フォトエッチング加工

フォトエッチング加工とは

フォトエッチング加工

フォトエッチング加工とは、写真の原理 (写真製版技術) と不要部分を取り去るエッチング技術を合体した加工技術です

基板などの材料上に、複雑かつ細かいパターンを形成することができます。

フォトエッチング加工の使用用途

フォトエッチング加工は、下記のような用途があります。

1. 電子基板の製作

電子機器のほとんどに内蔵されているプリント基板の製作に用いられます。プリント基板は、セラミックスや樹脂などから成るベースに銅箔が貼り付けられたものです。銅箔の不要部分をフォトエッチングで除去し、電子回路を製作します。

他にも、電気製品や携帯電話に使用されるフレキシブル回路基板 (FPC) やリジット基板の製作に使用されます。 また部品としては、タッチセンサー温度センサー、アンテナ、ヒーター、カメラセンサーの回路基板に用いられます。

2. 電子回路の製作

半導体や液晶ディスプレイの微細パターン形成に使われます。

3. 精密部品の製作

電子部品を多数搭載する表面実装工程のプリント基板にハンダペーストを印刷するメタルマスク (ステンシル) として使用されます。

フォトエッチング加工の原理

フォトエッチング加工は、一般的に以下の手順で行われます。

1. マスクの製作

ガラスなどに、マスクパターンを描画します。

2. 基板へのレジストコート

エッチングを行う基板にレジスト (感光膜) を塗布します。レジストは、光によって変質するため暗室でコートする必要があります。

3. 露光・現像

レジストの塗布と現像

図1. 基板へのレジストコートと露光・現像

レジストコート上に、1で作成したマスクを設置した状態で露光します。マスクでおおわれていない部分は変質し、現像液で除去できるようになります (ポジ型の場合のみです。ネガ型の場合は、未露光部が現像液で除去されます) 。

4. エッチング

3でレジストが除去された部分の金属を、エッチング液で除去します。シリコン基板へのエッチングなどでは、エッチング液に腐食性の強いフッ酸が使われるため、取り扱いに注意が必要です。

5. レジスト除去・洗浄

エッチングとレジスト除去

図2. エッチングとレジスト除去

レジストを除去し、洗浄を実施して完成となります。

フォトエッチング加工の種類

1. メタルエッチング

加工する材料 (ステンレス、ニッケル等) の汚れを除去した後、材料の裏表にフォトレジストを塗布します。 その後フォトマスクをかぶせるマスキングをした後、UV光を照射してフォトレジストを感光させます。

次いで、フォトマスクにて光が当たらなかった部分のフォトレジストを指定の薬品で取り除きます。 最後に、金属を溶かす薬品 (エッチング液) でマスキングされていない部分を溶かして設計通りのパターンを得ます。

2. 精密ハイブリッドエッチング

エッチング加工と電鋳加工 (マスター製品と反対のモデルを作る技術) を組み合わせた加工技術です。 この加工技術により精密な製品の製作が可能となります。

3. 特殊材のエッチング

モリブテンチタン等の非常に固い金属をエッチングする方法です。

4. 3Dエッチング

立体面や曲面のエッチング加工を行う方法です。円筒上製品の内側や、棒状製品の外側にエッチング加工を行います。

5. 薄膜エッチング

蒸着やスパッタ等で形成された薄膜金属 (ITO,Al,Cu,Ni,Cr等) を化学プロセスでエッチングし、加工精度の高いパターン形成する方法です。

フォトエッチング加工のその他情報

フォトマスクの作製法

フォトマスクの構造

図3. フォトマスクの構造

フォトマスクの作製方法も、フォトエッチングと類似しています。まず、CAD等でパターンの作図を行います。次に、ガラス基板上に何らかの遮光膜を形成した基板を用意します。

遮光膜の種類は、加工精度の高い順にクロムマスク、ガラスマスク、フィルムマスクの3種類です。この基板をフォトマスクブランクスと呼びます。

続いて、フォトマスクブランクスにレジストを塗布し、電子ビーム等を使用して製品の元になる原版のマスクを描画します。以降はフォトエッチングと同様の工程で、現像液によって遮光膜を除去し、最後にレジストの除去と洗浄を行います。

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