み合わせることで、精密制御が可能になります。モータの極数は一般的なACサーボモータでは8~12極に対し、ダイレクトドライブモーターは20極以上、大型のダイレクトドライブモーターでは100極を超える多極構造となっており、低トルクリップルかつ大トルクを実現します。

ダイレクトドライブモーターの使用用途

ダイレクトドライブモーターは高性能化や環境性の向上が求められる、様々な装置の駆動源として使用可能です。

主には半導体の様々な製造工程の精密駆動や、微細電子部品の加工・検査のための高速搬送駆動、自動車のトランスミッション・エンジン等の耐久試験駆動に使用されています。

また、大型フラットパネルソーラーパネル等の加工・搬送駆動、天体観測機器の超低速安定駆動や、光学レンズの微細研磨駆動、さらには高性能フィルム成形のための精密送り駆動にも使用されています。

ダイレクトドライブモーターが使用される主な業界と装置

  • 半導体・電子部品業界
    ウエハダイシング装置、マウンター、テストハンドラ、ウェハ搬送装置、ウェハ面取り装置、グラインダー装置、検査装置 等
  • 自動車業界
    トルク試験機、耐久試験機、ステアリング試験機、パーツ加工機、搬送装置 等
  • FPD業界
    貼り合わせ装置、スクライバー、検査装置、レーザー加工装置 等
  • コンバーティング、印刷機業界
    成膜装置、延伸装置、ロールコータ、巻き出し巻き取り機構、積層装置、PE印刷機、スクリーン印刷機、輪転印刷機 等
  • 食品装置業界
    キャッパー、食品搬送装置、充填機 等

本記事はダイレクトドライブモーターを製造・販売するCKD日機電装株式会社様に監修を頂きました。

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チップソー

チップソーとは

チップソー

チップソーとは金属製の円盤状の刃物です。チップソーは、数十枚から数百枚の切れ刃が円周上に配置された刃物で、これにより高速で切断できます。主に木材やプラスチック、アルミニウムなどの軟質素材を切断するために用いられる工具ですが、最近では石材やセラミック、ガラスなどの硬質素材などを切断するチップソーもあります。

チップソーは、多数のチップ (切れ刃) があり切削力が分散されて切削抵抗が小さくなるため、高速で切断できることが特徴です。また刃先に硬質材料をコーティングすることで、耐久性を高められます。

チップソーの使用用途

1. 木材加工

チップソーは、木材の切断加工に広く使用されます。チップソーの刃にはカーバイトなどの耐摩耗性に優れた材料が使用されており、木材をきれいに切断できます。

2. プラスチック加工

プラスチックやアクリルなどの軟質素材の切断加工にもチップソーが使用されます。カーバイトやポリカーボネートなどの刃物を使用することで、プラスチックの切断面が滑らかに仕上がります。

3. アルミニウム加工

アルミニウムの切断加工にもチップソーが使用されます。アルミニウムは軟質であるため、専用のカーバイト刃を使用することで、効率的に切断できます。

4. 金属加工

一部のチップソーには、鋼材やステンレス鋼などの金属の切断加工に使用するための刃もあります。これらのチップソーには、カーバイトやセラミックなどの素材が使用されています。

5. 石材加工

ダイヤモンドチップソーは、石材やコンクリートなどの硬質素材の切断に使用されます。ダイヤモンドは最も硬い物質の1つであり、石材のような硬質素材を効率的に切断できます。

6. 鉄筋加工

鉄筋切断用チップソーは建設現場で使用されます。鉄筋は硬質素材であり、専用の刃を使用することで切断することができます。

チップソーの原理

チップソーは、刃に付いた多数のチップ(砥粒)によって素材を切断する工具です。チップソーの本体である金属製の円板の周囲には多数の切れ込みがあり、その切れ込みにチップが取り付けられています。

素材を切断する際には、チップが素材表面に接触して回転運動によって素材表面を摩擦切削することで、素材を徐々に削り取っていきます。チップソーは素材表面を横断する切削力を発生させるため、比較的少ない力で効率的に素材を切断できます。

チップソーのチップには、さまざまな種類があります。木材やプラスチックなどの軟質素材を切断する場合には、刃先に硬質合金を使用したものが一般的です。一方、石材やセラミックやガラスなどの硬質素材を切断する場合には、チップにダイヤモンドを使用したものが使用されます。このように、チップソーの切削能力は、チップの種類によって異なります。

チップソーの種類

チップソーは、刃先の材質によって分類できます。主に以下の種類があります。メーカーによって名称が異なる場合があります。

1. TCTチップソー

刃先にタングステンカーバイト(TCT)と呼ばれる硬質合金を使用しているタイプで、木材やアルミニウムの切断に適しています。

TCTとは、「Tungsten Carbide Tipped」の略語で、日本語に訳すと「チップソーの刃先にはタングステンカーバイドが備え付けられている」という意味です。

2. HSSチップソー

刃先に高速度鋼(HSS)を使用しているタイプで、金属の切断に適しています。

HSSとは、High-Speed Steel (高速度鋼) の略です。

3. ダイヤモンドチップソー

刃先にダイヤモンドを使用しているタイプで、石材やセラミック、ガラスなどの硬質素材の切断に適しています。

4. バイメタルチップソー

刃先にHSSとTCTを組み合わせたもので、木材や金属やアルミニウムなどの幅広い素材を切断するために使用されます。

チップソーの特徴

長所

(高速で切断可能)
チップソーは高速で回転するため素材を迅速に切断できます。

(高精度な切断が可能)
チップソーは刃先が細くて素材の切断面がスムーズで正確に仕上がるため、高精度な切断が可能です。

(長寿命)
チップソーの刃先には、耐摩耗性の高いタングステンカーバイドやセラミックスなどが使用されるため、長期間使用できます。

(大量生産に適している)
チップソーは高速で切断でき、高い精度を保って長寿命であるため大量生産に適しています。

(刃先の研ぎ直しの頻度が低い)
チップソーの刃先は耐摩耗性が高いため使用中に減りが少なく、刃先の研ぎ直しの頻度が低いことがメリットです。

短所

(刃の交換が必要)
チップソーは刃先が磨耗するため、交換が必要です。そのため、継続的なメンテナンスが必要です。

(切削精度に制限がある)
チップソーは一度に大量の素材を切断するため、精度はそれほど高くありません。特に厚い素材を切削する場合、切り口の精度が低下する可能性があります。

チップソーのその他情報

1. 刃厚による分類

チップソーの刃厚は、素材の種類によって異なります。軟質素材の場合は細い刃厚で切削するのが一般的で、硬質素材の場合は厚い刃厚で切削するのが一般的です。

2. 固定方法による分類

チップソーの刃を本体に固定する方法には、ブレードと呼ばれる部分に穴を開けて取り付ける方式と、フランジと呼ばれる部分で刃を挟み込んで取り付ける方式があります。

ディレイラインIC

ディレイラインICとは

ディレイラインIC (英: Delay Line IC) とは、電気信号の伝搬時間を遅くする機能を持つ電子部品です。

IC (英: integrated circuit) は集積回路のことで、半導体の表面に微細で複雑な電子回路を形成して封入した部品です。論理回路では一つの回路の出力が次の回路に入力するまでの時間を0として扱いますが、実際には有限の遅延時間が発生します。

異なる経路を通ってきた複数の信号は、論理回路上で同時に入力した場合でも実際の回路では異なるタイミングで入力されます。ディレイラインICは異なる位相を持つ複数の信号のタイミングを合わせたり信号を意図的に遅らせる場合に使用可能です。

ディレイラインにはコイルとコンデンサで構成された電磁遅延線が多いですが、超音波へ変換した電気信号をガラスやブロック内部を伝播させて電気信号に戻すガラス遅延線のほか、半導体デバイスを利用したディレイラインICもあります。

ディレイラインICの使用用途

ディレイラインICは電子回路の中で複数の信号の入力タイミングを合わせるために使用されます。

クロック信号とデータ信号のスキュー合わせによく使われ、信号の歪みの除去、パルス幅の変更、周波数を整数倍の高周波数に逓倍する際にも利用されます。

ディレイラインICは電子回路内の信号の時間を正確に調整でき、医療用CT、ソナー海洋機器、レーダー機器、放射能検出機器などの短時間に起こる事象の検出用途に使用可能です。また放送機器、通信機器、家電などの分野でも使われています。

ディレイラインICの種類

基本的なディレイラインはインダクタンスLとキャパシタンスCをはしご型につなげた伝搬回路で構成され、遅延時間はLの平方根、Cの平方根、はしごの段数Nに比例します。

ディレイラインには論理ゲートの伝搬遅延時間を電源電圧で制御し、プロセス、温度、電圧の変動による論理ゲートの遅延の変動を打ち消す電圧制御ディレイライン (VCDL) もあります。

主にディレイラインICには3種類あり、パッシブディレイライン、アクティブディレイライン、プログラマブルディレイラインです。

1. パッシブディレイライン

パッシブディレイラインは電源が必要ない受動素子で構成されたタイプです。インダクタンスLとキャパシタンスCで構成されています。

2. アクティブディレイライン

アクティブディレイラインは電源が必要な能動素子で構成され、外部デジタル回路を直接駆動できます。論理ゲートの伝搬遅延を利用するVCDLはアクティブディレイラインです。

3. プログラマブルディレイライン

プログラマブルディレイラインは遅延時間をプログラムで変化できます。マルチプレクサ機能を持つゲートとディレイラインを組み合わせ、アドレス信号入力によって遅延時間を制御可能です。アドレス入力を固定すれば通常のディレイラインとしても使えます。

プログラマブルディレイラインのディレイライン部にはパッシブディレイラインやアクティブディレイラインを使うタイプがあります。 

ディレイラインICの構造

一般的な電磁遅延線のディレイラインにははしご型の伝送回路網が設計されています。ディレイラインは1m当たりおよそ5ナノ秒の遅延時間がある同軸ケーブルで構成でき、長くなるためLとCで置き換えています。遅延時間は1ナノ秒から数100ナノ秒ほどが多いです。

ディレイラインICのその他情報

ディレイラインの実装方法

ディレイラインの実装方法はコピーやリングバッファなどに分けられます。

1. コピーによる実装
タップ数と同じ大きさの配列を準備し、 次の時間に移動するときにデータをコピーします。乗算の遅いプロセッサではコピーできますが、乗算が高速なプロセッサではコピーの演算量が影響します。

2. リングバッファによる実装
端にはみ出すと反対の端に入って配列の始点と終点が連結しています。循環バッファとも呼ばれ、コピーなしでもディレイラインを実装可能です。

参考文献
https://jpc-inc.co.jp/wp-content/themes/jpc-inc/pdf/DL.pdf
https://pdfserv.maximintegrated.com/jp/an/A4617J.pdf

データレコーダ

データレコーダとは

データレコーダとは、さまざまな物理量を長時間記録するための機器です。

記録したデータは、必要に応じて解析処理した上で活用されます。なお、データレコーダをデータロガーと呼ぶメーカがあります。

厳密にはロガーはデジタルデータの記録とされていますが、現在のレコーダはほとんどの場合デジタルデータを扱います。そのため、両者は同じものを指すと考えて問題ありません。

データレコーダの使用用途

データレコーダは、観測対象からセンサーや変換器を介して出力されるデータを、長時間にわたり記録する際に使用されています。代表例は、音声や音楽の録音機器です。かつてはテープレコーダと呼ばれ、磁気テープにアナログ信号のまま録音していました。

その後、音がデジタル処理されるようになると、記録媒体はDATやMD等変遷を経て、メモリーカードやハードディスク等に記録されるようになりました。しかしながら、データレコーダの基本であることは変わりません。

工業用のデータレコーダは記録対象が多岐に渡り、音や振動をはじめとして、圧力、温度/湿度、加速度、応力、位置情報、電圧/電流、さらにはネットワーク上のデジタルデータなどがあります。

データレコーダの原理

データレコーダは、基本的に入力端子に印加された電圧を記録するものです。したがって、あらゆる物理量は、センサーや変換器で電圧に変換した上で、データレコーダに入力する必要があります。センサー/変換器について例を挙げると、音はマイクロホン、振動/衝撃は加速度センサー、応力はひずみ計、位置情報はGPS受信機、電流は電流プローブ等です。

その他、温度計、湿度計、圧力センサー、変位センサー速度センサー光センサー、磁界センサーなども使用されます。データレコーダは多種のセンサーからの信号を扱うことから、増幅器やアッテネータを備え、信号を適切なレベルになるよう増幅、もしくは減衰してA/Dコンバータに入力します。A/Dコンバータでデジタル値に変換されたセンサーデータは時間情報と関連付けてメモリ装置に記録されます。

メモリ装置は、SDカード等の外部メモリ装置や内蔵のハードディスク等です。USBインターフェースを介してPCに直接データを転送する場合は、PC自体がメモリ装置となります。また、同時に複数の物理量を記録して相互の関連を把握することを可能にした機器も使用される場合が多いです。同時に記録できる信号数をチャンネルと言い、4チャンネルもしくは8チャンネル構成が一般的です。

このような複数チャンネル構成のデータレコーダの場合、各チャンネルの入力端子は絶縁増幅器 (アイソレーションアンプ) に接続されます。そのため、各チャンネルの入力端子は互いに絶縁されています。入力端子に接続される各センサーが、共通電位を持っているとは限りません。したがって、グランドラインを共通にしておくと、データレコーダに接続した瞬間にループ電流が流れて、最悪の場合センサーが壊れてしまう恐れがあります。

データレコーダの種類

データレコーダの代表的な種類は、以下の通りです。

1. 生産分野

生産設備の稼働状況を常時記録しておくことを目的としたデータレコーダがあります。記録する対象は、温度、圧力、電圧、電流、圧力など工程に重要な影響を及ぼすファクターです。これらの記録データは、製品の品質保証における重要な情報として活用されます。

2. 音・振動分野

この分野では、コンサートホールの現場で記録したデータを用いて詳細な周波数分析を行い、音響評価の一環として活用する場合があります。

3. デジタルデータの記録

記録対象の一例として、ネットワーク上に流れるデータがあり、この記録データは回線のトラブルの原因調査やデジタル機器の動作確認、不具合解析等に利用されています。

4. イベント・データレコーダ

イベント・データレコーダと呼ばれる機器も、データレコーダの1種です。主に交通事故などの記録を残す目的で使用されます。

現在販売されているほとんどの自動車には、エアバッグのコンピュータにイベントデータレコーダが備えられていて、事故時の車速、衝撃の大きさ、エンジン回転数、スロットル開度、ヨーレイトのほかブレーキやアクセルなどの運転操作も記録され、事故の原因究明や対策に威力を発揮します。

5. フライト・レコーダ

航空機事故の原因解明のために、操縦室内の音声を記録するボイスレコーダと各機器のデータを記録するフライトレコーダがあります。

参考文献
http://tri-osaka.jp/group/infoele/life/acoustic/equip/date_rec.htm
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=31
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-02/

テーピングマシン

テーピングマシンとは

テーピングマシン

テーピングマシンとは、電子部品をテープに熱シールで固定してリールに巻き取る機械であり、主として基板に半導体チップを表面実装する工程に使われます。この工程では、テープに埋め込まれた電子部品を順次取り出して安定した供給ができます。

テーピングマシンには、すべての工程を自動で行う自動式と、電子部品をカバーテープでシールしてリールに巻き取る半自動式とがあります。リールに巻き取るにはロールドラムが必要ですが、ドラムの振れを小さくするため表面精度が高いドラム必要です。

テーピングマシンの使用用途

半導体製造ラインにおいて、表面実装の工程にテーピングマシンを組み込むか、またはオフラインで電子部品を埋め込んだテープをリールに巻き取って、リールを実装ラインに供給するか、どちらかを使います。これにより、安定して高速で電子部品が供給できるようになります。

また、電子部品などをカバーテープでテープに埋め込む通常の機能と、検査して良品のみを再テーピングしたり、ばらの部品を整列させてテーピングする機能などを組み合わせたテーピングマシンも使用されています。

テーピングマシンの原理

微小な電子部品を表面実装で使用できるようにする包装方法の一つとして、連続テープを作るのが、テーピングマシンです。エンボスキャリアテープと呼ばれる樹脂製品や紙のテープに、ポケットと称する凹状のくぼみを連続的に付けます。そしてそれぞれのポケットに電子部品などを一つずつ入れて、カバーテープで蓋をしてシールします。カバーテープは熱テープを使用するのが一般的で、次いでリールに巻き取ります。

テーピングマシンを単機能で使う方式のほか、実装工程の前後の工程と結合したテーピングマシンもあります。例えばLEDをパーツフィーダから供給し、ターンテーブル上で検査した後、キャリアテープのポケットに入れて画像カメラで姿勢をチェックします。その後カバーテープでシールしてリールに巻き取ります。また、モバイル機器用の小型スイッチをパーツフィーダーで供給して特性検査後、良品はテーピングし、不良品はランク分けするなどの複合機も多く使われています。

JIS C0806-3「自動実装部品の包装−第3部: 表面実装部品の連続テープによる包装」は、キャリアテープの種類・サイズ・精度、ポケットのピッチ・サイズ・精度、カバーテープや巻き取りリールのサイズ・精度などを定めています。

参考文献
http://www.palmec.co.jp/ProTape/index_Tape.html
https://www.nomuraplating.com/glossary/%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3/
https://www.autec.co.jp/product_type/taping/
https://kikakurui.com/c0/C0806-3-2014-01.html

ドライバー

ドライバーとは

ドライバー

ドライバーとは、物体を固定するために使用されるネジを回すために使用される工具です。

JIS規格では、「ねじ回し」と呼ばれます。金属やプラスチックでできた細長い軸の先端に、マイナス型やプラス型の先端が付いています。この先端をネジの頭にはめ込み、トルクをかけてネジを回すことで、ネジを締めたり緩めたりすることができます。

ドライバーは、一般的なDIY、建設、製造など使用場面はさまざまです。サイズや形状も豊富で、先端が磁石になっているものや電気工事用の絶縁ハンドルなど、特殊な機能を持ったものもあります。

ドライバーの使用用途

ドライバーは、一般的なDIYから専門的な現場まで幅広い分野で、主にネジを回すために使用します。ネジは物体を固定するために使用される一般的なネジ留め具です。

時計回りや反時計回りに回すことで、ネジを締めたり緩めたりすることができます。ドライバーは、以下のようなさまざまな作業に有用です。

1. 家具の組み立て

一般的な家具は多くのネジで固定してあり、家具を組み立てる時には必須な工具です。

2. 機械の組み立て・修理

多くの機械はネジで固定されており、ネジを締めたり緩めたりすることで、組み立てたり分解したりすることができます。

3. 家の修理

緩んだ蝶番を締めたり、ドアノブを取り替えたりと、家の修理でネジを使用する場面は多いです。

ドライバーの原理

ドライバーの原理は、軸を回転させた時に「てこの原理」を利用して起こる力のモーメント (トルク) でネジを締め付けたり、緩めたりします。先端はネジの頭部に正確にフィットするように設計されており、工具とネジが確実に接続されるようになっています。

先端の形状は、使用するネジの種類によって異なりますが、ドライバーにトルクを加えることでネジに力が加わり、ネジが回転して締めたり緩めたりすることが可能です。

ドライバーの種類

ドライバーにはさまざまな種類があり、それぞれネジの種類や用途に合わせて設計されています。ここでは、最も一般的なドライバーの種類を紹介します。

1. マイナスドライバー

マイナスドライバーは、先端が平らになっており、頭の部分に1本のまっすぐなマイナス溝 (ー) があるネジに使用します。家庭用では一般的なドライバーです。

2. プラスドライバー

プラスドライバーは、先端が十字型になっており、頭部に対応する十字型の凹みがあるネジに使用します。プラスドライバーは電子機器や家電製品によく使われています。

3. トルクスドライバー (ヘックスローブドライバー)

先端が6角形の星形ドライバーで、頭部に星形の凹みがあるネジに使用します。自動車や電子機器によく使われています。

4. 六角棒レンチ

先端が六角形になっているドライバーで、頭部に六角形の凹みがあるネジに使用するタイプです。家具の組み立てや自転車の整備などでよく使われています。

5. スクエアドライバー

このタイプのドライバーは、先端が四角い形をしており、頭の部分に対応する四角い凹みがあるネジに使用します。建設業や木工業でよく使われています。

6. ナットドライバー

ソケットレンチに似たタイプで、ナットやボルトを回すのに使用します。ナットドライバーには、さまざまなサイズや形があります。

7. マルチビットドライバー

使用するネジの種類に合わせてビット (先端部分) を交換できるドライバーです。さまざまな種類のネジを扱う作業で、多用途に使えるドライバーは便利です。

全体的に、必要なドライバーの種類は、用途と使用されるネジの種類によって異なります。ネジの破損を防ぎ、正しく作業を行うためには、正しいドライバーを使用することが重要です。

ドライバーの選び方

ドライバーを選ぶのは簡単なことですが、仕事に適したドライバーを選ぶには、いくつかの考慮すべき要素があります。

1. ネジのサイズ・種類

ネジのサイズと種類によって、必要なドライバーのサイズと種類を決めます。例えば、小さなネジには小さなプラスドライバーが、大きなネジには大きなマイナスドライバーが必要です。

2. ドライバーの先端

ドライバーの先端がネジの頭部にぴったりとはまり、滑ってネジの頭を傷めないようにします。ドライバーの先端は、ネジの種類によって、マイナス型、プラス型、トルクス型などがあります。

3. ハンドル

ドライバーのハンドルは、握り心地がよく、回すときによいトルクが得られるものが良いです。ハンドルの形状や滑り止めの有無も考慮すると、手の疲労を防ぎ、操作性を向上させることができます。

4. 素材と品質

クロムバナジウムやその他の耐久性のある金属など、高品質の材料で作られたドライバーを選ぶことで、ドライバーが長持ちし、使用中に曲がったり壊れたりする危険性も低くなります。

 

ドライバーを選ぶ際には、ネジのサイズや種類、ドライバーの先端、ハンドル、素材や品質、ブランドの評判などを総合的に考慮する必要があります。これらの要素を考慮することで、仕事に適したドライバーを選べるため、正確な作業と生産性の向上につながります。

トルク変換器

トルク変換器とは

トルク変換器

トルク変換器とは、エンジンなどの回転機器または静止機器のトルクを電気量に変換して測定する変換器です。

トルクとは固定された回転軸を中心に働く回転軸周辺の力のモーメントのことです。回転体では回転している軸のねじれ量をひずみゲージなどで電気量に変換し、スリップリングや無線機で静止部へ取り出して伝達トルクやトルク変動を測定します。静止状態から高速回転域まで安定して測定可能です。

トルク変換器は回転機器の研究や試験・検査に使用されます。変換器の選定には回転か非回転か、回転数、環境条件、装着条件などを考慮する必要があります。

トルク変換器の使用用途

自動車の開発では、エンジン、トランスミッション駆動軸、車軸、モーター、補器類などの広範囲に渡ってトルクの計測を行います。台上試験や走行試験で各軸の強度を検討し、トルク変動を周波数分析してねじり振動を解析し、エンジンのトルク変動による騒音振動を解決します。

モーター試験機は試験モーターと負荷装置との間にトルク変換器を設けてモータの性能を試験可能です。負荷にはパウダーブレーキやヒステリシスブレーキを使い、回転速度に対する出力トルクを計測します。

ローラーの回転負荷の測定にも使われ、駆動モーターとローラーとの間のトルク変換器により、紙や箔を送るときのトルクを測定して最適な条件を決定可能です。

トルク変換器の原理

トルク変換器の変換方式は、非回転型ではひずみゲージ式、回転型では磁歪式、ひずみゲージ式、位相差式などがあります。精度面や安定度で優れているひずみゲージ式が多く使われています。回転体からの信号取り出しには、接触式のスリップリング、非接触式のFMトランスミッタ伝送、光デバイス、回転トランス伝送などを使用可能です。

ひずみゲージ式、磁歪式、位相差式以外にも、静電容量式、ばね式、光学式、圧電式などでもトルクが測定できます。いずれの方式でも伝達されたデータはひずみ量から使用材料の弾性率を使ってトルクに換算します。

1. ひずみゲージ式

ひずみゲージ式は4個のゲージをブリッジに組み、ゼロ点補償や温度補償によって精度を上げています。ひずみゲージを測定するシャフトの表面には、回転軸に対して45度の角度で直交する2方向に貼り付け、ひずみ量を測定してトルクに換算します。

2. 磁歪式

磁歪式は軸に磁歪材料を使用して固定側のコイルで励振し、透磁率の変化を測定して非接触でトルクを検出できます。

3. 位相差式

位相差式は2つの磁気歯車の位相差を電磁ピックアップにより非接触でデータを伝送する方式です。サイズが大きいことが欠点です。

4. 静電容量式

可変コンデンサと原理は同じで、静電容量の変化でトルクを検出可能です。

5. ばね式

構造がシンプルで、ねじればねを用いて変位量で算出可能です。

6. 光学式

回転軸表面に貼った光学素材の偏光を検出可能です。

7. 圧電式

圧電素子を用いた方式です。

トルク変換器の種類

1. ひずみゲージ式

ひずみゲージ式で回転トルクを測定する際に回転軸のトルク信号を固定側に取り出す手法は、テレメータ式、回転トランス式、スリップリング式に分けられます。テレメータ式では増幅器やひずみゲージを含んだ電子回路を回転軸上に固定し、回転軸上の電子回路で測定可能です。回転トランス式ではひずみゲージを回転軸に貼り、回転トランスにより交流信号を用いて測定します。スリップリング式では回転軸にひずみゲージを貼り、スリップリングによる給電と信号伝達で測定します。

2. ばね式

ばね式で回転トルクを測定する際にねじればねの前後の変位を固定側から非接触で検出する方法が複数あります。電磁歯車位相差方式では歯車をねじればねの前後に付け、電磁式検出器により歯車の歯の場所の位相差を測定可能です。電磁誘導位相差方式では位相差板をねじればねの前後に固定し、位相差板の前後2枚に差動コイルと駆動コイルを設置して差動コイルの出力により測定します。

ニトリルゴム

ニトリルゴムとは

ニトリルゴム

ニトリルゴム(NBR)はアクリロニトリルブタジエンの共重合体です。NBRはアクリロニトリルとブタジエンの組成を変えることで耐油性、耐寒性が変わり、高ニトリルNBRは耐油性が高く、低ニトリルNBRは耐寒性に優れています。

ニトリルゴムはアクリロニトリルとブタジエンのラジカル重合で製造されており、ジビニルベンゼンなどの第三のモノマーを加えて重合させることで物性を変えることも可能です。

またNBRの耐オゾン性、耐候性を向上させるため、NBRの一部を水素化させた水素化ニトリルゴムも製品化されています。水素化率を変えることで物性も変わり、例えば水素化率が高いほどムーニー粘度や溶液粘度は上昇します。

ニトリルゴムの使用用途

ニトリルゴム(NBR)はアクリロニトリルとブタジエンの共重合体です。NBRは耐油性に優れるゴムで、自動車のガスケットや工業用のホースなどに使われています。その他、実験作業など有機溶媒を取り扱う際に用いる使い捨てゴム手袋にも用いられています。

ニトリルゴムはアクリロニトリルの組成を増加させることで耐油性が上がり、ブタジエン組成を増加させることで耐寒性が向上します。例えば高ニトリルNBRは石油化学業界の部品といった耐油性が求められるものに、低ニトリルNBRは航空部品や寒冷地用のパッキンなど耐寒性が求められる部品に使われます。

ニトリルゴムのその他情報

1. ニトリルゴムの製造法

ニトリルゴムはアクリロニトリルとブタジエンを共重合させることで得られます。アクリロニトリルとブタジエンを入れて乳化させ、重合開始剤を加えることで重合させる乳化重合法で製造します。NBRはラジカル重合で得られ、重合開始剤としては過酸化物が用いられます。

ニトリルゴムの製造法

図1. ニトリルゴムの製造法

ニトリルゴムは重合時のアクリロニトリル、ブタジエンモノマーの量を変えることでゴム中のモノマー組成を容易に変えることができます。また、第三のモノマーを重合時に加えることでNBRに取り込むことができます。例えば架橋剤として働くジビニルベンゼンを導入して押し出し性を向上させたり、イソプレンを共重合させて強度を向上させたりしたNBRが製品化されています。

2. ニトリルゴムの水素化

ニトリルゴムは分子内に二重結合を有しており、耐オゾン性、耐候性には劣ります。これらの欠点を克服するため、NBRを水素化させて二重結合を単結合に変化させた水素化ニトリルゴムも製品化されています。

なお、ニトリルゴムにはシアノ基も含まれるため、主鎖の炭素間の二重結合のみを選択的に水素化する必要があります。例えばパラジウムなどの金属触媒などが水素化反応に用いられます。水素化ニトリルゴムは水素化された二重結合の割合によって物性が変わります。例えば水素化率が大きいほどムーニー粘度、溶液粘度は上昇します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/68/5/68_5_284/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/63/6/63_6_322/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/66/9/66_9_653/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/88/10/88_412/_pdf/-char/en
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/78/2/78_2_51/_pdf/-char/ja

パイプヒーター

パイプヒーターとはパイプヒーター

パイプヒーターとは、抵抗発熱体を金属シース(パイプ)に入れ、通電させることでパイプを発熱させる装置のことです。

液体の中にパイプヒーターを投入することで、たとえ既存の加熱装置が付随していなくても、簡単に液体を加熱することができます。

U字や丸型、渦巻き型など様々な形状があり、液体との接触面を増やすことで効率的に液体を加熱します。

サイズや形状、発熱量などに多くの種類があり、用途に応じて適切なものを選択する必要があります。

パイプヒーターの使用用途

パイプヒーターは水などの液体に対して、容器を加工することなく素早く加熱したいときに使用されます。

例えば、湯沸かし機能の無い浴槽において水を加熱したり、実験用の液体試料を加熱したりすることも簡単にできます。

また冬場の屋外作業において、パイプヒーターを使用すれば簡単に湯を沸かすことができ、飲用などに使用できます。

液体に投げ入れるだけで加熱ができるため、試験、実験、仮設現場など、様々な場面で活用することができます。

パイプヒーターの原理

パイプヒーターの形状の多くはU字や丸型、渦巻き型などとなっており、液体との接触面を増やすことで熱伝導の効率を高めています。

パイプヒーターの多くはシース材料としてを使用しているため高い熱伝導率を持ち、効率的に液体を加熱することができます。

シースの表面はニッケルメッキ仕上げされていることが多く、防錆などの対策もなされています。

ヒーターの幅はおよそ数cmから10 cm程度と小型であり、様々なサイズの容器に投入することができます。

発熱量としては数百ワットから数キロワットにまで及び、加熱したい液体の容積や種類に応じて選択することができます。

また容器の側面や底面に穴を開けることで、パッキンやナットを利用して固定することができるタイプもあります。

なお、使用時の注意点としては、液体と触れていないときの空焚きが挙げられます。

熱が周囲に伝達せずヒーターが異常加熱する恐れがあり、故障や火災などの原因となりうるため注意が必要です。

参考文献
https://sakaguchi-dennetsu.co.jp/lineup/heater/sheathheater_index/mizukanetu_pipe.html
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/heater/
https://www.nippon-heater.co.jp/products/liquid/yhys/

バイメタル

バイメタルとは

バイメタル

バイメタルとは、熱膨張計数が異なる二種類の金属を貼り合わせたものです。バイメタルに温度変化を加えると、熱膨張計数の小さい方の金属はそのままの形状を維持しようとしますが、熱膨張計数の大きい方の金属は膨張または収縮をしようとします。そのため、温度が上がると熱膨張計数の低い金属の側に曲がり、温度が低くなると曲がる方向は逆になります。

この温度変化による湾曲を物理的・電気的に利用したものがバイメタルになります。

バイメタルの使用用途

バイメタルは、金属の湾曲を利用した温度計サーモスタットといった温度センサーとしての用途が主なものです。

特に、ゼーベック効果を利用した熱電対としての利用が有名です。バイメタルを熱電対として利用したものは、貼り合わせる金属の種類によって測定できる温度の幅を変えることができるため、用途に合わせて使用することが可能です。

サーモスタットとしての利用は、金属の湾曲を利用して電気的な接点を開閉することです。センサーの入切のために動力を必要としなくてよいため、冷暖房の温度調節機能などのさまざまな利用用途があります。

バイメタルの原理

バイメタルは、熱膨張計数が異なる二種類の金属を貼り合わせたものです。金属は温度が上昇すると熱膨張計数に応じて伸びますが、熱膨張計数が異なる金属が貼り合わされていることにより、自由な伸びが制限されて金属が湾曲します。この金属の湾曲を物理的・電気的に利用することで、温度変化に対するセンサーとして用いることができるようになります。

バイメタルの先端を接合したものは、温度変化によるゼーベック効果により発生した電圧を温度に変換することで、温度計として用いることができます。また、温度の上下で湾曲する方向を変化させることができるため接点の開閉に用いることで、加熱での接点開(電源OFF)による機器の保護回路としての役割だけでなく、温度調節機能としての役割を持たせることもできます。環境温度の利用だけでなく、回路の通電による温度上昇による接点開閉をすることで、過電流による回路の保護機能として使用することもできるため電気機器には不可欠な存在になっています。

参考文献
https://blog.rittal.jp/1093