トルク変換器

トルク変換器とは

トルク変換器

トルク変換器とは、エンジンなどの回転機器または静止機器のトルクを電気量に変換して測定する変換器です。

トルクとは固定された回転軸を中心に働く回転軸周辺の力のモーメントのことです。回転体では回転している軸のねじれ量をひずみゲージなどで電気量に変換し、スリップリングや無線機で静止部へ取り出して伝達トルクやトルク変動を測定します。静止状態から高速回転域まで安定して測定可能です。

トルク変換器は回転機器の研究や試験・検査に使用されます。変換器の選定には回転か非回転か、回転数、環境条件、装着条件などを考慮する必要があります。

トルク変換器の使用用途

自動車の開発では、エンジン、トランスミッション駆動軸、車軸、モーター、補器類などの広範囲に渡ってトルクの計測を行います。台上試験や走行試験で各軸の強度を検討し、トルク変動を周波数分析してねじり振動を解析し、エンジンのトルク変動による騒音振動を解決します。

モーター試験機は試験モーターと負荷装置との間にトルク変換器を設けてモータの性能を試験可能です。負荷にはパウダーブレーキやヒステリシスブレーキを使い、回転速度に対する出力トルクを計測します。

ローラーの回転負荷の測定にも使われ、駆動モーターとローラーとの間のトルク変換器により、紙や箔を送るときのトルクを測定して最適な条件を決定可能です。

トルク変換器の原理

トルク変換器の変換方式は、非回転型ではひずみゲージ式、回転型では磁歪式、ひずみゲージ式、位相差式などがあります。精度面や安定度で優れているひずみゲージ式が多く使われています。回転体からの信号取り出しには、接触式のスリップリング、非接触式のFMトランスミッタ伝送、光デバイス、回転トランス伝送などを使用可能です。

ひずみゲージ式、磁歪式、位相差式以外にも、静電容量式、ばね式、光学式、圧電式などでもトルクが測定できます。いずれの方式でも伝達されたデータはひずみ量から使用材料の弾性率を使ってトルクに換算します。

1. ひずみゲージ式

ひずみゲージ式は4個のゲージをブリッジに組み、ゼロ点補償や温度補償によって精度を上げています。ひずみゲージを測定するシャフトの表面には、回転軸に対して45度の角度で直交する2方向に貼り付け、ひずみ量を測定してトルクに換算します。

2. 磁歪式

磁歪式は軸に磁歪材料を使用して固定側のコイルで励振し、透磁率の変化を測定して非接触でトルクを検出できます。

3. 位相差式

位相差式は2つの磁気歯車の位相差を電磁ピックアップにより非接触でデータを伝送する方式です。サイズが大きいことが欠点です。

4. 静電容量式

可変コンデンサと原理は同じで、静電容量の変化でトルクを検出可能です。

5. ばね式

構造がシンプルで、ねじればねを用いて変位量で算出可能です。

6. 光学式

回転軸表面に貼った光学素材の偏光を検出可能です。

7. 圧電式

圧電素子を用いた方式です。

トルク変換器の種類

1. ひずみゲージ式

ひずみゲージ式で回転トルクを測定する際に回転軸のトルク信号を固定側に取り出す手法は、テレメータ式、回転トランス式、スリップリング式に分けられます。テレメータ式では増幅器やひずみゲージを含んだ電子回路を回転軸上に固定し、回転軸上の電子回路で測定可能です。回転トランス式ではひずみゲージを回転軸に貼り、回転トランスにより交流信号を用いて測定します。スリップリング式では回転軸にひずみゲージを貼り、スリップリングによる給電と信号伝達で測定します。

2. ばね式

ばね式で回転トルクを測定する際にねじればねの前後の変位を固定側から非接触で検出する方法が複数あります。電磁歯車位相差方式では歯車をねじればねの前後に付け、電磁式検出器により歯車の歯の場所の位相差を測定可能です。電磁誘導位相差方式では位相差板をねじればねの前後に固定し、位相差板の前後2枚に差動コイルと駆動コイルを設置して差動コイルの出力により測定します。

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