電子ビーム加工

電子ビーム加工とは

電子ビーム加工とは、真空状態で電子ビームを工作物に当て高熱 (約6,000℃) で加工する方法です。

通常数万ボルト以上に加速された電子ビームを電子レンズで収束し物質に照射すると、電子の運動エネルギ―は熱エネルギーに変換されて高熱を生み出します。その高熱を利用して種々の高融点金属、宝石類や半導体等の微細配線を加工できる技術です。 また、真空中で加工のため空気中での加工に比べて加工面の不純物汚染や酸化の心配が有りませんが作業性は悪くなります。

尚、最新の加工技術では、真空中ではなくワークを真空外で行う方法も開発されています。

電子ビーム加工の種類

電子ビーム加工は、主に、電子ビーム溶接・電子ビーム加工・電子ビーム蒸着・電子線描画などがあります。

1. 電子ビーム溶接

電子銃から発生した電子線を、磁界を利用した偏向コイルで集束し物質に当てる方法です。 その後、電子ビームが当てられた物質の表面が高熱で溶解してワーク加工を行います。

従来、高真空でワーク加工が行われていましたが、生産性を向上した低真空法も開発されています。真空中での溶接が必要な水晶振動子の封止、各種航空機用の部品及び電子部品等の加工に使用されます。

電子ビーム溶接について詳しくみる

2. 電子ビーム加工

集束した電子ビームをワーク表面の局所的な場所に当て表面物質を瞬間蒸散させ、微細な穴あけ加工や溝切り加工を行う方法です。 この穴あけでは直径数十マイクロメートルの穴加工が可能です。ステンレス鋼やモリブテン材等の難加工金属、及びや水晶、セラミックスの穴あけ、溝切り加工に使用されます。

3. 電子ビーム蒸着

真空装置内に蒸着させる金属を置き、その金属に向けて電子ビームを照射し溶解・蒸発させます。 次いでその金属と対向する側に蒸着金属が付着するワークを置き、蒸着した金属蒸気でワーク表面に金属薄膜を生成させる方法です。半導体やITOガラスの薄膜製造、電子顕微鏡で用いる分析試料作成に使用されます。

4. 電子線描画

半導体回路のような微細な配線パターンが必要となる電子回路形成に使用される方法です。 半導体集積回路の配線パターンは年々微細化が進み、シリコンウエハー上に多くの部品回路形成や精密配線加工が求められています。 従来の半導体回路加工は、フォトマスクを使用したフォトリソグラフィー方式(フォトエッチング技術)を使用した方法でした。

このフォトリソグラフィーで形成される回路パターン解像度は0.1マイクロメートルが限界であり、それより細かい配線パターンが求められる場合には、電子線による直接描画を行います。最先端の微細パターン加工が必要な半導体回路製造に用いられます。

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