レーザー加工

レーザー加工とは

レーザー加工 (英: laser processing) とは、その名の通りレーザーを使った加工のことです。

レーザーは、光の位相、振幅が同じ光 、即ちコヒーレント光 です。レーザー加工は、光増幅した強力なレーザー光で、加工物の切断や溶接、彫刻、マーキング、穴あけなどの加工を行います。加工物の種類は、金属をはじめ、セラミック、プラスチック、木材、布、ガラスなどです。

レーザー加工は、切削工具などを用いずに加工できる非接触加工法であり、応力や圧力による素材の変形、歪みが生じにくい加工が可能です。また、使用する消耗品が少なく、メンテナンスが容易などの特徴があります。

使用するレーザーの種類は、主に炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、エキシマレーザーなどです。

レーザー加工の使用用途

1. 炭酸ガスレーザー加工

高出力が可能であり、産業用では、板金の切断、微細な穴あけ、及び溶接などに使われます。 また、医療用として、外科手術用のレーザーメスにも活用されます。

2. YAGレーザー加工

主に部品のスポット溶接として自動車用エンジン部品、ルーフ及びボディーの溶接に使用されます。

3. ファイバーレーザー加工

金属の切断や溶接、樹脂材料同士の溶着、及びマーキングに使用されます。

4. エキシマレーザー加工

半導体製造プロセスの露光用光源や液晶ディスプレイの低温ポリシリコン製造プロセスに使われます。

レーザー加工の原理

一般に物質を構成する原子や分子に、外部エネルギー (光、熱等) を加えると、原子はエネルギーの高い状態 (励起状態) に移ります。その後、エネルギーの低い状態 (基底状態) に戻ろうとして、光を自然放出します。

特に、周囲に高いエネルギーの原子が多く存在する場合、この自然放出の光が他の高いエネルギーの原子を刺激して光を放出し、基底状態に状態に戻ります。その光は誘導放出光と呼ばれ、エネルギ―は入射光の2倍に増幅されます。

また、この誘導放出光をミラーで繰り返し反射すると、他の原子内の電子に衝突し、光エネルギーを放出して増幅した強い光が発生します。これが、レーザー発振の原理です。

なお、このレーザー光で工作物を加工する場合、シールドガスと呼ばれるガスを吹き付けながら、ワーク表面で発生する飛散物の防御やワーク表面酸化、引火を防止します。

レーザー加工の種類

レーザー加工は、レーザー光を増幅し発振させる物質毎に分類されます。

1. 炭酸ガスレーザー加工

光の波長が1.060μmの赤外線領域のレーザー光を使用します。 レーザー媒質に、二酸化炭素を主成分としたガスを使います。

2. YAGレーザー加工

光の波長が1.064μmの赤外線領域のレーザー光を使用します。 レーザー媒質は、イットリウム、アルミニウム、及びガーネットを成分とする人工結晶です。

3. ファイバーレーザー加工

光の波長は、1.1μmの赤外線領域のレーザー光を使用します。 レーザー媒質に光ファイバーを使う固体レーザーです。 励起用半導体から発振されたレーザー光を光ファイバーで増幅して、強力なレーザー光を生み出し加工に使用します。

4. エキシマレーザー加工

紫外線光源のため、光エネルギーが大変強い特徴があります。 光の波長が0.193μm、0.248μm等の深紫外線領域のレーザー光を使用します。 レーザー媒質に不活性ガス (アルゴン、クリプトン、キセノン等) とハロゲンガス (塩化水素、フッ素) の混合ガスを使用します。

レーザー加工のその他情報

レーザー光の特長

  • 指向性
    レーザー光は自然光に比べほとんどまっすぐ直進します。
  • 単色性
    光の波長は同じなので1つの色です。
  • 可干渉性
    光の位相と振幅が同じなので、光を合成しやすく強め合うことができます。

電子ビーム加工

電子ビーム加工とは

電子ビーム加工とは、真空状態で電子ビームを工作物に当て高熱 (約6,000℃) で加工する方法です。

通常数万ボルト以上に加速された電子ビームを電子レンズで収束し物質に照射すると、電子の運動エネルギ―は熱エネルギーに変換されて高熱を生み出します。その高熱を利用して種々の高融点金属、宝石類や半導体等の微細配線を加工できる技術です。 また、真空中で加工のため空気中での加工に比べて加工面の不純物汚染や酸化の心配が有りませんが作業性は悪くなります。

尚、最新の加工技術では、真空中ではなくワークを真空外で行う方法も開発されています。

電子ビーム加工の種類

電子ビーム加工は、主に、電子ビーム溶接・電子ビーム加工・電子ビーム蒸着・電子線描画などがあります。

1. 電子ビーム溶接

電子銃から発生した電子線を、磁界を利用した偏向コイルで集束し物質に当てる方法です。 その後、電子ビームが当てられた物質の表面が高熱で溶解してワーク加工を行います。

従来、高真空でワーク加工が行われていましたが、生産性を向上した低真空法も開発されています。真空中での溶接が必要な水晶振動子の封止、各種航空機用の部品及び電子部品等の加工に使用されます。

電子ビーム溶接について詳しくみる

2. 電子ビーム加工

集束した電子ビームをワーク表面の局所的な場所に当て表面物質を瞬間蒸散させ、微細な穴あけ加工や溝切り加工を行う方法です。 この穴あけでは直径数十マイクロメートルの穴加工が可能です。ステンレス鋼やモリブテン材等の難加工金属、及びや水晶、セラミックスの穴あけ、溝切り加工に使用されます。

3. 電子ビーム蒸着

真空装置内に蒸着させる金属を置き、その金属に向けて電子ビームを照射し溶解・蒸発させます。 次いでその金属と対向する側に蒸着金属が付着するワークを置き、蒸着した金属蒸気でワーク表面に金属薄膜を生成させる方法です。半導体やITOガラスの薄膜製造、電子顕微鏡で用いる分析試料作成に使用されます。

4. 電子線描画

半導体回路のような微細な配線パターンが必要となる電子回路形成に使用される方法です。 半導体集積回路の配線パターンは年々微細化が進み、シリコンウエハー上に多くの部品回路形成や精密配線加工が求められています。 従来の半導体回路加工は、フォトマスクを使用したフォトリソグラフィー方式(フォトエッチング技術)を使用した方法でした。

このフォトリソグラフィーで形成される回路パターン解像度は0.1マイクロメートルが限界であり、それより細かい配線パターンが求められる場合には、電子線による直接描画を行います。最先端の微細パターン加工が必要な半導体回路製造に用いられます。

NC加工

NC加工とは

NC加工

NC加工とは、数値制御 (英: Numerical Control) を応用した加工技術です。

近年の製造現場ではコスト低減のため、工作機械の加工精度や作業効率の向上、製造現場における人手不足の解消が必要となっています。従来、汎用工作機械が主流で、作業員の手作業による操作によって機械加工が行われていましたが、NC工作機械により、熟練の作業者の勘や技量に左右されず、加工精度が安定し部品加工が大量に生産できるようになりました。

このNC加工は、アメリカのJohn T. Parsonsがサーボ機構を組み込んだNCフライス盤として紹介されたのが始まりです。その後、日本国内においてNC加工技術が大きく発展し、1958年富士通、牧野フライス製作所が国産初のNCフライス盤を開発しました。さらに、自動工具交換装置が1959年アメリカで開発されたことにより、工作時間の大幅な短縮が実現しています。

将来的には人工知能を組み込んだ、より高度なNC加工技術が発展していくものと推察されます。

NC加工の使用用途

図1. NC加工の種類・特徴・用途

1. NC旋盤

NC旋盤では、タレットと呼ばれる回転装置に複数のバイトを取り付け、タレットを回転させることで異なるバイトによる切削加工を可能にしたタイプが主流となっています。これによって、加工物をチャックに固定したまま、一つの工程が完了した後、別の工程を連続して行うことが可能です。

主な用途として、外周削り、内周削り、ねじ切り加工溝加工穴あけ加工テーパ加工ローレット加工などが挙げられます。

2. NCフライス盤

NCフライス盤は、自動工具交換装置がなく、ツールを人手で交換しながら旋削加工する装置です。NCフライス盤はマシニングセンタよりコストが低く、主軸に剛性があるため重切削に向いています。

主な用途として、平面削り、側面削り、段加工、ネジ切り加工、溝加工、穴あけ加工、ローレット加工などが挙げられます。 

3. ターニングセンタ

図2. NC旋盤及びターニングセンタ

汎用旋盤汎用フライス盤等の数種類の加工が必要なワークに段取り替え無く、加工時間短縮や高精度加工など、多くの種類の加工を行うことができます。

主な用途として、旋削加工やフライス加工の他、穴あけ、リーマ、タップ加工が挙げられます。また、中ぐり加工も行えるなど、複合加工機としての多機能を備えています。

4. マシニングセンタ

図3. NCフライス盤及びマシニングセンタ

NCフライス盤から発展した工作機械なので、NCフライス盤でできる加工はマシニングセンタでもほとんどできます。主な用途として、産業機器にて要求される様々な中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げ、溝加工、面加工等などが挙げられます。多種類で、複雑な精密部品加工を連続で行える点が特徴です。

 

代表的なNC工作機器の使用用途を説明しましたが、その他にも研磨加工の一種であるホーニング加工で使われるホーニング盤放電加工で使われる放電加工機レーザー加工で使われるレーザー加工機など様々な工作機器で、NC加工技術が応用されています。

NC加工の原理

図4. NC加工の工程

NC加工機械は、どの機械でもNC装置 (NCプログラムを旋盤に送る) 、操作盤 (作業者がNC装置へ各種加工指示) 、サーボモーター (NC装置の指示により加工装置を動かす) により構成されます。NC装置内では、記憶媒体に記録された加工内容をプログラミングし、駆動機構をNC制御することによって工作機械を作動させます。

このプログラムはNCプログラムと呼ばれ、CADデータを元に作成されたワーク加工用プログラムです。

NC加工のその他情報

1. NC加工のメリット

高品質
汎用工作機械では作業員の操作により加工を行うため、操作ミスによる不良品の発生や熟練度による寸法や面の状態にばらつきが生じ、一定の品質が得られない可能性があります。一方、NC工作機械では、数値情報に基づいて自動制御しながら加工を行うため、加工精度高くなり、ばらつきも少なくなり品質が安定します。

量産化と低コスト化
汎用工作機械では、作業員が個々に手動で操作するため、生産量には限界がありますが、NC工作機械では、自動運転により加工時間が短縮できます。さらに、同時に複数台の加工機を運転できるため、生産性の向上につながります。

また、作業員の疲労による効率の低下を低減できる、作業効率が高くなることもメリットの一つです。さらに、熟練者でなくても一定の精度での加工が可能になるため、技術伝承の面でも効果があります。

安全性
NC工作機械による自動加工により、作業員が機械に巻き込まれたり、工具や刃物で怪我をしたりするなどの労働災害の発生を抑制することが可能です。また、加工動作部分をカバーや扉などで囲っているため、作業員の安全性向上にもつながります。

2. デメリット

高額な設備投資
NC工作機械では、汎用工作機械の他、NC制御装置や周辺機器およびソフトウェアなどが必要になるため、導入時の設備投資が高額になります。単純な加工には汎用工作機械のほうが費用対効果が高いため、導入には将来を見据えた計画立案が重要です。

NCプログラムの作成・品質確保・情報管理
NCプログラムの作成のため、プログラム知識を習得した技術者の育成や確保が必要です。また、プログラムに問題がないことを検証し、品質を確保することも重要となります。

さらに、プログラム自身が知的財産であり、企業秘密となるため、情報セキュリティの確保も不可欠です。

段取り時間が必要
プログラム読み込みなど加工前の段取り作業が必要となるため、汎用工作機械よりも作業時間が長くなる可能性があります。

放電加工

放電加工とは

放電加工

放電加工とは、電極材から発する熱で被加工物表面を除去する受託加工サービスです。

放電加工は、加工機ベッドに固定された被加工物を水または油または水油混合の環境下において、被加工物と電極材 (形状電極やワイヤー電極) の間に通電現象を起こして、電極材から発する熱で被加工物表面を除去します。

一般的に切削加工と比較して加工速度は低下しますが、得たい形状を忠実に再現できます。ただし、被加工材は通電できることが条件で、プラスチックや木材やセラミックや絶縁コートしてある材料の加工には不向きです。

放電加工の使用用途

1. 形彫り放電加⼯

各種の金型で利用されています。切削加工では表現しにくい細かな模様や、切削加工ではカッターR部が除去できない場合に形状電極を用いて加工されます。

プラスチック製品やダイカスト製品および鍛造製品のほとんどは、この加工法が応用されて金型が作られます。特に表面を規則正しい形状にしたい場合や、コーナ部に非常に細かいR形状が求められる場面で活用されています。また被加工物が非常に固い場合やもろい場合で、かつ切削加工では対応できない場面で活用されています。

2. ワイヤ放電加⼯

被加工物の金属素材へ高精度な加工が可能です。一般的には2次元加工となりますが、テーパー加工も可能です。被加工物を選ばす加工できる点が特徴ですが、被加工物別に加工条件や液体を選ぶ必要があります。ここで液体とは、水、油、油と水の混合液を指します。

3. 細穴放電加工

被加工物の金属素材に対して直径0.3mmから3mmまでの細穴加工が可能です。方彫り放電加工機と原理は同じで、電極が細い線で、穴あけしたい長さによっては時間がかかります。切削加工で細穴を開ける場合はドリル特性により斜めに穴が開いてしまう可能性がありますが、細穴放電加工は切削加工と比較して垂直に穴を開けることが可能です。

放電加工の原理

放電電極と被加工物の間に100ボルト電圧をかけその距離を数十ミクロン程度まで近づけると、電極と被加工物の間に放電現象が発生し火花が発生します。その火花が他へ引火しないように水や油や水油環境下で加工を行います。火花で発生する放熱 (6,000℃以上) でワーク表面を溶かしながら表面を除去加工します。かつ電気回路 (パルス回路) を用いることで発生する放電現象を用いながら、目的とする形状を作り上げます。

放電加工の種類

1. 形彫り放電加⼯

電極材は、主に、グラファイト、タングステン等の通電する金属材が使わています。被加工物と電極間に毎秒1,000回以上の放電を行い、ワーク表面を微細に溶かしながら目的形状へ加工します。

2. ワイヤ放電加⼯

電極材は、極細金属ワイヤー (亜鉛、真鍮等で直径0.05mm以上) で、被加工物と電極の間に放電現象を起こして除去加工を行います。金属ワイヤーで被加工物を微細に溶かしながら2次元加工を行います。電極は被加工物に触れることなく加工液 (水、油、水油混合液) の中で形状を除去加工します。

ワイヤー放電加工の特徴として電極の揺動を繰り返すことで、表面の面粗度が良好な加工面を作ることが可能です (ローラン加工と呼ばれています) 。この加工法は切削加工より面粗度が低い加工面が得られるため、精密加工に適した加工方法となります。

3. 細穴放電加工

電極材は、棒状電極 (銅や真鍮、タングステン等) を使います。被加工物に電極を近づけ放電現象を発生させ、金属を除去することで細穴が加工できます。

放電加工のその他情報

1. 放電加工の問題点

細かい加工ができる放電加工ですが、問題点もあります。

放電加工は電気を通さない被加工物を加工する事はできません。また被加工物の除去量が少ないため作業時間が多くかかり、大量生産の加工方法として適しません。

放電加工に使う電極は被加工物だけではなく電極も同様に摩耗します。電極予備を用意しておき、必要に応じて交換する必要があります。特に型彫り放電加工では形状電極を作る必要があり、電極を作る工数を見込む必要があります。

2. 放電加工に必要な機器

それぞれの加工方法 (形彫り放電加⼯、ワイヤ放電加⼯、細穴放電加工) に対応した放電加工機が必要になります。NC装置を搭載した機器が主流であり、NCプログラムで制御されて加工を行います。近年の技術革新により、複雑な動きをするロボットアームを搭載した機器もあり、被加工物や電極の搬送が自動化されるメリットがあります。

放電加工の選び方

高精度な部品加工や複雑な形状の加工など、放電加工は様々な場面で活用されていますが、数多くの受託サービスがある中で、最適な業者を選ぶことは容易ではありません。

そこで、放電加工を選ぶ際に、どのような点に注目すべきか、具体的な選定基準と注意点の一例を下記にあげます。

1. 加工精度

要求される寸法公差や形状精度を満たせるか確認したり、過去の実績やサンプル品を提示してもらい、品質を確認することは放電加工の受託業者を選ぶ上で重要です。

2. 対応可能な材料と形状

自分の加工したい材料に対応しているか、複雑な形状や微細な加工に対応できるか確認しましょう。

3. サービス

加工に関する相談に乗ってくれるか確認しましょう。またアフターサービスはあるのかや、加工後のサポート体制が整っているか確認しましょう。

フォトエッチング加工

フォトエッチング加工とは

フォトエッチング加工

フォトエッチング加工とは、写真の原理 (写真製版技術) と不要部分を取り去るエッチング技術を合体した加工技術です

基板などの材料上に、複雑かつ細かいパターンを形成することができます。

フォトエッチング加工の使用用途

フォトエッチング加工は、下記のような用途があります。

1. 電子基板の製作

電子機器のほとんどに内蔵されているプリント基板の製作に用いられます。プリント基板は、セラミックスや樹脂などから成るベースに銅箔が貼り付けられたものです。銅箔の不要部分をフォトエッチングで除去し、電子回路を製作します。

他にも、電気製品や携帯電話に使用されるフレキシブル回路基板 (FPC) やリジット基板の製作に使用されます。 また部品としては、タッチセンサー温度センサー、アンテナ、ヒーター、カメラセンサーの回路基板に用いられます。

2. 電子回路の製作

半導体や液晶ディスプレイの微細パターン形成に使われます。

3. 精密部品の製作

電子部品を多数搭載する表面実装工程のプリント基板にハンダペーストを印刷するメタルマスク (ステンシル) として使用されます。

フォトエッチング加工の原理

フォトエッチング加工は、一般的に以下の手順で行われます。

1. マスクの製作

ガラスなどに、マスクパターンを描画します。

2. 基板へのレジストコート

エッチングを行う基板にレジスト (感光膜) を塗布します。レジストは、光によって変質するため暗室でコートする必要があります。

3. 露光・現像

レジストの塗布と現像

図1. 基板へのレジストコートと露光・現像

レジストコート上に、1で作成したマスクを設置した状態で露光します。マスクでおおわれていない部分は変質し、現像液で除去できるようになります (ポジ型の場合のみです。ネガ型の場合は、未露光部が現像液で除去されます) 。

4. エッチング

3でレジストが除去された部分の金属を、エッチング液で除去します。シリコン基板へのエッチングなどでは、エッチング液に腐食性の強いフッ酸が使われるため、取り扱いに注意が必要です。

5. レジスト除去・洗浄

エッチングとレジスト除去

図2. エッチングとレジスト除去

レジストを除去し、洗浄を実施して完成となります。

フォトエッチング加工の種類

1. メタルエッチング

加工する材料 (ステンレス、ニッケル等) の汚れを除去した後、材料の裏表にフォトレジストを塗布します。 その後フォトマスクをかぶせるマスキングをした後、UV光を照射してフォトレジストを感光させます。

次いで、フォトマスクにて光が当たらなかった部分のフォトレジストを指定の薬品で取り除きます。 最後に、金属を溶かす薬品 (エッチング液) でマスキングされていない部分を溶かして設計通りのパターンを得ます。

2. 精密ハイブリッドエッチング

エッチング加工と電鋳加工 (マスター製品と反対のモデルを作る技術) を組み合わせた加工技術です。 この加工技術により精密な製品の製作が可能となります。

3. 特殊材のエッチング

モリブテンチタン等の非常に固い金属をエッチングする方法です。

4. 3Dエッチング

立体面や曲面のエッチング加工を行う方法です。円筒上製品の内側や、棒状製品の外側にエッチング加工を行います。

5. 薄膜エッチング

蒸着やスパッタ等で形成された薄膜金属 (ITO,Al,Cu,Ni,Cr等) を化学プロセスでエッチングし、加工精度の高いパターン形成する方法です。

フォトエッチング加工のその他情報

フォトマスクの作製法

フォトマスクの構造

図3. フォトマスクの構造

フォトマスクの作製方法も、フォトエッチングと類似しています。まず、CAD等でパターンの作図を行います。次に、ガラス基板上に何らかの遮光膜を形成した基板を用意します。

遮光膜の種類は、加工精度の高い順にクロムマスク、ガラスマスク、フィルムマスクの3種類です。この基板をフォトマスクブランクスと呼びます。

続いて、フォトマスクブランクスにレジストを塗布し、電子ビーム等を使用して製品の元になる原版のマスクを描画します。以降はフォトエッチングと同様の工程で、現像液によって遮光膜を除去し、最後にレジストの除去と洗浄を行います。

村田製作所の不正・不祥事一覧

2021年の不正・不祥事

株式会社村田製作所・八日市事業所で、6月29日に希硫酸(濃度50%)1.5リットルを紛失

概要

  1. 6月29日、従業員が保管庫の記録台帳と照らし合わせた際、保管されているはずの濃度50%、希硫酸500mlボトル計3本の紛失を確認。
  2. 社内で聞き取り調査をするも発見できず、警察署ならびに保健所に報告。
  3. その後も捜索を続けてはいるが、発見できていない。

会社の公式リリース(日時: 2021年7月7日)

2020年の不正・不祥事

村田製作所・八日市営業所で働いていた男性が死亡したのは過労によるものと、遺族が損賠3800万円求め訴えている裁判の第1回口頭弁論が始まる

概要

  1. 村田製作所の八日市営業所で働いていた男性(当時46)が、2010年9月に心室細動で死亡した。
  2. 遺族側は、亡くなるまでの半年間は毎月60~90時間以上の残業、深夜帯勤務や持ち帰りの仕事が多かったと証言。
  3. 会社側が健康面や心理面のケアを怠ったために病発し、死に至ったと主張。
  4. 村田製作所は「係争中なのでコメントは差し控える」とのコメントを報道各社向けに発表。会社側は請求棄却を求めている。

会社の公式リリースはまだ係争中につき、発表されていない。

2013年の不正・不祥事

米シンコア社の持つ特許権侵害による訴訟問題が確定。約20億円の賠償金命令が下る

概要

  1. 米シンコア社(マサチューセッツ州)が、2007年に米特許4件を侵害したとして村田製作所を告訴。
  2. 2011年の1審で2098万ドル(約20億円)の支払いを命じる判決がでているが、村田製作所はこれを不服として連邦巡回控訴裁判所に控訴していた。
  3. 2審でも2013年3月に地裁の判決を認める判決が出されていて、最高裁の判断を待っていた。
  4. 2013年11月18日、米国連邦最高裁判所が村田製作所の請求を退ける判決を下し、約20億円の賠償命令が確定した。

会社の公式リリース(日時: 2013年11月20日)

Murata Report 2013

トヨタ自動車の不正・不祥事一覧

2021年の不正・不祥事

社員のパワハラ自殺で労災認定、和解して社長が遺族に謝罪

概要

  1. トヨタ自動車で勤務していた男性(当時28)が2017年に自殺した。
  2. 自殺の原因は、上司のパワーハラスメントとして19年3月に労災を申請。同9月に認定された。
  3. 男性は16年3月に配属されたグループの上司から、「ばか」「やる気ないの」「死んだほうがいい」などと暴言を上司から執拗に受け休職。3か月後に別のグループに復職するも、上司の席が近いことも関係し、17年10月に社員寮で自殺した。
  4. 豊田社長は2019年11月と2021年4月の計2回、遺族と面会し「二度とこうしたことを起こさせない」と謝罪した。

会社の公式リリース(日時: 2021年6月7日)

2019年の不正・不祥事

ラグビー・トヨタ自動車ヴェルブリッツの選手2名がコカイン所持で逮捕

概要

  1. 6月20日に元高校日本代表の樺島亮太(28歳)がコカイン所持の疑いで逮捕、続く27日には、イェーツ スティーブン(35歳)もコカインを所持で逮捕された。
  2. 事態を受けて、チームは活動自粛
  3. 当初は廃部も視野に入れて話し合いを重ねてきたが、再発防止の徹底や人間教育に力を入れ活動を徐々に再開していくと発表。

会社の公式リリース(日時: 2019年6月20日)

会社の公式リリース(日時: 2019年6月27日)

会社の公式リリース(日時: 2019年8月8日)

2015年の不正・不祥事

トヨタ自動車のジュリー・ハンプ氏(55)が麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕

概要

  1. 6月18日に米国から来日したジュリー・ハンプ常務役員が麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕された。
  2. 本人は、持病である腰の痛みを和らげるため、麻薬成分であるオキシコドンを含む錠剤57錠を米国から国際宅配便で輸入したと供述。
  3. 「医師の処方が必要な薬だとの認識があった」という認識があったため、申告の際は「ネックレス」とし、錠剤は箱の中に隠すという隠避が行われていた。
  4. 錠剤の使い道や入手経路などからは、悪質性が低いと判断して不起訴(起訴猶予)処分となる。
  5. 女性の外国人幹部登用ということで世間の注目を浴びていたこともあり、豊田章男社長自らが記者会見を行った。

会社の公式リリース(日時: 2015年6月19日)

京セラ株式会社の不正・不祥事一覧

2021年の不正・不祥事

スマートフォンやパソコンに使われる半導体のパッケージ材や樹脂材料などの第三者機関認証において不正が発覚

概要

  1. 京セラのケミカル製品において、認証を取得したときとは異なる配合で量産品を生産し、出荷していた不正が発覚した。
  2. 抜き打ち検査ではサンプルを認証可の製品とすり替えたり、不適合品を故意に隠したりしていた。
  3. 不正は30年以上にわたり黙認されてきたと発表。
  4. その後、UL 認証は取り消し。

会社の公式リリース(日時: 2021年1月8日)

2018年の不正・不祥事

太陽光事業で、511億円の巨額損失

概要

  1. 11月28日、ソーラー発電用ポリシリコンに関する長期購入契約について、米ヘムロック社と和解合意に至ったと発表。
  2. 既に支払い済みの前渡金の放棄、保有するポリシリコンでの代物弁済、和解金の支払いなどが生じ、2019年3月期の連結営業利益で511 億円の損失を計上することとなった。
  3. 世界的に再生可能エネルギーへの関心が高まり、太陽電池パネルに使うポリシリコン原材料の需要がひっ迫する可能性があったため、原材料をあらかじめ確保するための長期契約をヘムロック社と締結するものの、安価な中国産の参入により価格破壊が発生。
  4. 契約上の購入価格と時価との間に大きな差が生まれてしまったため、価格の見直しを求めたが、ヘムロック社が拒否を示したため訴訟に発展していた。

会社の公式リリース(日時: 2018年11月28日)

2008年の不正・不祥事

携帯電話のバッテリーパックで発火・破裂の被害が複数報告されリコール

概要

  1. 3月28日、京セラが製造するバッテリーパック「W42K」において、発火・破裂の事故が報告されたと発表。
  2. 電池パックにキズやヘコミがつく程度の力が加わると、その後の充電・放電の繰返しでショートが発生、電池パックが発熱して膨張、さらには発火・破裂する可能性があることが確認された。
  3. 事故の可能性があるのは一部の製造番号が記載された電池パックだが、それ以外の製造番号を使用する人も含め、「W42K」を使用するすべての顧客に対し電池パックの交換をすると発表。
  4. 約18万人が交換回収対象になる。

会社の公式リリース(日時: 2008年3月28日)

オムロン株式会社の不正・不祥事一覧

2021年の不正・不祥事

次期社長と目された宮永裕執行役員副社長が、3月20日付で退任との電撃発表

概要

  1. 表向きは副社長の申し入れによる退任となっているが、実際にはパワハラ問題と女性問題による退任と報道される。
  2. 会議では部下に対して人権を無視したひどい暴言を吐いていた。それにより、体調不良を訴えたり、心療内科に通院する社員も出たとされる。
  3. 課長級職員の女性社員と不適切な交際をしていると報道。
  4. 宮永氏における一連の行為について、山田義仁社長はすべて把握し、2021年年頭の社員向けメッセージのなかで「人間性の尊重」に反する行為は到底許されるものではないといった発言をしているにもかかわらず、社外向けには「本人による申し入れでの退任」との立場を崩していない。
  5. 宮永氏は退任に伴い、退職金を満額受け取っている。

会社の公式リリース(日時: 2021年3月22日)

2018年の不正・不祥事

無停電電源装置(UPS)商品の製品環境基準不適合品を出荷していたと発表

概要

  1. 電子・電気機器における特定有害物質の使用を制限する、欧州連合(EU)の指令「RoHS」に準じた商品であるといって製品を販売。
  2. 内部告発ではなく自主的な破壊検査により事実が判明したと説明する。
  3. 不適合の対象商品を交換を希望する客には、無償で代替商品を提供。

会社の公式リリース(日時: 2018年6月8日)

2014年の不正・不祥事

JR東日本から受託して撮影した画像を無断でほかの研究に流用

概要

  1. 国分寺駅(東京都国分寺市)・桜木町駅(横浜市)・板橋駅(東京都板橋区)と熱海駅(静岡県熱海市)で、流動調査のために改札口付近に設置したカメラで利用客を撮影、解析結果をJR東に提出
  2. 撮影した画像は一定期間後に破棄・返却する契約を結んでいたにもかかわらず、JR東の了解を得ずに他の目的に利用
  3. 研究開発で使用した画像情報は、各施設管理者へ返還もしくは廃棄済み、画像情報が漏洩している事実はない

会社の公式リリース(日時: 2014年7月12日)

神戸製鋼所の不正・不祥事一覧

2018年の不正・不祥事

神戸製鋼所におけるデータ改ざん問題、新たに163社へ不正製品納入と発表

概要

  1. 2017年10月26日時点で不適合製品納入先として公表された525社とは別に、新たに163社にも納入していたと発表。
  2. 真岡製造所(栃木県真岡市)などでは、改ざん内容を「トクサイ」と呼び、顧客名や検査結果を「トクサイリスト」まで作成していた。

会社の公式リリース(日時: 2018年3月6日)

2017年の不正・不祥事

神戸製鋼所におけるデータ改ざん問題で、アルミ・銅事業部門の執行役員3名が不正を認識

概要

  1. 10月8日に公表されたアルミ・銅事業部門における検査データの改ざん等の一連の不正問題について、アルミ・銅事業部門の執行役員3名が一部の不正を認識していたことが判明したと発表。
  2. 3人の担当業務を外し、外部調査委員会に引き続き徹底した調査を依頼した。

会社の公式リリース(日時: 2017年12月21日)

真岡製造所のJIS認証を一時停止、神鋼メタルプロダクツ(株)はJIS認証取り消し

概要

  1. 12月8日、神鋼メタルプロダクツ(北九州市)が、日本工業規格(JIS)の認証取り消し通知を受けたと発表。
  2. 真岡製造所(栃木県真岡市)はJIS認証の一時停止となったことを発表。

会社の公式リリース(日時: 2017年12月8日)

長府製造所アルミ押出工場のJIS認証を一時停止

概要

  1. 12月5日、長府製造所アルミ押出工場におけるJIS認証の一時停止を受けたと発表。

会社の公式リリース(日時: 2017年12月5日)

(株)コベルコ マテリアル銅管におけるJIS認証の追加取り消し

概要

  1. JIS規格を満たさない製品にJISマークを表示して出荷していたことが判明。
  2. 「JIS H3330 外面被覆銅管」についてのJIS認証の取り消し通知を受けたと発表。(尚、すでに「JIS H3300 銅及び銅合金の継目無管」は取り消し通知済み)

会社の公式リリース(日時: 2017年11月15日)

(株)コベルコ マテリアル銅管秦野工場でJIS表示認定取り消し

概要

  1. 秦野工場において、JIS 規格を満たしていない製品に JIS マークを表示していたことが判明。
  2. 10月26日にJIS 認証の取り消し通知を受けたと発表。

    会社の公式リリース(日時: 2017年10月26日)

アルミ製品の出荷前検査において、不適合品のデータを改ざんし、適合品として出荷していたと発表

概要

  1. 神戸製鉄所は10月8日、一部のアルミ製品の検査で不適合となった製品を、データを改ざんするなどして、適合品として納入していたことを発表した。
  2. 改ざんは組織ぐるみ、10年以上前から行われていた。
  3. 製品の供給先は200社以上になるとみている

会社の公式リリース(日時: 2017年10月8日)